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03月05日-05号

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  1. 和歌山市議会 1999-03-05
    03月05日-05号


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    平成11年  2月 定例会            平成11年     和歌山市議会2月定例会会議録 第5号        平成11年3月5日(金曜日)議事日程第5号平成11年3月5日(金)午前10時開議第1 会議録署名議員の指名第2 一般質問         -----------------------------会議に付した事件日程第1 会議録署名議員の指名日程第2 一般質問藤井健太郎君、田上武君)         -----------------------------出席議員(39名)  1番  森下佐知子君  2番  姫田高宏君  3番  江上柳助君  4番  角田秀樹君  5番  青山 稔君  6番  貴志啓一君  7番  遠藤富士雄君  8番  メ木佳明君  9番  北野 均君 10番  東内敏幸君 11番  麻生英市君 12番  寺井冨士君 13番  佐伯誠章君 14番  浅井武彦君 15番  武内まゆみ君 16番  藤井健太郎君 17番  新川美知子君 18番  森本保司君 19番  浦 哲志君 20番  井口 弘君 21番  田上 武君 22番  吉田光孝君 24番  宮本廣次君 25番  山田好雄君 26番  森田昌伸君 27番  波田一也君 28番  柳野純夫君 29番  山口一美君 30番  大艸主馬君 31番  南 徹治君 32番  滝口直一君 33番  奥田善晴君 34番  武田典也君 35番  堰本 功君 37番  平田 博君 39番  高垣 弼君 40番  浜野喜幸君 41番  岩城 茂君 44番  九鬼嘉蔵君欠席議員(4名) 23番  和田秀教君 36番  東山照雄君 42番  中谷 悟君 43番  西殿香連君    --------------説明のため出席した者の職氏名 市長            旅田卓宗君 助役            大浦恒夫君 助役            小橋義實君 収入役職務代理者出納室長  郷間視典君 市長公室長         松田優輝君 企画部長          久田公昭君 総務部長          小嶋秀三君 財政部長          古賀友一郎君 市民部長          貴志 勇君 福祉保健部長        川口三郎君 生活環境部長        伊藤 明君 産業部長          岡崎豊之君 都市計画部長        西出 勝君 建設部長          舩野 保君 下水道部長         鳴神和三君 教育委員会委員長      竹内巳喜男君 教育長           山口喜一郎君 教育総務部長        家本敏之君 教育文化部長        空 光昭君 消防局長          村木俊夫君 水道局長職務代理者工務部長 浜本光章君 水道局業務部長       坂口正志君 選挙管理委員会委員長    貴志久治君 代表監査委員        伊藤松雄君 公平委員会委員       谷澤和夫君    --------------出席事務局職員 事務局長          原口時男 事務局次長         三宅徹哉 議事調査課長        生駒明男 議事調査課長補佐      中村 格 議事班長          尾崎順一 調査班長          濱治 匠 主査            田畑和久 主任            中野光進 主任            石本典生 主任            中西 太 主任            奥谷知彦 主事            志賀政廣    --------------    午前10時13分開議 ○議長(浜野喜幸君) ただいまから本日の会議を開きます。    -------------- △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(浜野喜幸君) 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において   宮本廣次君   井口 弘君   角田秀樹君 以上3人の諸君を指名します。    -------------- △日程第2 一般質問 ○議長(浜野喜幸君) 次に、日程第2、一般質問を行います。 順次、質問を許します。 藤井健太郎君。--16番。 〔16番藤井健太郎君登壇〕(拍手) ◆16番(藤井健太郎君) おはようございます。 万雷の拍手、ありがとうございます。どうか最後までその拍手を継続していただけるようにお願いをいたします。 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。 経済対策行政改革福祉行政ということで通告をいたしております。 まず、経済対策についてでありますが、平成9年度の経済成長率マイナス 0.7%、10年度はさらにマイナス 2.6%という戦後最大の落ち込みになることが予想されておりまして、戦後初の四半期ごと実質成長率も4期連続マイナスになると言われております。完全失業率も、平成9年4月以来4%以上が続き、昨年9月には有効求人倍率も初めて 0.5を割り込みました。日本経済はいまだ回復の兆しは見えず、果たして日本経済全体が安定的な成長軌道へ乗っていくことができるのかどうか、大変不安なところでもあります。 まちの中で、当然のように今のこの長引く大不況を何とかしてほしいという強い願いがあります。そして、将来がですね、一体どうなるのか、こういう言いようのない不安の声も聞かれるわけでして、年金や医療、子供たちの教育、就職先、そしてダイオキシンやごみなど環境問題、暮らしをめぐる現在と将来に対する不安の声がいっぱいあります。 これらの問題は、自然現象として起こったものではありません。極めて政治的な問題だと思います。政治経済政策のかじ取りを誤った結果ではないか。大規模公共事業を中心とした経済対策は、国、地方に莫大な借金を残しましたが、景気対策には結びつきませんでした。逆に財政危機を招き、そのツケが消費税の増税、年金や医療、介護など、国民負担の増大に振り向けられている。今日の長引く消費不況が、消費者の財布のひもがかたいからという現象面だけで論ずることはできません。国民生活をめぐって起こっているかつてない状況や国民の不安の実態、これを正しく把握をして、解決のための的確な処方せんを政治の責任で国民に示していくことが何よりも求められております。 この議場におきましても、私は、従来から和歌山市という地方自治体で何ができるのか、何をなすべきか、これまでのリゾート法や国の総合開発計画などによる大型開発を中心とする大規模公共事業に景気対策を求めるのでなくて、地方自治法が言う住民の安全、健康と福祉の向上を優先させる施策へ転換することで市民生活の安定を図り、財政の立て直しも進めていくべきではないかと、こういう主張を重ねてきたところでもあります。 第2期旅田市政の初年度の当初予算の審議も始まりますけれども、和歌山市での経済の再生、市民生活の安定のための施策の実施、そしてそれを保障する市財政の拡充強化に取り組んでいくことが必要になっていると思うわけです。 そこで、市長及び関係部長にお尋ねいたします。 1、これまでも再々お尋ねをしてきましたが、改めて市長にお尋ねをしたいと思うんですけれども、本市の経済状況の把握、市民生活の実情の把握をどのようにリアルにされているのか。それに対してどのような基本姿勢で市政に臨まれようとしているのか。市民や中小業者は行政に一体何を求めていると考えておられるのか。 2、10年度、国の総合経済対策予算として市で取り組んだものとして、最終補正分を入れますと 100億円を超す金額になっております。地域振興券の分を除きますと、下水道事業や街路事業、公営住宅、保育所など公共施設の修繕、県工事費負担金など土木や建設の公共事業で占められておりますけれども、市内業者への発注は10年度どの程度になるのか、そしてそれはどのような経済効果があると考えているのか。こういった市内業者向けの事業は市民の暮らしと要求から見てどうなのか、その点をお答え願いたいと思います。 3、和歌山市での中小企業向けの官公需の発注割合をふやしていってほしいということを申し上げてまいりました。物件や工事、役務など、できるだけ市内業者に発注をする。昨年12月議会でこの問題をお尋ねしますと、契約金額では中小企業への発注割合は7年度が54%、8年度50%、9年度55%ということでした。10年度の見込みが一体どうなっているのか。目標を持って地元調達を進めていくべきではないか、こういう方針を持つべきではないかということも要望してまいりましたが、この際、地元の資源や技術の活用を目的意識的に進めていくということをきちんと定めていってほしいと思うんです。 例えば、福山市という和歌山市の類似都市でもあると思うんですが、ここでは地場産品活用予算というものを設けておりまして、市の物品購入や公共事業、どれだけ地元のものを活用するのか毎年計画をし、審議をするということであります。こういったことは、和歌山市の伝統技術、建具や家具、ふすま、繊維、皮革など、和歌山市の地域経済を支えてきた伝統産業がありますが、こういった伝統産業の技術の継承や保存にとっても重要なことではないかと思うんです。 海南市では、黒江の漆器を学校給食の食器に使う、こういうことも行われているようでありますが、和歌山市でもこういう点は大いに参考にしていただきたいと思うんですが、いかがなものでしょうか。 4、融資制度の改善と充実に向けて所信で言われております。具体的な施策として何か考えておられるのかをお尋ねしたいと思うんです。 このように言われておりますが、「新しい融資制度の創設を図る、地場産業の融資保証枠の拡大、緊急生活融資制度の創設、市独自の無保証緊急不況対策融資制度等を検討してまいります」と、このように言われておられますけれども、どういうことを考えているのか。 私は、新たな融資制度や従来の融資制度を見直すに当たっては、現在の融資制度がどのように活用されているのか、市内事業者融資制度の利用状況、資金の調達状況、金融機関の融資状況など把握をした上で考えていくということが必要だろうと思うんですが、そういった点、どのように把握をされているのかお聞かせ願います。 この問題の最後に、市内企業の雇用状況、労働条件についてどうなっているのか、全体的に答弁を聞かせてもらうというよりも、絞ってお尋ねをしたいんですが、本市では昭和63年、平成4年、平成7年、およそ3年ごとに市内労働者の賃金、労働条件の調査を行ってまいりました。長引く景気低迷のもとで、企業では人員のリストラ合理化が進められ、労働者の賃金、労働条件の悪化、こういうことがひいては市経済の活力を奪うことにもなります。 そこで、市内有数の大企業でもあります住友金属和歌山工場でも、工場内で働く労働者の人員の縮小が進められております。市経済や労働条件、周辺地域への環境問題にも大きく影響するのではないかと懸念がされますが、住友金属の人員数の変化や労働条件についてどのように把握をされ、市経済への影響を考えておられるのか。 また、最近、工場内で労働災害事件が10数件連続的に起こり、一人作業による死亡事故まで発生をいたしております。私たちはこの問題について、労働基準監督署に対して労働者の安全確保のための指導の強化を申し入れてきたところですが、市においてもこの実態を把握して、住友金属に対してしかるべき申し入れを行うべきだと思いますが、市長の見解はいかがなものでしょうか。 次に、行政改革についてお尋ねいたします。 平成9年度を初年度として、11年度まで第2次行財政改革に取り組んでいるところです。尾崎前市長が策定をしました行革大綱に基づくものでありますけれども、旅田市長は施政方針で「健全な財政運営に向けた財政再建につきましては、9年度から取り組んでまいりました行財政改革を引き続き推進し、経常経費の削減による財政構造の改革に取り組んでまいります」、このように言われております。尾崎前市長の行政改革実施計画を引き継いで進めるということを言われているわけです。 そこで、お尋ねいたします。 1、旅田市長は、行政改革の目的と目標をどのように考えているのか。現在の行財政改革実施計画、11年度、つまり新年度で終了いたしますが、内容を変更せずに進めるのか、また12年度以降の考え方についてはどうなのかお聞かせを願いたいと思います。 2、尾崎前市長の行政改革をどのように評価をしているのか。前期の旅田市長時代の市の単独施策にも大きくメスを入れられております。 例えば、廃止になったものとして、新婚世帯の家賃補助、これは若者の市内への定住を促進するため、民間住宅に入居する新婚世帯に家賃補助をするということで、7年度から実施をされております。 中止になったものとして、つどいの家の運営補助があります。生きがい基金の活用で高齢者が集える場所をつくるということで、個人の住宅を改造して、運営費を補助する、これは3年度から行われておりました。新規のつどいの家は中止をするということで、行革で今は新規の補助がストップをいたしております。 所得制限が導入されたものとして、入院給食代自己負担分への補助があります。これまでは所得制限を設けずに行ってまいりました。それが旅田市長の方針でもありました。福祉対策ということで行ってきたわけです。それが、尾崎行革によって非課税世帯のみ全額補助、課税世帯は半額補助、所得制限を超えるものは打ち切りをする、こういうことで、67歳以上の80%の人が半額または全額カットということになったわけです。 老人医療費の助成事業、これは県は所得制限を設けて行っておりましたが、所得制限を超えるものを市が単独補助をしていたわけです。県からも再々、この単独補助のカットを言われておりましたが、当時の旅田市長はがんとして受け入れず、これは市の制度としてやっていくんだということで、第1次行革の中でも継続をされてきた事業でもあります。それに対して、尾崎行革では県に合わせて所得制限を設けました。これで67歳から69歳の15%の人がカットをされたことになりました。 また、中核市になったことにより、県から事務が移管されて、県の制度に合わせたというものがあります。障害児の補装具の給付事業がこれに当たります。この障害児、障害を持った子供に対する補装具の給付事業は、従来県で行っておりましたが、これが中核市になることによって市へ事務が移管をされました。 一方、障害者、大人の方の事務は市で行っておりました。障害者に対する補装具の給付、国の制度では所得制限が設けられておるわけですが、それに対して、昭和46年から和歌山市が単独補助をして、自己負担の徴収はしてきませんでした。障害者の補装具という点に着目をして、健常者と変わらないような生活をするために、義手や義足、つえとか車いす、そういったものは市が上乗せ助成をして給付をしていたわけですが、障害児の事務が県から和歌山市に移ってきて、障害児は県の制度と同じように自己負担を徴収して、所得制限を設けて実施をされたわけです。それに合わせて障害者の補装具に対する給付事業にも、障害児に合わせて同時に所得制限を設けてですね、和歌山市の単独助成を打ち切った、これが中核市になったときと同時に行われた行政改革の方針によって実施をされたわけです。 私は大変驚きました。てっきり障害児の事業が和歌山市に来ることによって、和歌山市が従来からやっていた障害者の大人のですね、単独助成と同じように、障害児についても市が単独助成をしてくれるんだろうと、それが中核市になったおかげではないかなというふうに一人で思っていたわけですが、実際にはそうではなくて、和歌山市に障害を持って生まれた子供が、また交通事故などで身体に障害を負った子供が、所得制限のいかんにかかわらず、健常な子供と一緒に学び、遊ぶことができる、そのために最低限必要な補装具については市が単独で面倒を見てあげましょうと、これが思いやりのある優しい福祉行政だということで、中核市になればそうなるんだろうというような期待をいたしていたわけですが、残念ながらこれが県に合わせてですね、無残にも障害児は県制度に合わせて自己負担を徴収し、おまけに大人まで自己負担分をカットした。 しかも、障害児の所得制限オーバー分というのは、9年度決算でお聞きしますと、40万円だということです。40万円をカットすることにどんな意味があるのでしょうか。これは余りにもひどいと思います。 中核市になったのだから、やはり市が中核市として市民の皆さんに胸を張って言うためにも、県では自己負担があったけれども、和歌山市の事業になったんで自己負担をなくして、安心して障害を持った子供も健常児と一緒に遊び、学ぶことができる、そういうことが中核市の本当の目的ではないでしょうか。私はそう思います。 このように、中核市になって制度が廃止もしくは中止、所得制限が入って市民に負担を転嫁をしてきているわけですが、これらは福祉の後退とは思わないのでしょうか。 行政改革が行政事務の事務事業の見直しをということを言われておりますが、そうなりますと、こういった市の単独事業単独補助というのはむだな事業だと、余り有効ではない、他へ財源を回した方が効果が上がる、こうなりますと、こういった単独事業というものがすべて否定をされることになります。 しかも、こういった事業は旅田市長がですね、目玉事業のように言ってきて、県から所得制限を入れよと言われても、いや、入れないんだというふうに頑張ってきて、入院給食についても、制度の最初から所得制限を入れずにやるんだと、それが福祉だと言ってきた、そういった施策が否定をされたことにもなるわけですが、旅田市長はですね、こういった政策、施策、どのように評価をされ、今後どうされようとしているのか、この点をお尋ねしたいと思うんです。 3番目に、第2次行政改革を始めるに当たりまして、それまでの、すなわち尾崎前市長の以前の旅田市政についての行財政運営のあり方を振り返って、財政状況の悪化について、市の報告書でこのように触れられています。 「第1次業改革以後」すなわち平成4年の3月、平成3年度にこの第1次行政改革が終わるわけですが、旅田前期市長は平成7年まで市長をしておられました。第1次行政改革以後ですね、「外郭団体職員が増加し、大型公共投資による財政調整基金の取り崩し、起債残高の増大等による財政状況が悪化したことを踏まえ」とありますが、旅田前期市長時代のですね、行財政運営の問題点が指摘をされているわけです。このことをどのように思われるのか。外郭団体の職員の増、大型公共投資のあり方が指摘をされているわけですが、思うところを聞かせていただきたいと思います。 4番目に、市の職員を 200名削減すると言われております。どのようにして削減を進めようとしているのか。 ことしの1月1日現在の職員数が予算書にも書かれてありますが、一般行政職・税務職で 2,171人、消防職で 372人、教育職 162人、技能労務職 695人、医師・薬剤師・看護婦など95人となっています。消防職、教育職、技能職など、法律による定数配置が決められておりまして、こういった職種の削減というのは非常に困難をきわめます。そうしますと、一般行政職・税務職での削減になるということになるわけですが、 2,171人が一般職・行政職です。ここで 200人を削減するということになるのでしょうか。 一方、新年度の地方財政計画では、介護保険の準備に必要な職員として、全国の地方自治体で 8,004人の増員が見込まれています。和歌山市では、では介護保険の準備に必要な人員を何人と見ているのでしょうか。  200名削減という数字がさきに出ておりますけれども、非常勤職員アルバイト外郭団体についてどのように考えておられるのでしょうか。 第1次行政改革の5年間に常勤職員 300人の削減が進められました。その一方で、アルバイト職員非常勤職員、民間委託として外郭団体がつくられ、そこの職員数をふやしてきたわけです。平成7年、水道局職員を除いて 4,112人、第1次行政改革が終了した平成4年5月には 3,919人でした。非常勤、アルバイト外郭団体含めてですね。ですから、第1次行革終了以後ですね、旅田市長の時代に全部で 193人の増員ということになっているわけですが、常勤職員の削減という方針を掲げておられましたけれども、非常勤職員アルバイト職員、また外郭団体の職員についてどのように考えているのか、お聞かせを願いたいと思います。 この問題の最後に、入札のあり方についてお尋ねします。 私は、行政改革ということで言うならば、今の入札制度をさらに改善を進める点があるのではないかということで、何点かこれまでもこの場でも要望してまいりましたが、今回の入札制度の変更は、予定価格と低入札価格の調査額、これを事前公表すると。県外の大手業者を指名した場合、市内業者を1社以上下請登録して入札に参加することと、このようになっています。こういう入札制度はですね、従来の入札制度と比べてどういう効果を期待して提案をされたのか。 また、県外業者を指名して落札した場合、市内業者を同時に、その入札するときにですね、登録をして、差し出せということになっているわけですが、こういうのも実態をどのように把握して、分析されて、このようなことを言われているのかということもお聞きしたいと思うんです。 平成9年度に決算委員会の資料では 1,000万円以上の契約が34件ありました。県外業者、大手なんですが、この34件の県外大手業者の中に第1次の下請、市内業者がどのぐらい入っているのかということをつかんでおられるのかということです。市内業者がゼロは幾つあったのか。2以上が幾つあったのか。下請1社以上というのであれば、1社だけあればそれでよいということにもなってくるわけですが、また県外の大手業者を指名する場合、市内業者とJV、共同企業体にするということも十分考えられる方策でありますが、そういった点についてお聞きをしたいと思うんです。 最後に、福祉行政についてお尋ねをします。 所信並びに施政方針で福祉行政について述べられております。「介護保険制度発足を視野に入れ、高齢者や障害者にやさしいまちづくり、おもいやりのある地域福祉の推進、在宅福祉サービスの充実、生涯を通じた健康づくりの推進などに努め、『日本一の福祉のまち』づくりを目指し、社会的に弱者と言われる方々の立場に立って諸施策を推進してまいります」と述べられておりますが、日本での福祉行政の基本的な考え方というのは憲法で明らかにされております。 憲法13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。」 また、憲法25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」 こういった憲法の条項をですね、地方自治体で実践をしていく、憲法を暮らしに生かそうということをよく我々言うわけですが、こういう憲法の条項を実際に地方自治体で根づかせて、施策体系をつくり出していくということが福祉のまちと言えると思うんです。そして、その最も全国での先進を切っているということで日本一と言えると思うんですが、そこでお尋ねをしたいと思うんです。 1、市長が言う「日本一の福祉のまち」とは、どのようなまちをイメージして言っているのか、どのようなビジョンを描いているのかをお尋ねをしたいと思います。 2、では、他都市のこの福祉に対する取り組み状況と比較をして、和歌山市はですね、どのような位置にあると考えておられるのか。 市民世論調査というのを毎年やっておりますが、その中の行政に対する要望ということで見てみますとですね、大体3つあるんですね。順番の入れかわりは時々ありますが、まず道路を何とかしてほしい。非常にもう渋滞とかですね、狭い道路が多い、幹線道路がない。道路を何とかしてほしい。2つ目は、公共下水を早く普及をしてほしいということが言われております。非常に普及率が低いということです。3つ目に、この高齢者福祉ですね。高齢者福祉の問題が、これがもうこの数年間といいますか、もう恐らく10年近く、恐らくこの3つの問題が御三家ということでずっと言われているわけですが、和歌山市を取り巻くこういう状況をどのように把握をしているのかということです。 高齢者や障害者など福祉を必要とする人口の推移、市民の置かれている状況をどのように認識をされているのかということです。ここのところをはっきりとつかなまいと、現状がどうなっているのかということもわからないだろうと思うんですね。 3番目に、介護保険の問題ですが、介護保険を福祉だと考えているのかどうかということをこの際、お尋ねをしたいと思うんです。施政方針では、「高齢者福祉施策としては、平成12年度から施行される介護保険制度の確立が急務であり、本市介護保険の指針となる介護保険事業計画を策定するとともに、本年10月からの要介護認定作業に向けて事務処理システムの開発を進め、体制充実を図るほか、市民への広報活動を積極的に行ってまいります」と述べられておりますが、高齢者福祉施策として介護保険をとられておられます。介護保険で高齢者福祉の、高齢者介護の諸問題が解決すると、このように考えておられるのかどうかということです。 1992年の10月にですね、国連は1999年、つまりことしをですね、国際高齢者年とすることを決議しております。世界的な人口の高齢化があるということや、そしてまた国連憲章や世界人権宣言に始まる世界的な人権保障の底流があるということも明らかです。 そういう立場から、国際高齢者年に和歌山市では、全国もそうであろうと思うんですが、介護保険事業計画、高齢者保健福祉総合計画が策定をされております。日本一ということで言うならば、これを日本一にするということも考えられますが、そのための理念というものを明らかにしておくことが大事だと思うんです。 介護保険の事業主体としての明確な高齢者介護に対する理念と基本姿勢の確立が求められているわけですが、どのような基本姿勢と理念を持って臨もうとしているのか。すべての介護を必要とする高齢者の人権が保障され、人間らしい生活が保障されるのか。そのためにはどういう施策体系が必要だということを考えておられるのか。 4番目に、障害者プランについてお尋ねいたします。 障害者福祉への取り組みについて、改めて基本姿勢を尋ねておきたいと思うんです。 この問題については、平成8年6月議会において、平成5年に障害者基本法が制定されたことを受け、前市長に市の障害者施策に取り組む基本的姿勢をただし、本市における障害者基本計画の策定を求めていたところでもあります。 障害者基本法は、これまでの障害者施策の範囲に身体障害者、知的障害者の範囲に新たに精神障害者を加え、すべての障害者の個人の尊厳の重視と障害者の人間としての尊厳を保障される権利を明確にし、障害者の自立と社会参加、社会の構成員として迎えられる地域社会づくり、障害者にとって物理的、心理的、社会的障壁となるものの除去などを基本とする施策の体系づくりを国と自治体に求めました。 旅田市長にも、この際、障害者福祉に取り組む基本的な姿勢をどのように持っておられるのか、改めて伺っておきたいと思います。 また、障害者プラン策定の進捗状況と予算の裏づけを持った施策化、いつから始めるのか。 介護保険とかかわって、介護を必要とする若年障害者について、障害者プランの中で介護に関する施策体系をつくっていく必要があると思いますが、どのように考えておられるのか。 この問題の最後に、福祉予算の位置づけについてお尋ねをしたいと思うんです。 「日本一の福祉のまち」を目指すといっても、財政の裏づけがなくては、希望と願望に終わってしまいます。財政運営のあり方についてもきちんと考えておかねばならないと思うんです。 今、行政改革が進められておりますが、伝統的な行政改革の手法というのは、義務的な経費、経常経費、人件費、扶助費ですね、公債費もありますが、公債費を削ることというのは、繰り上げ償還をするか、借りかえをするか以外に方法はありません。ですから、人件費、扶助費、いわゆる福祉予算の中核ともなるものをカットするわけですが、そういうことで、投資的経費の増大を進めるというのが伝統的な行政改革のあり方です。 この際、福祉予算を積極的に位置づけていくという必要があると思うんですね。経済対策ということで、公共事業を中心に11年度は15カ月予算ということで考えられておりますが、それを加えれば、前年度より歳出がふえるわけです。歳出増で景気を刺激するという従来の財政運営がありまして、一方では行政改革で経費の削減が言われているわけです。こうなりますと、経済対策として中心に位置づけられている公共事業のアクセルを踏み込んで、福祉予算のブレーキをかけるという、こういう結果になっています。 この福祉予算というのは、そういうふうにブレーキをかけるものではなくて、市民生活の安定のためにも欠かせない予算であり、考えようによっては、経済対策として雇用の拡大、福祉施設の建設、それから市民生活の安定という点でも大いに経済効果が上がる予算でもあります。こういう点でどうなのか。 また、中核市に指定されて3年目となりますが、中核市になって市制度を後退させて、先ほどの障害児の補装具の扶助のように、県制度に合わすということもされておりますが、それでは中核市の値打ちがないと思うんです。福祉予算の積極的な位置づけが必要だと思うわけですが、どのように考えておられるのか、この点をお尋ねをいたしまして、私の第1問を終わります。(拍手) ○議長(浜野喜幸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 16番藤井議員の御質問にお答えいたします。 まず、経済の問題でございますが、本市の経済状況ですが、引き続き低迷し、厳しい状況にあると認識しております。 事業所数におきましては、平成8年2万755 事業所であり、平成3年に比べて 575事業所減、年間商品販売額は平成9年分1兆1,307 億 746万円であり、平成6年度分に比べ 645億 3,596万円の減少となっております。 雇用状況につきましては、和歌山管内における平成11年1月現在、有効求人倍率は0.53であり、前年同月に比べ0.13ポイント減少しております。 また、市民所得については、市民税課税対象者で見ると、平成9年分平均所得は前年とほぼ同額、納税者数で約 1,000人の減となっております。 こうした状況を見るとき、抜本的な経済対策は国民の金融不安を解消し、消費者の購買意欲の高揚を図ることが求められております。 そこで、中小企業に対する融資制度を充実するとともに、市民生活安定のための諸施策を実施してまいりたいと考えております。 次に、融資制度の問題でございますが、議員御指摘の新しい融資制度、地場産業の融資保証枠の拡大、緊急生活融資制度の創設、市独自の無保証緊急不況対策融資制度等につきましては、関係機関と十分協議の上、検討してまいりたいと考えております。 次に、住友金属の問題でございますが、平成10年3月12日住友金属発表による中期経営計画「2000年計画」によりますと、平成10年3月現在、社員数1万 1,200人を平成13年3月末までに 1,600人減員の 9,600人にする計画となっており、和歌山製鉄所分としての減員数は未定でありますが、同社は本市の基幹産業であり、下請企業を含めて、地域経済に及ぼす影響は極めて大きいものがあります。 したがいまして、合理化に伴って発生する余力人員の処遇については、多角化事業部門や出向等の再配置により雇用の確保に努めているようですが、十分と言えないのが現状でございます。 本市といたしましては、住友金属に対しまして、同社の持っている社会的使命を十分認識していただき、一層の配慮をしていただくよう強く要請しているところでございます。 労働災害のない安全で快適な職場づくりの推進が働く人々にとって重要でございます。 本市といたしましても、労働災害の実態を把握するとともに、労働基準局及び関係機関に対して労働災害防止のための指導を要請してまいりたいと考えております。 次に、行政改革の問題でございます。 行政改革の目的と目標ですが、地方自治法で定められた「最小の経費で最大の効果を上げる」という基本理念に基づき、行政全般の見直しを図り、後の世代に過重な負担を残さず、将来の和歌山市が中核市にふさわしい都市として発展できるよう進めるということでございます。 次に、今後の行財政改革の進め方ですが、現行の実施計画を推進することはもちろん、今議会へ提出させていただきました条例案や新年度予算に反映した施策、また職員数の削減など新しい方針に基づいたものなど、新年度のできるだけ早い機会に整理し、実施計画を一部追加、修正して取り組みたいと考えております。 平成12年度以後の考え方ですが、実施計画には長期的な計画や常に見直しを図らなければならない項目もございますので、平成11年度末に出した結論に基づき、その実現に向けて推進したいと考えております。 次に、前市長の行革をどう評価しているかという問題でございますが、行政改革につきましては、行政改革大綱及び行政改革実施計画に基づき、今日まで財政再建を図るため、職員に財政状況に関する研修や行政改革資料配付を行い、全職員に周知し、意識改革を図るなど、行政改革が進められてまいりました。 その結果、平成9年度決算で実質単年度収支が黒字になるなど、一定の成果があったものと考えております。 しかしながら、本市の行財政環境は依然として厳しい状況にあり、さらなる事務事業の見直しを図り、職員数の削減など経常経費の削減による財政構造改革に取り組み、より効果的、効率的な行財政運営を目指し、引き続き行財政改革を推進していかなければならないと考えております。 次に、新婚世帯向け家賃補助制度の廃止の問題でございますが、新婚世帯向け家賃補助につきましては、平成7年度から平成9年度までの3年間にわたり実施し、若年層の市内定着につなげてきたものと考えております。 平成11年度から民間賃貸住宅の建設費補助及び家賃減額補助を行う特定優良賃貸住宅制度を実施し、若年層のみならず、中堅所得者層の市内定着を図ってまいりたいと思います。 次に、つどいの家の問題でございますが、従来より民家の空き部屋を利用して、地域における高齢者の教養の向上、健康の増進、趣味・娯楽など生きがいづくりの場としてのつどいの家を運営している設置者に対し、運営に要する経費の一部を補助しているところでございますが、寝たきり防止に役立つ有効施策であると考え、平成11年度では予算を増額計上しているところでございます。 また、行政改革により、新規につどいの家を設置しようとする方に対する運営補助は、一時休止としておりましたが、開設希望者の理解と協力を得られれば、実施に向け検討してまいりたいと考えてございます。 次に、入院給食の問題でございます。 高齢の方を対象にいたしました老人医療費や入院時食事療養費の助成制度につきましては、行政改革により平成9年8月から所得制限を導入いたしまして、一定の所得のある方々に応分の御負担をしていただいているところでございます。 市民の負担額を軽減するには、所得制限の廃止か緩和が必要でございますが、さきの議会でも御答弁申し上げましたとおり、財政状況が大変厳しい中でございますので、当分の間、実施は困難だと考えております。御理解をいただきたいと思います。 次に、障害者の補装具等の問題でございます。 中核市になって県から事務委譲された障害児に対する補装具の給付事業につきましては、県内各市の補装具の給付事業との整合性を考え、身体障害者福祉法に基づく自己負担額については、一定の所得以上の方に一部自己負担をお願いいたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。 次に、第2次行政改革実施に当たって、財政状況の悪化等、行財政運営の問題点を指摘しているが、どう思うかという御質問でございますが、さきの臨時議会でも答弁申し上げましたとおり、私が初めて市長に就任させていただいた当時の財政状況も非常に厳しかったため、行財政改革を積極的に推進いたしましたが、前任期中の後半にはバブル経済崩壊による景気低迷期に入ったため、国の経済対策等を活用し、公共事業を積極的に実施いたしました。 当時としては、その後の景気回復の期待もありましたが、この時期、本市の起債残高が増大する一方で、財政調整基金の残高が減少したことは事実でございます。しかし、本市の財政状況の悪化は、景気の変動や高齢社会の進展といった不可避的な要因も多いことから、当時としての私の判断が誤っていたとは言えないのではないかと考えているところでございます。 しかし、結果として、現在の本市の財政状況は大変厳しいものになっておりますので、今後は財政の健全化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、市職員の 200人削減の問題でございますが、基本的には、現在、行政改革の中で60人の削減を行っていますが、新たに次長、課長補佐の専任ポストを、例えば次長が課長事務取扱をするといった合理的な職員配置となお一層の事務事業の見直し、民間委託などによる削減をあわせまして、職員の削減を行ってまいりたいと考えております。 次に、一般行政職と税務職での削減になるのではないかという御質問でございますが、議員御指摘のように、行政需要や法定数などにより削減が困難な職種も一部ございますが、まず全職種について精査してまいりたいと考えております。 次に、和歌山市における介護保険実施準備に必要な人員を何人と見ているかとの御質問ですが、現在のところ介護保険準備室として6人の職員配置を行っていますが、まず平成11年4月には約20人程度の職員を配置する予定にしております。今後、事務内容等を十分勘案しながら、法施行の平成12年4月には支障のないよう努めてまいりたいと思います。 次に、非常勤、アルバイト外郭団体職員の増員をするのかという御質問でございますが、まず非常勤、アルバイトにつきましては、事務事業の見直しを進める中で、必要に応じて非常勤化、アルバイト化を行ってまいりたいと考えております。 外郭団体の職員につきましては、施設管理等の業務を外郭団体に委託したのに伴い、増員してきましたが、現職員数で対応できていると思いますので、外郭団体職員の増員は考えておりません。 次に、福祉の問題について、「日本一の福祉のまち」のイメージの問題でございますが、高齢化、少子化の進行や家族形態の変化などに伴い、市民が互いに支え合える地域社会の形成がますます重要になってきており、高齢者や障害者などの方々に対する地域全体での思いやりのあるまちづくりが必要であると考えております。 そのためには、高齢者保健福祉プラン、児童育成プラン、障害者プランの福祉3プランの基本理念に沿って、「いつでも、どこでも、だれでも」必要とする福祉サービスを利用できるまちづくり実現に向け努力をし、「日本一の福祉のまち」づくりを目指したく思っております。 次に、福祉の問題について、他都市の取り組み状況との比較の問題でございますが、和歌山市高齢者保健福祉総合計画は、平成11年度末を目標とした老人保健福祉事業全般にわたる総合計画として、平成5年度に県と協議し、策定いたしました。 現在、目標数値の中で、施設面では特別養護老人ホーム、在宅面では短期入所施設、ショートステイが既に 100%を超えております。他の項目につきましても、平成11年度末にはほぼ達成できる見込みであり、現状における基盤整備は、他の中核市と比較して、決して見劣っていると考えておりません。 また、和歌山市における高齢者の社会環境につきましては、身体障害者手帳所持者の方々をも含め、高齢化が急速に進み、平成9年度時点において、高齢化率も全国平均より0.6 ポイント高い位置にあります。 このような状況の中、平成12年4月から実施される介護保険制度を視野に入れ、介護サービスのニーズ等を把握の上、保健・医療・福祉の総合的な計画を策定し、必要なサービス基盤の拡大に努めていかなければならないと考えております。 それ以外にも、介護を必要としないお元気な方々に対し、ジョイフル愛のサービス事業やつどいの家運営事業などの生きがい対策事業を拡充することにより、健やかで活力ある地域づくりに努めてまいりたいと考えております。 次に、介護保険は福祉だと考えているのかという御指摘でございますが、介護保険制度は、急速な高齢化が進み、介護を必要とする方がふえる中、現在、老人福祉と老人保健の制度によって供給されている介護サービスについて、総合的なサービス利用ができるよう両制度を再編成し、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うための国民の共同連帯の理念に基づいた社会保険制度でありますが、福祉とは不可分のものであると認識しております。 したがって、制度の運営に当たっては、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画策定の中で福祉の充実を図り、市民の皆さんにとって満足のいくサービスが受けられるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、障害者プランについての問題でございます。 障害者福祉の取り組みにつきましては、障害を持つ人も持たない人も、社会の一員としてお互いに住みなれた地域でともに安心して生活を営むことができる環境をつくり、楽しく安心して暮らせる体制づくり、社会的自立への促進、障壁の除去、すなわちバリアフリー化を含めた安全な暮らしの確保の視点に立った各種の障害者施設を推進してまいりたいと考えております。 次に、行革で削減した財源を投資的経費に振り向けようとしているが、公共事業によってではなく、福祉予算を充実するようにしてはどうかという、そういう御質問でございます。 少子高齢社会が進展する中、福祉施策の充実は、本市の重要な政策課題の一つであると認識しておりまして、新年度予算におきましても、積極的に予算措置したところでございます。 行財政改革において経常経費の削減に取り組んでおりますのは、多様な行政需要に柔軟に対応できる財政構造を確保するためでございまして、特に福祉・教育関連や生活関連の社会資本整備を含め、本市に必要な公共投資などに振り向けていくことを目的としております。 10年度に措置いたしました国の経済対策関連の補正につきましても、街路、下水道、学校、公園など、市民からの要望の多い社会資本整備を有利な財源措置のある制度を活用して前倒しで行うことを主な目的といたしておりまして、あわせて景気浮揚に資することも期待しているところでございます。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 小橋助役。 〔助役小橋義實君登壇〕 ◎助役(小橋義實君) 16番藤井議員の御質問にお答えいたします。 平成10年度中小企業の官公需の発注見込みについてでございますが、具体的な数値につきましては、年度途中でもあり集計しておりませんが、総合経済対策、緊急経済対策の効果が浸透し、前年度に比べて中小企業の官公需の発注率が上昇しているものと思われます。 次に、目標を持ってできるだけ地元調達を進めていくという方針についてでございますが、官公需の物件、工事、役務の契約については、従来より特殊な技術等を要する製品、工事及び管理委託を除いて、できるだけ地元業者に発注してまいりたいと思います。 今後とも、地元業者の発注は前年度実績を上回るよう努めてまりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 舩野建設部長。 〔建設部長舩野 保君登壇〕 ◎建設部長(舩野保君) 16番藤井議員の質問にお答えいたします。 まず最初に、平成10年度の建設土木事業の地元業者への発注はどの程度か、またそのことによる効果はという御質問でございます。 平成10年度の建設工事の地元業者への発注の程度でございますが、平成11年1月末日現在で全体契約数が 545件となっております。そのうち、地元業者への発注分が 504件でございます。発注件数の割合では、地元業者への発注が92.5%となっております。 また、契約金額におきましては、全体契約金額が約 124億円となっております。そのうち、地元業者との契約は約68億円でございまして、契約金額の割合では、地元業者との契約は55%となっております。 このように、中小建設業者の受注の機会の増大を図ることは、地域社会の発展に大きな効果があるものと考えております。 次に、今回の入札制度の変更について、どういう効果が期待できるのか、97年度の下請の現状はどうなっているのか。また下請は1社あればいいというようにならないか、県外業者との地元業者とのJVを組んではどうかという御質問でございます。 今回の入札制度の変更、予定価格と低入札価格調査基準金額の事前公表につきましては、入札の透明性を高め、業者の積算能力の向上に資することができるものと期待し、試行するものでございます。 また、県外業者を指名した際に、地元業者を1社以上下請登録して入札参加させることにつきましては、地元業者を活用せずに施工していた県外業者であっても、今後は必ず地元業者と下請契約の締結をするわけでございますので、相当の効果があるものと考えております。 次に、平成9年度県外業者が落札した工事の1次下請に地元業者はどのくらい入っているのかということでございますが、対象工事34件のうち、1社も入っていない工事が4件、2社以上入っている工事は15件でございます。 また、1社以上というのは、1社だけあればそれでよいということにはなりはしないかとの御質問についてでございますが、本市といたしましても、もちろん1社だけで十分とは考えておりません。事前に登録のあった地元業者を下請するのは当然のことでありますが、その他の下請につきましても、地元業者を活用するよう、従来どおり強く指導してまいりたいと考えております。 次に、県外業者と地元業者とのJVについてでございますが、構成員間の技術力や施工能力の格差が大き過ぎると、共同施工が著しく非効率になるとの問題点が従来から指摘されております。しかしながら、工事の内容によりましては、地元業者を含めたJVであっても円滑な施工が期待できないものかどうか、今後検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 岡崎産業部長。 〔産業部長岡崎豊之君登壇〕 ◎産業部長(岡崎豊之君) 16番藤井議員の御質問にお答えいたします。 経済対策の中で、融資制度の利用状況、資金の調達状況、金融機関の融資状況をどのように把握しているかという御質問でございます。 平成10年度の本市融資制度の利用状況につきましては、平成11年1月末現在におきまして、融資件数は 603件、融資金額は46億1,852 万円でございます。 なお、和歌山県信用保証協会で保証承諾された資金の調達、金融機関の融資状況につきましては、月々報告をいただき、把握いたしているところでございます。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 川口福祉保健部長。 〔福祉保健部長 川口三郎君登壇〕 ◎福祉保健部長(川口三郎君) 16番藤井議員の御質問にお答えいたします。 障害者プラン策定の進捗状況と予算の裏づけについての御質問でございますが、障害者計画の策定につきましては、全庁的な取り組みをしていますことから、現在、事務事業の検索や修正を重ねながら、障害者計画策定委員会で審議、検討をしていただいているところでございます。 したがって、今年度中に障害者計画を策定し、この計画の策定の実現に向け努力してまいりたいと思っています。 次に、介護保険にかかわって、介護を必要とする若年障害者について、障害者プランの中で介護に関する施策体系をつくっていく必要があるのではないかという御質問でございますが、介護保険の給付対象とならない若年障害者については、現在策定中の障害者計画に基づき、在宅福祉としてのホームヘルプサービス事業、デイサービス事業、ショートステイ事業を初め、福祉サービスの充実に努めてまいりたいと考えています。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 16番。 〔16番藤井健太郎君登壇〕(拍手) ◆16番(藤井健太郎君) 答弁いただきましたので、第2問を行わせていただきます。 絞ってさせてもらいたいと思うんですけれども、本市の経済状況の把握、どうしているかということでお尋ねをいたしまして、引き続き低迷し、厳しい状況にあるという認識を示されました。 抜本的な経済対策ということで、金融不安の解消、消費者の購買意欲の高揚を図るというようなお話でありまして、中小企業の融資制度市民生活の安定のための諸施策、これが新年度予算でどうなっているのかということは、また委員会等で論議をしていきたいと思うわけですが、答弁を聞いておりまして、建設部長は経済対策としての普通建設事業ですね、1月末で契約がざっと 124億円、うち地元業者と言われましたが、市内業者と見ていいんでしょうか、68億円ということで、全体の55%ということで、地元発注に努めるということ。それから助役は、官公需向けの発注については、年度途中であり集計はしていないというようなことを言われまして、それから産業部長も、融資制度の問題ついては、市長そのものは融資制度をどういうふうに具体的に考えているかということでは、その中身は示されずに、今後検討していくということです。 産業部長も、市の融資制度のことを言われましたが、県の保証協会の扱った状況は報告を受けているということだけでですね、じゃ実際に市内の金融融資状況や事業者の資金の需要状況はどうなっているのかということでのお話はありませんで、分析はされていないように聞こえました。 各部でこういうふうに情報をばらばらにつかんでおられまして、きちんとした分析や検討が加えられておられないのではないか。これでは適切な対応ができないということです。 どういう融資状況をするのかということ一つをとってもですね、市内の各事業者の金融状況はどうなっているのかということをリアルにつかまない限りは、それに見合った的確な状況も融資制度もつくれないというようなことになってきます。 まず、しっかりと市内の状況をきちんと把握をしてもらいたいということでありまして、官公需の発注もですね、市民の税金を使うわけですから、1問でも申し上げましたように、目的意識的に地場産品、また伝統産業の製品というものを市の発注の中でどのように取り入れていくのかというような目的意識的な方向というのも、打ち出す必要がやはりあると思うんですね。 そこで、今、和歌山市内、この庁舎の中では経済振興対策会議というのが設置をされておりまして、庁内の横断組織として、もう随分古くからあるわけですが、この庁内の組織が一体どうなっているのか。何を論議をしているのか。市内経済の現状分析をきちんと行ってですね、融資状況の調査であるとか、景況調査なんかも商工課でやっているわけですけれども、そういったこともこの会議できちんと論議がされて、分析をされているのか。各種資料や統計を出されておりますが、それらが果たしてどのように生かされているのか、この点について2問でお聞かせを願いたいと思うんです。 そして、平成2年から4年にかけて経済振興ビジョンというのをつくりました。当時は、平成6年に関西国際空港が開港する、世界リゾート博がある、そういうことを焦点に合わせて経済振興ビジョンに取り組んだわけですけれども、バブルの崩壊がありまして、結局この経済振興ビジョンというのもバブルになってしまいました。 現在、随分と様相が変わっているわけですけれども、この長引く景気低迷のもとで、どのように和歌山市経済の再生を図っていくことができるのか、そういうことで言うならば、先ほどさまざまな指標を挙げて市長も言われましたけれども、そういったことをもっとリアルに現状把握をしてですね、市民の皆さんにこういう方向で和歌山市の経済を再生していくんだというビジョンをやっぱり示していく必要があるだろう。再度、こういった経済振興ビジョンですね、絵そらごとに終わらないような、しっかりと地に足をつけた経済の再生につながっていくというビジョンづくりに取り組んでいく時期にあるのではないかと思うんですが、この点もお聞かせ願いたい。 そして、先ほど地元業者への発注や公共事業市内業者というふうに言われましたけれども、公共事業の金額全体が縮小してきておりますからね、先ほど68億円という話がありました、10年度はね。4年度、5年度というのは 1,000万円以上の契約でも優に 100億円はあったわけです。それがどんどんと金額として縮小してきてまして、50%台を維持していくとしても、金額としては減ってきているわけですよ。 だから、そこの50%にとどまるんではなくて、やはり70、80というふうに引き上げていくことが大事なわけですが、それを具体的にどうするのかということで言えば、地場産品の活用や市内業者、市内の資材を使うということで、河北コミュニティセンターというのが建設されようといたしておりますが、これはもうすべて市内の資材と業者を使ってつくるとか、スカイタウンに公営住宅の建設も計画をされておりますが、これも市内業者にすべて仕事をやってもらうというような思い切った手だてというのも必要じゃないかと思うんです。 建具や家具、ふすま、繊維、皮革など、伝統産業の継承、技術開発への支援策、ずっと回っておりまして、高齢者の方が建具や家具をつくっておられる方もありますが、20代、30代の若い世代の人が親の跡を継いで一緒に仕事をしているという姿を見ると、非常に頼もしく思えてくるわけです。こういった後継者対策についての系統的な支援策の確立ということもね、今までの従来どおりの施策を漫然とするんではなくて、そういう施策の確立というのも必要だろうと思うんです。 こういうことをきちんと経済振興対策会議で論議をしてですね、ビジョンを示していくということをぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、その点について聞かせていただきたいと思うんです。 住友金属の人員削減やリストラと労災の問題ですが、住友金属というのは和歌山県内でもトップクラスの大企業です。その企業がですね、人員削減をずっと進めているわけですが、これまでも市経済のことを配慮してほしいという申し入れを何度となく過去行ってきました。しかし、結果は、その企業の利益が最優先され、地域経済や地域社会への影響に配慮するということが後回しにされています。 建設業界ではですね、労災事故でも工事現場で死亡事故を起こせば、もう即指名停止処分ですよ。住友金属という大企業の中でそういうリストラや合理化の結果、こういう労災事故まで連続多発しているということではですね、自社の労働者を粗末にするような企業が、果たして地域社会にまできちんと目が行き届くのかどうか。世間の模範となるべき会社がですね、労働者の安全の確保、これは企業の責任できちんと進めてもらわなければ困るわけですし、地域社会にも社会的な責任を果たしてもらわないと困るわけです。 それは企業のことですから、そういう企業に対して行政がどう対応するのかということでいうと、市の方が住友金属よりもはるかに情けないんじゃないかと。これまでもですね、工場の沖出し移転中止のために、地元合意の状況についてどうなっているのか市は把握をしているのかとお尋ねをしますと、住友金属はそれは公表できないと言っていると、だから、公表できないんだというようなこととかですね、緩衝緑地がどうなっているのか、これを聞いても、議会から追及をされて初めて市が推進のために一役脱ごうかというようなことになってきているわけでして、労働災害の多発についてもですね、監督署や関係機関に指導を要請するというだけで、和歌山市から住金、しっかりせよと、どうしてるんやという、こういう一声もかけられないというのは、そういう行政の姿勢だから、大企業に対してもきちんとした対応ができないんではないか。市もしっかりとしてほしい。これは申し上げておきたいと思うんです。 次に、行政改革についてでありますが、行政改革の目的と目標ということについてお尋ねをいたしまして、行政改革というのは、決してそれ自身が目的や目標ではないわけですね。手段だと思うんです。ここのところをはっきりと据えておく必要があるんです。 どのようなまちをつくるのかという目標と目的があって、その目指すまちづくりに向けて行財政システムを変えていくというのが行政改革だろうと思うんです。 そういう点では、どういうまちづくりを進めるのかということは大いに論議をして、それを実現していくための行財政システムのあり方ということが行政改革であるとするならば、それは多種多様な行政改革のあり方というのがあるはずなんですが、しかしこれまで進められている行財政改革というのは、自治省の通達に基づく項目がありまして、それに従って一つ一つ点検をしいく、だから全国の自治体が一つの判で押したように同じような内容で進められているわけです。 その内容というのも、市民に財源の負担を転嫁をして、実質収支の黒字化を進めていくということが行政改革であるかのように今なっているわけですけれども、市長は「最小の経費で最大の効果を上げる」という基本理念、このように言われまして、これは何も期間を決めて集中的に取り組まなくてはいけないことではありません。通常、日常の行政の仕事をする中で、絶えず念頭に置いて取り組まなくてはいけないことで、また「後世代に過重な負担を残さず」とも言われていますけれども、もう既に現実に、今、和歌山市の財政は過重な負担になっているわけです。起債制限比率も14%を超えております。15%を超えると起債の制限があるわけでして、そうなりますと、市の行財政が自由にといいますか、起債を使った事業ができなくなる、市民生活にも不自由を強いる。 だから、既に、今現在、過重な負担になっているということについて、何ら反省されていないかのように見えるわけですが、市長は「財政の悪化は景気の変動や高齢社会の進展といった不可避的な要因も大きい。私の判断は誤っていなかった」こういうふうに言われまして、第1次行革が終わって以後、全体のですね、外郭団体の職員も随分とふえまして、外郭団体、非常勤、アルバイトを含めると、以前よりも和歌山市のね、人員を抱えるという人数でいえば、 200人近く膨らんできているわけですよ。市長自身の行財政運営そのものが今日の事態を招いているんだということをしっかりと認識をしていただきたいと思うわけです。 そこのところがありませんと、じゃ今後どうするのかという方向が見えてこないわけですよね。今のところは財政が厳しいから、ちょっとおとなしくしていようかと、そしてまたちょっと財政が豊かになってきたら、さあ、またどんどんと起債を、事業をふやしていって取り組んでいこうかと、それで財政が厳しくなったら、また行財政改革に取り組もうかと、こういうことになっていくわけですよね。だから、そこのところをきちんと押さえないとだめだと、そういうふうに思うわけです。 平成4年度から7年度までの4年間、財政調整基金が72億 4,400万円取り崩されまして、起債残高も一遍に 650億円ほど膨らみました。これは、9年度末残高の25%にも当たる金額がこの間ふえてきたわけです。 工事請負も、 1,000万円以上の分で 1,400億円を発注しておりまして、県内企業は 420億円で、発注金額の30%です。毎年 100億円の発注で推移をしてきて、8年度が93億円、9年度81億円、10年度これまでで、これは全体の 1,000万円以下も入るわけですが、68億円、こういう状況になってきているわけですよね。 法人市民税で見ますとですね、この4年間の合計が28億 9,100万円の法人市民税収があるわけですが、市外の法人は8億 4,600万円。法人市民税収、建設業ですよ、だからその30%ということになるわけですよね。請負金額は公共工事全体の70%を請負しているけれども、実際の税収では30%になって、県外への税金の流出の方が大きくなってきて、結局、県外業者に仕事をずっと振り向けていってもですね、和歌山市の財政基盤の強化にはつながっていないということが言えるのではないかなと思うわけです。 最近、ようやく公共事業のアセスメントということが言われておりますけれども、事前の事業は非常に丁寧に綿密に計算をされますが、その後の事後は「野となれ山となれ」というような、何度も繰り返しましたが、総括をされない行政。事後評価がない、事後審査がない。マリーナシティの造成にしましても、当時は和歌山市に50億の税収があるということが宣伝をされてやられましたが、この前の議会でも、1年間にわずか2億数千万、3億弱という税収しかないというようなことが、聞かないと答えないというね、こういった点の事後評価、事後審査というのをきちんと行った上で、「私の判断は誤ってなかった」というふうに言えるのかどうかということなんです。 そういう点で、「私の判断は誤っていなかった」と言い切るというのは、非常にひとりよがりであり、傲慢な態度ではないかなと。その結果をリアルに見詰めないとですね、今後どのように生かしていくのか、謙虚に見詰めていくという態度が為政者に求められていると思うんですが、その点、市長はどのように思っておられるのかね、結果を見てどういうふうに考えておられるのかという点を聞かせていただきたい、このように思うわけです。 市長自身が進めてきた施策に、所得制限を入れたり、廃止をしたり、中止にしたりということがありました。そういう点で、福祉予算をどう位置づけるのかということで聞かせていただいたわけですが、財政規模が縮小してくる中で、公共事業自身も縮小してきております。地元業者への発注も少なくなってくる。今現在、扶助費が結構大きくなってきているわけですが、それを行政改革の対象としてですね、削減を進めていくということではなくて、これをもう少し経済の活性化や景気対策にどう結びつけていくのかという点での再評価をしていくという点で、私は先ほど申しました老人医療や入院給食や障害児の補装具への自己負担の導入ということは、中核市としてもですね、和歌山市の景気対策、財政対策、市民の生活を安定させるという上でも、ぜひ見直しを進めていただきたい、見直しを求めておきたいと思います。 行政改革というならば、私はやはりどういう中核市をつくるのかという上では、これは市長や職員だけが決めるものではないと思っています。市民がやはりその中に参加をしていく、そういう中でどういう市政をつくるのか、その市政に見合った行財政システムをつくるのかというのは、やはり議会での論議は当然のことですが、市民の参加やそのための情報公開をどう進めていくのかということが不可欠の問題だと考えています。 前尾崎市長は、市民とのキャッチボールということを何回か言われましたが、結局前尾崎市長からボールを投げて、市民がそれをどう受けとめたのか、市民から返ってきたボールを尾崎前市長はどう受けとめたのか、こういったことを論議をした覚えがあります。 今回、市民参加条例というものを提案されておりますが、その中身を見ましても、市長が必要と認めたものだけについて市民から声を聞くと、こういうふうになっているわけですね。だから、市民参加という考え方をどういうふうに思っておられるのか。 よく住民自治という言葉があります。行政改革に住民自治ということをどういうふうに位置づけていくのか、そういう観点が抜けているのではないか。ここのところを市長はどう考えているのか。 浅井前助役がですね、市長代理者ですか、なったときに、「我々の主は市長ではない。主は市長だと思いがちだが、主の主は市民である」、このように言われまして、非常に名言だなと、そういうふうに思ったわけですが、そういうことをですね、市長はどう考えておられるのか。 それから、この点でもう一つ。行政改革でですね、「職員に財政状況に関する研修を行い、資料を配付して、職員の意識改革を図ってきた」、このように言われましたが、やはり市の職員というのは、市政運営において果たす役割というのは絶対的なものがあると思うんです。 意識改革ということを言うならばですね、尾崎前市長の時代に市の職員がみずからの子弟を市の職員に採用するためにわいろを贈った、こういうことは考えられないことですよね。公務員倫理の確立、全体の奉仕者としての気風づくりをどう進めるのか、こういう点とか、じゃ職員が本当にやる気を出して公務に取り組むということで、やる気をどう引き出していくのかというような研修こそ第一に考えなくてはいけないと思うんです。 そして、職員の専門性ですね、少子高齢化社会ということが言われておりますが、福祉の専門職員、社会福祉士や社会福祉主事の資格を持った人を採用する。せっかく社会福祉主事の資格を持って、さあ一生懸命やろうかと思っても、福祉から違うところへぽんと飛ばされてしまう。そういう資格を持っていない人が福祉の職場に来る。一から勉強しなくてはいけない。こういうことではね、福祉施策の継続性がないですよね。 そういう点では、福祉というのも技術職と同じように、ある程度の、いえば高度な専門性が必要なわけです。そういう点での職員配置を考えていくというのがやはり行政改革であろうと、そういうふうに思うわけです。 最後に、福祉行政についてでありますが、これは1点だけ、介護保険と福祉との関係です。 介護保険というのは、保険料を払って、1割自己負担をし、認定されなければ介護が受けられません。それでは、すべての人に必要な介護を保障するということにはなりません。そこのところをカバーするのが福祉施策です。 十分な福祉施策、受け皿があってこそ、初めて介護保険がうまく機能するわけで、介護保険をうまく機能させようと思えば、そういった福祉施策のすそ野がなければ、介護保険の保険料を払っても認定されなかった人、介護保険の保険料を払うのが困難な人、1割自己負担を払うのが困難な人、今現在、ホームヘルパー無料で来ていただいている人、たくさんあるわけですね。そういった人々がですね、有料になると、果たしてヘルパー頼むだろうか。頼まなかったら生活が困難になってですね、病院に入院しなくてはいけない、介護が必要になる、さらにますます介護費用がかかってくる、こういう悪循環にもなってしまうわけですから、福祉のすそ野を広くとらなくてはいけない。そこの基本的な考え方というのをはっきりと打ち出していただきたいと思います。 障害者福祉についても、若年障害者が介護保険の適用にはなりません、介護の必要な人については。だから、そこのところをやはり在宅介護をどうするのかということでは、さまざまな取り組みが始まっています。 今、中核市の幾つかで行われている事業として、24時間ホームヘルプ体制の確立、全身性障害者登録ヘルパー派遣事業などなど、さまざまな施策が、試みが始まっていますので、そういった点もぜひ研究をしていただきたい。 「日本一の福祉のまち」づくりと言うならば、今、全国の自治体が日本一の福祉は我がまちだということで名乗りを上げてきています。宮城県の浅野知事も、「どんなに重い障害を持っても、当たり前の生活ができる保健・医療・福祉の総合的な推進」ということで、24時間のホームヘルプサービス、バリアフリーのまちづくり総合計画、こういう具体的なビジョンを示して、これで日本一の福祉のまちにするんだということを皆、言ってきているわけです。 ところが、旅田市長はですね、その気構えと願望はあるかもしれませんけれども、これで日本一の福祉のまちにするんだというものをまだ見せてはいただいてないわけです。 そういう点で、「日本一の福祉のまち」と言う限りには、それなりのものをしていかなくてはならないだろう。今の厳しい財政状況の中でどうしていくのかということが、非常に難しい問題ではありますが、進めていかなくてはなりません。 そういうことを申し上げまして、私の第2問を終わります。(拍手) ○議長(浜野喜幸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕
    ◎市長(旅田卓宗君) 16番藤井議員の再質問にお答えいたします。 経済振興対策会議の問題でございますが、経済振興対策会議におきましては、国の経済対策を受けまして、本市として具体的にどう取り組むかを、あるいは市独自の施策、例えば融資利率の引き下げ等について議論を深めるとともに、実施方法について決定しているところでございます。 次に、市内経済の現状分析についてでございますが、毎年4月と10月の年2回、市内の事業所、商店等を対象に景況調査を実施し、その調査結果を分析し、報告書を作成するとともに、年4回、民間の調査機関に対し、地場産業の景況等について調査分析を依頼しております。 また、これらの調査結果を含む各種統計資料の活用につきましては、それぞれの担当部局において、事業実施に当たり参考資料として活用を図っております。 経済振興ビジョンの問題でございますが、和歌山市経済振興ビジョンは、平成4年3月に策定されたものであり、その当時と現在を比較すれば、本市を取り巻く経済環境は大きく変化していることは否めない事実でございます。これらの状況を十分踏まえながら、さきの経済振興ビジョンの内容を吟味しながら、新たな和歌山市経済振興ビジョンの必要性について調査研究してまいりたいと思います。 次に、経済振興対策会議で議論を重ね、展望を示してもらいたい云々の問題でございますが、経済振興対策会議は、本市の経済環境の変動に対応して、具体的施策について議論を重ね、実施決定をしている会議でありますが、今後なお一層の内容の充実を図ってまいりたいと考えております。 また、景況調査につきましては、現在、市内の製造業、卸・小売業、サービス業を対象に 500社を抽出してアンケート調査を実施しておりますが、今後調査対象や審議会の設置、意見を聞く場の設定について研究してまいりたいと思います。 さらに、さまざまな地場産品等々の問題でございますが、地場産業の技術の継承、技術開発への支援につきましては、付加価値の高い商品や新技術の研究開発、後継者対策や人材育成を重点施策として従来より支援しておりますが、国内景気の低迷が長期化する中、各種展示会等へ出展し、販路の拡大や経営の近代化を図るため、講習会、研修会等を支援しているところでございます。 さらに地域産業の活性化を図るため、各種施策を引き続き積極的に推進してまいりたいと考えております。 次に、今後の財政運営の問題でございますが、政策を決定するに当たりましては、その時々の経済・社会情勢などを踏まえた判断が求められるところでございます。 バブル崩壊以降の地方財政の急速な悪化が全国的傾向であることを考えれば、先ほども申し上げたとおり、本市財政の逼迫につきましては、不可避的要因が影響しているものと考えておりますが、現在の本市の財政状況が大変厳しいことは十分承知いたしておりますので、特に今後の公共事業につきましては、事業の必要性、緊急性の精査をさらに徹底するなど、将来的にできる限りこれ以上の過大な財政負担を招くことのないよう努めてまいりたいと考えております。 次に、行革について、住民自治という観点が抜け落ちているのではないかという御指摘でございますが、地方自治とは、地方公共団体による自治運営を指した団体自治と住民が参画し住民の責任による自治運営を指す住民自治の結合の上に成り立っております。したがいまして、行政改革を進めていく上で、市の現状と将来の見通しなど、市の情報をできるだけ市民の皆様方に提供し、御意見をお伺いすることが必要であると考えております。 本市におきましては、市民アンケート調査や、市民、各界の代表者などで構成されている行政改革推進懇話会からの御意見を行政改革大綱や実施計画に取り入れて推進しているところでございます。 また、市民の皆様方には、市の広報紙、インターネットなどによって情報提供するほか、行政改革一連の資料をまとめた冊子「和歌山市の行政改革」など、行政改革関連の資料を総務課資料コーナーで公表しております。 さらに、市民の皆様方の御意見は、市政モニター、市長への手紙などによりお伺いしておりますが、今後も行政改革を初め、市政を運営する上で、地方自治の本旨である住民自治を尊重して進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 舩野建設部長。 〔建設部長舩野 保君登壇〕 ◎建設部長(舩野保君) 16番藤井議員の再質問にお答えいたします。 スカイタウンに建設を計画している公営住宅建設もすべて市内業者に請け負わせることについてでございます。 平成11年度から20年度までにスカイタウンつつじが丘に公営住宅 200戸を建設する予定でございます。建設する公営住宅には、できるだけ地場産品等を活用するよう指導するとともに、分離分割発注に努め、できるだけ市内業者が受注できるようにしたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 小嶋総務部長。 〔総務部長小嶋秀三君登壇〕 ◎総務部長(小嶋秀三君) 16番藤井議員の再質問にお答えします。 職員の意識改革をどう進めるのかという御質問でございますが、行政改革の成功と市政の発展のためには職員の意識改革が不可欠でり、そのための基本は人事にあると考えております。 年功序列はある面では必要でありますが、一生懸命職務に取り組む職員、意欲のある職員は、年齢、年数にこだわらず、それにふさわしい待遇をすることが人事の活性化につながり、また職員の意識改革になるものと考えております。今後の人事管理では、このことを重視してまいたいと考えております。 さらに、職員研修においても、管理監督者研修の中で行政改革の必要性を取り上げるとともに、全職員を対象とした研修では、公務員としての自覚を高め、社会的責任を理解させ、自己研修に励むことを求めることにより、公務員倫理の確立や全体の奉仕者としての気風づくりに努めているところでございます。 今後も、職員の意識改革を推進するともに、士気の向上策として、適材適所の人事配置等に取り組みたいと考えております。 次に、福祉関係の専門職の採用との御質問ですが、最近では平成9年度で精神保健福祉相談員1名、発達相談員1名、平成10年4月には社会福祉士2名、介護福祉士1名を採用しており、この4月1日には介護福祉士3名の採用を予定しております。 また、介護支援専門員につきましては、保健所等の職員の中から資格取得に必要な研修を現在3名受講させておりまして、福祉部門の専門職の充実を図っているところでございます。 今後も専門職の採用につきましては積極的に行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 川口福祉保健部長。 〔福祉保健部長川口三郎君登壇〕 ◎福祉保健部長(川口三郎君) 16番藤井議員の再質問にお答えいたします。 介護保険の判定により対象にならなかった方々の対応についての御質問でございますが、先ほども市長からお答えいたしましたが、高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画策定の中で、福祉施策に遺漏のなきよう十分検討してまいりたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 16番。 〔16番藤井健太郎君登壇〕(拍手) ◆16番(藤井健太郎君) 最後に、市長にちょっとお尋ねをしておきたいと思うんです。 経済振興ビジョン、必要性について調査研究をしていくというお話でありまして、研究をする、検討をするという答弁でありまして、和歌山市の経済の再生ということでいいますと、かねがね今回の選挙戦においてもですね、市長はLNG火力発電所があれば、これを建設すればですね、一発で和歌山市の景気はよくなるとあちこちで言われておりまして、私も市民会館ですか、聞いてきました。これとですね、日本全国見て回っても、発電所で潤ったまちというのは余り聞かないわけですね。御坊も今、2つ目をやろうとしてますが、あそこは経常収支比率が 100%超えて、今、財政的には大変なことになっているまちです。 私はね、こういうところに期待をかけて、市長が本来もっと重視をしなくてはいけない市内の地元で根づいている企業、地場の企業、伝統産業、和歌山市の経済を長く支えてきた、そういうところを本気で何とかしていこうということを考えているのかどうか、そこの本音のところをひとつぜひ聞きたいわけです。 商店街を見て回りましても、空き店舗が非常にふえております。市場の中で30数軒あったんだけれども、今はもう2軒しかない。大家が、じゃもう取り壊したいという話が出てきてね、どうすればいいんだというような話もあるわけですよ。 その市場は、和歌山市が商店街の商店街診断をして、ああすればいい、こうすればいいということをいろいろ言うてるわけなんですが、しかし手助けは一つもしてないんです。実際にそれを救うための手助けというのは一つもしてない。口先だけの話になっている。だから、行政というのは当てにならないという話があちこちで聞こえるわけでして、そういうところに対して、各部局でいろんな統計資料をとっているわけですけれども、それぞれの事業の参考に資料としてということではなくて、やはり市の横断的な組織ですからね、縦割りで考えるんじゃなくて、横断的な組織として、具体的な施策としてどうしていくのかというのはやってもらわないと困るわけです。必要性について調査をするということではなくて、やってもらわないと困るわけなんです。もう遅いかもしれませんが、ぜひそれはやっていただきたい。 LNG火力に期待をかけている市長がですね、果たしてそういうことをやってくれるのかどうか私は心配をしておりますので、その点を聞きたいと思うんです。 もう一つは、行政改革と福祉の問題でありますが、地方自治の本旨という言葉を使われまして、住民自治、団体自治という言葉も使われましたけれども、それを本当に市政の根幹に置いていくということを思っているのかということなんですね。 これまでの行財政運営のあり方について、市長はまだ反省をしていません。「私の判断は誤っていなかった」と。ここを反省をすることによって初めて、じゃこれからどうしていくのかというような基本的な姿勢が出てくるのであってですね、住民自治、地方自治の本旨ということを据えて行財政運営のあり方を考えていくというのであれば、当然に市民の生活をどうするのか、住民の声をどう生かしていくのかというとこら辺が行財政運営の中心になるはずですよね。そこのところを本音としてどう思っているのかというところを聞かせていただきまして、私の質問を終わります。(拍手) ○議長(浜野喜幸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 16番藤井議員の再々質問にお答えいたします。 経済振興ビジョンの問題につきましては、やはり短期的に取り組むべき課題、あるいは長期的に取り組むべき課題、そういうふうなさまざまな問題がありますので、今後調査研究し、前向きに取り組んでまいりたいと思います。 LNG火力発電所の問題がございましたが、私は約1兆円のLNG火力発電所でこの和歌山の経済を一発で回復する大変なカンフル剤になると、そう信じております。 現に、和歌山市内の各商店街、地元企業等の皆さん方からも早期着工を求める声をたくさんいただいております。 また、住民自治の問題について、市政の根幹に置いているのかという御指摘でございますが、そのようなつもりで、今後ともなお一層努力をしてまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) しばらく休憩します。    午前11時53分休憩    --------------    午後1時12分再開 ○議長(浜野喜幸君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の議事を継続し、質問を許します。 田上武君。--21番。 〔21番田上武君登壇〕(拍手) ◆21番(田上武君) 議長のお許しをいただきまして、質問に入らせていただきます。 まず初めに、雑賀崎のお台場について質問をさせていただきます。 台場というのは、江戸時代終わりごろから異国船の襲来に備えて各所の海岸に設けられた砲台のことで、普通「お台場」と呼ばれています。嘉永6年、1853年、ペリー来航によって驚いた江戸幕府が、翌7年に品川沖に何カ所か構築した品川台場が最初と言われています。 県内でも、紀州藩が紀淡海峡に進入する外国船、黒船を防ぐため、和歌山市内だけでも41カ所建設されたと書物に記されております。 昨年2月、現存する唯一のお台場が66年ぶりに再発見されました。発見したのは、地元雑賀崎の住民の方々です。雑賀崎の名勝「番所の鼻」の北側にある通称「台場の鼻」と言われるところです。確認されたお台場は、嘉永7年、安政元年から2年にかけて築かれたと見られております。 昭和6年に県の調査で速やかに史跡に指定すべきと報告されていましたが、その後も指定されないまま、木々が生い茂り、一部の石垣は崩れていました。 その後の専門家の調査で、お台場入り口の土塁や関連施設の石垣が相次いで見つかり、全容が明らかになってきました。関連施設は、防風やお台場の中を隠すための壁ではと見ています。 それらは、部外者にのぞかれないための蔀--これは昔、日覆いや雨よけのための戸だそうですが--や城壁、陣営の門で曲がって出入りするようにした要所の出入り口に虎口、和歌山城と同じ算木積みの石垣などと見られ、専門家により他の代表的なお台場に見られるような周辺施設があったということがわかり、十分にお台場と言われる条件が満たされていることが判明いたしました。 このことにより、県教委も調査を進め、史跡として保存に努めるよう市に指導していきたいとし、市教委も、むやみに開発されないよう遺跡登録した上で、今後の保存方法を検討したいと新聞報道されておりました。 平成10年6月1日付で市教育長より県教育長に対し遺跡発見の通知について依頼書を提出され、文化庁長官あてに進達をお願いしてまいりました。6月12日付で文化庁から確認したとの通知があったそうです。 この間、地元連合自治会員や雑賀崎の自然を守る会員さんたちが、県の許可を得て周辺整備、雑木を伐採したり、通路をつくったり、清掃したり、また勉強会やお台場発見の報道により多くの人々を関心を呼び、現場を訪れる人々に対応されてきておりました。 そして、市教委などに調査と文化財指定を要望されてまいりましたが、市当局はどのようにこの要望にこたえられるかお聞かせ願いたい。 ここで、この冬一番の寒波襲来と言われた2月2日、3日に、私は鳥取県の大栄町と境港市に国指定の史跡としてのお台場が公園化されている、そして多くの町民や市民に親しまれている、また多くの観光客が来ているということを教えられまして、大栄町と境港市に行ってまいりました。若干、報告をさせていただきたいと思います。 まず、大栄町では、2月2日、ちょうど教育委員会の町長査定がありました。しかし、私が行くという時間帯に休憩をとっていただきまして、教育長みずからが応対をしていただきました。 これは、由良の台場として鳥取藩が雑賀崎と同じような時期につくり上げられたという説明を受けてまいりました。この歴史的景観を保存するために、多くの町民が協力をしたということも伺いました。 そして、大栄町は多くの若者がやはり流出していく、こういう状況の中で、郷土を愛する心、郷土を誇りにする心の教育の場として、このお台場を利用させていただいております、こういうお話でありました。 そしてまた、今はJRになっておりますが、鳥取県の「国鉄の駅」というシリーズの中に、このお台場を誇らしげに表示をしているわけです。 「台場は、大正14年に由良町に払い下げられた以後、台場内部の東西80メートル南北42メートルの広場は町民の憩いの場として、運動会、各種催しなど利用されている。お台場からの景観は雄大で、夏の日本海はどこまでも青く、東に長尾鼻、西に赤碕港が一望できる。原形が完全に保存されている台場は全国的にも珍しいという歴史的価値のある遺構で、同時に町民の憩いの場でもあるという、大栄町が他市町村に誇る町のシンボルの一つである。」このように記されております。 そしてまた、教育長は一つの教育の場として、「これらの台場は文久3年6月に工事にかかり、翌年の2月にはほとんど完成している。この工事に動員された農民は、鳥取藩史によると17万 5,700名に及んだと言われる。」これは大栄町史に記載されている。 「そのころの人夫賃は、普通1日に米2升が相場だったが、このときにわずかに1升しか支給しなかったという。財政の苦しい藩としては、無知の農民を人夫として動員するために、現実以上に外国船襲来の危機感を駆り立てるような誇張した情報も流していた。お国の大事ともなれば、賃金の額などを言い立てることもなく働かされていたのは、前の大戦で『本土防衛のため』と言って動員された国民のことを思い出す。」これは大栄町史にも載せられているわけです。 したがって、この現在親しまれている台場は、そのころの土地の人々が血と汗で、そして動員され、短期間のうちにつくり上げられた、こういう歴史も含めて、教育の場として残しているというのが大栄町でありました。 また、境港では、台場公園記念植樹という公園化をする中で、昭和61年の4月に当時の市長がこう述べております。 「観光資源に恵まれなく、史跡の乏しさを嘆く本市で、台場公園はかけがえのない文化遺産であり、憩いの場であります。かつては小学校生徒の競技会の場であり、子供心にも鮮烈な印象を残しております。幸いに、昭和会の皆様」--いわゆる保存の市民の会だそうですが--「善意によって守られてきましたが、北側高台は国の財産として鉄条網が張られて市民は入ることができませんことに限りない怒りを感じておりました私は、昭和58年に1億 3,400万円で国から土地を買い、59年度からだんだんと工事をしてまいりました。」このように、当時の市長が国有地を1億 3,000万有余で買い上げ、そして公園化に踏み切ったそうです。 ここは境高校という高校がありまして、市長も御存じのプロ野球の阪急ブレーブスの米田投手がここで練習をし、そして彼がホームランを打つ、そのところが酒蔵であるわけですが、今、水のない水族館ということで利用されております。その屋根に当てるのを楽しみにしていたと、こういうことで、昔から多くの市民の遊び場であり、また競技場であったそうであります。 そういう大栄町、境港市に共通するものの一つに、このお台場をかけがえのない文化遺産として誇りにしていることです。境港では、だれも台場と言わないそうです。懐かしみ、そして敬意を表する意味で、お台場と言ったそうです。そのお台場が全国に波及したと、こういう誇りを持っているようでございます。台場をかけがえのない文化遺産として誇りにしていることです。したがって、永久保存に力を注ぐと同時に、多くの人々に知ってもらう努力をしていることであります。 本市も、この雑賀崎台場の歴史と意義を説明した案内板等をよくわかる場所に立ててもらいたいが、いかがでしょうか。 また、観光パンフなどで市外の人々にも知ってもらうよう広く紹介するべきだと存じますが、いかがなものでしょうか。 次に、境港市長のあいさつ文の中にあったように、台場の土塁を含め、広大な国有地であったものを市が買い取りました。地元行政の努力がうかがえます。 雑賀崎お台場も国有地であります。昨年2月再発見後、この土地が農地として民間に所有が移されるということなので、早急に各関係方面に適切な措置をとられ、保存に努められるよう切望するとの書面を雑賀崎地区連合会長名にて前市長に要望してきたところであります。 現在、県の管理委託地だと農林水産省の関係者より聞いておりますが、市においてこの土地をぜひ買い上げていただきたい。費用対効果でいくと、はかり知れない価値があると存じますが、いかがでしょうか。 最後に、遺跡公園として、憩いの場として整備保存していただきたい。 東京品川第3台場は、整備され、若者や家族連れでにぎわっています。現在、東京都では、臨海副都心開発事業でこれらお台場地域を「生活の質の向上、自然との共生」を掲げ、豊かな緑と水辺環境のもとで多様なライフスタイルを楽しめる副都心像を掲げて、整備に着手するとしています。そのため、自然を生かした交通アクセスが可能かどうか、鳥取県の紹介で大栄町に視察に来たそうであります。これもまた、大栄町の教育長の自慢の一つであります。 このような1万弱の町に日本のトップの都市から視察に来た、そういうことで、この台場というものをやはり町の宝として誇らしげに私に紹介をしておりました。 その東京都の目的の一つに、臨海副都心を価値あるものとするため、都民の理解と協力を得て、参加と連携によるまちづくりを進めるためだそうです。 大栄町も境港も、古くから町民、市民に親しまれた場所であり、今日までの保存も、市民の協力を得て国指定の史跡が実現された歴史を持っております。 そして、これも共通することは、眺望のすばらしいことです。当然のことであります。一番見通しのよい箇所に砲台を置いたのですから。しかし、品川や鳥取県の台場は平地です。それでも一番の眺望のすばらしいところです。 まして、我が雑賀崎は、今さら言うまでもなく、眺望がすばらしく、自然が多く残っているこの場所を生かすには、遺跡公園として活用するのが一番だと思います。 そして、構想や整備の段階から地元住民が積極的に参加するワークショップ方式を採用してもらいたい。 以上でお台場の1問を終わりまして、次に埋め立ての件で質問をさせていただきます。 雑賀崎埋め立てについては、昨年3月、同じ時期に前市長に対して質問をさせていただきました。その後、環境庁からの意見もありまして、県においては、審議会を通じて景観に対して今日まで来られているそうでありますが、私は、旅田市長が公約や、あるいはさきの臨時市議会、あるいは記者会見で述べられておりますので、重複は避けたいと思いますが、この2月17日に国会において我が民主党の山本衆議院議員が雑賀崎の件で質問をいたしております。 質問の要旨については、景観、環境保全、通称一文字堤防から西側の埋め立ては禁止すべきという1つ目であります。これは、私も3月にそのような主張をさせていただきました。 2つ目は、今回の港湾計画の問題点として、安易な埋立計画の典型であるとしております。きょうはこの部分は外させていただいて、景観面からの質問にさせていただきたいと思います。 そして、3つ目は、合意形成をめぐる問題点として、地元合意なきものは認められない。 4つ目に、環境庁がとるべき対応について、環境庁としての意見表明を求める質問をしたところであります。 この環境庁長官の答弁は、新聞によって報道されておりますとおりであると思います。 そして、2日後の19日に長官みずからが雑賀崎に視察に来ております。これは非公式だそうです。自分が国会答弁したものを、百聞は一見にしかず、現地を見なければ、自分の言葉としては語れないという信念だそうです。そして、視察に来、国会答弁と同じ所感を述べているわけです。それが、2月23日に閣議後の記者会見でそのように述べられております。 そして、2月26日に参議院予算委員会環境分科会で、昨年末視察に参りました京都出身の参議院議員が、改めて長官に対して実地の視察の感想と、そして新たな長官の考えを聞いているところであります。 1点紹介いたしますと、山本衆議院議員は真鍋長官に対して、去年の12月24日に瀬戸内海環境保全審議会というのが開かれ、瀬戸内海の環境保全審議会の総会で出されていること、これはやはり環境庁も守ってもらいたい、こういうことであります。 その審議会の意見として、埋め立ては水質の悪化、生物の生息、生育環境等の生態系の変化、自然景観の改変、海との触れ合いの場の減少等々ずっと挙げて、埋め立てを抑制するための方策を幅広く検討することが必要だというふうに審議会は去年の暮れに言っているわけです。 それから、またその中に、住民参加の推進として、瀬戸内海の環境保全のための施策の推進には住民の理解と協力が不可欠であり、そういうために住民の参加の推進を図るべきだと、こういうことがこの審議会でも出されているわけです。 そこで、山本議員は雑賀崎を視察した当時の気持ちを述べながら、真鍋長官がそれに対して、山本議員の意見を伺っておりまして、「我々が肉眼で現地で見た印象というものが大切なものだ、私はこう思っているわけであります。それほどの景観の地をなぜ埋め立てなきゃならないのかという、その疑問の心を私は大切にしていきたいと思っております。」こう長官が回答しているわけですね。 そして、「環境庁というのは、運輸省から協議があった際に、事業の必要性や環境保全への配慮など、十分な審査を行うということになっておりまして、これが先ほどからお話ししているように、少し温度差がありまして、環境庁としての意見を出すのが遅きに失するような感じがしてならないわけです。できることなら、もう少し早い段階で環境庁の意見が出せるよう対応してほしいし、そうしたら、瀬戸内環境基本法というものが大きく生きてくのではないだろうか、こんなことを思っておるところであります。」このように長官が答弁をいたしております。 そして、視察後、記者会見、あるいはそれらを含めて、福山参議院議員が質問に立っております。「先日、長官が現地を視察したと聞くが、現地を見た感想はどうか。」これに対して、「雑賀崎地区の灯台や田園から周囲に広がる海と島々の景観を視察し、瀬戸内海国立公園にふさわしい景勝の地であると感じました。」 そして、「今後この問題にどのように対処していくのか」という問いに、「この問題については、一昨年の中央港湾審議会で環境庁として景観上の観点から計画の再検討が必要と指摘したところです。これを受け、和歌山県は景観の専門家等により計画の再検討を行っていると承知しております。環境庁としては、さきに指摘した点が計画にどのように反映されるか、この検討状況等を注視しているところであります。また、その一環で、私としても実態の熟知のため、現地を非公式に視察したところです。いずれにせよ、再検討された計画については、今後県から十分に説明を聴取し、景観と環境保全への配慮などについて、十分に審査を行ってまいります。」 さらに、「環境庁として、地元の意見が十分に反映されるよう配慮すべきではないか」という問いに対しまして、「港湾計画は、一般的に地方港湾審議会などを経る中で、地元の意見を取り入れつつ、その必要性や環境保全について吟味が加えられて立案されていくものと考えております。再検討される案については、地元の意見の反映の場である地方港湾審議会で環境保全等につき適正に論議されるものと考えております。」 そして、最後に「いずれにせよ、環境庁としては、環境保全への配慮などについて十分な審査を行っていく考えです」と閉じているわけです。 そして、その後、和歌山の弁護士会からも意見書が市長に提出されておるかと思います。 まず初めに、この環境庁長官の衆参両院における発言、そして視察後の記者会見の発言内容、あるいは弁護士会からの意見について、市長はどのように感じられておるのかお伺いをいたしまして、第1問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(浜野喜幸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 21番田上議員の御質問にお答えいたします。 雑賀崎の埋め立ての問題でございます。 本埋立計画につきましては、景観に関する環境庁の意見を配慮する中で、平成9年12月に運輸大臣から県知事あての通知の中で、「原案のとおり、おおむね適切である。ただし、雑賀崎前面の埋立計画について、瀬戸内海国立公園の特別地域に隣接していることから、景観の保全についてさらに検討されたい」旨の意見が付されました。 これを受け、県におきましては、和歌山下津港本港沖地区景観検討委員会を設置し、景観について修正案を含めて種々検討がなされているところでございます。 環境庁長官の発言趣旨としましては、地元意見等を取り入れる中で、港湾計画の必要性と景観保全について十分議論がなされた上において港湾計画の見直しを図るべきだとの見解だと考えてございます。 また、和歌山弁護士会からの意見につきましては、さらに検討していくべき課題も含まれていますが、計画段階での市民参加や情報公開につきましては、積極的に行っていく必要があるものと思っております。 環境庁や弁護士会の御意見につきましては、謙虚に受けとめ、景観面を含めて柔軟に対応されるものと考えております。 したがって、私といたしましては、本埋立計画に関して、港湾整備の必要性と建設残土等の最終処分場の確保について認識しておりますが、市内で有数の景勝地である雑賀崎周辺の景観保全に最大限の努力をすべきものと考えており、まず北港地区周辺で考えられないか、それが不可能ならば、雑賀崎工業団地の北西端から西防波堤沖埋立地の西端を結ぶ線の内側が望ましい旨の要望書を去る2月15日付で県知事あて提出しているところであり、今後とも景観面での方策について検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 山口教育長。 〔教育長山口喜一郎君登壇〕 ◎教育長(山口喜一郎君) 21番田上議員の御質問にお答えいたします。 旧徳川藩末期の雑賀崎のお台場跡につきましては、ただいま議員からの御紹介がございましたように、かつて地元の研究者の発見以後、そのままになっておりましたが、昨年の2月、地元の方々によって再発見され、昨年の2月と3月に地元住民の皆さんから前市長あてに遺跡保護の要望が出され、それを私どもが受けまして、文化庁に申請いたしました結果、昨年の6月に「周知の遺跡」として確認通知が得られたところでございます。 史跡となり得るような文献資料調査、附属附帯調査、国有地以外の周辺部測量調査等の資料化に努める必要があり、目下のところ、これらの資料化整備を進めている現状でございます。これらの資料化が整いますと、それに基づいて測量調査等を実施してまいりたいと考えております。 お台場に見られる「周知の遺跡」、すなわち遺跡として確認されている文化財は、市内に約 400カ所以上ございますので、文化財としての優先度も勘案して、整備、保存を検討し、取り組んでまいりたく考えております。 したがいまして、お台場の案内板、パンフレット作成、遺跡の公園化は、そうした条件が整い次第、進めてまいります。 また、地元関係者の保存と活用についての計画案参加につきましては、議員御提案の地元住民の参加するワークショップ方式を取り入れるなどして進めてまいりたく考えております。 お台場跡地の買い上げによる保存につきましては、国との協議が必要でございますが、旧所有者がございますので、払い下げについては、これが優先されることとなります。 旧所有者との関係がなくなれば、貴重な文化財の保存という観点から、議員御提案の趣旨に沿った取り組みを検討してまいりたく考えております。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) 21番。 〔21番田上 武君登壇〕(拍手) ◆21番(田上武君) それでは、再質問に移らせていただきます。 まず、逆になりますが、市長答弁がありましたので、先に埋め立ての問題に移らせていただきたいと思います。 過日ですね、NHKのニュースの中で、特集としてこの埋立問題が解説をされておりました。いわゆる埋め立てについて企画、計画、実施と、この3段階でそれぞれ審議会等々が設けられておるわけですが、環境庁の意見の言うべき場というのは、従来は実施段階のみであったという先ほどの長官の発言にもあったとおりです。それの端的な一番大きな問題は、諫早湾のあの埋め立てであったわけです。環境庁が物を言ったときにはもう既に遅く、あのギロチンのようにばんばんばんと落とされる光景を見て、多くの国民が心を痛めたわけです。環境庁も、これではだめだというのが先ほどの長官の発言でもあるわけです。 したがって、少なくとも計画段階で物を言いたい、これがさきの名古屋の藤前干潟の件です。これから21世紀は「人権と環境の世紀」と言われている中で、環境庁も国の環境行政も前へ前へと出ざるを得ないという状況の中で、藤前干潟について、実施ではなしに、計画段階で環境庁として物を言った、これが前進のあかしだということであったわけです。 しかし、雑賀崎については、国の環境行政として企画段階で物を申したということに対して、NHKの解説でも特に評価をしているわけです。日本の環境行政がそれだけ前に、企画段階で物が言える、言わなければならないという今日の状況の中で、環境行政もそこまで進んできた。だから、この雑賀崎問題については、一和歌山の、和歌山市、県の問題ではなく、全国周知の中で、注目の中で、これからこの埋立問題が論議をされていくわけです。 ですから、従来のように、密室で、施行する側の論理だけがまかり通るような審議会ではもうだめだということをやはりきちっと押さえなければいけないと思います。 前の市長にも聞いていただいたんですが、ぜひ旅田市長にも聞いていただきたい小冊子がございます。これは前衆議院副議長の鯨岡兵輔さんが定期的に出している小冊子だそうです。昨年の正月、最新の41号が届いたということで紹介しているのが、毎日新聞顧問の岩見隆夫さんであります。「へそ」という題だそうです。 「このごろの世相をみて、つくづく『だんだんは怖い』という感を深くする。『だんだん』はいつの間にか、である。急な変化は目につきやすいから、誰でもこれに注意を払う。しかし、だんだんは文字どおりだんだんだから、変化を見逃すことになる。そして、気がついたときは、それを元どおりにするのは不可能なことが多い。」このように前段で言っているわけです。 本題の「へそ」です。「この夏、へそを出して町を歩いている女性を何度を見た。去年も見たが、その数は今年よりは少なかった。この分だと来年はもっと多くなって、驚くにあたらない。当たり前のことになるのかもしれない。へそを見せる服装など……。と鯨岡は暗たんとした思いをつづっている。」こう岩見隆夫さんが述べているわけです。 これをこの雑賀崎水軒浜の埋め立てに当てはめてみますと、昭和36年、あの水軒浜を埋め立ててまいりました。5次にわたって、今日一文字の中を、あの広大な土地が、海が、埋め立てられたわけです。だんだん、それこそだんだんとです。1次、2次、3次、4次、5次、そして6次と言われる今回の埋め立てがなぜあそこに出てきたのか。このだんだんがなかったら、普通の人間なら、あんなとこを埋めるというようなことをだれも感じないんです。しかし、だんだんと埋め立ててきて、金属団地から目と鼻にあるから、埋め立てるということになってきたんだと思うんです。もとの水軒浜があって、なぜあそこに島をつくるというような、そんな人間はだれもおらなかった。このように私は感じているわけです。 ですから、だんだん埋め立てられていったら、もうそのときには取り返しのつかないことになってしまう。復元するのは不可能であるというのがこの鯨岡さんの意見だと思います。 そこで、昨年の2月議会にも述べましたが、どんな大義があっても、これ以上踏み込んではいけないという一線があるはずなんです。今まで埋め立てを容認してきたから、これもせないかんということにはならないわけです。それが今回の埋め立てだと思います。 国立公園は我々がつくったものでありません。太古の昔から自然にでき上がったものを、このわずかな私たちの存在する30年、40年でつぶすということがあっていいんだろうか、またそんな資格がどこにあるんだろうか、そのように思います。 雑賀崎は和歌山の宝、日本の宝と言われる国立公園。したがって、この国立公園を経済の振興や地元の活性化という名のもとにつぶしてしまうということには、到底我々は納得いくものではございません。 今、約11万名の署名が集まっているそうです。ですから、私たち市民クラブも、今回の埋め立てについて、もうこれ以上踏み込んでもらいたくない、改めてこれが地域住民の声であり、私たち地元の声として重く受けとめていただきたいというのが私たち市民クラブの総意であるわけです。 もうこれ以上埋め立てないでください、海をもとの自然に返してくださいというこの声をどう判断されるか、肉声で市長にお答えをいただきたいと思います。 次に、お台場です。 先ほど教育長の答弁で、前に研究発表して、その間何もされずに来ておったと、こういう趣旨の話があったと思うんですが、そうじゃないんですね。 あなたたちの先輩の社会教育課長、当時昭和33年、児玉宏達さんという方が「和歌山市文化財現地調査記録第1集」ということで出しているわけです。この中で、「雑賀崎のごとく海岸にあって絶壁をなし、島しょうとなり、岩礁を形成している景観は全国どこにも見ることができない。そういうことの中から、これを長く保存し、隠れた文化財も数多く和歌山にはあります。しかし、現地調査を実施し、こうした文化財の保存、検証にも努めてまいりました。したがって、本書を通じて、共有の財産である文化財を広く理解し、愛護する上にいささかなりとも資することがあれば幸いと存じます。」ということで、教育委員会の先輩が調査をされているわけです。昭和33年です。3年かかってやったそうです、30年から。 ところが、今、答弁がありましたように、その後教育委員会として何らこの後追いをしていないという実態があるわけですね。昭和33年、昭和36年の安保、37年の三井、この激動の時代にですよ、高度成長に入る中で、心の問題を我が和歌山市教育委員会が忘れたんではございませんか。 心より物、私らもその時代に生きてきたわけです。食べたいときには物なかった。食べたいと思っても、物がないから食べられない。今は何でも食べられるんです、金さえ出せば。ところが、体が受けつけない。物というのはそういうことですよ。しかし、心は末代まで引き続いて、引き継いでいけるもんなんですよ。教育委員会も高度成長にかぶれてしもうて、物になってしもうたと、こういうことだと思いますよ。 そして、今、もう一つ、 400ほどそういう遺跡があるというわけですね。それで、優先順位と。 400も遺跡のある市というのは、全国でも数ないと思います。貴重な我々は和歌山市に住んでいるという誇りを今、感じているところなんですが、しかしそれに順番があると、こういうことなんですね。 古いものだけがいい、古代の生活様式あるいは縄文、弥生、いろいろのそういうものがございます。それぞれ分野において教育的価値がある。しかしね、このお台場について、ここに議会の図書にある「日本の歴史19」、この1冊でね、19あるんですよ、ずっとこう。この1冊に、この幕末の激動の時代ということで、この1冊がその15年間に凝縮されているんです。 この中で、「嘉永6年(1853)のペリー来航から慶応3年(1867)の王政復興のクーデターまで、その間わずか15年にしかすぎない。この書物は、主としてこの15年を対象として述べた。わずか15年ではあるが、まことに激動の時代、動乱の時代であった。日本歴史全体の中で、このような激しい動きを示した時期は少ない。」こういう時期であるわけです。 そして、ペリー来航で泡を食った徳川幕府が、それぞれの国土に二千数百カ所の砲台を要請したそうであります。そのうち、和歌山市は41、そして残っているのが1つ、こういうことですね。 この15年間の動乱の中で、いろんな事件が起こっております。いろいろ難しいことを言うてもわかりませんが、一番映画でわかりやすいのは鞍馬天狗、これが活躍した時代ですね。新撰組、西郷隆盛等々、この15年間に凝縮されているわけです。その時期にできたということで、市長にお尋ねしたいわけなんですが、徳川 300年の夢敗れて、鎖国から開国に向かうこの15年間のあかしとして、唯一保存されている、現存するこのお台場を何とか保存を心がけていただきたい。 いま一つは国有地であるわけです。民間に払い下げられるという、農業委員会でそのような話があったように仄聞いたしております。民間の手に渡れば、またそれだけ難儀するわけです。 ですから、どうか鎖国から開国へのこの15年間の動乱の世界で、あかしとして、このお台場をですね、何とか活用していただきたいと思うんです。 もう一つ、大栄町でこういう日本一の何とかって言うて、「ぐるっと大栄町日本一」とあるわけです。ここにお台場ということでですね、「当時、鎖国していた日本国に開国を迫るため来日した異国の黒船を追い払おうと建設したもので、大栄町で鋳造した大砲を備えていた。でも、一度も実戦使用されなかった。いいことです。百聞は一見にしかずだ。お台場に立って、目前に広がる日本海を眺めたら、君は終末の動乱期にタイムスリップしちゃうかも」ということで、子供向けに出しているわけです。ロマンを求めているわけですね。 しかし、片方では、先ほども申し上げましたように、地元の人らを安い賃金で働かせてつくった。それも一つの勉強の材料にしているわけですね。 だから、雑賀崎も、少なくとも雑賀崎の漁民の皆さんや大浦周辺の方々が安い給料で、徹夜でそれこそあれをつくり上げたと思うんですよ。だから、そういう歴史と意義を持った、もう唯一残されているお台場を何とか和歌山市の手で保存、そして公園化していただきたいし、民間に渡る前に、市でですね、国と話をして、払い下げてもらうような具体的な努力をしていただきたいと思います。 いろいろ言いたいことはあるんですが、約束の時間も来ておりますので、最後に市長に、それと先ほど申し上げました、市民クラブが総意でですね、感じている、もうこれ以上埋め立てやんといてくれと、一文字の外へ出やんといてくれという声に対して、肉声でですね、ひとつ御答弁いただけたら幸いと存じます。 以上で終わります(拍手) ○議長(浜野喜幸君) 旅田市長。 〔市長旅田卓宗君登壇〕 ◎市長(旅田卓宗君) 21番田上議員の再質問にお答えいたします。 雑賀崎の埋め立ての問題についてでございますが、雑賀崎の海を守る田上先生の熱情あふれる肉声に、私も大いに共鳴するものでございます。 今後とも田上先生の御意見も踏まえ、先ほどもお答え申し上げましたとおり、私の主張を県に対して強く訴えてまいりたいと、そう考えております。 次に、お台場の保存の問題でございます。 平成10年6月に遺跡としての確認を文化庁から通知を得たばかりでございます。史跡としての指定等を図る上では、今後文献資料の整備や附属附帯施設や周辺の調査等を備える必要があり、目下のところこれらの調査を進めておりますが、調査の速度を早めたく考えております。 山林、雑木化している現況の整備や案内板の設置といった活用を図るためには、用地費、進入路確保、復興経費等、膨大な経費の確保が必要であり、文化財保存整備の優先度合い及び経費等を勘案しながら、整備や活用を考えてまいりたいと思います。 お台場跡地を市が買い上げて保存することにつきましては、遺重な文化財保存という観点から、ぜひ前向きに検討してまいりたいと思います。 以上でございます。 ○議長(浜野喜幸君) お諮りします。 本日の会議はこの程度にとどめ延会し、明3月6日、明後3月7日の2日間は休会とし、3月8日午前10時から会議を開くことにしたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(浜野喜幸君) 御異議なしと認めます。 よって、そのように決しました。 本日はこれにて延会します。    午後2時07分延会    -------------- 地方自治法第123条第2項の規定によってここに署名する。  議長  浜野喜幸  議員  宮本廣次  議員  井口 弘  議員  角田秀樹...