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別 紙
経 歴 書
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│ふりがな│ か とう よし かず │生年月日│ ─────────── │
│氏 名 │ 加 藤 芳
和 │ │ │
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月 │ 事 項 │
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△議員派遣の中止
○議長(坂本あずまお議員) 次に、議員派遣の中止についてご報告いたします。
去る6月21日の第2回定例会第4日において、広島市
原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式に議員を派遣することを決定いたしましたが、受入れ人数の関係により派遣を中止することにいたしましたので、ご報告いたします。
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△専決処分の報告について、令和3年度決算に基づく東京都板橋区健全化判断比率について、令和4年度教育に関する事務の管理及び執行状況の点検及び評価の結果について、農業委員会の事務執行状況、特別区競馬組合議会の会議結果、特別区人事・
厚生事務組合議会の活動状況、東京二十三区清掃一部事務組合議会の会議結果、東京都
後期高齢者医療広域連合議会の会議結果、
公益財団法人板橋区産業振興公社の経営状況、
公益財団法人板橋区文化・国際交流財団の経営状況及び
公益財団法人植村記念財団の経営状況
○議長(坂本あずまお議員) 続いて、専決処分の報告について、令和3年度決算に基づく東京都板橋区健全化判断比率について、令和4年度教育に関する事務の管理及び執行状況の点検及び評価の結果について、農業委員会の事務執行状況、特別区競馬組合議会の会議結果、特別区人事・
厚生事務組合議会の活動状況、東京二十三区清掃一部事務組合議会の会議結果、東京都
後期高齢者医療広域連合議会の会議結果、
公益財団法人板橋区産業振興公社の経営状況、
公益財団法人板橋区文化・国際交流財団の経営状況及び
公益財団法人植村記念財団の経営状況につきましては、既に配付いたしました文書のとおり報告いたします。
〔参 照〕
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△監査報告
○議長(坂本あずまお議員) 次に、監査の実施状況について、監査委員の報告を求めます。
監査委員 大田ひろし議員。
◎大田ひろし 議員 議長。
○議長(坂本あずまお議員) 大田ひろし議員。
〔
大田ひろし議員登壇〕(拍手する人あり)
◎大田ひろし 議員 ただいまから、監査委員を代表いたしまして、監査報告を申し上げます。
今回の報告は、本年2月の本会議におきまして、大野治彦前監査委員からご報告いたしました監査結果以降のものでございます。なお、本報告のうち、本年5月22日以前の監査の実施及び取りまとめにつきましては、前監査委員の
吉田豊明監査委員並びに
大野治彦監査委員が関与したものであり、5月23日以降の監査の結果などにつきましては、現監査委員の
元山芳行監査委員と私が関与しております。また、監査の実施に当たりましては、
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、監査日程の変更や保育園などの現場監査の見送りなどの措置を行っておりますことをあらかじめ申し上げておきます。
それでは、初めに、令和3年度の定期監査についてご報告いたします。昨年11月に区立小中学校及び特別支援学校、12月に
教育委員会事務局の各課、生涯学習センター、あいキッズ並びに子ども家庭部の各課、児童館、保育園、本年1月に健康生きがい部及び福祉部の各課、各事業所に対しまして、令和2年度及び令和3年度の財務に関する事務、施設と備品の管理状況などを対象に監査を実施いたしました。監査の結果、いずれも特に指摘すべき事項は認められませんでしたが、上板橋第四小学校のコミュニティ・スクール委員会委員報酬の支出において、支払事務を怠り、本来会議の都度支払うべき報酬を出納整理期間に一括して支払い、支出の際に起案文書の一部を差し替える不適正な公文書の取扱いを行っていたことが判明いたしました。
教育委員会事務局及び学校長に対し、支払遅延及び不適正な公文書の取扱いについて、再発防止に取り組むとともに会計事務及び文書事務を適正に行うよう指導したところであります。
続いて、令和4年度の定期監査についてご報告いたします。5月に資源環境部、都市整備部、まちづくり推進室及び土木部の各課・各事業所に対しまして、6月には政策経営部、総務部、危機管理部の各課、会計管理室、選挙管理委員会事務局、監査委員事務局及び区議会事務局に対しまして、令和3年度及び令和4年度の財務に関する事務、施設と備品の管理状況などを対象に監査を実施いたしました。その結果、おおむね適正に執行されているものと認められました。
次に、行政監査についてご報告申し上げます。令和4年度の行政監査は、7月に第1回目として「生活安全の推進について」、8月には第2回目として「区民の環境活動の推進について」をテーマに、所管課からの聞き取りと現場監査・現場視察を実施いたしました。現在取りまとめをしているところですので、まとまり次第公表してまいります。
次に、工事監査についてご報告申し上げます。6月に子ども家庭総合支援センター周辺道路拡幅整備工事を、7月には区営坂下一丁目住宅改築工事を対象に、それぞれ監査を実施いたしました。起工書、請負契約書、工程表、記録簿などを基に進捗状況、安全管理などに関して監査を行うとともに、現場に赴き、工事の状況について監査を実施いたしました。なお、工事監査に当たりましては、工事の専門的な内容を調査するため、技術士による調査報告書を監査の参考としていることを申し添えます。監査の結果、工事はいずれも適正に施工されており、順調に進捗しているものと認められました。
次に、財産監査についてご報告申し上げます。4月に公有財産、物品、債権の取得、管理及び処分並びに基金の管理及び運用について監査を実施いたしました。各所管の関係帳簿、物品並びに基金の管理状況を調査いたしました。監査の結果、おおむね適正に処理されているものと認められました。これらの各監査のほか、毎月1回、出納検査を実施しております。これは、会計管理室における現金の保管状況、基金の運用状況及び事務処理について検査を行うものでありますが、いずれの月も計数に誤りはなく、適正に処理されているものと認められました。
次に、決算審査について申し上げます。令和3年度一般会計及び各特別会計の歳入歳出決算などの審査につきまして、7月に実施いたしました。この結果につきましては、本定例区議会において、決算審査意見書をもってご報告申し上げますので、この場においては省略させていただきます。さらに、8月に実施いたしました令和3年度健全化判断比率の審査につきましては、各比率とも早期健全化基準を下回っており、適正なものと認められました。
次に、特定項目監査についてご報告いたします。特定項目監査は、区の今日的な課題などを対象に、区の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が適正に執行されているかを主眼として行うものです。令和3年度は「リース契約について」をテーマとして取り上げ、定期監査と同時に実施いたしました。監査に当たり、リース契約において、予定価格の積算は適切に行われているか、リース契約において、競争性・公正性は確保されているかを着眼点とし、対象課からの聞き取り調査を実施いたしました。その結果、物品調達の方法の1つとしてリース契約の活用は欠かせないものとし、契約管財課において、支出予定金額の積算は適切か、的確な指導・助言を行う必要がある。また、再リース契約についても、再リース回数の基準や経費の積算は適切か、契約管財課が関与して検討を進める必要があること。また、再リース契約を繰り返す場合に、当初契約の文書の保存について基準を定めておく必要があることなどを求めました。なお、今年度の特定項目監査につきましては、「物品の管理及び活用状況について」をテーマとし、備品は適正に管理され有効に活用されているか、備品の処分は適切に行われているかなどの観点から監査を実施しているところであります。
最後に、住民監査請求についてご報告いたします。6月に、区立小学校へのアルコール消毒の寄附に当たり、寄附申出・受領に係る書面の取り交わしがないことは、財産の不正な取得に当たるとして、正規の手続を実施することなどを請求する住民監査請求が提出されました。これにつきましては、本件が財務会計上の行為に当たらないこと、また、行為の発生から1年を経過しての請求であったこと、また、その正当な理由がないことにより、住民監査請求として不適法であるため、監査を実施しないことを決定いたしました。
報告は以上でございますが、理事者並びに職員におかれましては、監査を通じてお示ししたそれぞれの点にご配慮いただき、なお一層効率的な行政運営に努められますよう期待しております。私ども監査委員といたしましても、今後とも厳正かつ公平な立場で監査の執行に努め、区民の信頼を確保してまいりたいと存じます。議員並びに理事者各位におかれましては、さらなるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、監査報告を終わります。
○議長(坂本あずまお議員) 以上で監査委員の報告を終了いたします。
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△区政一般質問
○議長(坂本あずまお議員) これより区政に関する一般質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
今期の質問順序は、共産党からであります。
初めに、荒川なお議員。
◆荒川なお 議員 議長。
○議長(坂本あずまお議員) 荒川なお議員。
〔荒川なお議員登壇〕(拍手する人あり)
◆荒川なお 議員 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。
初めに、核兵器禁止条約への参加を求めて質問します。
8月1日からニューヨークの国連本部で開かれたNPT再検討会議は26日、最終文書を採択できずに閉幕しました。今回の再検討会議は、ウクライナを侵略したロシアが核兵器の先制使用を公言し、核保有国が軍拡競争を強める中で行われました。NPT第6条は、「締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を負う」としています。しかし、その交渉は全く進んでいません。2017年に採択され、2021年に発効された核兵器禁止条約は、そうした現実を動かすために締結されたものです。今回の再検討会議では、核保有国は、核兵器禁止条約とNPTは矛盾すると批判をしましたが、核兵器禁止条約に賛同する国々は、核兵器の非人道性の再確認と、核兵器禁止条約がNPTを補完することを明記するよう求めました。ロシア以外の全ての国が合意した最終文書には、「核兵器禁止条約を認識する」と記述され、禁止条約に賛同する国々の主張が一定程度盛り込まれました。核兵器禁止条約は、NPT再検討会議を補完する役割を持っていることは明白であり、車の両輪です。そこで、区長に伺います。核兵器禁止条約がNPT再検討会議にどういう影響を与えたか、区長の認識をお示しください。
核兵器禁止条約の第1回締約国会議の議長、オーストリアのクメント軍縮局長は、1か月間の再検討会議は、NPTがその義務や約束がどうであれ、現実には核軍縮でほとんど前進をつくらないことを示したと指摘し、NPT第6条で実際の前進を達成したいと望む全ての国は、核兵器禁止条約に参加することを呼びかけています。しかし、唯一の被爆国である日本政府は、NPT再検討会議でも世界の流れに逆行する恥ずべき姿勢をあらわにしています。今こそ日本は核兵器禁止条約に参加するべきです。改めて核兵器廃絶をうたった平和都市宣言を持つ板橋区として、政府に核兵器禁止条約に参加することを求めていただきたいが、いかがでしょうか。
次に、気候危機打開に向けた取組について質問します。
今、世界各地で人々が過去に経験したことのないような異常気象、自然災害に見舞われています。水不足が過去500年で最悪の状況というヨーロッパ、国土の3分の1が水没し、1,300人近くが亡くなったとされるパキスタンなど、甚大な被害となっています。パキスタンの気候変動大臣は、「氷河が溶けるのは地球温暖化の結果です。パキスタンのCO2排出割合は世界で1%以下です。世界の気候を生き地獄にする温室効果ガスの排出にはほとんど加担していません」と述べ、大量の温室効果ガスを排出し続けている豊かな国の責任を強く求めています。日本は世界第5位のCO2排出国です。他人事ではありません。2050年、カーボンニュートラルは掲げたものの、数合わせではない本気の取組が求められます。また、板橋区も今年4月、ゼロカーボンシティ宣言を行いましたが、宣言にふさわしく、本気で具体的な施策を進める必要があります。そこで、区長に板橋区の温暖化対策の取組を一層強力に推し進めることについて質問します。
まず、省エネの推進についてです。2050年の脱炭素実現のためには、エネルギーの供給構造の見直しや、耐久消費財や建造物・建築物の更新に合わせた省エネ投資の導入といった構造的な省エネが必要です。政府においては、2030年に目指すべき住宅・建築物の姿として、新築される住宅・建築物について、高性能な断熱性を用いて住宅を建設し、さらに太陽光発電システムなどを導入して自家発電を行うことで、年間のエネルギー収支をほぼゼロにすることを目指すZEH化、ZEB化の推進が閣議決定されています。2050年、脱炭素に向けて構造的な省エネへの転換が求められていると考えます。そこで区長に伺います。公共施設での年間エネルギー収支をほぼゼロにする建物への変更、耐熱化や窓断熱などの現状と今後の計画について、見解を伺います。
まち全体をつくり替える再開発計画は、大きなエネルギー消費、温室効果ガスの排出を伴うものとしても問題です。建設工事中の問題としては、建設機械の稼働、鉄とコンクリートを中心とした建設資材の製造と使用、運搬、廃棄物の発生などなど。また、新しい建築物が存在し、供用されることによって発生するもの、増加する自動車交通量、商業施設などから発生する廃棄物など、温室効果ガスの排出が削減される要素は全く見当たりません。建物が大規模になればなるほど後々の解体も規模が大きくなっていきます。大山駅周辺、板橋駅、上板橋駅南口で再開発事業が進められていますが、開発計画によって計画されている建築物は、年間消費エネルギーゼロ基準のものが計画されているのでしょうか。また、建物の解体、建築、床面積の増加等によって温室効果ガスはどれくらい増えることになるのかをお示しください。
次に、再生可能エネルギーの普及拡大についてです。政府の試算でも、日本における再生可能エネルギーの潜在量は、現在の国内の電力需要の5倍です。再生可能エネルギーは不安定だという議論がありますが、安定的な電源にする環境整備の取組が行われていないことこそ問題です。EUでは、再生可能エネルギー電力の優先接続が義務化されていますが、日本は、発電量が過剰になると、まず太陽光や風力での発電が電力系統から外され、原発や石炭火力での発電が最優先になっている現状があります。これでは再生可能エネルギーを主力にと幾ら言っても、空文句でしかありません。また、再生可能エネルギーで発電した電力を最大限活用できる送電網などのインフラ整備が進んでいません。電気は、石油やガソリンのような輸送コストもなく全国に送ることができます。再生可能エネルギーはどこにでも存在しますが、自然条件の違いで発電量には差が生まれます。電力会社が9社に区切られ、大電力会社に強大に支配されている現状を変えて、せめて東西2つの体制にするなどして、各地で開発した再生可能エネルギーを全国で有効に活用できるような送配電体制の整備・統合を進めることが早急に必要です。発電所から送電網への接続線を大手の送電事業者の責任で設置させることも必要です。そこで、区長に伺います。温室効果ガスを排出し続ける化石燃料から、再生可能エネルギーを主力にする大規模な構造転換が必要だと考えます。政府に対して、再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立すること、送配電体制の整備・統合を進めることを求めていただきたいが、いかがでしょうか。
板橋区においては、ゼロカーボンシティ宣言の下、公共施設の再エネ化、庁有車への電気自動車の導入と再エネ充電器の設置が行われることになりましたが、進捗状況はどうなっているでしょうか。もっと計画を加速化させることが必要だと考えますが、今後の計画をお示しください。
次に、区立庭球場の改善を求めて質問します。
先日、区内のテニス協会の方から、「区立庭球場のバリアフリー化が遅れているので、早期に改善してほしい。特に車いすテニスは、この数年間で世界の舞台で活躍する選手が増えているので、影響力が大きくなっている。板橋区でもいち早く車いすテニスの競技をしやすい環境づくりを行ってほしい」という要望が寄せられました。しかし、実態は、障がい者等の利便性の向上が図られないままとなっている体育施設が残されています。その1つが区立加賀庭球場です。加賀庭球場は、入口が1か所しかなく、入口から階段を上ってテニスコートに移動する以外に選択肢がありません。また、シャワー室へも階段を上らないと利用できないままとなっています。2011年につくられたスポーツ基本法には、「スポーツ施設を整備するに当たっては、当該スポーツ施設の利用の実態等に応じて安全の確保を図ることとともに、障がい者等の利便性の向上を図るよう努めるものとする」とあります。区は、スポーツ基本法について、法の趣旨を積極的に受け止めて施策に反映していくという立場を示しています。車いすで直接コートやシャワー室へ移動できるように改善することを求めます。
区立5か所の庭球場は、全て車いすテニス競技は可能になっています。しかし、庭球場の周辺の環境を見ると、新河岸庭球場は角度のある坂を上ったところに位置しており、テニスコートまで車いすに乗り1人で移動することは困難な場所に位置しています。小豆沢、徳丸ヶ原、東板橋の各庭球場は、公園内に位置していますが、テニスコートまでの公園敷地内の移動は、必ずしも移動しやすい環境にはありません。さらに、小豆沢と東板橋の庭球場は、競技用の車いすでテニスコートに入るためのドアの幅が確保されていない場所が残されています。障がい者スポーツの発展を推進する板橋区として、現状についてどのように考えているのか、お答えください。併せて、各庭球場のコートまでスムーズに車いすで移動できるように、動線を確保することを求めます。
次に、投票権の保障を求めて質問します。
この夏に行われた参議院選挙では、公示日の後にコロナ陽性者が増えて、投票日まで隔離期間となり、期日前投票にも行けなかった方が多くいました。特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律が2021年6月に成立し、板橋では東京都議会議員選挙から適用されました。コロナ陽性となり療養の方、または濃厚接触者となり自宅で隔離となった方が、短期間で請求書を選挙管理委員会に送り、選挙管理委員会から本人宛てに投票用紙等を送付し、自宅等で投票用紙に候補者名簿等を記載し、再び選挙管理委員会宛てに送付しなければなりません。さらに、投票日の4日前までに請求書が選挙管理委員会に届いていなければならないために、間に合わないと判断して投票を諦めてしまう人もいました。現に、コロナ療養を理由に郵便投票を利用したのは、東京都議会議員選挙で7人、衆議院選挙で2人、今年の参議院選挙で14人にとどまりました。新たな制度が浸透しておらず、分かりやすい制度とはなっていません。もっと分かりやすくするために、制度を利用した方など区民の意見を聞いていただきたいが、いかがでしょうか。併せて、制度について、もっと多くの人が利用できるように改善することを区として政府に求めてください。
そのほかにも、現在の投票制度は課題が残されています。郵便投票は、身体障害者手帳1級から3級を持つ人に限定され、要介護を受けている人の中では要介護5の人にしか認められていません。そのため、日常生活の動作に著しい低下が見られ、ほぼ全ての場合に介護が必要な状況を示す要介護4の人は郵便投票を行うことができません。また、投票用紙以外にも証明書が必要であり、事前に用意しておかなければならないことも課題となっています。現在、板橋区でも高齢化が進み、体が不自由な方が増えています。1人では投票所に行けない人も増えています。しかし、必ずしも付き添える人が近くにいる人ばかりではありません。郵便投票の仕組みについて、介護事業所などに案内を置くなどして、早めに周知徹底を行うことを求めます。併せて、郵便投票を認める範囲を広げることを区として政府に求めていただきたいが、いかがでしょうか。
次に、小中一貫校について質問します。
志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校を実施するための説明会が6月に地元で開催されました。説明会参加者から、小中一貫校計画そのものに異論が出されています。しかし、教育委員会はそのことに正面から答えようとはしていません。一方で、新たに建設される校舎の設計は10月に行われる予定となっています。このままでは、説明会参加者や地域住民の声が生かされる計画にはならないものと考えます。昨年10月の検討会で、志村小学校の学区域から新たに北前野小学校と志村坂下小学校の学区域が加わる方向性が示されました。これにより、全校児童数が約100人増えることが見込まれます。また、志村第四中学校の学区域変更が検討されていますが、現在の学区域から幾つかの地域が外される方向で検討が進められています。現在の検討段階では、最大で100人以上が志村第四中学校の学区域から外される見込みです。小中一貫校のために志村第四中学校の学区域の変更がされることの弊害について、教育委員会の考えをお示しください。
8月25日に開催された文教児童委員会で、7階に設置される予定のプールへの移動についての質問に対して教育委員会は、「杉並区にある小中一貫校は6階にプールがあるが、低学年でも徒歩で移動している。学校と移動方法について相談して決定していく」と答弁しています。しかし、プールの授業開始の時間までに児童全員がプールへ移動できるのか、移動するときに付添いの教員は何人必要なのかという疑問には答えていません。施設が完成してからの対応では解決できない問題が出てくることは明らかです。教育委員会の考えをお聞きします。
今後、小中一貫校へ入学するに当たって、中学校の部活動の校庭を使用できるスペースや、あいキッズの外遊びのスペースや、休み時間の遊び場の確保などについて、地域の方から要望や心配の声が寄せられています。志村小学校・志村第四中学校の合わせての校庭面積は、文科省の基準は8,650平方メートルです。しかし、計画では、現在の志村第四中学校の7,419平方メートルが残るかどうかも明らかにされていません。2015年3月の予算総括質問では、板橋第九小学校の議論の際に、区は、校庭面積については、文科省の基準を遵守する立場で答弁しています。小中一貫校のときには、文科省の基準を遵守しなくていいのか、教育委員会の考えをお聞きします。
板橋区は、志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校の実施に当たり、校長1人、副校長3人制にする考えを示しています。しかし、志村小学校も志村第四中学校も廃校となるわけではありません。そもそも小学校と中学校の校長先生にはそれぞれの役割があり、副校長を3人にすればいいということにはなりません。校長1人制は、実態として統廃合です。小学校と中学校それぞれに校長を配置するべきです。教育委員会の考えをお聞きします。
この間の説明会では、地域住民や説明会参加者などの疑問や要望に全く答えられていません。また、小中一貫校の計画について知らない区民が多く存在しています。学校の大規模化は避けられず、少人数学級の実現に向けて教室の数が足りなくなる可能性もあります。改めて志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校の計画全体の見直しを求めます。
最後に、里親制度の充実を求めて質問します。
板橋区は、4月に子ども家庭総合支援センターを、7月に児童相談所を開設しました。日本では、里親制度の普及が諸外国と比べても大きく遅れています。実際に養子縁組制度や里親制度の実態を知る人や利用する人が非常に少なく、そもそも制度自体を知らない人が多いことが問題です。日本財団が示した調査結果によると、里親制度については、全く知らない、名前を聞いたことがある程度と回答した人が6割以上います。日本には、生みの親と暮らすことができない子どもは、2019年時点で4万5,000人います。その約8割が乳児院や児童養護施設で生活しています。里親だけで見ても、オーストラリアでは93%、アメリカでは77%に対して、日本は18%にとどまっています。子どもの権利条約には、家庭環境を奪われた児童に対し、国の責任による代替的な監護の確保が明記されています。家庭的で手厚い養育が可能な里親制度には重要な役割があり、これまで以上に里親制度の普及と充実が求められます。日本で里親制度がなぜ進まないのか、原因について区の考えをお聞きします。
里親制度や特別養子縁組が普及しない最大の原因は、情報不足にあります。制度について情報が知らされれば、里親になろうと思う人が増えると考えます。また、研修会や説明会をもっと充実させる必要があります。区は2026年度までに、小学校区に1人の里親委託成立を目指すとしています。しかし、現状はその数字に遠く及ばない到達です。区内で不妊治療を行っている医療機関などに里親説明会の案内を置くなどして、広く周知をするとともに研修制度を充実させていくことを求めます。
私は、これまでに里親登録をしている方から、「再就職先が見つからず、保育園に入れずに困っている」「仕事を再開するまでの期間は、経済的に苦しい時期が長かった」などの声を聞いてきました。2017年に育児・介護休業法が改正され、従業員が子どもを保育所に入所させることを希望していたものの、入所させることができなかったなどの事情がある場合には、例外として育児休業の延長を請求することができるようになりました。しかし実態は、子育てのために仕事を休むことが認められても給与が支払われていないなどの事例があります。特別養子縁組里親には、委託費として月額6万6,050円が支給されますが、養育家庭里親にある手当は支給されません。それでも児童相談所は、里親に対して度々子どもを受け入れるときに仕事を休めるかを確認します。子どもが保育園に入園する前に委託期間が終了した場合には、再度仕事を始めるまでの期間は、相当な節約生活が迫られることになります。里親のところには、いつ、どういう背景の子どもが来るか分かりません。自治体から連絡を受けてから、受け入れる子どもに合わせて具体的な準備をします。僅か数週間の間で出費が増えます。児童相談所や乳児院などからレンタルできるものもありますが、ごく一部に限定されています。養育家庭里親は、委託費のほかに児童1人につき9万円が手当として支給されますが、子どもの年齢は0歳から18歳まで幅広く、特に年齢の高い児童は負担が大きいという声を頂いています。養育家庭里親への手当の改善を求めるとともに、特別養子縁組里親が育児休業を受けられるように、各労働現場へ育児・介護休業法を周知徹底してください。また、家庭での養育を必要とする子どもと里親になりたい人をつなぐためにも、児童相談所などの体制強化が必要であると考えます。区の考えをお聞きします。
以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(坂本あずまお議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) 皆様、おはようございます。早速、荒川なお議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、核兵器禁止条約がNPT再検討会議に与えた影響についてのご質問であります。今年8月に開催されましたNPT再検討会議においては、日本の首相が初めて参加し、日本が被爆国としてNPT体制を守り抜く決意を表明したと報道されております。この会議においては、核兵器禁止条約が発効されてから初めて開催されたものでありまして、核兵器の拡散防止や核軍縮の促進に向け、有意義な検討が進められたものと認識をしております。
次は、政府への条約参加要請についてのご質問であります。板橋区は、平和都市宣言をした自治体として、日本非核宣言自治体協議会に加盟し、平和の尊さを区民へ継承する様々な平和事業を展開しております。条約の批准などの外交政策につきましては、政府が判断すべき事項でありまして、区はその取組を尊重し、引き続き動向を見守っていく必要があると考えております。
次は、公共施設での省エネ化の計画についてのご質問であります。区は、公共施設の改修や設備更新時には、板橋区環境マネジメントシステムに定める基準に基づく断熱化及び高効率設備導入や、小豆沢体育館プール棟改築では地中熱利用など、省エネ化の推進に努めているところでございます。ZEB化につきましては、昨年度、弥生児童館複合施設においてZEB Ready認証を取得したところでありまして、現在進めている学校改築では、モデル事業として実施する予定であります。今後は、モデル事業施設を中心にエネルギー削減量や費用対効果を検証するなど、施設整備における効率的・効果的な省エネ化の推進を図っていきたいと考えています。
次は、区内の再開発事業で計画されております建築物の年間消費エネルギーについてのご質問であります。現在、大山駅周辺、板橋駅、上板橋駅南口において、民間の再開発事業が進められております。各再開発事業で計画をされております建築物の年間消費エネルギー及び温室効果ガスの排出量は、区では算定をしていないところであります。計画される建築物は、建築物省エネ法または都市開発諸制度活用方針などに基づきまして、環境負荷の低減を実現していきたいと考えています。
次は、再エネ優先利用の原則確立と送配電体制の整備・統合を政府に求めることについてのご質問であります。国は、温室効果ガスを削減するため、2030年における太陽光発電や風力発電などの再エネの比率を現在の20%から38%に高めるという大きな目標を掲げております。また、日本全国の主な送配電事業者10社が協議会を立ち上げまして、送配電関連設備の建設、維持、運用を連携して行っているところであります。このため、提案のございました2点について、今後も政府の動向を注視していきたいと考えています。
次は、公共施設への再エネ電力導入、庁有車への電気自動車の導入等についてのご質問であります。区施設への再生可能エネルギー100%電力の導入につきましては、今年度、エコポリスセンター、弥生児童館、子ども家庭総合支援センターの3施設導入に加えまして、来年度は10施設程度の導入を目指し、それ以降につきましても計画的に導入を進めていきたいと考えています。庁有車への電気自動車導入につきましては、世界的な半導体不足の中、当初の予定どおり1台の導入にめどが立ったところでございます。今年度、既に再生可能エネルギー100%電力の導入をしております本庁舎の地下に、庁有車用の電気自動車充電設備を設置することから、来年度以降も計画的に電気自動車を導入していく考えであります。
最初は、コロナ対応と全数把握の見直しについてのご質問であります。国は、ウィズコロナに向けました政策の考え方を示し、陽性者全数届出を見直すなど、適宜対応を図っておりまして、区といたしましては、国の方針に則り取り組むことが肝要と考えております。先行自治体によりますと、発生届対象外の陽性者を支援するセンターを置くことによりまして問題は発生していないと聞きますが、大きな変更となるため、体調急変時の対応などが懸念されております。区としましては、東京都と連携し、発生届対象外の陽性者が入院を必要とする場合においては速やかに対応するなど、引き続き陽性者が安心できる療養支援に努めていきたいと考えております。
次は、保健所職員の増員と施設の拡充についてのご質問であります。新型コロナウイルス感染症に関する保健所業務に対しまして、これまで専任組織の新設や職員の増員配置に加えまして、兼務発令によりまして、組織的・人員的な充実を図ってきてまいりました。また、感染症対策の業務を円滑に実施するため、保健所内のレイアウト変更を行ったほか、保健所と本庁舎の会議室を優先的に活用して感染者対応に当たっているところでございます。今後も感染者数に応じた全庁的な支援体制をはじめ、外部の専門人材や事業者を活用することによりまして、引き続き安定的な業務体制を整えていきたいと考えています。
次は、誰一人置き去りにしない対応についてのご質問であります。保健所からの連絡は、医療機関の発生届の内容に基づき行うため、特別な配慮が必要な場合は、その旨、発生届に記載していただくことが必要であります。全数届出の見直しに当たりまして、個別の事情のある方につきましては、保健所へ確実に伝わるように、医療機関に改めて依頼をしたいと考えています。
次は、医療スタッフの増員等についてのご質問です。医療機関における医療従事者の必要人数につきましては、医療内容に応じ、それぞれ判断することでありまして、区として、国や東京都に増員を求めることは考えていないところであります。地域医療に関しましては、自治体や病院・医師会・保険者などの代表が参加し医療圏ごとに検討を行う地域医療構想調整会議での議論を見守っていきたいと考えています。
次は、介護事業所に対する減収補填についてのご質問であります。今般の感染症への対応で臨時的に必要となりましたかかり増し費用につきましては、東京都による事業者支援として、サービス提供体制確保事業が継続的に実施されております。また、サービスを休止した事業所や施設には雇用調整助成金などの補填もございまして、区は制度の幅広い周知及び活用を促しております。介護事業所の経営や運営への支援の在り方につきましては、引き続き国や東京都、他自治体の動向も踏まえて検討していきたいと考えています。
次は、住居確保給付金の申請期限の延長についてのご質問であります。生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金につきましては、社会情勢を踏まえて、9月末から12月末に申請期限を延長したところでございます。国はこれまでも適宜申請期限の延長を行っておりまして、当面は動向を注視したいと考えています。
次は、家賃助成制度の実施についてのご質問であります。住宅に困窮した方々に対しましては、住居確保給付金制度におきまして実質的な家賃助成を行っておりまして、公営住宅制度と併せまして、低所得者の方々の住まいを保障しております。したがいまして、区としまして、新たな家賃助成制度を国に要望する考えは持っていないところであります。
次は、特例貸付事業の件数についてのご質問です。板橋区における特例貸付事業の件数は、7月末現在で緊急小口資金が1万1,671件、総合支援資金が延長と再貸付を含めて1万9,104件となっております。
次は、相談窓口と給付事業についてのご質問であります。貸付金の返還が困難な区民への相談窓口としましては、福祉事務所やいたばし生活仕事サポートセンターがございまして、新たに相談窓口を設置する予定はないところであります。給付事業につきましては、特例貸付を受けた上で、一定の収入以下の方には生活困窮者自立支援金を支給しておりまして、さらなる給付事業を行う考えはないところであります。
次は、非課税世帯への電気代助成事業とエアコン購入費用と修理費用への助成をとのご質問であります。非課税世帯につきましては、生活を支えるために臨時特別給付金を支給しておりまして、電気代を助成する予定はないところであります。一方、エアコンの購入費用につきましては、一部自治体におきまして助成事業を行っておりまして、これらの事例と修理費用の在り方を含めて、今後、研究したいと考えております。
次は、区独自の夏季加算についてのご質問であります。近年の熱中症による健康被害など、酷暑への対応は国民生活全体に及ぶものであることから、一義的に国において対応すべき課題であると考えています。区としましては、生活保護制度としての夏季加算の新設について、引き続き東京都を通じまして国に要望していきたいと考えています。
次は、生活扶助基準の引上げについてのご質問であります。生活扶助基準は生活保護法に基づきまして厚生労働大臣が定めるものでありまして、一般国民の消費実態との均衡上、妥当な水準を維持するように設定がされております。区としましては、現下の状況を注視し、必要に応じて国への申入れを行っていきたいと考えています。
次は、感染拡大対策としての協力金などの収入認定による影響についてのご質問であります。感染拡大対策協力金等が収入認定されていることで、住民税が上がり、保険料等の負担が増す事象があることは承知をしております。協力金等の取扱いにつきましては全国的な事案であることから、特別区長会などの場を活用して状況把握に努めていく考えであります。また、新型コロナウイルス感染症に起因する各種保険料や税の減免措置については、区独自の要件拡大は考えてはおりませんが、国の通知等に基づいた対応を行っていきたいと考えています。
次は、ヤングケアラーの把握についてのご質問です。現在、ケアラーの法令上の定義は明確になっておりませんが、ヤングケアラーや老老介護など、様々な実態があることは認識をしております。中でもヤングケアラーにつきましては、特別区におきましても複数の区が調査を実施しておりまして、先行事例の情報収集などを通じましてその手法について検討を行っていきたいと考えています。
次は、ケアラー支援条例の制定を求めてとのご質問であります。ケアラーの中には、介護等を行うことによりまして、身体的・精神的な負担が重く、社会的に孤立する状況が想定されるため、区としての支援の必要性を認識しております。条例の制定につきましては、先行自治体の情報を収集し、影響や効果などを含めて、今後の研究課題としていきたいと考えています。
次は、区立特別養護老人ホームの存続についてのご質問であります。民間の社会福祉法人が運営する民営施設でありましても、利用者の負担軽減制度などを活用し、区立施設と同様に利用者の受入れを行っております。区立特養の民営化後も、その運営法人において、老人福祉施設としての使命感を持って、低所得者などの受入れを積極的に行っていくものと考えています。
次は、障がい者が65歳となったときの介護水準の維持についてのご質問であります。介護事業者はそれぞれが主体的に人材の育成に取り組むものであると考えますが、区も機会を捉えて障がいに対する知識など、理解の促進が図れるように指導していきたいと考えます。一方、地域包括支援センターは区の委託事業であることから、適切な支援が行えますように区として研修を実施していく考えです。なお、人員配置につきましては、事業全体の中で適切に行われていると考えています。
次は、国への要望についてのご質問です。令和3年度より、加齢により聴力が低下した会話等コミュニケーションが取りにくい高齢者に対して、補聴器購入に要する費用の一部を助成する事業を開始いたしました。この事業では、補聴器を継続してご利用いただくための方策として、23区初となるアフターケア証明書を導入いたしました。今後、本事業の効果検証も踏まえて、国等への要望について検討していきたいと考えています。
次は、助成金額と対象者の拡充についてのご質問であります。本事業につきましては、日常生活に不便を感じている高齢者に積極的な社会参加を促し、認知症予防の一助とする目的がございます。まずは補聴器を継続して使い続けていただけるように、アフターケア証明書の活用を促していきたいと考えます。新たな事業であることから、今後、活用された方にアンケート調査を予定したり、調査結果や財政状況も勘案しながら、効果的な事業となるように検討していきたいと考えています。
次は、シルバー人材センターの賃金の在り方に関連いたしまして、最低賃金改定の対応についてのご質問であります。シルバー人材センターの委託単価については最低賃金を基本としておりますが、委託件数が多岐に及ぶとともに、法令の適用を受けないため、年度途中の最低賃金の改定は反映していないところであります。委託単価への最低賃金改正の反映は従前から次年度当初予算において対応しておりまして、シルバー人材センターとの協議を踏まえつつ、現行の取扱いを踏襲していく考えであります。
次は、賃金体系の検討についてのご質問です。令和5年度当初予算編成に向けまして、最低賃金改定の反映とともに、来年10月から開始されるインボイス制度の対応も含め、現在シルバー人材センターと協議を行っております。シルバー人材センターの委託単価の設定に関しましては、最低賃金を基本としていく方針でありますが、引き続き適切な賃金体系を含め、総合的に委託単価の在り方を検討していきたいと考えています。
次は、栄町集会所の今後についてのご質問です。栄町集会所は民間建物を賃借しておりまして、平成3年から現在まで、賃貸借期間を更新しながら、集会所として利用してまいりました。今年度に入りまして、貸主であります株式会社大和総研から早期に解約したい旨の申出を受けましたが、現在の契約満了となる令和4年度末までには集会所を維持する方針を伝えております。集会施設の設置基準から外れるエリアが発生しないように、庁内におきまして、栄町集会所の移転先の検討を早急に進めるとともに、近日中に地域住民への説明を予定しているところでございます。
最後のご質問であります。栄町都有地遊び場の状況と今後についてのご質問です。栄町にございます旧都営住宅跡地の都有地につきましては、平成10年に地域から公園として取得要望がございまして、平成16年にその方向で決定し、現在まで遊び場として管理をしております。その後、東京都との協議の中で隣地所有者の無接道状態が課題となっておりましたが、令和2年に解決されたため、次の№1プラン改訂に合わせて、取得時期等を調整する予定であります。集会所機能につきましては、栄町集会所の問題を解決するため、当該地域における機能の確保に向けて検討していきたいと考えています。
頂きました質問に対する答弁は以上となります。
○議長(坂本あずまお議員) 以上で、荒川なお議員、竹内 愛議員、かなざき文子議員の一般質問を終了いたします。
次は、民主クラブが行います。
初めに、渡辺よしてる議員。
◆渡辺よしてる 議員 議長。
○議長(坂本あずまお議員) 渡辺よしてる議員。
〔渡辺よしてる議員登壇〕(拍手する人あり)
◆渡辺よしてる 議員 民主クラブを代表して、一般質問を行います。
初めに、区内小中学校におけるICT活用に関してお聞きいたします。
昨今の情報化社会の到来に応じて、幼少期から情報処理の技術を正しく身につけることが求められており、文部科学省がGIGAスクール構想を策定しました。本区教育委員会でも、区立小中学校へ在籍する児童・生徒へパソコン端末を貸与しており、これまでの紙の教材に加えてパソコン端末を導入することで、ICT教育はここ数年で一気に進みました。全体でのICT活用が進んだ一方で、特別支援学級においては、電子黒板、実物投影機、指導者用デジタル教科書の導入のみと、まだまだ限定的です。学習障がい、発達障がいなど、今までは見過ごされることが多かった障がいが最近になって顕在化し、特別支援学級に入っていない子どもに対しても、ICTを活用することで、よりそれぞれの子どもに合った教育が可能になると考えられております。例えば、過度に集中力が分散してしまうような子どもの場合、音声読み上げ機能や動画での解説、画面の拡大、自動採点などの機能を使うことで、障がいによる学習理解の遅れを解消し、より効率的に学習が進むと考えられます。
これに関連して、児童・生徒へのデジタル教科書の導入も早急に進めるべきであると考えます。現在、デジタル教科書は指導者用のみの導入に限定されており、学習者用のデジタル教科書は今のところ実証実験の範囲にとどまっています。児童・生徒へデジタル教科書を導入すると、以下のようなメリットが挙げられます。まず、パソコン端末に全ての教科書をインストールすることで、これまで問題視されてきたランドセルやかばんが重いという問題を解決でき、時間や場所を選ばず、全教科の学習が可能になります。次に、先ほども触れましたが、教科書及び教材をデジタル化することで、文章では分かりづらい内容も、動画や音声による解説を使うことで理解度を高めることができます。ほかにもデジタル教材は、間違えても何度も書き直すことが可能です。区内中学校の事例として、つまずきのある生徒もちゅうちょせずに文字を読んだり、線を引いたり、積極的に授業に参加できたと聞きます。デジタル教科書及びデジタル教材を学習者用に導入することは、授業準備の時間短縮や効率的な授業の進行のほか、授業の記録も残しやすく、振り返りに活用できることから、教員側にも多大なメリットがあります。ここで、本区におけるICTを活用した特別支援教育及びデジタル教科書の導入についてお聞きいたします。特別支援学級においては、それぞれの子どもの特性に合わせたICT技術の柔軟な活用を、また、区内全ての小中学校での速やかなデジタル教科書の導入を提案いたしますが、今後の具体的な見通しをお示しください。
続いて、学校での保健相談と生理用品設置についてお聞きいたします。
葛飾区では、教育環境の整備に向けた新たな取組として、本年4月から、小学4年生から6年生及び中学全学年の女子児童・生徒が使用するトイレに、各学校の各階1か所2個室を目安に、学校の実情に応じて生理用品を配備、安心して学校生活を送れる教育環境の整備を行いました。私は、本区での小中学校女子トイレへの生理用品設置を本年第2回定例会にて、全校設置、もしくは実態調査も含めて試験的に運用するモデル校設置など、臨機応変な対応を求めました。答弁では、「生理用品の配置については、現在、全ての小中学校で保健室または職員室に生理用品を保管し、必要に応じて対応している。また、学校現場では、養護教諭や教員から生理用品を児童・生徒に手渡しする機会に、声かけから相談につながるとして、子どもの変化や事情に寄り添った関わりを重視。現在のところ、女子トイレに生理用品を設置する予定はないが、日常的な学校生活の中で、今後、貧困も含む悩みや女子の保健相談が充実するように学校に周知する」とのことでした。そこでお聞きいたします。貧困も含む悩みや保健相談などはどのように充実させたのか、もしくは予定なのかお示しください。また、女子トイレへの生理用品設置のモデル校が導入されたと聞きましたが、理由と期間や今後の見通しをお示しください。
次に、学校給食、主に食育、食の安全についてお聞きいたします。
食育とは生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。本区では、板橋区食育キャラクター「いたばちぃ」が登場する板橋区食育推進情報紙やホームページでの食育やいた飯レシピの紹介などを行っております。また、学校給食は内容などが細かく記載され、給食に対する考え方などが紹介されています。各学校での具体的な取組で一例を挙げると、給食を通じて、より一層食への興味・関心を持ち、郷土を愛する心が芽生えるきっかけになるよう、日本各地の郷土料理を紹介する給食や、社会科や家庭科の授業では、関連のある部分を取り扱う際、給食で出る郷土料理にも触れる授業が行われています。お聞きいたします。このようなすばらしい取組を、区内外問わず、多くの人へ魅力として広報周知するべきと考えます。SNSはもちろん、インスタのストーリーズやYouTubeなど動画で食育キャラクター「いたばちぃ」などが内容を紹介するなど、学校給食や給食を通じた食育を広く発信することを提案いたしますが、区のご見解をお示しください。
学校給食関連最後の質問になります。武蔵野市では、米、野菜、果物、調味料など、学校の食材は低農薬・無農薬・有機栽培の米と野菜などの基準があり、献立はお米を中心、だしは化学調味料を使わず、昆布、鰹節、鶏がら、豚がらで取り、ハンバーグや春巻きなども加工品を使わず、全て手作りとなっています。大阪府泉大津市は、新年度から保育所や認定こども園、小中学校の子どもの給食にオーガニック、有機栽培食材を導入。市の担当者は、日々口にする米やみそ、野菜を農薬を減らした食材に切り替えることは、子どもの健やかな成長につながるとしています。お聞きいたします。本区での幼稚園・学校給食での食の安全基準はどのような取組を行っているかお示しください。また、オーガニックを中心とした食材の利用を提案いたしますが区の見解をお示しください。
次に、通園バスの安全管理についてです。
本年9月5日に静岡県牧之原市にある認定こども園「川崎幼稚園」の通園バスの車内に3歳児が置き去りにされ死亡した、痛ましい事件が起こりました。車内の安全装置などを手がける民間会社が、本年5月、全国の幼稚園・保育園の送迎バスの運転手・運営担当者など267人を対象に、園児置き去りに関するアンケートを行いました。園児を車内に置き去りにした経験があると答えた人が21人で全体の7.9%、さらに直近1年で見ても15人で全体の5.6%、また、5人、2%が置き去りにされた園児の熱中症を経験したと答えています。原因については、人手不足だから、登園確認等のルールが形骸化しているからという答えがある中、3分の2の人が指摘したのが、送迎担当者や職員の意識が低いからでした。本事件を受け、静岡県では、県内で送迎バスを所有する幼稚園・保育園などを対象に、バスの運用状況や安全管理体制を一斉に調査するとしました。令和3年、2021年7月にも、福岡県中間市で、通園バスに5歳児が置き去りにされる同様の事件が発生しており、同年8月に厚生労働省などが、バスの乗降時や園外活動の前後での人数確認など、安全管理の徹底を求める通知を出しました。お聞きいたします。昨年の厚生労働省などからの通知後に、区内での通園バスでの置き去り事故防止等の取組、本事件を受けての本区の今後の取組、予定などをお示しください。
次に、10月から始まる産後パパ育休制度についてお聞きいたします。
改正育児・介護休業法により、男女とも仕事と育児を両立できるよう、新たに産後パパ育休制度が創設、本年10月より施行されます。企業においては、雇用環境整備や個別周知、意向確認の措置の義務化などが決まり、今後は男性もより育休が取りやすい環境が整っていくと考えられます。これまでの原則分割ができない育休とは別で、生まれてから8週間以内に4週間まで取得が可能で、2回に分割することもできます。休む2週間前までに申出が必要で、労使協定で合意した範囲で休業中に働くことも可能です。ただし、事業者が一方的に労働者に働くことを求めることはできません。産後パパ育休制度が創設されることで、より柔軟に父親が育児取得時期や期間を調整できるようになり、夫婦が育休を交代できる回数が増えると予想されます。ここでお聞きいたします。本区では毎年10月をいたばしパパ月間として、男性の家事・育児参画の促進に向けた取組を行っています。産後パパ育休制度が同月に始まるのに合わせて、制度の解説やPRなどの動画、SNS発信を、例えばりんりんちゃんが登場するなど、分かりやすく親しみやすい発信を求めますが、区の見解をお示しください。
最後に、北朝鮮による日本人拉致問題の啓発活動の取組についてお聞きいたします。
政府は、これまでに帰国した5人を含む17人を北朝鮮当局による拉致被害者として認定しており、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者、いわゆる特定失踪者は873人にも上るとされています。警視庁によると、特定失踪者の中の3人が板橋区関係者と公表されております。足立区では令和3年、2021年7月に足立区拉致問題等啓発推進条例が施行されました。拉致問題をはじめとする北朝鮮当局による人権侵害問題について区民に対して積極的な啓発を行うことで、区民の認識を深めることを目的としています。足立区は、この条例に基づき、区民への啓発推進や組織の機能強化を図るとしています。例えば毎年12月10日から16日までの北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせて、足立区役所中央館1階アトリウムにて啓発パネル展示を実施しております。
さて、本区では、ホームページにて、人権週間として、啓発強調項目17項目の中の1つとして記載しております。そこには北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律により、毎年12月10日から16日を北朝鮮人権侵害問題啓発週間と定めています。我が国の喫緊の国民的課題である拉致問題の解決をはじめとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が、国際社会を挙げて取り組むべき課題とされています。この問題についての関心と認識を広めましょうと記載されています。そこでお聞きいたします。特定失踪者がいる本区としても、拉致被害者について啓発を強化するべきと考えます。人権週間に特定失踪者がいる区として啓発を行う。また、人権週間だけではなく、毎年12月10日から16日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間に取組を行うなどを提案いたしますが、区の見解をお示しください。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(坂本あずまお議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、渡辺よしてる議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、産後パパ育休制度についてのご質問であります。区では10月をいたばしパパ月間と定め、男性の家事・育児参加の促進を目的として、イベントの開催や情報発信などを行っております。産後パパ育休制度につきましては、広報いたばし9月17日号に説明記事を掲載しておりまして、区役所1階での展示会では、新たに説明パネルを掲示する予定であります。今後も社会全体でワーク・ライフ・バランスが推進されるように、育児期の男性向けのサポート情報につきまして、様々な媒体・手法を通じまして、分かりやすい発信に努めていきたいと考えております。
最後のご質問でございます。北朝鮮による日本人拉致問題の啓発活動についてのご質問であります。日本人拉致問題につきましては、毎年11月に、区役所1階のプロモーションコーナーで行うアウェアネス・リボン・キャンペーンで、被害者の生存を信じ、救出を願う意味を込めたブルーリボンを紹介しております。また、12月4日から10日までの人権週間においては、広報いたばしに啓発の記事を掲載しております。10日からの北朝鮮人権侵害問題啓発週間における啓発については、TwitterやInstagramなどを通じました周知とともに、庁舎内に啓発ポスターの掲示を行っていきたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(坂本あずまお議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) それでは、渡辺よしてる議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、区内小中学校における一人一台パソコンの活用に関しまして、特別支援学級についてのご質問ですが、特別支援学級では、障がいの状態に応じて、学習上、または生活上の困難さを改善・克服するために、ICTを活用し、個に応じた指導を行うことが重要と認識しております。今年度から小中各1校の特別支援学級に専門的な知識のあるICT支援員を重点的に派遣し、ICTを活用した指導事例の作成や有効なアプリの検証等を行っているところです。今後は、その成果を広く横展開するとともに、子どもの多様な特性やそれに伴う学びにくさに応じた指導が行われるよう、ICT技術のより柔軟な活用を推進してまいります。
次に、デジタル教科書の導入についてのご質問ですが、文部科学省では、令和6年度の学習者用デジタル教科書の本格的な導入に向けて、普及促進を図るための実証事業を実施しているところです。本区においては、学習者用デジタル教科書実証事業を活用し、全小学校5、6年生及び全中学校の全ての学年において英語、加えて算数・数学または理科を選択する形で、学習者用デジタル教科書を活用しております。今後は、令和6年度の学習者用デジタル教科書の本格的な導入に向けて、実証事業の成果と課題を踏まえ、国の動向も注視しながら、確実に対応してまいります。
次に、学校での保健相談についてのご質問ですが、学校の女子への保健相談は、家庭の貧困への対応とともに、児童・生徒が安心して学校生活を送れるようにする視点で、子どもたちの一人ひとりに寄り添い、対応してきています。保健相談の充実のための取組では、困ったときに保健室に相談できる本来の保健室機能を重視し、生理用品配付の啓発ポスター作成等の準備を進めております。今後は、相談するときの児童・生徒の心理的負担を軽減できる環境をつくるなどの研究を行い、保健室の相談機能の充実をさらに図ってまいります。
次に、生理用品設置のモデル校についてのご質問ですが、モデル校におきましては、小学校1校で高学年が使用する女子トイレ、中学校1校では全ての女子トイレに、啓発ポスターなどとともに生理用品を設置したところです。今月、9月中旬から11月末までを試行期間とし、利用状況や管理方法のほか、相談支援の在り方を検証してまいります。モデル実施の状況を踏まえて、今年度中には養護教諭の会議等で意見をまとめ、今後の保健相談の充実に生かしてまいります。
次に、学校給食に関しまして、食育の広報周知についてのご質問ですが、学校給食は学校教育の一環として、児童・生徒の健康増進はもとより、食育教育に力を入れ、各校で工夫して給食提供がされております。食育の発信としましては、本年2月に学校給食展を開催し、学校給食の歴史や行事食等を展示するとともに、ホームページや教育広報を活用して、多くの保護者世帯へ広報をいたしました。また、今年度から始まった牛乳のストローレス事業をSDGsの学習とつなげる取組がテレビでも取り上げられました。今後も一層の給食事業の魅力発信に努めてまいります。
次に、食の安全とオーガニック食材についてのご質問ですが、区では、学校給食の安全な提供のため、安全衛生管理を規定した学校給食の手引を策定し、これまで改訂を重ねて運用してまいりました。オーガニック、有機栽培食材は、野菜の国内生産量に対する割合が少なく、給食食材には供給面・金銭面で現時点では導入は難しいところですが、近隣自治体の取組を含め、研究してまいります。また、区立幼稚園では、来年度から外注による昼食の提供を予定しており、食の安全管理・衛生管理につきましては、この手引を参考に管理していく予定です。
最後に、通園バスの安全管理についてのご質問ですが、昨年8月に、送迎バスの安全管理に係る厚生労働省の通知を受け、区では各私立幼稚園に注意喚起を促すとともに、安全管理に関する調査を実施し、安全性を確認したところです。本年9月、静岡県の園児がバス内に置き去りにされた痛ましい事案を受け、厚生労働省、文部科学省連名で、バス送迎に当たっての私立幼稚園への緊急点検と実地調査の通知が出されました。この通知を踏まえ、区では私立幼稚園に対して、バスの乗り降り時の人数確認や共有方法、マニュアルの整備などの調査を実施し、命を預かる現場での安全管理の徹底を各園に促してまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。
○議長(坂本あずまお議員) 次に、おばた健太郎議員。
◆おばた健太郎 議員 議長。
○議長(坂本あずまお議員) おばた健太郎議員。
〔おばた健太郎議員登壇〕(拍手する人あり)
◆おばた健太郎 議員 民主クラブのおばた健太郎です。一般質問を続けます。
まずは防災について伺います。
地域の防災力向上は極めて重要です。そのためには、消防署・消防団・警察等に加えて、地域の方々との連携が欠かせません。防災に携わる様々な役割の中で、防災士に以前から注目が集まっております。防災士とは、自助、共助、協働を原則として、社会の様々な場面で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証する資格です。防災の専門家として、全国に23万5,000人、東京都では2022年8月の時点で約1万9,567人が登録されており、様々な場面で活躍されております。他県の例でいいますと、大分県では県知事や県議会議員も積極的に防災士の資格を取得し、防災訓練やセミナーを通じて、防災士を核とした自主防災組織の活性化に取り組んでおります。そこで伺いますが、防災士についての区の認識をお伺いいたします。
防災士になるには、既定の研修講座を受講し、試験に合格しなければなりません。一例として、防災士研修センターで資格取得をした場合、総額で6万1,900円といった非常に高額の費用がかかります。それを考慮して、地域防災力強化のために、23区でも千代田区をはじめ、港区、新宿区、文京区、目黒区、世田谷区など、多くの自治体が助成金制度を設けています。そこで伺いますが、本区においても防災士の助成制度導入を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、防災協定について伺います。本区において、各種企業や団体との防災協定は、2022年8月現在、220の団体と結ばれております。先日も、日本交通赤羽営業所と板橋区は、災害時における輸送業務に関する協定を締結いたしました。水害や地震などの災害発生時に、板橋区からの要請に基づき、災害輸送業務として、災害応急対策に必要な人員等の輸送を協力するものです。いざというときに民間の助けを借りながら、生命と財産を守る体制づくりは大変意義深く、今後もさらに広げていくべきこととして期待しております。令和3年5月の企画総務委員会資料によると、今後も新たに締結企業を模索していくとのことですが、現時点での進捗はいかがでしょうか。新たな締結企業をどのように探し、アプローチしているのか、現状をお聞かせください。
次に、協定内容の再検証について伺います。委員会資料によりますと、災害時を想定した図上訓練等を検討し、支援の流れを再検証するとのことでしたが、現在どの程度具体的な支援計画が策定されているのでしょうか。大規模災害が発生してから一方的に板橋区からの要請だけに基づき支援が行われるのであれば、危機管理部に作業が集中し、せっかくの防災協定が適切に運用されない可能性があると危惧しております。防災協定について、協定内容の再検証の現状をお示しください。
次に、協同労働について伺います。
本年10月1日より、労働者協同組合法が施行されます。労働者協同組合とは、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、運営していくことを基本原理とする組織です。つまり出資、労働、経営の全てを組合員全員が協力して行うのです。既に協同労働の形態で運営を行っているワーカーズコープさんにお話をお伺いいたしましたが、雇われるのではなく、主体者として、協同・連帯して働く、みんなで出資し、民主的に経営し、責任を分かち合う新しい働き方であり、職員が自ら経営に参画できるため、仕事に対する満足度が高く、離職率も低いとのことでした。協同労働について、板橋区としての現状の認識をお伺いいたします。
協同労働は主体的かつ自由度の高い働き方ができ、また、法人格を持つため、地方自治体と連携した事業を行いやすいなど、持続可能な地域づくりにも幅広い可能性を秘めた新しい法人格です。特に介護・福祉関連や、子育て関連、地域づくり、自立支援など公共性が高く、自治体にとってなくてはならない業務の担い手の一つとして大変注目されております。そういった観点からも、協同労働の設立相談や協同労働組合が業務を行いたいと相談に来た際には、自治体としてサポートする体制が必要であると考えます。墨田区では、区役所内での勉強会を実施し、関係部門の整理も進んでいると伺っております。また、台東区においても勉強会を実施しているとのことです。現在の板橋区のサポート体制はどのようになっているでしょうか、伺います。
新しい雇用形態として注目されている協同労働ですが、残念ながらその認知度はまだまだ低く、そもそも知らない方や組合に加入していらっしゃる人ですら、その意義を十分に理解していない方もいらっしゃいます。まずは、区のホームページに紹介ページをつくるなど、区民に向けて周知をすべきではないでしょうか。協同労働について、区民に向けて、どのように広報するご予定でしょうか、見解を伺います。
次に、私道助成について伺います。
現在、区内には多くの私道が存在します。公道と異なり、私道は本来所有者が管理すべきものであり、清掃や補修工事は私道の所有者が責任を負い、費用を負担します。しかし、実際は多くの区民が利用していることからも、本区では、私道整備と私道排水設備設置に対しての助成を行っております。現在の私道整備は、新規の工事の場合は工事費の100%以内、再助成の場合は前回の助成から10年から30年の場合は工事費の90%以内、30年以上経過している場合は100%以内の助成となっています。これらを他区と比較いたしますと、全額助成している例は非常に少なく、手厚い助成制度であると評価できます。助成金の支払いについてですが、大田区では、おおむね10年が経過している場合には、私道整備費の90%が助成され、大田区が施工業者に90%を支払い、申請者は残りの10%を支払う方法となっております。本区においては、ホームページを拝見する限り、一旦所有者が全額支払った後に助成金が振り込まれる制度となっているため、一時的ではあれ、所有者は大きな支払いが発生することになります。助成額を事業者に直接支払いする制度への変更を提案いたしますが、見解を伺います。
次に、新たな助成制度について伺います。現在は私道助成と私道排水設備の助成制度が存在しますが、劣化が進んだ私道の手すりを補修してほしいという要望を多くいただきます。歩道自体は地震等がない限りそれほど劣化はいたしませんが、手すりについては、さびたり曲がったりと劣化する可能性が高いとのことです。現在、私道助成の際に手すりも併せて補修できるとのことですが、あくまで道路補修のついでであり、手すりのみの設置・補修では助成制度は活用できません。私道の手すりの設置について助成制度を検討してはいかがでしょうか、伺います。
最後に、教育について伺います。
GIGAスクール構想に基づいて、本区においても全小中学生に一人一台パソコンが整備されました。デジタル社会に通用する人材を育成することや、様々な困難を抱えている児童・生徒に個別具体的な学びの場を提供できるものと期待されており、教育現場でもようやく新たな文房具として日常的に活用できるようになったと伺っております。その中で不登校対策としての活用についてお伺いいたします。いたばし子ども未来応援宣言2025実施計画2025には、「不登校は取り巻く環境によっては、どの児童・生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう考慮し、児童・生徒の最善の利益を最優先に支援することが重要です」と記載されております。不登校は誰にでも起こり得ることであり、特別なことと位置づけるのではなく、もしそうなった場合には、その状況に合わせた個別最適な学びを提供する上で、一人一台パソコンの活用が欠かせません。不登校の児童・生徒に対し、一人一台パソコンをどのように活用しているのか、お伺いいたします。
現在、希望があった場合には、授業のオンライン配信を行っているとのことですが、個別に伺った限りでは、必ずしも徹底されていない事例も聞かれました。また、児童1人でオンライン授業を聞くだけではなかなか集中できないといった課題も耳にしております。板橋区立学校教育ICT活用方針、板橋区スマートスクールプロジェクトには、不登校対策として、オンラインだけでなくオンデマンド、つまり録画による授業配信も有効であるとの記載がありますが、現状ではオンデマンド配信までは進んでいないと聞いております。現場で混乱することなくスムーズに運用するために、不登校ガイドライン等を随時修正し、また、教員のITスキル向上に努めていかなければなりません。不登校児がいる場合の運用基準を明確にすべきと考えますが、見解を伺います。
次に、セキュリティ権限について伺います。子どもたちはパソコンを使ってYouTubeを長時間視聴したり、PCのセキュリティをかいくぐってゲームをインストールしたりと、本来の目的外使用が発生しており、セキュリティ設定対応が相次いでいると伺っております。先日の文教児童委員会でも質問いたしましたが、生徒一人ひとりのIDは把握しているのですから、システム的には学校単位、学年単位、ひいてはクラス単位でのセキュリティをかけることは可能です。学習の内容によってセキュリティを変更させれば、目的外使用を減らすことができるのではないでしょうか。一人一台パソコンについて、セキュリティ権限を分けることを提案いたしますが、見解を伺います。
次に、就学支援制度について伺います。本区の就学支援制度は、修学旅行費や学校行事費、卒業アルバム購入費、給食費など多岐にわたっております。就学支援制度のホームページには、「板橋区では小学校は2割、中学校は約3割の方が就学助成を利用しております。勤務先の会社が倒産、リストラ、病気になって働けなくなったなど、収入が激減する特段のご事情がある場合は、学務課にご相談ください」とあり、就学に関する費用に困った方が気軽に相談できる寄り添った姿勢が見受けられますが、その姿勢をもう一歩進めていただきたいと考えます。就学支援制度を受けるためには所得の基準がありますが、公表されている所得基準額はあくまで目安としての一例であり、実際に申請してみないと対象になるかならないのか分かりません。ホームページ上にExcel等の計算式をダウンロード可能とし、自分の収入を入力すれば対象になるのかならないのかを事前に把握できるようになると、より安心できるのではないでしょうか。就学支援制度について、事前に対象となるのか、計算式を公表することを提案いたしますが、見解を伺います。
そういった方々には、金銭的なサポートではだけではなく、質的なサポートも重要です。足立区では、中学3年生を対象に、成績優秀で意欲はあるけれど、家庭の経済的事情で塾などに通えない生徒に対し、足立はばたき塾という区営の学習塾を10年以上運営しております。また、中学1年生を対象に4泊5日の夏季勉強合宿を実施し、個別指導による集中授業も行っております。こういった施策によって、家庭の事情で塾に通えなかった生徒も、さらに勉強に意欲を持ち、希望の高校に進学できたといった結果も見られ、大変好評です。本区においては、まなぶーすなどで学習支援教室を行っていることは承知しておりますが、勉強の仕方が分からない、授業についていけないなど、学習面に課題を抱える生徒が対象です。コロナ禍で経済状況の変化による教育格差が広がる中、学習活動に課題を持つ生徒のみならず、学習意欲は高いが、家庭の経済的事情を抱える生徒に対しても支援が必要ではないでしょうか。勉強する意欲は高いが学習環境が整っていない子どもに対して、どのような教育施策を行っていますでしょうか、伺います。
最後に、受験生チャレンジ支援貸付事業について伺います。受験生チャレンジ支援貸付事業は、受験に備えるために必要な学習塾、各種受験対策講座、通信講座の受験費用を中学3年生、高校3年生に対して、塾代は上限20万円、受験費用は中3で上限2万7,400円、高3では上限8万円の貸付けを行う東京都の制度です。生活に困窮する世帯に対し、受験をサポートする大変よい制度ですが、残念ながら実際に利用されている方からは、条件が厳しく使いづらいとの声を伺っております。世帯収入が基準以下であることや資産の保有額が600万円以下、土地・建物を所有していないなどの条件もさることながら、この事業の大きな課題は貸付であるということです。本人が高校もしくは大学に合格した場合には、返済の免除申請を行う仕組みとなっており、受験の前にも後にも手続があり、非常に煩雑です。ただ、仮に不合格の場合でも、条件を満たせば免除が可能であり、実質的には申請者のほとんどが免除されているとのことです。だとすれば、コロナ禍で困窮する家庭が増えている今、教育格差是正のためにも、もっと使いやすい制度にするべきではないでしょうか。受験生チャレンジ支援貸付事業を貸付ではなく給付とする制度に変更するよう都に要望していただきたいですが、見解をお伺いいたします。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(坂本あずまお議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、おばた健太郎議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、防災士の認識についてのご質問であります。防災士とは、防災に対する正しい知識と技能を修得した方に対し、NPO法人日本防災士機構が認定する民間資格制度でございます。防災士をはじめ、防災の知識や経験を備えた人材が増えていくことは、地域の防災力の向上をさせる上で非常に有効であると認識をしております。
次は、防災士の助成制度の導入についてのご質問であります。区では、防災リーダー育成の取組を行っているところでありまして、今年度は、防災リーダー入門コースを動画受講可能とするなど、より多くの方に受講していただけるように改善を図ったところでございます。まずは、防災リーダーのさらなる拡充を図り、地域における活動を促進することを進めていきながら、防災士の助成制度については、今後、研究をしていきたいと考えています。
次は、防災協定の新たな締結企業についてのご質問であります。新たな協定締結に結びつく主なきっかけは、区が災害対策で必要になる施策への協力を申し出る場合と、社会貢献を理由に企業・団体側から区にアプローチがある場合でございます。令和4年度につきましては、災害時における輸送業務に関しまして、車両の提供を受けるための協定と物資の供給に関して、段ボールベッド等の提供を受けるための協定を締結いたしました。今後も地域防災計画に基づき、災害対応力を向上させるとともに、必要な企業・団体との協力関係を構築していきたいと考えています。
次は、協定内容の再検証についてのご質問であります。協定締結後、長期間が経過して、災害時の支援の流れ等が曖昧になっているものもございまして、課題と捉えております。再検証は発災直後から72時間以内に必要な活動や発生後4日目以降に重点的に行う活動など、相互の役割を確認するとともに、主体的な行動に結びつく内容としたいと考えています。協定内容が災害時の避難所運営協力や物資提供、輸送、修繕、医療救護など多岐にわたっておりまして、確認項目が違うことから、分野ごとに具体的な調整に入る予定でございます。
次は、協同労働についての現状認識についてのご質問であります。協同労働につきましては、生活との調和を保ちながら、その意欲及び能力に応じた多様な就労機会の選択肢を広げる制度と理解をしております。また、介護や子育て関連事業をはじめ、地域の多様な需要に応じる新たな担い手の受け皿となり得る取組とも認識をしております。一方で、労働者保護や労働条件の維持などの点において課題も指摘をされているため、制度の運営状況について関心を持って注視していきたいと考えています。
次は、区のサポート体制についてのご質問であります。協同労働につきましては、国や東京都が制度の概要説明や法人設立の相談など、幅広いサポートを行っております。区では、問合せ等に対しまして、国や東京都の担当部署へつなげるなど、必要に応じて、窓口機能を担っていきたいと考えています。
次は、区民に向けた広報についてのご質問であります。国や東京都は、説明会や講演会を開催し、制度の概要や意義、法律の活用方法等を説明するなど、幅広く周知を行っているところでございます。区独自の取組は予定をしておりませんけれども、今後も国や東京都からの求めに応じて協力をしていきたいと考えています。
次は、私道助成に関連いたしまして、助成金支払い方法についてのご質問であります。私道の多くは公道に接しない土地で建築行為を行うために設定をする位置指定道路でありまして、建築基準法の趣旨に則りまして、所有者がその権限と責任において管理すべきものと考えています。その制度の趣旨におきましても、入札制度の趣旨から見ましても、区が直接工事施工者に費用を支払うことはなじまないものと考えます。私道整備助成の助成金の支払い方法につきましては、申請者の負担軽減につながる方法を研究していきたいと考えています。
次は、手すり設置助成についてのご質問であります。私道の手すりなど歩行支援設備は、同じ私有の空間でありながら、介護制度が適用される屋内と公道の道路施設とのはざまにある制度上の問題であると認識しています。当面、高齢者等の安全や移動の安全性の確保の必要から、私道の環境整備の一環として行う手すり設置助成の可能性について、制度設計の検討を進めていきたいと考えています。
最後になります。受験生チャレンジ支援貸付事業についてのご質問であります。本事業につきましては、受験にかかる費用を確保することが困難な保護者を支援する目的において事前に資金を提供するため、貸付事業としているところでございます。よって、目的に応じた成果に対する事後給付を原則とする助成制度は、なじまないと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一) 議長、教育長。
○議長(坂本あずまお議員) 教育長。
〔教育長(中川修一)登壇〕
◎教育長(中川修一) それでは、おばた健太郎議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、不登校児童に対する一人一台パソコンの活用についてのご質問ですが、現在不登校児童・生徒への対応としましては、本人や保護者の意思を確認し、自宅での授業のオンライン配信やスクールカウンセラー等のオンライン相談を行っております。また、校内に教室とは別の居場所をつくり、子ども自身が時間や内容によって教室で授業を受けたり、別室でオンライン授業を受けたりできる体制づくりを進めているところです。今後も学びの保障や相談体制の構築など、子どもにとってよりよい支援となるよう一人一台パソコンを活用しながら、不登校児童・生徒への対応の充実を図ってまいります。
次に、不登校対策としてのICT活用の運用基準についてのご質問ですが、教育委員会では、令和3年5月に不登校対応ガイドラインを策定し、不登校児童・生徒の実態に応じた支援策を示し、学校の指導、組織体制の充実を図っているところです。一人一台パソコンの活用が浸透してきていることを踏まえ、より一層の支援の充実に向けてオンライン授業等ICT活用につきまして、不登校対応ガイドラインに明記してまいりたいと思います。
次に、一人一台パソコンのセキュリティ権限についてのご質問ですが、現在一人一台パソコンに対して行っている動画視聴やフィルタリング等の一元管理は、児童・生徒が安心安全に利用するために必要なものであると考えております。また、利用制限の管理は煩雑な作業を伴うため、学校が行うことは現実的ではありませんが、現場には様々な要望があることも認識しているため、丁寧にリサーチし、柔軟に対応していきたいと思います。
次に、就学支援算定の計算式の公表についてのご質問ですが、板橋区の就学支援制度は、世帯の所得合計と就学援助の基準額に基づき判定しております。就学援助基準額は、世帯の人数や年齢に応じ補正係数などを組み合わせた計算式を用いて算出されています。各自が計算式から正確に基準額を算出することは困難と思われるため、計算式の公表は難しいところですが、今後は世帯状況の例示を増やすなど分かりやすい記述に努めてまいりたいと思います。
最後に、学習意欲が高いが学習環境が整っていない子どもへの対応についてのご質問ですが、各学校におきましては、算数・数学や英語の授業において、東京都教育委員会から配置された教員を活用して、習熟度別にクラスを編成し、個別最適な学習の実現を目指しているところです。また、本年度、いたばしサマーイングリッシュ・デイとして、オンラインでALTと会話し、話すことの技能を向上させる取組も実施したところです。今後は学校教育だけでなく、現在実施している中高生勉強会や教育科学館でのSTEAM教育など社会教育の分野での支援も視野に入れながら、子どもへの誰一人取り残さない支援を充実させていきたいと思います。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。
○議長(坂本あずまお議員) 以上で、渡辺よしてる議員、おばた健太郎議員の一般質問を終了いたします。
次は、自民党が行います。
初めに、小野田みか議員。
◆小野田みか 議員 議長。
○議長(坂本あずまお議員) 小野田みか議員。
〔小野田みか議員登壇〕(拍手する人あり)
◆小野田みか 議員 ただいまから自民党の一般質問を行います。
まずは太陽光パネルの義務化について質問させていただきます。
新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻、また円安の影響に伴い、2021年以降、エネルギー価格が世界的に高騰しています。また、地球温暖化対策として日本政府が2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目標に揚げて以来、特に新築建築物の省エネ化が必要であるという認知は広まってきています。都内の二酸化炭素排出量を見ると、建物関連からの排出が約7割を占めており、建物における脱炭素化は重要であり、日本はエネルギー自給率が低いこともあり、再生可能エネルギーの普及が急がれている状況です。そんな中、東京都は住宅メーカーなどの事業者に対して、一定の新築建物に太陽光パネルの設置を義務づける制度をつくる方針を明らかにしました。エネルギーを地産地消し地域循環型社会をつくることの大切さが注目を浴びる中、私たちはどのような形でそれを実現していくか。都の動向を注視しながら、SDGs先進自治体としての板橋区が、責任を持って区民にそのスタンスを示していく必要があると考えます。太陽光パネルの設置義務化については、区内外で様々な議論が浮かび上がっており、区民の方からも「家を建てることのハードルが上がる」など、制度に対する不安の声を頂いております。太陽光パネルの設置の義務化を推し進めることについて、制度を進める前にもう少し長期的なCO2排出やメンテナンスなどの視点、SDGs的な視点で調査をするべきことがあると思い、都の事業ではございますが、実際には区民生活に直結することですので、ご質問させていただくことにいたしました。
ここで私の経験を踏まえたお話をさせていただきます。2030年までに取り組むべき目標として、SDGsの考え方が様々な分野で浸透してきています。私はもう一つの仕事として、アパレルの仕事をしておりますが、原料であるカシミヤの調達や生産の過程など、最近になり生産背景についてのお問合せを受けることが増えてきています。生産過程の労働環境に対する倫理観や、CO2排出量などについて、一般の消費者の関心や意識が高まっていることを身をもって感じております。近頃はスーパーのお野菜に生産者の顔が見える包装がされているなど、いかにサスティナブルな過程を経て作られたものかどうか、ということの大切さを消費者が意識し、気がついてきているのではないでしょうか。太陽光パネルは、ヨーロッパを中心に世界中に急速に普及し、低コストな中国製パネルに支えられてきたという実態があります。実際のところ世界では太陽光パネルのシェアの約8割弱、日本では約50%が中国製とのことですが、大量生産、低コストで作られる中国製パネルの生産背景には、人権侵害に係る疑惑もあり、この制度の推進によりそれが助長されてはいけないと思っております。東京都の職員によると、日本製のパネルについては、そのメーカーに生産過程の透明性についての確認がとれているとのことですが、中国製についての事実を調べることは難しいのが現状ということです。そこで質問させていただきます。SDGs先進自治体の板橋区としては、この東京都の制度を実行するに当たって、SDGs17項目のうち、10番、人や国の不平等をなくそう、12番、つくる責任つかう責任の視点から、どのような課題を認識していらっしゃいますか。区の見解をお聞かせください。できるだけ生産過程にも配慮した上での制度の推進になることを望みます。中国で生産された太陽光パネルの生産過程における人権問題について、東京都にもう少し調査・整理をしてから制度の推進することをご提案いただくことなども考えられますが、区のスタンスについてお聞かせください。
太陽光パネルを作る過程と廃棄するときに排出されるCO2の量、またリサイクルが可能かなど、しっかりとした検証はできていないようです。太陽光パネルによって家庭で使用する電力を供給できるようになることはすばらしいことですが、この制度を推進する目的が脱炭素ということですので、本当に製品のライフサイクル全体を通して排出される二酸化炭素が、地球温暖化に貢献できるのかをしっかり検証する必要があると思います。そこで質問させていただきます。環境問題への関心が高まる中、この事業の実施に伴いライフサイクルアセスメントの手法を活用し、太陽光パネルにおける、各段階の環境負荷を明らかにしてから制度を進めることを、東京都にご提案してはいかがでしょうか。お答えください。
これから制度の推進により取り付けられる太陽光パネルに原料調達から廃棄、リサイクルに至るまで全てのCO2排出量を換算して分かりやすく示すカーボンフットプリントを表示することで、事業者と消費者の間で脱炭素に関する意識を共有できるよいきっかけになると思います。これは、事業者がサプライチェーンを構成する企業同士で協力して、脱炭素や倫理観を高めることにもつながります。太陽光パネルの設置の義務化に伴い、カーボンフットプリントを製品につけることを義務づけて、家主が安心して設置できるような形にすることを東京都に提案してみてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
義務化を決定する前に、多角的に検討をする必要があると思います。太陽光パネルの設置義務化が実施されることで、設備の追加による住宅の値上がりが懸念されます。人によっては、価格の問題で設置をしたくない方がいらっしゃるかもしれませんし、断熱や節電など、人それぞれの脱炭素に向けた取組の考え方ややり方があることも尊重されるべきだと思います。東京都は一定の規模の事業者に対して、太陽光パネルの設置について70%のノルマを達していなかった場合は、都のホームページに掲載するなど、罰則に近いと思われる対応をすると伺っております。事業者としても必死になって太陽光パネルを進めることが予測されますが、そのことで建て主とのトラブルになってしまうことは、できるだけ避けなければなりません。区内で新築を建てられる場合はこの制度の対象となり、設置を拒否する権利があることを知らない区民の方もいらっしゃいます。対象となる区民の皆様が必要以上に高い製品を買わされたり、太陽光パネルの取り付けを強要されたりなどの、トラブルに巻き込まれないようにするためにも、区として今回の制度の義務化は、あくまでも業者への義務化であり、建て主には選択肢があること、また、中小の工務店に頼む場合は、義務づけられていないことなどの事実について分かりやすく情報提供する努力をしていただきたいと思っております。また、設置後に修理・メンテナンス費用などのマイナスが発生する可能性についても、チラシやホームページなどを利用して、しっかりご説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
経済産業省資源エネルギー庁の資料によると、太陽光パネルの製品寿命は25年から30年と言われており、2050年前後で大量廃棄が出ることが予測されます。太陽光パネルには、パネルの種類によって、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物質が含まれており、それぞれ適切な廃棄方法があるそうですが、有害物質やその処理方法については、メーカーも積極的に情報開示を行っていないケースもあるとのことです。有害物質の流出・拡散を防ぐためには、廃棄物を出す事業者が有害物質の含有について正しい知識を持つこと、またコストのかかる廃棄処理を行うためには、家主が廃棄の費用をあらかじめ積み立てておくことが必要だそうです。設置する際に、これらの情報について、工務店や太陽光パネルメーカー、産業廃棄物処理業者に積極的な説明をしていただくことを求めていただくことはできますでしょうか。お答えください。
目的達成のためによい側面ばかりを伝えようとするのが人間の心理だと思いますが、できるだけ購入と設置後のトラブルを招かないようにするために、区民の皆様に太陽光パネルについての情報をホームページ、SNS、チラシ、広報などを通じて、丁寧に発信・伝達をしていただきたいと思っております。区民を守るために、区にはしっかりと区民のセーフティネットになっていただきたいと思いますが、区の見解をお聞かせください。必要な情報とともに、家を建てる人が選択できる自由があることを発信していっていただくことで、区民の皆様の安心安全、快適な生活を守ることにつながると思います。
板橋区では屋上緑化を推進されておりましたが、太陽光パネルの義務化により、その影も薄くなってしまいました。今まで屋上緑化の助成金など、区内の緑を増やすための取組を進めてまいりましたが、申込者が少なかったことや、東京都の太陽光パネルの義務化によって、この政策がさらに縮小されるのではないかという不安がございます。板橋区の助成金をつくった当初の信念に基づいて、引き続きしっかりとPR、広報、中身の設計の仕方などを工夫して、屋上緑化の助成金を、より使いやすいものにしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
太陽光パネルの設置が義務化されることで、屋上緑化に限らず板橋区の緑に対する取組が縮小されることのないようにしていただきたいと思います。緑には脱炭素だけではなく、人の心を癒したり、コミュニケーションのきっかけづくりになったり、多くの効果が期待されることは、区としてもよくご認識されていると思います。太陽光パネルで味気ないまちづくりを進めるのではなく、緑が区民の心に潤いを与えることも忘れずに、区内の緑化行政をきちんと進めていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
板橋区は令和2年から環境政策の方向性について、ものに頼るのではなく、意識を改革していくという方針に変更しています。すばらしい方針だと思っております。これから区内で新築を建てることになるのは、若者世代、働き世代の方々が多いと思いますが、若者世代の定住化を促進することが、区の将来を支えることにつながります。例えば現在30歳のカップルが区内に家を購入して、太陽光パネルを取り付けた場合、彼らが50代後半から60歳になる頃に、パネルの寿命がきます。高齢になってから修理費や廃棄にかかる費用など、想定外の出費で困る方が出てくるかもしれません。太陽光パネルの義務化について、2025年に、東京都が全国初の住宅太陽光設備義務化の施行を目指す方針の中、義務化が決定する前に、板橋区の声を東京都に、しっかりと届けていただきたいと思っております。脱炭素社会への方針を軸に、長い目で見たときに多くの方にとってよい施策になることを願って、この質問を終わります。
次に、
空き家の利活用について質問させていただきます。
今、日本では
空き家が過去に例を見ないスピードで増加しています。今後においても、少子高齢化の進展は避けられない社会問題であり、また核家族化の進行により単身世帯や高齢者世帯が増加している実態から、今後も
空き家は増加の傾向にあると予測されています。そんな中、適切に管理されていない
空き家や、老朽化した建物を放置することで起こる問題と、そうならないための予防対策を考える必要があると考えます。それと同時に、
空き家を活用できる資産として、価値のある不動産という視点から掘り起こし、官民一体となって地域コミュニティーや、これからのまちづくり、若者世代の定住化につなげる試みなどで、前向きに利活用できる仕組みを積極的に考えていただきたいと思っております。板橋区で今後
空き家の利活用を行うためには、
空き家の実態を十分に把握し、新たな視点を持って、次回の計画に反映していくことが必要なのではないでしょうか。第10期板橋区住宅対策審議会の審議のための基礎調査として、板橋区
空き家利活用実態調査を行いました。この調査結果を受け、第10期板橋区住宅対策審議会の答申では、
空き家を資源として捉え、板橋区の魅力を高めていくことが
空き家を解消に導く考え方として示された、と伺っており、大変共感できる結果だと認識しております。また、区では、高齢者、障がい者、ひとり親などの世帯に対する住居確保を目的として、板橋区高齢者等世帯住宅情報ネットワーク事業に取り組むことによって実績をつくっており、住居を探すことが困難な世帯の居住支援として、また一方で問題となっている空室対策として一定の効果が出ていることも高く評価いたします。現在の板橋区の65歳以上の高齢者数は約23%であり、5年後、10年後のまちづくりを考えると、若い世代の定住化や地域活性化を促進するために、
空き家を通じたまちづくりを考えることも今後の課題だと思います。
空き家の考え方としては、住宅だけではなく様々なものがあり、店舗の
空き家や事務所、事業所の倉庫といった
空き家などがあります。大きな
空き家の参考事例としては、練馬区で廃校をインターナショナルスクールとして活用していたり、北区の都立高校ではフランス人学校として活用するなど、それによって地域が活性化しているという話も伺っております。
空き家を資源として捉えるという考え方を、住宅だけでなく様々な種類の
空き家に対して持つことで、より柔軟性が広がると思っております。
空き家の利活用を進めるための第一歩として、まずは所有者と連絡がとれる状態にすることが非常に大切だと思います。先日、都市建設委員会で視察に行った奈良県生駒市では、所有者との連絡をとるための工夫として、アンケートの中に電話番号を記載する欄を作ることで、行政から所有者に連絡をとりやすくなり、以前よりも、
空き家の現状や意向についてお伺いできているようです。所有者に積極的なアプローチを行いながら、お困りごとや相談に乗ることや
空き家ごとのカルテを作成したり、民間業者に情報を提供する同意を得たりなど、
空き家を売る・貸す・活用したいと思っている所有者が、安心して初めの一歩を踏み出しやすいシステムが自治体によって構築されています。
空き家の利活用を推進するためには、区としても様々な努力が必要です。そこで質問させていただきます。これまで板橋区では、
空き家の利活用をしたくても、所有者と連絡がとれないため難しい、というご返答をいただいていたと思います。区の
空き家対策計画である板橋区老朽建築物等対策計画を策定する際に、
空き家の実態調査を行っていると思いますが、この中で所有者の連絡先については調べておられましたでしょうか。また、板橋区住宅対策審議会の調査として住宅政策課が行った
空き家の利活用調査は、返信率は50%と伺っております。
空き家の利活用を少しでも前に進めるために、次回このようなアンケートを実施する際は、アンケートの中に所有者の方の連絡先を書いていただく欄を設けてみてはいかがでしょうか。お答えください。
これから様々な形で存在するであろう
空き家の利活用を進めるに当たって、区としてもできる限りの情報の提供や、相談ができるようにすることが大切だと考えます。今までは
空き家についてのお問合せを東京都のワンストップ窓口にて対応されていましたが、
空き家の利活用を進めるためには、東京都に頼るだけではなく、板橋区内のローカルの取組を考えることが大事だと思っております。区内の
空き家情報の公開や、不動産、リフォーム、金融、税理士など、民間の協力業者のリスト掲載など、
空き家関連の情報を区のホームページで公開して、区民やこれから板橋区で何かをしたい方に気軽にアクセスしていただき、情報収集できるような仕組みをつくってみてはいかがでしょうか。
空き家の見える化と情報共有を地域と庁内で行っていただきたいと思いますが、区の見解をお聞かせください。
国の定義における
空き家とは、国土交通省の
空き家対策特別措置法によると1年以上住んでいない、または使われていない家だそうです。
空き家の利活用を進めるためには、本当は資源として利用できるけれど、認知されていなかったり、未流通であったり、これから手を加えることで、利用できるようになるポテンシャルのある
空き家がどのくらいあるかを見つける、という課題がございます。区の調査によると、利用できる
空き家は現在25件ということですが、今後区にはさらに掘り下げて、利活用できる
空き家の開拓をしていただきたいと思っております。そのためには、まずはもっと
空き家の掘り起こしに力を入れることが必要だと思います。他の自治体では、地元に詳しい地域の方のお力を借りることが、
空き家の掘り起こしをするための手段として使われているようです。例として、リタイアされた地元に詳しいシニアの方を、
空き家調査員として雇用するモデルがあります。これは、地域にお住まいの方が、徒歩や自転車で地域を回り、
空き家を見つけたら報告をしていただくシステムで、実際に実施した自治体では大変評判となり、今では調査員数も口コミで増えているようです。そこで質問させていただきます。
空き家の掘り起こしをするには地域の方のご協力がとても頼りになります。ご近所付き合いの中から得られる有効な情報もあり、それにより
空き家になる前に利活用方法が見つかる場合もございます。そして区内のシニアがフレイル予防などの観点から活躍できる場所をつくるという意味でも、地域に貢献でき、一石二鳥だと思います。高齢者率の高い板橋区でも、このような形で地元の方のお力をお借りして、
空き家の掘り起こしをすることが必要だと思いますが、
空き家の利活用の第一歩として、次期計画改定の際に地元在住か地域に詳しい
空き家調査員の募集をして、さらなる
空き家の調査をしてみてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
空き家の利活用をするためには、区の担当各課が連携をして情報共有をすることが有効と考えます。地域で活動している民生委員や地域包括支援センターの情報も貴重であり、
空き家情報として有効に活用するべきだと思います。現在
空き家の利活用について、区役所内での情報共有はどのようになっていますか。また、現在情報共有や連携をしていない場合は、所管課が違っても情報を共有したり、連携をして
空き家の掘り起こしをしてはいかがでしょうか。お答えください。
ここで、
空き家について私の経験をお話しさせていただきます。1年半ほど前、幸町にマンションを所有されている方から突然ご連絡をいただきました。ご本人は大阪在住でしたが、幸町に空室のマンションを所有されており、コロナ禍で困っている方に、無料で一定の期間お貸出しをしたい、というありがたいお申出をいただきました。区のホームページを見てもそのようなサービスがなかったので、地元の議員の私にご連絡をくださったとのことです。そこで私は、どのように需要と供給をマッチすればよいか考えましたが、いろいろな方にご相談させていただく中で、幸い不動産関係のお仕事をしている方と出会い、豊島区のNPOを通じて、コロナでお仕事を失われてお困りだった、小さいお子さんのいる4人家族をご紹介することができました。お問合せをいただいてから、実際に引っ越しが実現するまで数か月かかりましたが、結果
空き家の所有者と、ご家族には、大変喜んでいただくことができました。ここで私が感じたことは、区で
空き家を貸したい方と借りたい方のマッチングシステムがあれば、より効率的に利活用が進むのではないかということです。自分が住むための家を探す場合は、地元の不動産屋さんやインターネットで探せばすぐ見つかりますが、地域活動を目的として
空き家を探した場合は、貸したい方と借りたい方の数が少なく、市場で流通していないため、なかなか見つけることができません。横浜市では、市内の
空き家の所有者と、地域活動の拠点を探している団体や事業者との橋渡しとして
空き家活用のマッチング制度を令和3年4月から開始しているようです。利用方法が決まっていない
空き家・空き地をお持ちの方と、地域で活動したい団体の方などが、市の窓口を通じて気軽にご相談できる制度です。そこで質問させていただきます。潜在的な需要と供給を満たすために、所有者と
空き家を活用したい方のマッチングを成立させることが課題となっています。
空き家のマッチングをするためには、横浜市のように、月に1回対話できる場を設けるなど、営利を目的としていない、行政の支援が必要だと思います。板橋区でも、貸したい人と借りたい人の両者にとって必要な情報交換ができるような
空き家のマッチングシステム作りを検討してみてはいかがでしょうか。お答えください。
生駒市では、定期的に
空き家のマッチングセミナーをオンラインで開催しています。内容としては、町の魅力や特徴の紹介をしながら、最後に実際にある物件の紹介や活用イメージの提案をしているようです。板橋区でも現在の区の
空き家情報などを含めて、
空き家の利活用に興味をお持ちの方が気軽に参加したり、情報交換ができるように、
空き家マッチングセミナーの開催をしてみてはいかがでしょうか。潜在的な
空き家所有者の発掘にもつながるかもしれません。区の見解をお聞かせください。
空き家の増加については、居住者の高齢化が
空き家発生の主な要因になっているとも言われております。一度
空き家になると、管理が行き届かずに状態が悪化し、それが利活用の妨げになるという悪循環を起こしてしまいますので、
空き家になる前に高齢者世帯に対して将来に向けた引継ぎや管理、活用を促す取組が必要だと思います。事前に地域の方々からの情報を入手し、早めに次の提案をしていくことで、
空き家になる可能性のある物件を見いだし、
空き家にしないで次につなげる工夫をする、ということが
空き家対策や利活用をするに当たってのポイントにもなります。そこで質問させていただきます。板橋区でも、今年度から
空き家の予防対策のパンフレットの配布を開始し、予防についての取組が始まりました。ご家族との話し合いや、登記事項の確認、家財道具の処分など、具体的にパンフレットを配布してからの現状をお聞かせください。また、今後さらに
空き家発生予防に向けた意識啓発をすることについては、どのようにお考えですか。お答えください。
防犯・防災から、まちづくり、定住促進など、多岐にわたる政策分野、部署に関連するのが
空き家問題です。
空き家問題は、緊急性が低く、後回しされてきた経緯があるのかもしれませんが、今後大きな問題に発展していくことは確実で、官民が連携することで課題解決できることも多いと思います。
空き家は、個人の資産であるため、様々な構造的課題も存在しておりますが、誰が責任を持って担当するかも含めて、板橋区でも今後整理と検討をするべきだと思います。板橋区の産業活性化の分野では、にぎわいのあるまちづくり事業や若手・女性リーダー応援プログラム助成事業などがあります。また
空き家については、老朽化した建築物についての相談事業や、空き店舗ルネッサンス事業など、様々な支援事業を行っています。既に取組のある事業についても、区の
空き家利活用事業にプラスアルファとして、若い世代に積極的に紹介し、まちの魅力発信をすることも大切だと思っております。
空き家を通して、板橋の未来のまちづくりの方向性を示すことも必要と考えます。今後は、
空き家を住宅としてだけでなく、福祉施設や、地域のご高齢の方、子育て中のお母さんや子どもたちの居場所、交流拠点として、また昨今の働き方の変化により需要が高まっている、リモートオフィスやコワーキングスペースなど、地域や時代の特性に応じた用途での活用が、より求められていると思います。育児スペース付きのコワーキングスペースなどが地元にあれば、働き世代の女性にとって、板橋に住む魅力の一つとなるでしょう。少子高齢化対策として、これからさらに増えるであろう
空き家を、世代交代の道具として、若者世代を優遇し、まちに定住してもらうことについても、ぜひ真剣に考えていただきたいと思っております。例えば、兵庫県豊岡市では、若い方の移住についての支援制度が充実しています。創業支援や内発型産業育成のためのビジネス相談窓口の開設とともに、
空き家に住んでいただいた方が、既存の事業の支援を一緒に受けることができ、移住のきっかけづくりに寄与しているとのことです。また
空き家を対象に、自治体が引っ越し代、リフォーム、清掃にかかる費用を負担するなど、様々な工夫をしています。
空き家はまちづくりの資源です。
空き家を通して積極的に定住人口を増やすために、例えば、最初の数か月は区が家賃を補助したり、税金を優遇したりする政策を通して、若者が定住するような仕組みをつくったり、区外から
空き家に移住してくださった子育て世代の方に、子育て支援を優遇するなど、これから子どもを産み育てる世代を優遇するような支援制度をつくっていただきたいと思っております。そこで質問させていただきます。他自治体の例なども踏まえて、今後、板橋区として
空き家の利活用という視点で、積極的なお取組をしていただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。また、
空き家に関連する政策を通じて、若者世代が定住したくなるような仕掛けをすることについて、区としてどのようにお考えでしょうか。お答えください。
若い世代にとって魅力的な、活用できる資産としての
空き家をプロデュースするためには、
空き家を専門とする民間企業の力を視野に入れることも必要だと思います。民間の企業と連携をして
空き家政策に関する助言や活用に関するアドバイスを得て、板橋区が自らの創意に基づいた
空き家モデル事業を構築することも、区内の
空き家の利活用を進める上で視野に入れるべき点だと思います。それが地域の居場所づくりや、孤独死、児童虐待などの問題を、間接的に解決するきっかけになるかもしれません。これから2026年以降の、区の
空き家対策の計画の作成に向けて、
空き家の利活用について新たなビジョンを示していただくことを期待しております。
空き家の利活用について、他課の連携を見直したり、現在は板橋区にない視点で
空き家の可能性を探る、相対的な実態調査を実施して、次期計画につなげていただきたいと思っております。負のイメージに捉えられがちな
空き家の課題ですが、社会情勢を見ながらチャンスと捉えた展開こそが、区の将来の発展につながると考えます。未来の板橋区のまちづくりを意識した上で、将来的に、民間企業と連携をして、板橋区独自の
空き家再生・利活用のモデル事業の構築について、区はどのようにお考えですか。また板橋区の未来のまちづくりの中での、
空き家の利活用について、区の見解をお聞かせください。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長(坂本健) 議長、区長。
○議長(坂本あずまお議員) 区長。
〔区長(坂本 健)登壇〕
◎区長(坂本健) それでは、小野田みか議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、SDGsの視点からの課題認識についてのご質問であります。質問のございました太陽光パネルが中国で生産されていることから、新彊ウイグル自治区における人権問題が懸念されることに関しまして、東京都はホームページの中で見解を示しているところであります。これによりますと、国は、太陽光発電に係る業界団体等と連携しながら、SDGsを尊重した事業活動を推進するとしております。区としましても、国や東京都等の動きを注視し、課題を共有しながらSDGsに配慮した脱炭素社会の実現を目指していきたいと考えています。
続いて、中国製太陽光パネルの生産過程における人権問題に対する区のスタンスについてのご質問であります。太陽光パネルが中国で生産されているということは区としても承知をしているところでございます。しかしながら、区の調査能力においてはその真偽を確かめることは困難であることから、国連の調査結果や国の見解を受けて東京都とともに認識を共有すべきものと考えています。
続いて、ライフサイクルアセスメント手法の活用についてのご質問であります。東京都はホームページの中で、太陽光パネルのライフサイクルで消費するエネルギーが、設置によって生産されるエネルギーにより、1年から3年で回収できると大まかに示しているところでございます。
次は、カーボンフットプリントの表示についてのご質問であります。フランスや韓国においては、太陽光パネルのカーボンフットプリント、あるいはそれに類似した炭素認証制度などによって公共プロジェクトの入札基準としたり、補助金などインセンティブの差別化を図っているように聞いております。日本におきましては、太陽光パネル製品へのカーボンフットプリントは義務づけられておりませんが、カーボンフットプリントがSDGsを意識した消費者が製品を選ぶ際の1つの指標となり得ることは区としても認識しているところであります。頂いたご意見につきましては、所管の部署から東京都環境局に伝えたいと思います。
次は、義務化に関する正しい情報提供についてのご質問です。区は、これまで東京都の環境施策や事業について、連携してホームページやパンフレット等で周知を図ってまいりました。一部のハウスメーカーなどの事業者に対する新築住宅への太陽光パネル設置義務化に関しまして、東京都作成のパンフレット等も活用しながら、区民周知について協力していく考えであります。
次は、パネル廃棄にコストがかかることについての周知についてのご質問であります。太陽光パネルの廃棄に一定程度のコストがかかることにつきましては、東京都と連携をして広く周知に努めていきたいと思います。また、東京都は、今回の太陽光パネル設置義務化に当たり、ハウスメーカーが建て主に対しまして、太陽光パネル設置以外の断熱・省エネ・再エネ等の環境性能に関する説明も行うことを求めております。この説明の際に、将来的に発生するパネル廃棄のコストに関する説明につきましても、併せてハウスメーカーに求めるように、所管の部署を通じて東京都環境局に伝えたいと思います。
続いて、区民のセーフティネットとしての役割を求めることにつきましてのご質問であります。区は、これまで区民に最も身近な自治体として、国や東京都の事業でありましても、その周知に協力し、区民からの問合せについても対応してまいりました。今回の太陽光パネルの設置義務化に当たりましても、東京都と連携をして周知に努め、区民のセーフティネットとしての役割を引き続き果たしていきたいと思います。
次は、屋上緑化についてのご質問です。屋上緑化は、室内への断熱効果により冷房に要する電力の軽減等を通じまして、二酸化炭素排出量の軽減に寄与する効果があります。一方、太陽光パネルは、発電という、より積極的な温室効果ガスの抑制効果を備えた施設であることから、目的に応じた使い分けを行うことが大切と考えています。今後、屋上緑化の推進に当たりましては、その特性や楽しみ方、植物ならではの特徴をアピールするなど、新たな視点からの事業展開を研究していきたいと考えています。
次は、緑化に対する取組についてのご質問です。区のみどり政策においては、自然環境の骨格をなす地形や植生と合わせ、社会生活と深く関わりながら育まれてきました農や祭りなどの文化を長く将来に受け継ぐ考えであります。併せて、住宅建設など社会活動の中で失われる緑については、開発行為などの緑化基準を定め、社会活動の中で再生する仕組みとして機能させているところでございます。今般、この緑化基準を改定し、地域特性や生活スタイルに合った緑化手法が選択できるように見直しましたが、今後も実効性のある施策を適時・的確に展開していきたいと考えています。
次は、
空き家対策と利活用に関連いたしまして、所有者の連絡先についてのご質問であります。老朽建築物等実態調査におきましては、建物等の外観目視による状態把握の上、危険と判定した建物所有者情報を登記情報から得ておりますが、電話番号までは調べていない状況であります。また、板橋区住宅対策審議会の審議のための基礎調査として実施いたしました
空き家利活用実態調査の際も調査目的に連絡先の収集は含んでいないところでございました。
空き家問題への対応に当たりましては、除却するべきものは除却し、活用できるものについては活用していくことが重要であるため、今般調査を行う際には電話を含む連絡先の把握についても検討していきたいと考えています。
次は、
空き家の見える化と情報共有についてのご質問です。
空き家情報について適切に庁内関係部署の間において情報共有ができていると考えています。
空き家の見える化につきましては、個人情報保護の観点のみならず、周辺住民の安心・安全の観点にも配慮しなければならないと考えます。
空き家情報の公開をはじめ、地域との情報共有のあるべき姿につきましては、他の自治体の事例も踏まえて検討していきたいと考えています。
続いて、区民の
空き家調査員としての協力についてのご質問であります。区は、
空き家情報について実態調査に基づくデータやパトロール、区民等からの情報提供や陳情などによって、日々実態の把握に努めているところでございます。また、
空き家の掘り起こしに限らず、シニア世代は地域社会を支える活動の担い手になり得ると考えます。現状
空き家の掘り起こしを目的として、区民の方に調査員として協力を求めることは考えていないところではございますけれども、多くの方との連携につきましては、探っていきたいと考えています。
続いて、庁内における情報共有についてのご質問です。民生委員をはじめ地域の方々からの新たな
空き家情報は、活用や改善策を講じるために庁内関係部署において共有に努めているところでございます。また、さらなる情報共有の仕組みにつきましては、庁内関係部署で組織する老朽建築物等対策検討会議を通じまして、個人情報保護に関する課題や制限に配慮しながら検討していきたいと考えます。
次は、貸したい人への支援についてのご質問であります。現在、賃貸等を考えている所有者に対しましては、ファイナンシャルプランナー等の派遣による専門家派遣支援事業を通じまして、サポートをしております。また、
空き家の利活用等に実績のある東京都の
空き家ワンストップ相談窓口の利用を案内するなど、所有者の要望に複数の選択肢で応えられるように対応しております。今後も所有者が相談しやすい環境を提供できるように努めてまいりたいと考えています。
続いて、借りたい人への支援についてのご質問であります。区では、高齢者等の民間賃貸住宅への入居支援として、高齢者等世帯住宅情報ネットワーク事業を実施しております。
空き家のマッチングシステムは、区の実態調査により現況を把握し、所有者の意向も分析の上、その必要性について検討していきたいと考えています。
続いて、
空き家マッチングセミナーの開催についてのご質問です。区は、利活用をはじめ適切な管理などをテーマとし、行政書士団体等への講演や民生委員協議会等での情報提供による啓発活動を行ってまいりました。また、民間事業者等が行う区民向けセミナーや相談会等について、後援といった形でも支援をしております。今後も多くの方が
空き家問題に関心を持って参加できるように、セミナーなど様々な手法を用いながら啓発活動の充実を図っていきたいと考えています。
続いて、
空き家の予防についてのご質問です。
空き家対策としましては、改善と予防の両方の施策が機能することが大切と考えておりまして、予防対策に焦点を当てた冊子を区施設のほかに、都税事務所等にも協力を依頼して配布をしているところでございます。これについては、学識経験者や町会連合会、警察・消防の職員等で構成されております板橋区老朽建築物等対策協議会でもお褒めの言葉を頂戴しておりまして、好評を得ているところでございます。今後も多くの方に
空き家問題への関心を持っていただくように周知活動を進めていきたいと考えています。
次は、
空き家を通じた未来のまちづくり施策についてのご質問であります。現在の住宅マスタープランである板橋区住まいの未来ビジョン2025においても、新たな住まい方を展開する
空き家対策をアタックプランとして掲げております。
空き家の様々な利活用については、所有者の意向を踏まえて進めていくことが重要であると認識しております。区民のライフスタイルや動向を注視しながら福祉等関連施策と連携し、新たな住まい方をはじめとした利活用について検討を進めていきたいと考えています。
最後になります。区独自の
空き家再生・利活用モデル事業の構築についてのご質問であります。
空き家再生と利活用につきましては、次期住宅マスタープラン策定においても重要な視点と捉えております。区独自の取組につきましては、今後マスタープラン策定時に実施する実態調査等によりまして、現状を把握することによって新たな課題に対応する事業の可能性が出てくるものと考えています。これら課題に対応する事業については、庁内関係部署との連携のほか、民間のノウハウの導入を含めて検討していきたいと考えています。
頂戴いたしました質問の答弁は以上となります。
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△休憩の宣告
○議長(坂本あずまお議員) 一般質問の途中でありますが、議事運営の都合により、この際、暫時休憩いたします。
なお、再開時刻は午後3時25分といたします。
午後2時50分休憩
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午後3時23分再開
出席議員 46名
1番 小野田 み か議員 2番
内田けんいちろう議員
3番 高 山 しんご議員 7番 しいな ひろみ議員
8番 石 川 すみえ議員 9番 山 田 ひでき議員
10番 山 田 貴 之議員 11番 中 村とらあき議員
12番 間 中りんぺい議員 13番 しのだ つよし議員
15番 こんどう秀 人議員 16番 山 内 え り議員
17番 吉 田 豊 明議員 18番 田中しゅんすけ議員
19番 安 井 一 郎議員 20番 寺 田 ひろし議員
21番 さかまき常 行議員 22番 長 瀬 達 也議員
23番 南 雲 由 子議員 24番 荒 川 な お議員
25番 いわい 桐 子議員 26番 坂 本あずまお議員
27番 田 中やすのり議員 28番 いしだ 圭一郎議員
29番 成 島 ゆかり議員 31番 五十嵐 やす子議員
32番 竹 内 愛議員 33番 小 林 おとみ議員
34番 元 山 芳 行議員 35番 大 野 治 彦議員
36番 鈴 木こうすけ議員 37番 し ば 佳代子議員
39番 井 上 温 子議員 41番 かなざき文 子議員
43番 杉 田 ひろし議員 44番 茂 野 善 之議員
45番 田 中 いさお議員 46番 かいべ とも子議員
47番 渡 辺よしてる議員 48番 おばた 健太郎議員
51番 川 口 雅 敏議員 52番 佐々木としたか議員