2021年03月04日:令和3年第1回定例会(5日目) 本文 ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 午前10時00分開議
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◯ 議長(坂井芳浩議長) おはようございます。これより本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配付のとおりであります。
日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。
本日の
会議録署名議員は、14番、山本敏昭議員及び19番、原真也議員を指名いたします。
日程第2、一般質問並びに質疑を行います。
議案第1号から議案第48号まで及び諮問第1号を一括議題といたします。
順次発言を許します。8番、
野村雄太郎議員。
〔8番
野村雄太郎議員登壇〕
◯ 8番
野村雄太郎議員 おはようございます。市民クラブの野村雄太郎です。このたびは、金融業界で働く方からの要望であったり、私
自身ファイナンシャルプランナーとして危惧していることがございますので、多少専門的な部分も領域展開いたします。それでは、通告に従い質問をさせていただきます。
大項目ア、
金融リテラシーの向上に向けた取組についてお伺いいたします。まず、
金融リテラシーという言葉についてですが、その定義は一義的なものではなく複数の定義が存在していますが、OECDでは、それを金融に関する健全な意思決定を行い、究極的には金融面での良い暮らしを達成するために必要な金融に関する意識、知識、技術、態度及び行動の総体を指すと定義されています。この定義を前提として質問をさせていただきます。これまで日本では、勤勉に働き、預貯金をしておけば退職金と年金の支給により、老後の生活に困ることはなかったと言われております。とにかく働いて給料を稼ぎ、預貯金に励み、ローンを組んでマイホームを建て、退職金と年金で老後の生活を送る。このような価値観が当たり前だった時代を生きてきた世代の方は、金融知識というもの自体が必要とされませんでした。そのため、国においても、家庭においても、投資や金融に関する教育がなかったものと思われます。現在、日本では個人が保有する資産のうち、現預金の割合が諸外国と比べても高いことが知られていますが、この要因の一つとして
金融リテラシーの低さが考えられています。
金融リテラシーが低いために必要以上にリスク回避的な金融行動を選択し、現預金の割合が高い可能性が指摘されているのです。日本銀行の調査によると、2018年の家計の金融資産構成は、預貯金が日本は52.5%、アメリカは13.1%、投資信託、株式といった運用資産が日本は16.2%、アメリカは53.9%と随分資産構成が異なっています。その結果、1995年からの20年間で家計の金融資産の伸び率は、日本は1.5倍、アメリカは3.3倍と大きな差が出ています。この差は主に運用益の差と考えられており、欧米ではあり得ないような超低金利の金融商品が日本では今も盛んに買われている現実があります。日本が金融立国を目指し、2001年に貯蓄から投資へとスローガンを掲げてもう20年近く経ちます。2016年からはその趣旨をさらに強めた貯蓄から資産形成へが唱えられていますが、いまだに多くの日本人は投資に関して無関心なままです。こうした原因には、これまでの預貯金金利が高かったことが考えられます。終戦後から
高度経済成長期の預貯金金利は2.6%から4%であり、これは約20年で預けた元本を倍にできる金利です。その後、オイルショックからバブルにかけては、定期預金金利が5.5%から8%、これは約10年で元本が倍になる金利です。そのため、預金イコール安全でお金が増えるものとの認知を強くしたものと思われます。しかし、現在は、超低金利が長期化し預貯金ではお金が増えなくなっています。現在の普通預金の金利は0.001%、定期預金で0.002%、これは、元本が2倍になる年数は3万6,000年という計算になります。つまり、実質的に預貯金ではお金を増やすことなどは不可能ということです。その一方で、日本では少子高齢化がますます深刻化し、社会保障制度の財源不足が懸念されています。
社会保障制度を維持するため、政府は社会保険料の値上げや消費税の増税などを行ってきましたが、支える側の人数が減り、支えられる側の人数が増えるという問題の根本が解決されていないため、今後の年金額の削減や年金の支給開始年齢の引上げが予想されています。その影響を具体的な数字で見てみますと、勤労者世帯の
実質可処分所得──いわゆる手取り収入のことですが、2008年は1世帯当たり1か月平均48万6,805円でしたが、2018年には42万8,697円と、10年間で5万8,108円減少しています。1年間では約70万円にもなり、この減少が続いていくと予想されているわけです。
実質可処分所得の減少は、私たちが実際に使うことのできるお金が減ることを意味します。つまり、若年層は生活水準を今よりも引き下げるか、引き下げたくなければ資産運用をして資産を増やす努力をするかを選択しなければならないのです。しかしながら、先ほども申し上げたように、預貯金では資産が増えないため、将来を見据えて投資や資産運用をせざるを得ないわけです。さらに、日本人の平均寿命は男女ともに伸びると予想されており、退職金や年金で生活費を賄う期間が長期化していきます。そのため、若いうちから老後に向けた生活設計とそれを実現する資金を準備しておく必要があります。老後の長期化に対し、準備が不可欠な時代となっているのです。そうであるにもかかわらず、2020年に還暦を迎える人の3人に1人が貯蓄額300万円未満という調査結果もあります。金融庁による報告書を発端とした老後の2,000万円問題も記憶に新しいところですが、老後に幾ら必要なのかは、基礎的な支出額や仕事の退職年齢などによって変わるので一概には言えませんが、少なくとも貯蓄額が300万円未満で安定した老後を過ごせる可能性は低く、今現在ですら3分の1の人がこのような厳しい状況ですから、今後、老後における経済問題はますます深刻化すると考えられます。るる申し上げましたが、このような観点から、経済的に自立し、しっかりと暮らしていくために、金融や経済の知識とともに、家計管理や将来の資金を確保するための長期的な生活設計や投資などを含めた
金融リテラシーが求められています。そこで、以下中項目3点についてお伺いいたします。まず、中項目1)の消費生活における金融に関する教育についてお伺いいたします。この消費生活におけるとは、一般社会や社会人におけるという意味としてであります。人の生涯には様々なお金の支出を伴うイベントが発生します。例えば、進学、就職、結婚、出産、住宅購入、リタイア後の生活、介護、そして死亡などです。こうした人生の節目を総称して
ライフイベントと呼ばれています。また、この
ライフイベントを見据え、将来的に起こりうる予定を
ライフプランと言い、実際に
ライフプランを作成することを
ライフプランニング──日本語では生涯設計と言われています。とりわけ、お金の面から
ライフプランを作成することを
ファイナンシャルプランニングと呼ばれています。
金融広報中央委員会は、
ライフイベントに対して必要な資金は幾らかなどをあらかじめ把握し、実現可能性の高い資金計画を立てることが重要であると強調しています。しかしながら、ある大学の行ったアンケート結果によると、
ファイナンシャルプランの策定を意識しているかという質問に対し、20代では約半数、30代でも40%が考えていないと回答しています。つまり、若年層の将来に対する
ファイナンシャルプランの関心は低く、これは、これから資産形成を行うに当たって重要な問題になってくることが懸念されます。なぜなら、
ライフイベントに係る費用は多額になるため、正しい
金融リテラシーを身につけなければ
ライフプランの実現を可能にすることが難しいからです。社会人にとって必要な金融知識には、家計管理や生活設計のみならず、税金、社会保険、預貯金、生命保険、損害保険、クレジット、ローン、株式、投資信託などが挙げられます。このように、
ライフイベントの実現やゆとりのある老後の生活を送るために必要な金融知識は多くありますが、これを習得する機会はあるのでしょうか。日本では、社会人や高齢者に向けたセミナーや講習会が様々な主体によって行われてはいます。しかし、こうしたセミナーなどに参加する人は、既に金融や資産運用に関して興味、関心を持っている人であり、無関心層へのアプローチが十分にできているとは思えません。また、セミナーに関しても、例えば、
住宅ローンセミナーであったり、
退職金セミナーなど、
ライフイベントの単体でしかないことが多く、それを体系的に受講できる環境も整っていません。したがって、無関心層へのアプローチと体系的な知識習得の場をいかに設けるかが課題であると考えます。一方で、全国では自己破産を申し立てる数が毎年約7万件もあります。債務整理には、自己破産以外にも個人再生や任意整理という方法がありますが、任意整理は裁判所を介さずに手続をするため正確なデータは存在していませんが、毎年100万人から200万人ぐらいが任意整理をしていると言われております。社会情勢などを考えたら、生活のためにやむなく借金をする人も増える可能性があり、今後、さらにこうした手続をする人が増えることも懸念されます。もはや経済的破綻は他人ごととは言えません。また、借金に苦しむほどではなくても、
キャッシュフローが回りにくくなっている予備軍のような人も潜在的にはかなりいることも考えられます。そうした中、近年では
金融経済教育に関する研究は進んでおり、様々な研究で多くの人が消費、貯蓄、投資に関して十分な金融知識を有していないことを明らかにしています。そして、金融への関心が低い人ほど、金融教育を行うと
金融リテラシーが向上することも分かってきています。既に金融知識を有している人には、さらなる知識の増加が見られにくいというデータもありますが、そもそも大多数の人は金融知識が乏しいことから、より多くの人に金融教育を行うことは社会にとって望ましいことを示唆する結果と言えるのではないでしょうか。また、1990年代以降の日本では、
日本版金融ビッグバンを皮切りに、金融機関に対する規制緩和、新たな商品の登場など、金融商品が複雑化してきています。金融商品の充実は、利用者にとって選択肢を広げましたが、他方で
金融リテラシーを高めなければならないこととなりました。金融商品が複雑になるにつれて、その購入には適切な判断が必要とされます。知識なく安易に金融商品を購入すれば、金融トラブルに巻き込まれる可能性があり、そうしたトラブルを回避するためにも、やはり
金融リテラシーの向上が不可欠と言えます。また、実体のない投資話を持ちかける悪質商法や投資詐欺などの被害が後を絶ちません。市民の
金融リテラシーを高めることは、最適な資産形成を促すだけでなく、こうした金融犯罪による被害を未然に防ぐことからも望ましいことは明らかであります。ただし、
消費生活センターにおいてそのような詐欺などに関して啓発は行われてはいます。しかしながら、金融経済の仕組みや考え方という土台の上に、
ライフプランニング、貯蓄、投資、保険、税、社会保障などの全体的な知識が求められます。詐欺などの啓発は、消費生活に必要な知識や行動指針のごく一部分に過ぎないと考えております。これまで様々申し上げてきましたが、現状では老後を含めた
ファイナンシャルプランが適切に組めていないことや、投資に対する苦手意識を持つ人へのアプローチが不足していること、また、金融教育は様々な団体で行われているが、それは体系的に行われていないことなどの課題があると考えます。そこでお伺いします。本市において、
金融リテラシーを広く、効果的に高めることができる
金融教育体制の整備が求められると考えます。そのためには、部局横断的な取組も必要になってくると思いますが、市の現状認識、今後考えられる取組について市の御所見をお伺いいたします。次に、中項目2)学校現場における金融に関する教育についてお伺いいたします。少しデータは古いのですが、日本における金融教育について、2014年のアンケートでは中学校、高校での学校教育において、教師の方々も金融教育については足りていないと思いながらもやりきれない現状があることが分かっています。全国的に
金融経済教育を行っている年間の時間数は、中学1、2年はゼロ時間、中学3年で1時間から5時間、高校では全ての学年で1年間に1時間から5時間となっているようです。金融に関する教育として取り扱っている内容のほとんどが、消費者として損をしないための教育が中心で、消費者の権利、責任や消費者保護などです。アンケートでは、半数以上の教師が金融教育に関する授業時間も授業内容も不十分だと思っていらっしゃいます。内容として不十分だと思う項目としては、クレジット、ローン、投資が最も高く、次いで、年金制度、リスク管理となっています。授業時間が確保できない理由としては、教育計画に余裕がないためが最も高く、次いで、教える側に専門的な知識がないためとなっています。内容が不十分だと思う理由は、用語、制度の解説が中心となっており、実生活とのつながりを感じにくいが最も高くなっており、得た知識を使って能力を身につけることができない問題を抱えています。投資とはどのような行為なのか、株式とは何か、利回りとは何かなど、資産運用や金融の基本について教わる機会が全くない。教師も金融や投資などの知識がないため、教えたくても教えられない、このような現状があります。一方、学校教育における金融教育を受けた側はどのように認識しているのかですが、その効果を知るため、
金融広報中央委員会の
金融リテラシー調査の結果を見ると、75%もの人が学校で金融教育がなかったと答えています。しかし、現実には、社会科や家庭科を中心に、先ほど申し上げたような金融に関する教育は行われています。つまり、学校で金融に関する教育は行われているが、それが私たち既修者の想像する内容との乖離がかなりあるものと考えられます。さらに、同調査では62.7%の人が金融教育をもっと行うべきと回答しており、金融教育に対するニーズは高いことが明らかとなっています。つまり、金融教育を求める声は多く、ニーズはあるものの、それに応える教育ができてない現状があるということです。そうだとすれば、金融教育に市民や国民が期待しているものをいかに捉えるかが、学校現場における金融教育の課題と言えます。そこでお伺いいたします。大学に進学後、奨学金の活用の仕方が分からず使い込んでしまい、後期の学費を支払えず退学してしまう学生や、社会に出た後に金融の知識がないばかりに多重債務に陥り、最悪自ら命を絶ってしまう若者がいるなど、社会問題にもなっています。そうした命を守るためにも、消費者教育を中心とした情報提供を主体とした従来型の金融教育ではなく、今後は、行動経済学の応用を含め、金融行動の改善に主眼を置いた教育手法を積極的に導入していく必要があると考えますが、現状を踏まえた上での、今後の学校現場における金融に関する教育について教育委員会の御所見をお伺いいたします。次に、中項目3)
成年後見制度の普及啓発についてお伺いいたします。山口市
成年後見制度利用促進基本計画の策定の趣旨として、超高齢社会を迎える中で、今後、認知症高齢者や単身世帯の増加に伴い、
成年後見制度への需要がますます増大していく。そのため、財産管理や日常生活に支障がある人を社会全体で支えあう重要な手段として、
成年後見制度の利用を促進していく必要があるとされています。そして、
成年後見制度を取り巻く課題として、
成年後見制度が十分に活用されていない、
成年後見制度が市民に理解されていないということを挙げられておられます。私が以前の議会で、空き家対策として民事信託の活用をされてはいかがかと質問したことがありましたが、民事信託にしても、このたびの成年後見にしても、相続に備えた遺言の補完的な役割だと認識しています。制度の内容が理解されていない、だから普及啓発するというその前段階として、これまで申し上げてきたような個人の資産に関する知識はそもそもないのではないかと考えます。前提知識がなければ、制度の普及も後手に回ると思われます。そこでお伺いします。個人の資産をどのように形成し、認知症等になったときにはどのような扱いをしなければならないのか。そして、それをどのように相続していくのかということは、
ライフプランなどの知識、学習の延長にあるものであり、
成年後見制度の普及啓発にあっては、これまで申し上げてきたように他部局との一体的な取組が必要と考えますが、どのように進めていかれるのでしょうか。市の御所見をお伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わります。
◯ 議長(坂井芳浩議長)
塩見地域生活部長。
〔地域生活部長 塩見富士雄君登壇〕
◯ 地域生活部長(塩見富士雄君) おはようございます。野村議員の
金融リテラシーの向上に向けた取組についての御質問にお答えをいたします。私からは、消費生活における金融に関する教育についてお答えをいたします。議員御案内のとおり、我が国の近年の家計消費の動向といたしまして、消費者庁は
令和元年版消費者白書により、家計の金融資産は長期的には増加傾向にあり、現金、預金の金融資産に占める割合が50%前後と高い状況のまま推移し、近年は株価の上昇等の影響から株式、投資信託の割合も緩やかに上昇している傾向にあると分析をされております。しかし、低金利が長期化し、預金を通じた資産運用には厳しい状況が続く中で、高齢者等を中心に株式、投資信託への投資のみならず、よりリスクの高い金融商品取引への関心も高まっているとも分析をされておりまして、個人投資家への正しいリスク認識や知識を持つための金融教育や、悪質業者への対応も必要であると認識をいたしております。また、
令和元年版消費者白書では、平成30年の1年間の消費者被害、トラブル額の推計金額は5兆4,000億円とされ、警察庁公表の平成30年
特殊詐欺被害総額は301億円余りとされております。一方、金融庁、消費者庁などの関係省庁、有識者、
金融関係団体等で構成される
金融広報中央委員会は、平成26年に、国民一人一人が、より自立的で安心かつ豊かな生活を実現することを目標とした
金融経済教育を推進するため、家計管理、生活設計、金融知識及び金融経済情勢の理解と適切な金融商品の利用選択などを体系化した、最低限身につけるべきお金の知識、判断力──いわゆる
金融リテラシーマップを作成されております。そのような中で、本市の消費生活における現状といたしましては、平成30年に発生いたしました市内の
うそ電話詐欺被害状況は、被害件数20件、被害総額は1億2,262万円にのぼり、被害はその後も後を絶たず、市民の方からの金融商品をはじめとした悪質商法に関する相談件数も増加傾向にございます。こうした実態を踏まえまして、
市消費生活センターでは、専門知識を有する
消費生活相談員を当初の2名から4名に増員し、体制強化を図るとともに、警察、
市社会福祉協議会などの関係機関、関係部局と連携を図り、高齢者等の方を対象としたうそ電話詐欺や金融商品をはじめとした悪質商法による
消費者被害防止、早期発見、拡大防止を主要なテーマとした出前講座を市内各地域で開催いたしております。さらに、市の
公式ウェブサイト、テレビ、ラジオなどを通じて、被害防止の啓発や注意喚起を行っているところでございます。また、平成28年度からは、若年者への消費者教育として、身近な契約について考えようなどの講座を小・中学校等へ実施してきたところでございます。一方、地域における金融に関する講座といたしましては、
地域交流センター主催事業として、夏休み中の小・中学生を対象とした子どもおカネの教室や、人生100年時代のマネープランなどと題した講座を、山口県
広報金融委員会や金融業界団体の専門家講師の御協力をいただきながら、平成30年度から令和2年度の3年間で合計10回開催しているところでございます。議員御指摘の
金融教育体制の整備につきましては、消費者問題がますます複雑化、多様化する中で、消費者の安全安心を確保するため、トラブルに巻き込まれやすい高齢者をはじめ、年少期、若年期の消費者教育に通した消費者の自立支援策等を推進する必要がございますことから、職員の資質向上を図り、
国民生活センターをはじめとした専門教育機関による研修受講を通じまして、若年者から高齢者までの消費者教育の充実強化に取り組む所存でございます。また、これまでに実施してまいりました出前講座等におきまして、御参加いただきました市民の皆様、団体の皆様からいただきました御意見を参考にさせていただき、本市の金融教育の在り方につきまして研究してまいりたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、社会経済情勢が変化する中、市民の皆様の安全安心な消費生活の確保に全力を尽くし、警察や
市社会福祉協議会などの関係機関、関係部局との連携、協働により、相談、啓発などの消費者行政の充実に向け、鋭意取り組む所存でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 礒部教育部長。
〔教育部長 礒部素男君登壇〕
◯ 教育部長(礒部素男君) 私からは、学校現場における金融に関する教育についてお答えいたします。
スマートフォンの普及や
キャッシュレス決済等の技術革新が急速に進展するなど、簡単に物を買ったり、お金を借りたりすることができる世の中となり、消費者を取り巻く環境は大きく変化しております。このような変化に対応するためには、児童生徒がお金の大切さを理解し、自分の暮らしや社会について深く考えることができる力を育むことが求められており、学習指導要領では、小・中学校においては、消費者教育を中心的に取扱い、充実させることで、将来の適切な消費、金融行動につながる素地となるよう、発達段階に応じた学習内容が示されているところでございます。本市におきましては、小学校では家庭科の授業で買い物の仕組みや消費者の役割の理解、物や金銭の大切さと計画的な使い方について学習をしています。具体的な例といたしましては、小学5年生において、目的、予算、値段、品質等を考慮し、買い物の計画を立て、家族でスーパーでの買い物に生かすという実践的な取組を行っております。また、中学校では、技術・家庭科の授業で、購入方法や支払い方法の特徴について学び、計画的な金銭管理の必要性を理解することや消費者被害の背景とその対応等について学習しております。具体的な例といたしましては、不当な高額請求等の
消費者トラブルに対する対処方法を授業中にロールプレイをしたり、互いに意見を交換したりすることを通して学ぶなど、授業で学んだ内容を今後の生活に生かすことができるような取組を行っております。さらに、社会科の公民の授業では、金融等の仕組みや働きについて、また、個人や企業の経済活動における役割と責任について学んでいるところでございます。加えて、山口
市消費生活センターの小・中学生を対象とした
消費生活出前講座を開催している学校もございます。具体的な例といたしましては、
インターネット通販における利点と注意点について、グループワークやロールプレイを通して体験的に学ぶ機会を設けるなど、今日的な消費者問題に対応できる資質、能力の育成に取り組んでいるところでございます。現在、本市市立小・中学校では、教科書に出てくる用語の説明や公式等の習熟に終始する──いわゆる知識偏重型の授業ではなく、児童生徒自らが課題を設定し、対話や協働を手がかりに自分の考えを深め、自らの学びについて振り返ることで次の学びの意欲につなげるような授業を目指しております。学校現場での消費者教育におきましても、このような視点を取り入れ、自分の暮らしを振り返り、以後の行動に生かすことができるような実践的な力の育成を目指してまいりたいと考えております。一方、議員御案内の実生活とのつながりを重視し、金融行動の改善につなげるための預貯金、保険、ローン、投資等といった金融に関する知識を習得することは、人が成長していく上で必要であると考えておりますけれども、現在、学習指導要領の中で示されておりますのが、主に消費者教育を中心としたものとなっており、小・中学校の段階においてどこまで扱うことが適切であるのかということにつきましては、今後の国、県の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 中川健康福祉部長。
〔健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君) 私からは、
成年後見制度の普及啓発についてお答えいたします。御案内のとおり、
成年後見制度は、認知症や知的障がい、精神障がい等により判断能力の不十分な人が財産管理、介護などのサービスや施設への入所に関する契約の締結、遺産分割協議などを行う場合に保護し、支援する制度でございまして、平成12年4月から実施されております。その後、国におきましては、判断能力の不十分な高齢者や障がい者を支える重要な手段である
成年後見制度が十分に利用されていない状況を踏まえ、平成28年5月に
成年後見制度の利用の促進に関する法律を施行し、平成29年3月には、利用者がメリットを実感できる制度、運用の改善や権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり等を総合的かつ計画的に実施していくために、
成年後見制度利用促進基本計画を閣議決定されたところでございます。本市におきましては、制度開始以来、利用相談や後見に関する申立業務等の支援を行ってきたところでございますが、利用促進法に基づき、関係機関との連携を主眼に、国の計画を具現化し、制度の利用をより一層促進していくため、本年3月に山口市
成年後見制度利用促進基本計画を策定することといたしております。今後、基本計画に基づき、(仮称)山口市
成年後見制度利用促進協議会を設置いたしまして、弁護士会、司法書士会及び社会福祉士会等の専門職団体や山口
市社会福祉協議会、地域関係団体、福祉関係団体等とともに権利擁護支援の地域連携ネットワークを構築いたしてまいります。そのほか、本年10月には、この地域連携ネットワークの中核機関として、(仮称)山口市成年後見センターを高齢福祉課内に設置いたしまして、センター主導の下、関係機関との連携を図りながら、
成年後見制度の普及啓発をはじめ、相談対応、制度の利用促進、後見人への支援などの取組を進めてまいることといたしております。
成年後見制度の認知度につきましては、令和2年3月に、65歳以上の介護保険の認定を受けていない高齢者等を対象に実施いたしましたすこやか長寿アンケートにおきまして、
成年後見制度を知らないと回答した方が約46%おられる状況でございます。制度の周知、啓発に当たりましては、長期的な生活設計を含めたお金やお金の流れに関する知識、判断能力の向上──いわゆる
金融リテラシーが、
成年後見制度の知識習得と関連性があると言われておりますことから、例えば、消費生活における金融知識やお気軽講座のメニューに
成年後見制度を盛り込むなど、他部局と連携して取組を進めてまいります。また、協議会の構成員はもとより、金融機関等とも連携を図りますことで、市民の皆様が金融に関する知識を学ぶ場を活用することも検討いたしてまいりたいと考えております。今後とも様々な機会を活用しまして、市民の皆様が
成年後見制度に対する理解を深めていただき、
成年後見制度の利用を促進しまして、安心して自分らしく暮らし続けられる支え合いのまちづくりを目指していく所存でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 以上で、
野村雄太郎議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
議場内の換気のため、暫時休憩いたします。
午前10時38分休憩
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午前10時49分再開
◯ 議長(坂井芳浩議長) 休憩前に引き続き会議を開きます。
26番、大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 日本共産党の大田たけるです。通告に従い質問いたします。一部端的に質問いたしますので、分かりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。
まず、このたびの質問は、新年度の予算資料から数点お伺いします。まず、大項目ア、「引上げ分に係る地方消費税収が充てられる社会保障4経費その他社会保障施策に要する経費」について、数点お伺いします。まず、中項目1)歳入・歳出比較です。こちらを御覧ください。議員の皆さんにはタブレットで送信してあります。こちらは、令和3年度当初予算資料の147ページの資料に、前年度分の増減額を付加して作成した資料です。年金、医療、介護、子育ての社会保障4経費とその他の経費を表していますが、まず歳入──市町村交付金、社会保障財源化分が約22億6,000万円となっており、前年度と比較すると、1億4,000万円余り増となっています。次に、歳出──社会保障4経費その他社会保障施策に要する経費では244億2,597万9,000円となっており、前年度と比較しますと、7億8,500万円余り増となっています。次に、この社会福祉の部分を見ていただきますと、次のページです。社会福祉の部分を見ていただきますと、この障害者福祉事業においては、ほかの事業と比較しまして経費が唯一マイナスになっております。財源内訳を見ますと、特定財源──これも国庫支出金、県支出金、その他、全てにおいて前年度と比較してマイナスとなっています。一般財源を見ますと、社会保障財源化分の市町村交付金──これは消費税が充てられますから増えているのですけれども、その他の部分はマイナスとなっています。次のページに行きますと、今度は社会保険──これも国民健康保険事業、介護保険事業、後期高齢者事業、これを見ますと、やはり経費の部分はマイナスになっています。特定財源の中の国庫支出金、県支出金もこの部分はマイナスになっています。そして、一般財源を見ますと、社会保障財源化分の市町村交付金──これは消費税が充てられますから増えているのですけれども、その他の部分、これはマイナスになっています。次のページに行きますと、保健衛生のうち、疾病予防対策事業と医療提供体制確保事業──これは感染症対策のために大幅に増額となっていますので前年度とは比較が難しいのですけれども、この母子保健事業と健康増進対策事業においては、この一般財源を見ますと、やはり社会保障財源化分の市町村交付金の部分は消費税が充てられますから増えているのですけれども、その他の部分はマイナスされています。こうして全ての分野を見ていきますと、社会保障財源化分の市町村交付金、これは消費税が充てられるので増額となっていますが、その他の部分、これは合計して大きくマイナスとなっております。資料は以上となりますけれども、一般財源の社会保障財源化分の市町村交付金が増額されても、その他の部分が減額となれば、単なる財源の入替えであり、その減額となって浮いた財源は不要不急の大型開発に回されることになるため、これは社会保障の拡充のための使途ではないと考えますが、これに対する見解をお伺いいたします。中項目2)国民健康保険事業です。新年度、国民健康保険料率の据置きは評価いたします。県単位化となって、県のほうから標準保険料率の提示があったと思いますが、市の試算よりも約1万円も高い提示があったそうでありますけれども、据置きとしたことは評価いたします。しかしながら、基金を活用して保険料率の引下げも可能であると考えるため、市の見解をお伺いいたします。次に、今年3月からマイナンバーカードの健康保険証利用が開始されますが、国が強力に推進する制度を地方自治体が従わされていると感じています。本市では、まだその体制は整っておらず、とても来月から開始できる体制にありません。ですので、開始当初は、必要な機器の導入が完了した一部の医療機関で開始され、2023年3月末までにおおむね全ての医療機関への導入を目指すと国は言っているということがありますけれども、そもそもマイナンバーカードは、2019年の1年間で情報漏えいが217件あり、217件の中でも1件につき個人情報が何件もありますからとてつもない人数になると思います。そして、デジタル化は、行政に集約された膨大な個人情報の自由な流通を行うことで、国や企業の思うがままの利用を許していくような体制をつくるという狙いがあると考えます。本市の人口に対するマイナンバーカードの発行率は、2割強程度であるとうかがっておりまして、国保加入者のカード保有者もその程度と考えられます。必要性に疑問があります。厚労省のQ&Aでは、A──答えの方では、オンライン資格確認が導入されていない医療機関、薬局では、引き続き健康保険証が必要とありますが、サービス開始と同時に全ての医療機関で利用できるわけではないということです。例えば、地域の小さなクリニックなどでは導入が遅れることも考えられるため、当面の間は健康保険証も携帯する必要が出てきます。次の答えでは、健康保険証の場合、従来どおり受付窓口で患者は健康保険証を提示とあります。これで十分事足りるわけです。次の答えでは、医療機関、薬局の窓口では、マイナンバーカードは預かりません。これは、健康保険証を出すわけですから混同してしまう、マイナンバーカードも出してしまう危険性があります。次の答えは、マイナンバーカードを忘れた場合、健康保険証を持参している場合は健康保険証を提示、健康保険証も持参していない場合は、現行の健康保険証を忘れた場合の取扱いと同様とあります。それなら健康保険証があれば十分であります。利便性は向上すると言いますけれども、マイナンバーカードの管理は自分自身で確実に行う必要があります。健康保険証との合体が当面の政府の最大の目標でありますけれども、この場合もカードによって新しくできることは何もありません。全ては今の保険証でできることの範囲内です。一元管理による漏えいリスクの大きさや、コストパフォーマンスが全く合わないことの懸念は、実際の運用を通じて一向に解消も改善もありません。そこでお伺いしますが、マイナンバーカードの健康保険証利用は国の制度ではありますが、地方自治体としてこの国の制度についてどのようにお考えになりますか、見解をお伺いします。次に、国民健康保険料の中でも、子供の均等割の軽減廃止について、これまで要望してまいりました。国は、2022年度から未就学児を対象に最大5割の軽減制度を導入する方向であり、これまで要求してきたことの一部がようやく実現すると考えます。しかし、山口市子ども・子育て条例は、子どもの定義をおおむね18歳未満の者としていることから、山口市では対象を18歳まで拡大し、さらに全額免除することを求めたいと思います。また、2022年度を待たず、前倒しで新年度から早く導入することを求めますが、市の見解をお伺いします。中項目3)後期高齢者医療保険事業についてです。昨年度開催された山口県後期高齢者医療広域連合議会では、2年に1度の保険料率改定などが審議、決定されましたが、今年度の広域連合議会への議員である市長の出席状況や発言などをお伺いします。また、年収200万円以上の被保険者の窓口での自己負担割合を2割に引き上げることを盛り込んだ、医療制度改革関連法が2月5日に閣議決定されました。市として、国に対して撤回を要望すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。次に、中項目4)介護保険事業です。令和3年度から令和5年度を計画期間とする第八次介護保険事業計画で、介護保険料の引下げの改定をされています。全国的にも連続で引き上げられる中、これまで我々も引下げを要求してきたこともあり、基金を活用した市独自の保険料引下げ努力を高く評価いたします。しかしながら、このたびの国の改定では、制度の安定性、持続可能性確保など様々な観点から、デイサービスやショートステイの報酬単価が改定されました。その一方で、利用者の視点からは、介護サービスの利用料が上がることになり、保険給付の支給限度額は据え置かれたため、保険給付の支給限度額内で収まるように利用を控える人や、支給限度額を超えた部分は自費負担となることが懸念されます。サービス内容は変わらないのに利用者負担が増加することにつながると考えます。また、現在、要介護の認定を受けると、それまで受けていた介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用から介護保険に切り替えるわけですけれども、4月からは要介護の方も総合事業への移行が可能になる改正が行われました。本人の希望が前提と国は説明されていますが、介護保険からの卒業という追い出しが可能になるという懸念もあります。さらに、食費の助成では、所得に応じた負担の観点から、また、デイサービスなどの在宅サービス利用者本人の支出額とのバランスの観点から改正されており、特別養護老人ホームなどの介護施設の入所者が、住民非課税世帯、本人年金収入120万円超の方の食費負担を月2万2,000円引上げ、4万2,000円になるケースもあります。ショートステイ利用者も同様に、食費負担が引上げとなります。こうした制度改正は利用者の負担増となると考えます。せっかく市独自の努力で保険料を引下げても、こうした利用者の負担増となるこのたびの国の制度改正について、市の見解をお伺いします。次の中項目5)子ども・子育てに関する事業です。こども医療費助成制度について、今年10月から全ての中学生までの子ども医療費の自己負担分を無料化されることは高く評価いたします。これも長年要望し続け、段階的に拡大されてきました。そこで、これも山口市子ども・子育て条例で子どもの定義をおおむね18歳未満の者としていることから、今後、対象を18歳まで拡大するよう求めますが、市の見解をお伺いします。
1回目の質問といたします。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 大田議員の「引上げ分に係る地方消費税収が充てられる社会保障4経費その他社会保障施策に要する経費」についての御質問にお答えいたします。私からは、歳入・歳出比較についてでございます。御案内のとおり、平成26年4月1日に消費税及び地方消費税の税率が5%から8%に引き上げられるに当たりまして、引上げ分の地方消費税収につきましては、いわゆる社会保障4経費その他社会保障施策に要する経費に充てるものとする旨が地方税法に明記されたところでございまして、本市おきましても、毎年度の当初予算の発表に当たり、引上げ分に係る地方消費税収の使途についてお示しをいたしているところでございます。こうした中で、議員御案内の社会福祉のうち、障害福祉事業につきましては、自立支援医療給付事業や重度心身障害医療費助成事業につきまして必要額を見積ります中で、令和元年度の決算額や令和2年度の実績見込み額などを踏まえて扶助費の精査を行ったところでございまして、そのことにより前年度比で予算額が減少しているところでございます。また、一般財源のうち、社会保障財源化分の市町村交付金につきましては、当該交付金があくまでも一般財源であり、事業への充当順序などの定めがないことから、各事業に必要な一般財源の割合に応じまして交付金を充当しているところでございます。したがいまして、交付金自体が増額となっておりますことから、結果として障害福祉事業への充当額が増加しているというところございます。次に、社会保険のうち、国民健康保険事業、介護保険事業、後期高齢者医療保険事業につきましては、被保険者数の動向などによります国民健康保険基盤安定負担金や、山口県後期高齢者医療広域連合負担金の減額のほか、近年の実績などを踏まえました介護
給付費の減額などによりまして、各特別会計への繰出金や負担金の予算額が前年度比で減少しているところでございます。また、こちらに充当されている社会保障財源化分の市町村交付金につきましても、同様に、交付金を各事業に必要な一般財源額の割合に応じて充当した結果として、国民健康保険事業などへの充当額が増加しているものでございます。次に、社会福祉と社会保険の両分野における各事業の一般財源につきまして、社会保障財源化分の市町村交付金が前年度比で増額している一方で、その他については減額となっていることに対する見解についてでございます。令和3年度当初予算におきましては、令和元年10月1日の税率10%への引上げの影響が平年度化された影響によりまして、引上げ分の消費税交付金が増額となっておりますが、この引上げがなされた際から──令和元年度から、既に歳出におきましては、幼児教育・保育の無償化を開始するなど、社会保障施策の拡充を図っているところでございまして、このことについては、地方消費税の国への納付から市町村への交付といった一連の流れの中で、財源が遅れて入ってきたことにすぎないものと認識をしているところでございます。また、御案内のとおり、地方消費税交付金につきましては、安定財源とはいえ毎年度地域での消費に比例するという特性上、経済動向による影響を受け、毎年度その額が増減をするものでございます。当該交付金につきましては、その増減が直接普通交付税の増減につながります一般財源でございます。分かりやすく言うと、交付金が基準財政収入額に算入されますため、交付金が増えればその分普通交付税が減るということになりますし、交付金が減ればその分普通交付税が増えるということにつながるものでございます。また、当該交付金だけをもって社会保障関係経費の全てを賄うことが求められているものでもございません。そして、当該交付金が増加したことに対応して
社会保障制度を拡充したり、交付金が減少したことをもって事業の縮小や廃止を行うものでもないところでございます。あくまでも、当該交付金は社会保障の充実や安定化のためのものでございまして、社会保障関係経費の一部を賄っていることを明らかにすることを通じまして、必要な社会保障に係る事業を確実に実施していくための財源であると認識をしておりますので御理解を賜りたいと存じます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 中川健康福祉部長。
〔健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君) 私からは、国民健康保険事業についてお答えいたします。まず、国民健康保険料の引下げについてでございます。議員御案内のとおり、本市の保険料率につきましては、平成24年度以降、据え置いている状況でございます。令和3年度におきましても、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない現状において、被保険者の皆様の新たな御負担に配慮いたし、国民健康保険事業の健全な運営に資することを目的として保有しております、本市国民健康保険支払準備基金から3億5,579万円を繰り入れることにより、保険料率を据え置くことといたしたところでございます。本市国民健康保険特別会計の収支状況につきましては、都道府県単位化となりました平成30年度以降、単年度収支で約2億円の財源不足が生じておりますものの、これまでは前年度繰越金により不足額を補えてきたところでございます。こうした中、前年度繰越金の減少に伴いまして、今年度以降は基金からの繰入が必要になるものと推測しているところでございます。また、1人当たり医療費等が増加傾向にある中、県が示します標準保険料率もそれに応じて推移していくことが想定されるなど、現状の保険料率のままでは依然として厳しい財政運営が続くものと考えております。本市といたしましては、こうした現状を踏まえまして、保険料率の引下げは基金の急激な減少を招くおそれがございますことから、まずは基金を有効に活用しつつ、安定した国民健康保険の運営を目指してまいりたいと考えております。次に、マイナンバーカードの健康保険証利用についてでございます。今月以降、国のオンライン資格確認システムを利用したマイナンバーカードの健康保険証利用が開始されることとなっております。これは、医療機関の窓口でマイナンバーカードのICチップによる確認、または、健康保険証の記号・番号等の入力により、オンラインで健康保険の資格を確認できるようになるものでございます。議員御案内のとおり、現時点では必要な機器の導入が完了していない医療機関も多いと聞き及んでおります。国は、令和5年3月までにおおむね全ての医療機関等での導入を目指すこととされており、それまでの間、導入されていない医療機関におきましては、従来の健康保険証で資格確認を行うこととされているところでございます。マイナンバーカードが利用できる医療機関は、厚生労働省のホームページに掲載予定とされており、医療機関の窓口におきましても、ポスターやステッカーで事前に確認できることとなっております。なお、マイナンバーカードの保有にかかわらず、国民健康保険の全ての被保険者の方は、従来の健康保険証でも受診できることとなっております。この制度は、医療費の自己負担分が高額になった場合の高額療養費制度におきまして利用申請が不要となりますほか、御本人の同意の下、過去の薬剤情報等を医療機関でも確認できるようになるなど、今後のサービスの向上が期待できるものと考えております。本市といたしましては、マイナンバーカードの健康保険証利用につきましても、周知を図ってまいりますとともに、御活用いただけますよう支援してまいりたいと考えております。次に、子供に係る均等割国民健康保険料の軽減装置についてでございます。国は、本年2月5日、子供に係る均等割国民健康保険料の軽減制度の創設などを盛り込んだ健康保険法等一部改正案を閣議決定され、未就学児分の均等割国民健康保険料を対象に、最大5割を軽減する制度を令和4年度から導入されることとなっております。議員御提案の18歳まで対象を拡大し全額免除とすること、また、令和4年度からの開始を待たず前倒しで導入することにつきましては、全国一律の制度として国による財政措置により実施されるべきものと考えております。なお、全国市長会においても、対象が未就学児にとどまることにつきまして、対象拡大を引き続き検討するよう求めておりますことから、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。次に、後期高齢者医療保険事業についてお答えします。まず、山口県後期高齢者医療広域連合議会への市長の出席状況や審議内容についてでございます。議員御案内のとおり、広域連合議会において、昨年度は2年に1回改定されます保険料率等についての審議、決定が行われたところでございます。本年2月に開会されました広域連合議会への出席に当たりましては、事前に予算や職員の給与に関する条例等の議案について十分検討いたし、考えを整理いたした上で出席いたしたところでございます。次に、自己負担割合の引上げについてでございます。議員御案内のとおり、課税所得が28万円以上で年収200万円以上の被保険者について、現在1割の自己負担割合を2割とすることが本年2月5日に閣議決定されたところでございます。全ての団塊の世代が75歳以上となる令和7年以降、支え手となる現役世代が急激に減少し、制度維持が困難となってまいります。こうした背景の下、国では、医療制度の維持及び世代間負担の公平性を維持するために2割負担の導入を決定されたところでございます。また、被保険者の急激な負担増に配慮した激変緩和措置といたしまして、通院回数の多い被保険者に対しましては、導入から3年間は1か月の負担増を3,000円以内に抑制する措置をとることとされているところでございます。本市といたしましても、後期高齢者医療制度を支える現役世代の負担上昇を可能な限り抑制いたし、将来にわたり安定した医療制度を維持していくためにも、今回の自己負担割合の引上げはやむを得ないものと認識いたしているところでございます。今後とも、広域連合と連携いたし、こうした制度改正につきましては、被保険者の負担感に十分配慮いたし、激変緩和措置、変更内容及び改正の必要性について、被保険者の皆様に対して分かりやすく丁寧に説明してまいる所存でございます。次に、介護保険事業についてお答えいたします。令和3年度の介護保険事業の制度改正につきましては、団塊の世代が75歳以上となる令和7年を見据え、さらに現役世代人口が減少する中で、団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年も見据えながら、地域共生社会の実現に向けて多様な介護サービス需要への対応、介護保険制度の持続可能性の確保に向けた見直しなどが行われているところでございます。また、介護報酬のプラス改定は、保険料負担と利用者負担のさらなる増加につながりますことから、今回の報酬改定では国民負担を抑制しつつ、ICTの推進等による運営の効率化や、データを活用した介護サービスの効果や影響の検証結果に基づく報酬体系の見直しを行うことなどにより、全サービスで平均0.7%の報酬の引上げとなったものでございます。こうしたことから、本市におきましては、今回の制度改正全般につきましては、高齢化の進展による社会保障費の負担増加や現役世代の人口の減少という新たな局面を迎える令和22年を見据え、また、近年の災害発生状況や新型コロナウイルス感染症の流行の状況を踏まえた防災、感染症への対応力の強化など、中長期的な視点と現在抱えている新たな課題に対応するために必要な改正が行われたものと認識いたしているところでございます。その中において、特に利用者に必要なサービスを提供していく体制を確保するため、事業者に対する業務継続の取組や介護人材の確保、育成に向けた取組について強化されているものと捉えているところでございます。また、国に対しまして、全国市長会を通じて、保険料水準の上昇を抑制するための給付と負担のバランスについての検討や、低所得者に対する介護保険料や利用料の軽減策を講じるなど、介護保険制度の円滑な運営に関して提言いたしているところでございます。介護保険制度は、平成12年の制度開始から20年が経過し、3年ごとの見直しを重ねながら、介護が必要な高齢者の生活の支えとして定着しており、今後とも介護保険制度の維持、発展に努めてまいりたいと考えております。次に、子ども・子育てに関する事業についてお答えいたします。御案内のとおり、現在、こども医療費助成制度は、市内在住の小・中学生を対象に、小学生と非課税世帯の中学生につきましては、父母の所得にかかわらず、保険診療による医療費の自己負担分を全額助成いたし、昨年10月からは中学生の入院費につきましては、父母の所得制限を撤廃いたし、保険診療による入院費の自己負担分を全額助成いたしているところでございます。こうした中「暮らしを守り 未来を築く」令和3年度当初予算におきまして、教育・子育てなら山口の取組として、子育て世帯における経済的負担を軽減いたし、安心して子育てできる環境づくりをなお一層進めていくため、令和3年10月から中学生の通院費につきまして、父母の所得制限を撤廃いたし、義務教育課程の子供の医療費の全面無料化を実施することとしているところでございます。議員御提案の18歳までの拡大につきましては、乳幼児医療費助成制度と併せ、本制度には多くの事業費を要しますことから、本制度を次代の子育て世代へと安定的に引き継いでいけますよう、来年度実施いたします義務教育課程までの医療費の全面無料化の継続に、しっかり取り組んでまいりたいと考えておりますので御理解を賜りますようお願いいたします。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 次の大項目イ、「サービス業・商工業の多様な雇用の場づくり」についてお伺いいたします。中項目1)飲食・観光・関連業支援の拡大です。このたびの経済対策第8弾のうち、市独自の事業者支援として飲食関連事業者への再給付について、12月議会でも私要望しておりましたことから高く評価いたします。事業者は売上げがどんなに下がっても、先ほど言いました消費税、これは徴収されるわけです。赤字の上、借金までして納めているという状況がある中、こうした支援は救いの支援となります。その上で、飲食店などへの一律の再給付は、早く届けるにはいいと思います。しかし、単発で終わってはいけないと思います。再給付を行った後、幅広い事業者を対象に、事業者の規模や減収率などに応じた現金の支給など、事業者に合わせた的確な再々度の給付を提案いたしますが、市のお考えをお伺いします。また、市民の方から要望をお聞きしますと少しお怒りの声もあったりして、なぜ代行業は対象にならないのかですとか、理容業も店舗を構えてやっているのになぜ対象にならないのかという、お叱りといいますか怒りの問合せもありました。この代行業ですとか、理容業への給付の検討を求める声がありますが、市の見解をお伺いいたします。さらに、この間の地元業者への聞き取りについてです。昨年行っていた電話などによる状況を伺う取組、これは継続されていたのでしょうか。市内事業者の状況をどのように分析していたのでしょうか。今後も継続し、市内事業者の状況を適宜把握し、先んじて支援策を打つべきと考えますが、市のお考えをお伺いします。次に、中項目2)安心快適住まいる助成事業です。現行の制度となって7年連続の事業実施の継続であります。長年要望し続けた我々としても高く評価いたします。しかしながら、令和3年度当初予算でも、本事業のうち若者への上乗せ補助率を20%から15%に引き下げたままとなっています。拡充事業になっているのですから、ここは事業費を拡大してより多くの消費喚起をすべきと考えますが、市のお考えをお伺いいたしまして、1回目の質問といたします。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 村田経済産業部長。
〔経済産業部長 村田尚士君登壇〕
◯ 経済産業部長(村田尚士君) 「サービス業・商工業の多様な雇用の場づくり」についての御質問にお答えをいたします。まず、飲食・観光・関連業支援の拡大についてでございます。御案内のとおり、昨年末以降の新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、国におきましては、緊急事態宣言の対象となる都道府県知事に対しまして、飲食店の営業時間の短縮を要請することとされたところでございます。こうした状況に伴う外食マインドの低下につきましては、地方におきましても多大な影響を与えておりまして、山口商工会議所が本年1月に実施をされました緊急調査によりますと、本市におきましても観光関連業、とりわけ飲食業が受ける影響が極めて深刻であるとして、支援の必要性をお伝えいただいたところでございます。本市といたしましては、こうした状況を踏まえまして、売上げが大幅に減少している一方で、感染リスクが高いとしてさらなる感染防止対策が求められる飲食業及びその影響を直接的に受ける納入業者、関連業者としてタクシー業を支援いたしますことで、事業継続及び感染症対策等の取組を促進してまいることといたしております。一方で、現在の新型コロナウイルスの感染状況につきましては、感染拡大に一定の歯止めがかかりつつある状況であることや、今後、順次進めるワクチン接種により、社会生活に対する不安感の低減や経済活動の安定が期待できること、また、GoToトラベル事業につきましては、国において再開に向けた条件の検討がなされているなど、社会経済の好転の兆しが見えつつあるところでございます。こうした状況を踏まえまして、本市といたしましては、本市を含む地域において緊急事態宣言が発出をされるような感染拡大のフェーズではない現段階におきましては、個別の事業者の規模や売上げ減少率に応じたさらなる給付支援を行いますよりも、新しい生活様式の導入支援やプレミアム付商品券等により市内経済を動かしてまいりますことが、感染拡大の防止や小売業、サービス業をはじめとする幅広い業種の事業継続に効果があるものと考えております。また、議員お尋ねの理容業につきましては、ただいま御説明申し上げました飲食業やその納入事業者と比較をいたしまして、売上げの減少幅が小さいこと、また、代行業におきましては、市民の移動手段としての公共性といった観点から、このたびの支給対象には含まれませんことを御理解賜りたいと存じます。今後につきましては、緊急事態宣言が再度全国的に発出をされ、市内事業者への多大な影響が想定される場合など、緊急的な給付が必要と判断される場合には、スピード感をもって対応いたしてまいりたいと考えております。次に、市内事業者の状況把握についてのお尋ねでございます。新型コロナウイルスが市内事業者に与える影響につきましては、市内事業者の一次的な相談窓口として設置をしております山口市中小企業支援総合相談窓口や、セーフティネット保証の認定事務を通じた状況把握をはじめ、労働局との定期的な情報交換の中で、離職者数の推移や雇用調整助成金の申請状況等、支援策の検討に必要な情報を共有いたしております。また、山口商工会議所及び市内の各商工会におかれましては、これまでも市内事業者に対する経営相談や地域経済の活性化に資する調査研究等を実施されておりまして、新型コロナウイルスに係る経済対策についても最前線で取り組まれるなど、それぞれの取組を通じて事業者の生の声を集約し、蓄積されているところでございます。こうしたことから、市内事業者の現状を正確に把握し、新型コロナウイルスが各業界に与える影響について、総合的な視点からお伝えいただいております。本市といたしましては、今後も山口商工会議所や各商工会との連携を深めてまいりますとともに、状況に応じまして市内の各料飲組合、商店街組合、旅館組合等の経済団体への個別の聞き取りによる状況把握を行うなど、実態を踏まえた効果的な支援につなげてまいりたいと考えております。次に、山口市安心快適住まいる助成事業についての御質問にお答えいたします。本市におきます個人住宅のリフォームへの助成事業につきましては、平成23年度から実施をしてまいったところでございまして、令和3年度当初予算におきましても、安心快適住まいる事業として予算計上いたしているところでございます。本助成事業は、市民の皆様が安心して快適に長く住み続けられる良質な住宅環境づくりと、リフォームを契機とした市内の消費喚起を促進することを目的といたしまして、市内施工業者を利用して住宅リフォーム工事をされた場合に、対象経費の一部について市内共通商品券で助成するものでございます。令和2年度におきましては、助成率を対象経費の10%、上限額を20万円としておりまして、家計の負担が増加する18歳未満の子育て世帯につきましては、助成率を15%、上限額を30万円までかさ上げいたしているところでございます。議員お尋ねの子育て世帯の助成率の変更及び予算額の拡大につきましては、本事業は例年、募集開始後2か月程度で予算の枠に到達するなど、御利用の希望が大変多い制度でございます。限られた予算の中でより数多くの世帯に御利用をいただき、より幅広い消費喚起につなげてまいる観点から、令和2年度からかさ上げの助成率を従来の20%から15%に調整をいたしたところでございます。この見直しによりまして、令和元年度の申請件数1,076件であったのに対しまして、令和2年度の申請件数は1,596件と、前年度に比べて520件の件数増加が見られ、このうち子育て世帯の申請も約350件と、前年度と比較をして50件以上増加しているところでございます。本事業の経済波及効果といたしましては、住宅リフォーム工事による直接消費のほか、本助成事業により交付をいたします市内共通商品券の使用により、小売業を中心に様々な業種への広がりが期待できますことから、コロナ禍で消費マインドの冷え込みが懸念されます中、令和3年度当初予算におきましても、今年度と同額の1億5,400万円を計上いたしているところでございます。また、今年度から新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、飛沫感染防止のための換気設備や非接触型の水回り設備の導入など、新しい生活様式に対応する住宅改修も対象経費といたしておりますことから、感染症対策の一環としても効果を発揮するものと考えております。現在のところ、本年5月から募集を開始いたす予定でございまして、本事業の実施に当たりましては、同じく令和3年度に実施いたします、発行総額26億円の「エール!やまぐち」プレミアム共通商品券発行事業と併せまして、消費喚起面での相乗効果が期待できますよう取り組んでまいる考えでございます。いずれにいたしましても、本市といたしましては、引き続き、限られた財源の中で工夫を重ねながら、リフォーム助成を通じた市民生活の質の向上と、コロナ禍で疲弊いたしております市内経済の回復に取り組んでまいる所存でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 大項目ウ、多世代交流・健康増進拠点施設についてお伺いします。この間、本計画の検討経緯には根拠がないことを指摘してまいりました。上位構想には全く想定されておらず、関係する協議体でも本計画の発想すらない中、突然、市から提案されたものです。これが経緯です。また、公共施設等総合管理計画の中で、今後、既存施設の更新も財政的に厳しいとしておきながら、廃止の方向の児童文化センターと同じ敷地に、新しい公共施設を建設するという無計画性も指摘してまいりました。そして、市の地域子育て支援拠点事業の中で、湯田地域の拠点施設となる児童文化センターで事業されている団体も、ここから追い出される形で、次の施設を探して奔走させられる状況がありました。さらに、市内3か所にある老人憩の家について、更新など全体的な協議をしなければならないはずが、本計画のために市で最初にできた寿泉荘だけが協議され、なくなる方向となっています。本計画のために他部局の将来的な協議も相当早められ、行政の在り方がゆがめられている。これが経緯だと思います。一方で、湯田温泉地域の居住区域に不特定多数の1,500人を引き込んでの立食形式の催しは、コロナ禍を経験した下では感染症拡大の基地にもなり得ます。また、本計画で想定されるイベントなどは、中央公園でさらに大規模にできるものであり事足りると思います。それが、居住区域のため周囲の環境への音の影響を測るサウンディング調査を実施するという余分な経費まで発生しています。そして、隣接する居住区域と商業区域への民間投資を期待するとしながら、どの程度見込むのかも示されず、ただの期待ということがわかりました。そして、高齢者福祉の後退の中、多世代の交流といった誤った認識を示され、かつての交流人口100万人回復を目標にするとして、この間の90万人台への回復は、湯田温泉の基盤整備による交流人口増加などと誤った認識を示されています。様々な団体の大きな大会や県のイベント、プロサッカーチーム発足によるスポーツ交流は、要因とは考えていないと誤った認識を示されています。これは、市が今年度計画している山口ゆめ回廊博覧会の方向性とも異なる認識であり、行政の整合性も疑われます。温浴施設の料金を500円に設定することについても、アンケート結果に値上げしてほしくない回答が少数ですがありながら、この計画推進のためには切り捨てるのかと問いましたら、明確に否定はされませんでした。地域住民の日常生活の保健衛生上必要な入浴を目的として設置される公衆浴場は、山口県知事が統制額420円を示していることもあり、老人憩の家の高齢者の保養休養の機能は引き継ぐが、新たな施設として整備するから500円ということでありますが、統制額とは、一般公衆浴場──いわゆる銭湯の入浴料金の最高金額の指定であり、2015年4月に大人はこれまでの390円から420円に引き上げられたものです。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 大田議員。答弁時間確保のため、簡潔にお願いします。
◯ 26番 大田たける議員 はい。もうすぐ終わります。総務省の平成20年住宅統計調査によると、住宅の浴室保有率は95.5%、残り4.5%の方は浴室がないことになります。厚労省も、公衆浴場は年々減っており、浴室を有しない世帯の入浴の機会を確保することが課題と見解を示しております。そうした住民を一人も取り残さず救っていくのが行政の本来の仕事のはずであります。そこでお伺いしますが、市長が公約で訴えておられた市民温泉とはどのようなものか、お考えをお伺いします。この施設は市民温泉とは言い難く、観光客向けのための施設であり、市民が気軽に利用するようなものではないと考えます。また、本施設整備は立ち止まって見直しを求めます。国の補助申請を取り下げることにペナルティー的不利益はないはずであり、まだ計画の段階ですから可能なはずです。
以上で、質問といたします。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 多世代交流・健康増進拠点施設についての御質問にお答えをいたします。議員御案内の市民温泉につきましては、かねてより湯田地域の皆様を中心に建設の御要望をいただいておりまして、平成24年3月には、湯田地区町内会連合会から市民の誰もが気軽に利用できる公衆浴場の建設の御要望をいただき、また、平成25年11月には、湯田温泉女性部の皆様を中心に外湯の建設の御要望をいただき、さらに、平成30年8月には、湯田地区コミュニティ運営協議会から、市内外の方々が利用できる大衆浴場建設の御要望などもいただいたところでございます。そして、このように多くの市民の皆様からの御要望を受ける形で、平成31年3月に策定をいたしました多世代交流・健康増進拠点施設整備基本構想において、老朽化した山口市老人憩の家寿泉荘をあらゆる世代が利用できます全世代型の温浴施設──いわゆる市民温泉に更新する方向性を位置づけたところでございます。そして、こうして多くの御要望を踏まえました市長の政策の実現につきましては、本市といたしましても、行政計画における検討のプロセスを経ながら、湯田地域をはじめとする多くの市民の皆様が地域資源でございます温泉の恵みや様々な交流を楽しむことができる、湯田温泉における市民温泉としての温浴・健康機能を含んだ多世代交流・健康増進拠点施設の整備を進めているところでございます。また、議員御案内の市民温泉の内容につきましては、令和2年10月に策定をいたしました基本計画の作成段階における市民ワークショップにおきまして、千人湯や家族風呂、プール、バリアフリー、ペット温泉など、市民温泉に対します多種多様な御意見がございましたほか、運営面では、早朝営業や年間パスポートの導入、浴育体験などの子供の入浴機会の拡大などを望まれる声がございました。さらに、現在取り組んでおります基本設計に係るサウンディング型の市場調査におきましても、温泉を活用した健康増進プログラムの実施や市民向けの年間パスポート割引料金の設定など、市民に親しまれる市民温泉への実現に向けまして、様々な御提案をいただいているところでございます。本市といたしましては、こうした市民の皆様やサウンディング型の市場調査などを通じた事業者の皆様の御意見などを踏まえまして、いわゆる市民温泉としての温浴・健康機能はじめとした本施設の事業展開の内容を固め、令和3年度に基本設計をお示しすることといたしているところでございます。なお、本施設の温泉の利用料金につきましては、施設を利用される方にその受益に応じた御負担をしていただくといった公共施設の利用料金の基本的な考え方の下、本市における類似の公共施設の利用料金や全国の公共日帰り温泉、湯田温泉における民間の日帰り温泉の状況などを踏まえ、大人500円程度を想定しているところでございます。こうした中で、定期的な利用を促します年間パスポートの導入や、健康づくりの企画事業などにおける限定的な利用料金の設定などにつきましても、引き続き、検討してまいりますので御理解を賜りたいと存じます。また、議員御案内の新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、本市といたしましても、これまで予算総額で約285億円を計上し、市民の皆様の健康と命を守るための感染拡大防止の取組と、地域経済の基盤となる雇用と暮らしを守り抜くための取組を全力で進めているところでございます。今後も引き続き、市民の皆様の今の暮らしを全力で守りつつ、同時に、市民の皆様が将来にわたって豊かに安心して暮らすことができるまちづくりにつながります、未来への投資としての社会基盤整備をしっかりと進めていく必要があると考えております。こうした考え方の下、本市といたしましては、引き続き、様々な御意見や御提案を賜りながら、住んでよし・訪れてよしの湯田温泉の実現を目指し、交流とにぎわいを創出する多世代交流・健康増進拠点施設の整備や、その周辺整備を進めてまいりたいと考えておりますので御理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 以上で、大田たける議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
24番、村上満典議員。
〔24番 村上満典議員登壇〕
◯ 24番 村上満典議員 皆様ごきげんよう、公明党の村上満典でございます。通告に従い、大項目で2点の一般質問をさせていただきます。市長並びに関係参与の皆様方の明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
大項目の1点目は、令和3年度の取組についてであります。まず初めに、基本的考えを確認させていただきます。かつて一般質問の場で取り上げさせていただきましたが、市長が何をしたいのか、どのような施策をどのように展開していくおつもりなのかは、組織体制と予算、砕けた言葉で申すなら、人と金をどうしているのかに全て現れると私は考えています。どのような美辞麗句を並べようとも、どのような組織にどのような人をどれだけの予算とともに配置したのかでしか意志ははかれない。○○という政策を推進しますと言いながら、十分な人員も予算もついていないなら、それはやる気がないと判断されても仕方がないということであります。逆に、やるとかやらないとか一切言及がなくとも、人員と予算を見ると並々ならぬ意志を感じることもあり得るでしょう。繰り返しになりますが、市長及び行政の意志は人と金に現れるということであります。そのような基本的考えの下、小項目の1点目、組織体制についてお伺いします。少し将棋の話をさせていただきます。行政組織に限らず、会社組織やチームスポーツにおいても、戦術や体制、陣容などを将棋の駒に例えて話をされる場合が多々あります。戦国時代の武将には将棋を好む人が多かったようですが、洋の東西を問わず、古来より、戦術について学ぶために将棋のようなボードゲームが用いられていたようであります。かくいう私も、自称、将棋通であります。長年、プロ野球で選手、監督として活躍された野村克也氏はヤクルトスワローズの監督時代、戦術を考える上で役に立つとの考えから、選手たちの将棋大会を開いていたそうです。ちなみに、第1回の優勝は古田敦也選手だったと記憶しております。駒それぞれの特徴、長所をどう生かしていくのか。まさに人事、組織運営と相通ずるところがあるのでしょう。その戦術等についてですが、一昔前は、その戦術、棋譜を見ると、名前が伏せられていても誰の将棋か分かると言われるほど、棋士によって変わるものでした。そんな将棋界にどんな戦法でも指しこなし、攻めても受けても、とてつもなく強く、棋譜を見てもそれだけでは誰の将棋なのか分からないという棋士が現れました。誰もが認める将棋界のレジェンド、羽生善治永世七冠であります。一方、最近レジェンドともてはやされている加藤一二三元名人は、棋譜を見れば誰か分かってしまう典型的な棋士と言われたりもしました。相手が研究し尽くし、対策を講じてきても同じ戦法を使い続け、非常に長い間第一線で活躍し続けた方であります。最近はバラエティー番組にも出演されたりしておりますが、講演会や各種将棋の普及活動にも精力的に取り組まれているようであります。御年81歳。先日、音声配信サービスを開始されたりしており、まだまだお元気であります。この81歳という年齢ですが、将棋界においては──将棋盤の升目が9掛ける9の81升ということから、将棋界では81歳を盤寿──将棋盤の盤に寿と書いて盤寿と呼び特別視をしています。日本将棋連盟は、数えで81歳になった棋士を表彰しているほどです。私が小学生の頃、初めて買った将棋の本の著者である棋士は81歳で亡くなっているのですが、当時の追悼文には、盤寿という長寿を全うされたなどという表現もあったと記憶しております。しかし、人生50年と言っていたのは、はるか昔でありまして、今は人生100年時代であります。加藤一二三元名人の例を出すまでもなく、70歳、80歳まで第一線で活躍できる、いや、活躍しなければいけない時代であるということでしょう。話が横道にそれましたので元に戻しますと、棋士が将棋の駒を自由自在に操り、その能力を存分に発揮させるよう最善を尽くすように、山口市行政も最高の陣容、布陣でこのコロナ禍の難局を乗り越えていかなければなりません。令和3年度の山口市の取組は、組織体制という視点で見た場合どのようになるのでしょうか。山口市がどの施策に力を入れているかは、組織体制や人員の配置を見れば分かりやすいという私の考えは今まで申したとおりであります。例えば、組織再編という形で示される場合もあれば、人員の増員、減員として現れる場合もあるでしょう。そこでお伺いいたします。令和3年度については、山口市はどのような考えの下、どのような組織体制と人員にされようとしているのかお伺いいたします。あえて申しますが、必要な人員を適宜配置するというような曖昧な御答弁ではなく、増員、減員、あるいは組織拡充等に明確に言及されることを希望いたします。次に、新年度予算の独自性についてでございます。予算案全体として議論をすると、どうしてもその総額の大きいものに目が行きがちであります。しかし、国の施策であったり、補助金、交付金など使途の範囲が限定されているものが多くあり、言葉は悪いですが、どこの自治体でもやっている、似たり寄ったりの施策に大きな予算が割かれているという場合がまま見受けられます。各自治体独自の施策は、との視点で見た場合、山口市の独自性はどのような形で現れるのでしょうか。私は、山口市における新年度予算の独自性は、国の施策等の方針、縛りのない、あるいはそれを超える山口市独自の取組にどれだけの予算を配分したかということに現れると考えます。例えば、新型コロナウイルス感染症対策一つをとっても、山口市が取り組む事業が、国が示す方針どおりになっているとするならば、それはおそらくどの自治体でもやっていることでしょう。各自治体の財政的な状況から多少の予算的な差異があったにしても、自治体独自の取組と言えるかどうかは微妙であります。あくまで創作の事例として申し上げますが、例えば、文部科学省の方針として、小・中学校における何かしらの取組をするよう補助事業等が創設されたとします。対象は市立の小・中学校だけかもしれませんが、山口市として事業の有効性も期待できることから、公立、私立を問わず、幼稚園、保育園に対して同様の取組ができるよう補助制度等の拡充を行う。そうなれば、山口市独自の取組として胸を張れるものでありましょう。令和3年度の取組として、水道の蛇口のレバー式や自動式への取替えが新型コロナウイルス感染症予防に効果があるということから、小・中学校では導入を検討しているとの御答弁もあったやに理解しているところですが、放課後児童クラブや幼稚園、保育園についても同様に検討することが考えられます。新型コロナウイルス感染症のワクチンは、接種の対象は現在のところ16歳以上となっています。感染症対策の決め手と期待されているワクチンを接種できない子供たちを守るのは我々大人の義務です。新設や改修時に取り替える、そんな悠長なやり方で十分でしょうか。感染症対策として効果がある。教職員の皆さんの消毒作業等の負担軽減にもなる。ましては、それを小単位で発注すれば市内経済の循環にも好影響があるというのにやらないというのはどういう考えなのでしょうか。財政的に他の自治体が躊躇しているなら、山口市が一番にやって堂々と訴えていただきたい。子供の命を守るために山口市はここまでのことをやっています。子育てなら山口です。まさに、山口市独自の取組となりましょう。あくまで創作の事例であります。そこでお伺いいたします。新年度予算における山口市独自の取組として、どのような事業を考えておられるのか御所見をお伺いいたします。次の中項目は、プランBとさせていただきました。令和3年度の取組は、新型コロナウイルス感染症の影響をどの程度加味しているのでしょうか。今年度の事業では、年度当初の予定を実施できずに、全く違う事業に振り替えられるということが多くの部局で散見されました。もちろん、他事業への振替を行う場合でも、当初想定していた事業効果をでき得る限り発揮できるよう御努力を重ねられたということは理解をしております。しかし、来年度は、予算成立の時期である現在、ある程度新型コロナウイルス感染症の影響を想定できます。現在の予定は、あくまで新型コロナウイルス感染症の影響が最小限に抑えられ、予定する行事が行われる前提で予算が組み立てられていると理解しておりますが、事業遂行に何らかの支障が出た場合のプランBについて想定しておく必要があると考えます。そのような視点から、まず、国際交流関連事業についてお伺いいたします。現在予定されている事業は、第二次山口市国際化推進ビジョンとの整合は大前提であり、ビジョンに掲げる各種取組の優先順位として最上位に位置するものでありましょう。しかし、プランBを想定していく中で、優先順位が次に高い、あるいは、仮に優先順位が低くとも、年度内の機動的な予算の執行を目指していくにはこの事業だ、というものを明確にしておくことも必要と考えます。国際交流関連事業におけるプランBについて、現時点における御所見をお伺いいたします。次に、協働のまちづくりについてお伺いいたします。今年度、運動会や地域のお祭りなど、各地域で予定されていた行事が行えず、地域づくりという点でも、予算の執行という点でも、地元組織は大変な御苦労をされたものと理解しております。地域づくり交付金の不執行が懸念される中、地域によっては毎年の予算では買いそろえたり、更新できなかったものに予算を割り当てるなど、例年の予算では対応できないものへの活用等により、今年度を乗り切ったような事例もあったと認識しております。来年度、新型コロナウイルス感染症の影響がどうなるのか、その詳細は現時点では正確には分かりません。令和3年度の各地域の事業においては、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、令和2年度の経験を踏まえて、事前の事業計画策定時に、実施が見込めない事業を他事業、または新規事業に振り替える等々、プランBの検討を進めるべきと考えます。以前、会派として提案させていただいた地域づくり協議会での基金の創設、推奨、活用に加え、市が新たな取組を示していく必要があるのではないかと考えますがいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。加えて申しますと、各地域交流センターに配置されている地域担当職員の役割は、先行きが不透明であるがゆえに、その役割は非常に大きいと考えます。間違っても、地元の思いを、それはできませんと型どおりに否定するようなことが役割ではないと考えます。コロナ禍における地域担当職員の役割についても改めてその御認識をお伺いし、この項目1回目の質問といたします。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 宮崎総務部長。
〔総務部長 宮崎高行君登壇〕
◯ 総務部長(宮崎高行君) 村上議員の令和3年度の取組についての御質問にお答えいたします。私からは、基本的考えのうち、組織体制についてでございます。本市の職員定数につきましては、質の高い行政サービスの提供と持続性のある財政基盤の確立を目的として定めております山口市定員管理計画に基づき、適正に定員を管理することとしており、正規職員の総数は1,700人を基準といたしているところでございます。そのような中、人員配置の適正化につきましては、その時々の社会経済情勢や市民ニーズに応じ、機動的で柔軟な組織運営が求められますことから、組織を改編する際には、それに対応する人員の配置につきましても改めて最適化を図る必要がございます。具体的には、重要施策を担う部署に重点的に人員を配置するとともに、年間を通じて時間外勤務が発生している部署には人員を増やすなど、年度ごとに各所属に配置する職員数を見直すとともに、適材適所となる人材の適正な配置を行うことで組織力を最大限に発揮し、きめ細やかに市民ニーズに対応できる体制の構築に努めているところでございます。こうした考えの下、令和3年度につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応や、便利で豊かな未来社会Society5.0の実現に向けたデジタル化を推進していくほか、今後の人口減少、少子高齢化の進展に伴う課題にもしっかりと対応するため、将来にわたって豊かに安心して暮らすことができるまちづくりを進める組織改編を実施いたします。具体的な改編の内容といたしましては、まず、新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、既に令和3年2月1日付で健康増進課内に新型コロナウイルス感染症対策室を設置いたしておりまして、引き続き、ワクチン接種の準備を進めることとしており、4月以降は専任の職員を増員いたしまして、円滑にワクチンを接種できる体制を構築してまいりたいと考えているところでございます。次に、デジタル化推進体制の強化といたしまして、情報企画課をデジタル推進課に、同課内のICT推進担当をデジタル推進担当に改組し、1名増員いたすことといたしております。今年度に引き続き、内閣府のデジタル専門人材派遣制度を活用いたしまして、LINE株式会社の社員をデジタル化推進マネージャーとして、市民サービスのデジタル化推進に携わっていただくこととしております。さらに、市民課内にマイナンバーカード交付担当を新たに設置いたしまして、デジタル化の基盤となるマイナンバーカードの交付体制の強化を図るとともに、学校教育課内の情報化支援担当をデジタル化教育推進室に改組いたしまして、市内小・中学校における1人1台のタブレットパソコン端末の整備や、デジタル教科書の活用等の学校への支援体制強化など、デジタル教育のさらなる充実を図ることといたしており、それぞれの担当に専任の職員を配置する予定といたしております。そのほか、子ども・子育て支援の体制整備として、こども未来課内のこども支援担当をこども企画担当と手当給付担当の2担当に、保育幼稚園課内の保育幼稚園担当を管理担当、認定給付担当、施設担当の3担当に改組いたしまして、体制強化を図るとともに、この2つの所属につきましては、年間を通じて時間外勤務が発生している状況でございますことから、それぞれ職員数を増員することとしております。いずれにいたしましても、市民本位の行政サービスの充実に向けた組織、職員体制を構築していくことが何よりも重要でございますことから、配置できる職員数にも限りがある中で、施策実現に最も効果的な組織体制と行政需要に応じためり張りのある職員配置を実施することによりまして、質の高い行政サービスの実現を図ってまいりたいと考えております。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 私からは、新年度予算の独自性についてお答えをいたします。御案内のとおり、令和3年度当初予算につきましては「暮らしを守り 未来を築く」予算として、新型コロナウイルス感染症への対策やデジタル化などといった、社会の変化に柔軟に対応可能な新たな日常の構築に向け、安心して豊かに暮らせるまちづくり、新しい時代の流れを力にするまちづくり、好影響・好循環のまちづくり、これら3つのまちづくりを基調とした予算編成を行ったところでございます。こうした本市の予算編成に当たりましては、予算編成方針にもお示しをしておりますように、総合計画の施策体系ごとに一般財源を配分いたします施策別包括的予算制度の下で、現場に近い各部局が本市の特性や地域課題、市民ニーズなどを十分に踏まえながら、第二次山口市総合計画に掲げる将来都市像の実現に向け、各事業の立案や予算配分を行っているところでございます。また、限られた一般財源の有効活用を図りますため、本市が取り組みます事業の方向性が、国や県の方向性と合致するものにつきましては、国や県の補助金を積極的に活用することとしているところでございまして、中でも地方創生推進交付金や新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、使途に関して自由度の高い国の財源につきましては、本市における市民ニーズなどを踏まえました独自性の高い形で、その活用を図っているところでございます。こうした中で、議員お尋ねの令和3年度予算における本市の独自性の高い取組についてでございますが、先ほどの3つのまちづくりに沿って申し上げますと、まず、安心して豊かに暮らせるまちづくりといたしましては、安心の子育て環境づくりに向けましたゼロ歳児から中学生までの全ての子供医療費の無料化や、新型コロナウイルス感染拡大の防止に向けました市民や市内事業者の皆様の新しい生活様式への対応に対する支援に取り組むことといたしております。また、テレワークやワーケーションニーズなどによります新たな交流の創出に向け、中山間地域における滞在型の交流促進事業の実施や、企業のオフィス開設支援、南部地域におけるプロモーションの実施、湯田温泉の旅館・ホテルにおける取組への支援などを行ってまいります。次に、新しい時代の流れを力にするまちづくりといたしましては、市民の皆様の利便性や都市機能の効率性の向上につながりますスマートシティの構築に向けました、山口市スマートシティ推進ビジョンの策定をはじめ、先端的なサービスの社会実装に向けた取組や、各分野でのデータ連携基盤の構築などを進めますとともに、市内企業におけるデジタルトランスフォーメーションの促進に向けた取組への支援などを行ってまいります。また、市民サービスの向上と業務の効率化を図りますスマート自治体の推進に向けまして、書かなくてもいい窓口への段階的な転換や、山口市LINE公式アカウントの機能充実を図りますほか、母子健康アプリの導入やAI、RPAを活用した内部管理業務の効率化の取組などを進めてまいります。また、好影響・好循環のまちづくりといたしましては、産業交流拠点施設の供用開始や山口ゆめ回廊博覧会の開催などを原動力として、新たなひと・モノ・資金・情報の流れを本市全体に対流させ、本市全体の発展につなげていくため、山口都市核における文化創造・広域観光拠点づくりに向けた各種の取組や、小郡都市核における産業交流拠点施設を活用した新たなビジネスと交流の創出など、両都市核が互いに個性や特徴を高め合うプロジェクトを展開してまいりますほか、各総合支所エリアでの地域経済の活性化に向けましたふるさとにぎわい計画の推進などに取り組むことといたしております。また、交通不便地域の解消に向けまして、コミュニティタクシーの運行支援や実証運行を進めますほか、協働によるまちづくりの推進に向けまして、地域づくり交付金による地域の特色を生かした魅力ある地域形成への支援などを行ってまいります。加えまして、議員御案内の水道の蛇口の取替えにつきましても、放課後児童クラブや幼稚園、保育園のほか、その他の公共・公用施設に関しまして、施設の新設や改修、あるいは維持管理における修繕の機会などを通じまして、レバー式や自動水栓への取替えについてこれまでも優先的に取り組んでいるところでございまして、令和3年度予算におきましても、こうした経費を盛り込んでいるところでございます。今後も引き続き、このような本市の特性や地域課題、市民ニーズなどに応じた独自性の高い取組をしっかりと進めていくことによりまして、住んで良かった、これからも住み続けたい山口市と心から思えるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 有田交流創造部長。
〔交流創造部長 有田 剛君登壇〕
◯ 交流創造部長(有田 剛君) プランBの御質問のうち、私からは、国際交流関連事業についてお答えをいたします。御案内のとおり、今年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、姉妹友好都市との交流事業やホストタウン交流事業等といった人的交流について、予定変更や中止せざるを得ない状況になったところでございます。しかしながら、こうした中におきましても、市民の皆様が継続的に国際交流に御参画いただけますよう、スペインパンプローナ市とはSNS等を活用いたしまして、両市民がお互いのまちの魅力を紹介し合う写真コンテストを実施したり、オンラインによる高校生を対象とした英語でスペイン講座を開催するなど、新たな手法による交流を試行的に実施したところでございます。現時点におきましては、外務省による海外渡航の制限措置がなされている状況でございますが、新年度における国際交流事業に係る予算に関しましては、状況の好転も見据えつつ、新たな生活様式に即して市内で実施する交流事業や、相手側の都市と実施に向けた検討が進んでいる事業につきまして、必要経費を計上させていただいております。海外都市との交流に係る新年度事業の概要でございますが、まず、パンプローナ市との交流事業といたしまして、パンプローナ市のあるナバラ州から、食を通した交流会の御提案をいただいておりますことから、市内でスペインの食文化をテーマとしたイベントを開催するとともに、本市からも伝統工芸や食などのテーマ性を持ったシティセールスを目的に、派遣事業を実施する計画を検討いたしております。また、中国済南市とはオンラインを通した市民交流を、韓国公州市とは若い世代による農産物加工をテーマとした交流をそれぞれ実施する方向で協議を進めているところでございます。これら人的交流の実施に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の状況や、国をはじめ、他自治体の状況等を見極めながら、市民の安全を最優先に判断してまいる所存でございますが、議員御案内のとおり、状況に応じた代替案プランBを想定する必要があると認識しておりまして、目的を変えず、手段を変更する事業案も併せて想定いたしているところでございます。例えば、先ほど申し上げましたが、スペインとの交流に関しまして、人的交流が困難な場合はオンラインを活用し、食をテーマとした講座や工芸品等の見本市、観光ガイドツアーの開催など、遠隔でも双方の都市の魅力をPRできる交流を行うことによりまして、新型コロナウイルス感染症の収束後の交流発展につなげてまいりたいと考えているところでございます。特に、新年度は、今年3月に策定を予定しております第二次山口市国際化推進ビジョンを推進する初年度となります。新たなビジョンでは、国際交流の推進と多文化共生の推進を施策の柱に掲げ、それぞれをバランスよく展開することで、目指すべき姿である「世界の人々に愛される国際交流都市 山口」の実現に向けた取組を進めることといたしております。国際交流の推進におきましては、観光や経済など様々な分野における新たな交流機会の創出や、国際社会に対応した人材育成、山口の魅力を世界に伝えるシティセールスのさらなる推進を取り組む課題として整理をいたしております。中でも、新たな交流機会の創出につきましては、市民の皆様方の国際交流事業への参画を促し、交流を身近に感じながら異文化理解や人材育成にもつながる効果をもたらすものであり、先導的に取り組む課題であると認識しておりまして、新年度もこうした課題解決に向けた各種取組を進めてまいることといたしております。また、今年度試行いたしましたオンラインによる交流は、これまで参加の機会がなかった市民も参加しやすく、多くの方への情報発信が可能になるなど、人的交流を補完する意味においても有効な手段であると考えておりますが、人と人との直接的な交流は心を通わせ合いながら異文化を体験でき、自らの価値観の変化や多様性に対する受容力が養われるなど、大きな効果をもたらすものと考えております。今後は、人的交流、オンライン交流それぞれの特性を活用しながら、効果的に事業を進めていくことが必要であると改めて認識いたしているところでございます。新年度は、今後の新型コロナウイルス感染症の状況により、交流の範囲や実施手法を判断してまいることとなりますが、交流の範囲が制限される場合におきましては、代替案として、市内における国際交流事業と多文化共生事業を一体的に取り組むなど、多くの市民が気軽に参加しやすい手法を採用し、効果的に事業を展開してまいりたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、国際交流事業の実施に当たりましては、その時々の状況を注視し、プランBを意識しつつ、課題解決に有効な事業を選択いたしまして、市民の皆様に御理解いただけますよう、ビジョンに掲げる目指すべき姿に向けまして、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長)
塩見地域生活部長。
〔地域生活部長 塩見富士雄君登壇〕
◯ 地域生活部長(塩見富士雄君) 私からは、協働のまちづくりについてお答えをいたします。議員御案内のとおり、今年度は新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、地域の運動会やお祭りといった地域振興を目的とした活動の多くが中止となり、事業費の一部が御活用いただけなくなることが見込まれました。これに対しまして、各地域におかれましては、新型コロナウイルス感染症感染予防のための物品購入や、今後の活動を充実させるための備品の更新など、新しい生活様式の中で地域活動を展開するため、地域づくり交付金を有効に御活用いただいているところでございます。令和3年度におきましても、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、引き続き、新型コロナウイルス感染症に配慮した新しい生活様式の中で、地域活動を展開いただくことが必須になると考えております。このような状況におきましても、これまで地域の皆様が積み重ねてこられた協働のまちづくりを継続させるため、例えば、屋内で開催する行事を屋外で開催したり、地域のお祭りでは参加者が密集しないよう飲食の提供を避け、作品の展示のみとする代わりに開催期間を長く設けるといった、新型コロナウイルス感染症に配慮した開催形態への変更など、各地域の年度当初の事業計画を策定する段階から御相談に応じ、柔軟に取り組んでまいりたいと考えております。また、地域づくり交付金における基金への積立制度でございますが、これは地域づくり交付金の交付限度額の1割以内において5年間を限度に、翌年度以降に実施する事業の財源を確保いただける制度でございます。この積立制度では、地域づくり交付金を地域の特性や実情により柔軟に御対応いただけるほか、長期的な視点を持った取組に御活用いただくことができますが、本制度は毎年度8月末を申請期限としておりますことから、上半期の状況を見極めながら、本制度の活用を御検討いただけるよう、改めまして制度の周知をしてまいりたいと考えております。加えて、新たな取組につきましては、先進事例等の情報収集に努め、それらの情報を共有いたし、地域交流センターの職員が地域の皆様とともに考える際に活用するなど、支援につなげてまいりたいと存じます。次に、各地域交流センターに配置しております地域担当職員についてでございます。議員御指摘のとおり、地域担当職員は地域づくり協議会をはじめとする地域コミュニティ団体など、地域の皆様が主体となって地域課題の解決に取り組まれるに当たり、共に考え、助言する役割を担っております。一方、地域の皆様からは、地域づくりにおいて地域の実情により一層寄り添った支援を地域担当職員に期待する声をいただいておりますことから、地域担当職員がこれまで以上に、地域の課題解決に対する助言や提案する力を発揮できますよう、専門家による地域づくりに必要な心構えやスキルを習得するための研修や、地域間の情報共有、情報交換に資する地域担当職員会議を通じて、地域担当職員としての資質向上に努めてまいりますとともに、今まで以上に地域と共に汗をかく支援を行ってまいる所存でございます。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 村上満典議員。
〔24番 村上満典議員登壇〕
◯ 24番 村上満典議員 新年度予算の独自性について2回目の質問をいたします。御答弁いただきました水道の蛇口の取替えについてであります。教育委員会も同僚議員の質問にもお答えいただいておりますが、おおむね新設や改修に併せて取替えを行っていくという御答弁でありました。これは、取替えはどんどんやっていくべきではないかと私は思っています。もし取替えをするとなると、これは事業名がつかないはずなので、日頃の修繕のお金でやっていかないといけない。それで、私はペシミスト──悲観論者ではないですけれども、おそらく今年の秋以降、新型コロナウイルス感染症の小規模な流行は避けられません。小規模なクラスターも起きるでしょう。そして、その時に2類感染症から外れていないなら、死ぬ、死なないとか、重症化する、しないという問題ではなくて、影響は絶大です。絶対に起こしていけないという状況になってしまうと思います。ということは、この修繕費、通常ならば年度の終わりまで何が起こるか分からないからなかなか使わないこのお金に関して、上半期である程度機動的に執行すべきだという明確な方針はいるはずなのです。そうしないと誰も使いません。これが新型コロナウイルス感染症予防に対して有効だと、教職員の負担軽減にもなると、そして、市内経済の循環にも役立つと言っているのに誰も使わないのです。これは、市として明確な方針を示すべきです。担当部長とかそういう話ではなくて、市全体としてやるべきだと、秋以降の感染症の拡大に向けてやるべきだと、そして、もし使いすぎていざというお金が足りなくなったら、それは補正予算でつけますというぐらいのことがないとどこも対応しません。これは、どの部長に聞くのかという話というよりも市全体の話ですので、答弁者を指定するのは大変失礼な話ですので、全体の話として、機動的な予算の執行に向けて何らかのメッセージ性があることはやらないのでしょうか、お伺いします。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 新年度予算の独自性についての2回目の質問にお答えいたします。今年度の予算につきましては、先ほども申し上げましたように、施策別包括予算制度の中で、現場に近い各部局が市民ニーズ──新型コロナウイルス感染症にしてもそうなのですが、そういった感染症への対応が可能となるような手法については、しっかりと検討を行うようにという予算編成方針の下で予算編成をしております。そうした中で、コロナ対策の経費については、枠対象外経費とするということも示しながら予算編成したところでございます。そうした中で、先ほど申し上げましたように、幼稚園、保育園につきましては、水栓、水道の蛇口につきましては、これまでも待機児童対策の中で施設を改修する際にしっかりとやっておりますし、コロナ対策に資するという形の中で優先的に行っているところございます。新年度に入りましても、新年度の最初に予算執行方針というのをしっかりと出して各部局に知らしめることとしております。その中で、予算編成方針でも示しましたコロナ対策につきましては、しっかりと優先的に予算先行的な実施についてやるように指示をしてまいりたいと思いますので御理解を賜りたいと存じます。予算が足らなくなるといったことに対しましては、補正予算であるとか、予備費の対応であるとか、そういうもので執行してまいりたいというふうに考えております。
◯ 議長(坂井芳浩議長) 午後1時半まで休憩いたします。
午後0時26分休憩
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午後1時30分再開
◯ 議長(入江幸江副議長) 休憩前に引き続き会議を開きます。
村上満典議員。
〔24番 村上満典議員登壇〕
◯ 24番 村上満典議員 それでは、大項目の2点目は環境行政についてでございます。現在、国全体として事業系をはじめとするプラスチックごみの削減に向けた検討が進められている現状でありますが、山口市、山口市民への具体的影響はどうなのでしょうか。山口市においては、これまでごみの分別推進に加えてCO2削減等の施策に取り組んでおられます。それらの施策に対しては、一定の評価をしているところでありますし、来年度からはごみの排出が困難な方の戸別収集の実証的な実施や、可燃ごみ指定収集袋のバイオマス素材の導入等、新たな取組も開始されるものと理解しており、期待もしているところであります。私は、ごみの減量化や資源化を目的とした分別推進やCO2排出量削減等の環境関連事業について、基本的に大賛成でありまして、どんどんやっていただきたいと考えております。ただし、お金を使わないならであります。特に、CO2排出量削減については、言葉は悪いですが、お金をかけるのは馬鹿らしいとさえ考えております。CO2削減ならお金をかけずにできることがまだまだあるのではないかということであります。とは言いながらも、予算を割くことに全て反対だというわけではありません。あらゆる事業は多面的な側面を持っていますから、どうしても事業が必要な場合もあるでしょう。しかし、我々市議会は市政に携わる者として、その事業の有効性や経済性、市民サービスの向上の有無について、つぶさにチェックしていかなければならない立場にあると考えます。環境に優しいからいいのではないの、というわけにはいかないのです。CO2排出量削減への市の取組については、いろいろな縦分けがあると思いますが、私の考えを分かりやすくお伝えするために、市の取組を3つに分類してみますと、まずは、本当にCO2排出量の削減がされているもの。次に、事業所としての山口市にとっては、計算上CO2排出量は削減できているけれども、市役所だけでなく、市、県、国全体で見た場合、削減できているかどうか非常に怪しいもの。そして、3つ目は、CO2排出量削減に向けて効果が出ているとは言い難く、合理的な説明もできないものであります。それぞれ具体的な取組、事業を挙げたいところですが、時間の関係でこの場では割愛させていただきますが、政策目標がCO2排出量の削減しかなく、本当に削減できたのかチェックできず、事業の成果が市民の意識向上などという雲をつかむような話になる、そんな事業にお金をかけているとしたならば、その事業に費やされる予算は全くの無駄であるとの指摘は免れないのではないでしょうか。環境省がとりまとめた地方公共団体実行計画の策定・実施における事例集には、単にCO2削減とか市民への啓発などという事業は当然なく、その事業によって得られた利益を具体的に市民にどう還元しているのか、そんなシステム構築等の事例ばかりです。他の部局の質問でしたが、何度かこの場で申しました。こういった各省庁が取りまとめる全国自治体の好事例、先進事例として、山口市が取り上げられるような未来を私は強く望んでおります。近い将来、山口市の環境関連事業がすばらしい先進事例として取り上げられることを夢見ているのです。そこでお伺いいたします。環境行政における施策展開と令和3年度を含む今後の展望について、環境行政全体の大きな視点での御所見をお伺いします。次に、環境行政における市民利益という視点に絞ってお伺いいたします。私は、市の実施する環境関連事業については、市民利益の面から考えるならば、最終的に住民負担の軽減か、住民サービスの向上のいずれかにつながる必要があると考えます。住民負担は増える、サービスは下がるということでは、到底市民理解は得られません。環境行政に係る取組について、住民負担の軽減、あるいは市民サービスの向上という視点で捉えた場合、どのような施策展開を検討されているのか御所見をお伺いし、この項目1回目の質問といたします。
◯ 議長(入江幸江副議長) 山田環境部長。
〔環境部長 山田喜一郎君登壇〕
◯ 環境部長(山田喜一郎君) 環境行政についての御質問にお答えをいたします。まず、施策展開と今後の展望についてでございます。本市における施策展開といたしまして、第二次山口市総合計画におきまして、環境保全意識の啓発、地球温暖化対策の推進、リサイクルの推進など8つの基本事業を設定いたし、各種事業を推進しているところでございます。また、山口市環境基本計画では、目指す環境像として「人と自然が共生し みらいにつなげる 持続可能なまち やまぐち」を掲げ、環境の保全と創造に関する施策を総合的に推進いたしまして、社会・経済と環境の持続的な関係を構築し、本市の豊かさを発展させることを目指しております。こうした中、廃プラスチックの有効利用率の低さや、海洋プラスチック等による環境汚染が世界的な課題となり、国においては、令和元年5月にプラスチック資源循環戦略及び海洋プラスチックごみ対策アクションプランを策定されたところでございます。この戦略やプランの対策には、リデュース等の徹底、効果的・効率的で持続可能なリサイクル、再生材・バイオプラスチックの利用促進、ポイ捨て・不法投棄・非意図的な海洋流出の防止等が盛り込まれており、ワンウェイの容器包装などの再生不可能な資源への依存度を減少し、再生可能な資源に置き換える取組により持続可能な社会を実現し、次世代に豊かな環境を引き継ぐことを目指すこととされております。また、地球温暖化が一つの要因とされる気候変動問題も地球規模の課題となっておりまして、その対応として、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル──いわゆる脱炭素社会の実現を目指すことが示され、今後、地球温暖化対策推進法を改正し、再生可能エネルギーの導入をさらに推進しようとされておられます。こうした国の施策の動向を踏まえ、本市の脱炭素社会の実現に向けた令和3年度の取組について申し上げますと、清掃工場の余剰電力を市施設へ送電して利活用する具体的な手法の検討など、再生可能エネルギーの有効活用に向けた取組や、メディアなどの民間企業と連携した地球温暖化対策の周知促進の強化、また、新たに可燃ごみ指定収集袋の原料にバイオマスプラスチックを導入いたすなどといった施策を進めることといたしております。さらには、こういった様々な課題への対応に加えまして、人口減少、少子高齢社会の進展に伴う地域課題の解決も大変重要であるとの認識の下、持続可能なまちづくりの取組の一つといたしまして、福祉部局と連携をいたし、要介護認定者等世帯への燃やせるごみの戸別収集を実証的に開始することといたしております。今後の環境行政の展望につきましては、これまで着実に推進してまいった取組に加えまして、海洋プラスチック問題や気候変動問題への対応、さらには、持続可能なまちづくりに向けた地域課題への対応に資する施策につきましても、積極的に取り組んでまいる所存でございます。次に、市民利益についてでございます。環境行政は、ごみの収集、処理をはじめ、市民の皆様にとってより身近な事業を推進しておりまして、これまでも議員御指摘の住民負担の軽減や住民サービスの向上といった点を重要な視点として取り組んでまいったところでございます。今後は、こうした市民の皆様にとっての身近な環境行政に加えまして、地球規模の環境問題や気候変動問題等の解決に向けた取組がより一層重要になってくると認識いたしておりまして、その取組について、さらに推進してまいる必要があると考えております。事業の推進に当たりましては、行政評価システムによる事業の妥当性や有効性、効率性、貢献度などの評価を行っており、さらには、市民の皆様の御理解や御協力が不可欠でありますことから、毎年度アンケート調査を実施いたし、環境に関する市民の皆様の意識や行動についての把握にも努め、事業を進めているところでございます。今後も、住民負担の軽減、住民サービスの向上、あるいは費用対効果といったようなことも十分踏まえ、環境の保全と創造に関する施策を総合的に推進いたしまして、社会・経済と環境の持続的な関係の下に、本市の豊かさを発展させることを目指してまいる所存でございます。
以上でございます。
◯ 議長(入江幸江副議長) 以上で、村上満典議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
9番、馬越帝介議員。
〔9番 馬越帝介議員登壇〕
◯ 9番 馬越帝介議員 自由民主党山口の馬越帝介です。通告に従いまして質問させていただきますので、市長並びに関係参与の皆様の明快なる御答弁をよろしくお願いいたします。
大項目のア、アフターコロナを見据えた交流事業の展開について、まず、中項目の1)山口ゆめ回廊博覧会における交流創出についてお伺いします。新型コロナウイルス感染症の影響により消費マインドが大きく落ち込む中、また、緊急事態宣言等の影響により都市間移動が規制されている現状を考えますと、山口ゆめ回廊博覧会がアフターコロナにおける好影響・好循環のまちづくりの原動力として、7市町、とりわけ本市全体の発展につながっていくことに大きな期待を寄せています。その期待は令和3年度当初予算にも如実に表れていると感じています。そこで、博覧会の取組を通じて実現させようとしている事業目的と数値目標がいかなるものなのか、具体的には、コロナ禍においても開催されてきた博覧会プレ事業の取組並びに成果や博覧会本番を迎え、博覧会の果たすべき役割について改めてお聞かせください。また、アフターコロナを見据え、本博覧会の果たすインバウンドへの好影響という視点からのお考えがあれば併せてお聞かせください。次に、以前の一般質問でも申し上げましたが、既に多くの観光地がアフターコロナを見据えた事業展開や情報発信を進めており、それらとの地域間競争に打ち勝つためには、魅力的な事業展開とそれらを広く伝える効果的な情報発信が不可欠になると考えます。最近、観光振興の成否は、リアルコンテンツである観光素材をデジタルコンテンツを使っていかに効率的にユーザーに届けるかであると言われています。そこで、博覧会事業の具体的な内容とそれに即した情報発信をどのように進めていくのか取組についてお聞かせください。最後に、博覧会をはじめコロナ収束後の交流人口増加策に向けた意気込みについてもお聞かせください。次に、中項目の2)ホストタウン事業における交流創出についてお伺いします。本市は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるスペインのホストタウンに登録され、水泳スペイン代表チームのトレーニングキャンプの受入れのほか、これまでも様々な市民交流を進められてきました。御承知のとおり、このホストタウンとは、オリンピック・パラリンピック開催を契機に、海外からの参加国と文化的、経済的、人的交流を進める自治体とされており、その取組は一過性に終わらず、様々な市民交流が将来にわたって継続されるものと期待されております。こうした中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、オリンピック開催が1年延期されるとともに、これまでのような人的交流事業の実施が大変厳しい状況となっています。現在、日本でもワクチン接種が段階的に始まり、また、オリンピック・パラリンピック開催に向けての様々な準備が進められています。私といたしましては、コロナ禍の状況にあっても実施可能な方法での交流を継続し、アフターコロナを見据えながら、姉妹都市であるパンプローナやスペインとこれまで積み重ねてきた交流を将来につないでいく必要があると考えております。そこでお尋ねします。まず、オリンピック開催に向けて、水泳スペイン代表チームの事前キャンプ受入体制について、現時点でどのような準備が進められているのかをお聞かせください。また、ホストタウン交流事業について、コロナ禍における今年度の実施状況を踏まえ、新年度はどのような取組を進められ、アフターコロナを見据えどのように継承していかれるのかをお伺いして、大項目のアの1回目の質問を終わります。
◯ 議長(入江幸江副議長) 有田交流創造部長。
〔交流創造部長 有田 剛君登壇〕
◯ 交流創造部長(有田 剛君) 馬越議員のアフターコロナを見据えた交流事業の展開についての御質問にお答えをいたします。まず、山口ゆめ回廊博覧会における交流創出についてでございます。当初、山口ゆめ回廊博覧会は、山口県央連携都市圏域の7市町において、インバウンドの視点からの地域資源の磨き上げや体験プログラムの造成など、持続可能な観光地域づくりの成果を発揮することで、来訪者の周遊と再訪を促し、圏域の豊かな地域資源を知り、感じ、楽しんでいただく機会を提案することで、地域内消費の増加を図り、圏域経済の活性化を図るものとして開催することといたしておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の国内における感染拡大から1年が経過し、消費マインドは大きく落ち込んでおり、人の都市間移動も制限されるなど、地域経済は大きな打撃を受けているところでございます。こうした未曽有の事態に直面し、新しい時代に対応したまちづくりが求められる中、博覧会の取組が持続可能な地域づくりにおいて重要性を増しているとの観点から、事業の再構築を行ってまいりました。とりわけ、博覧会事業の中核となる観光イベントや文化事業は、地域経済の循環に大きな役割を果たしてきただけではなく、人と人との交流を育み、生活に活力や喜びを提供してまいりましたが、事業の縮小を余儀なくされ、3密回避などの感染防止対策を施した中でのイベント開催が求められるなど、このコロナ禍の社会は様々な課題を浮き彫りにいたしました。同時に、それらの課題を皆様の御協力をいただきながら一つ一つ克服し、プレ事業に取り組んでまいったところでございまして、圏域全体で実行委員会や各市町が実施した事業を合わせ、54の事業・イベント等が行われ、延べ約30万7,000人の方にプレ事業に御参加をいただいたところでございます。そして、いよいよ本年7月に開幕を迎えます博覧会本番では、プレ事業と同様、コロナ禍における感染防止対策を十分に講じた上で、開催に向け準備を整えているところでございます。次に、博覧会の数値目標でございますが、当初は、山口県央連携都市圏域ビジョンで目指すKPI──圏域交流人口年間1,700万人の達成を目標に準備を進め、また、本市におきましても、観光交流人口年間530万人を目標に準備を進めてきたところでございます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、誘客のターゲットを、まずは身近な圏域内でのマイクロツーリズムを優先した戦略に転換したことから、コロナ前の水準への回復を目指して事業展開を計画しているところでございます。次に、目標達成のための具体的な取組といたしましては、実行委員会で実施する圏域内の市町間周遊促進と広報宣伝、プロモーションに係る実行委員会事業のほか、圏域7市町が歴史、文化、自然、産業など、それぞれ固有の地域資源を活用して独自に実施する市町事業がございます。まず、実行委員会事業を御紹介いたしますと、周遊促進プログラムとして2年前から計画的に実施してまいりましたリアル宝探しゲームは、今年も開催することで圏域周遊の定着を目指し、さらに、各市町におけるイベントや観光施設にも立ち寄ってもらうことで、滞在時間の延長と消費拡大に着実につなげてまいる考えでございます。また、昨年、プロモーション事業の一環として実施いたしましたユニークベニュー事業は、圏域7市町の食材を使った料理の提供と独創的なアート演出を組み合わせ、特別な空間を提供する新たな観光誘客事業のモデルとなる事業でございまして、博覧会本番では一般のお客様を対象とした企画としてさらに改良を加え、開催するものでございます。次に、本市が独自に実施する市町事業のうち、主要事業となるリーディング事業を御紹介いたしますと「みんな大好き!KOMEZUKI祭」では、コロナ禍における食のイベントのモデルとなるようプレ事業の経験を生かして開催し、地元の食に関心と愛着を持っていただくとともに、市内の飲食事業者や生産者の支援につなげてまいりたいと考えているところでございます。さらに、アニメーションを通して美術に親しむ体験型美術展覧会「びじゅチューン!×山口ゆめ回廊博覧会 なりきり美術館」は、主に子供や若年層の皆様に気軽に芸術文化に触れていただく機会を創出し、地元の文化財への愛着と関心を深めていただくイベントとして実施をいたします。また、山口情報芸術センター特別企画展は、昨年、会場といたしました常栄寺雪舟庭、山口駅通り周辺の2会場に加えまして、新たに山口情報芸術センターにおいても開催し、市内の回遊を促進することとしております。加えまして、新型コロナウイルス感染症収束後の訪日旅行の回復に備えたインバウンド受入体制の強化といたしまして、圏域内を中心に活動する通訳ガイド──山口ゆめ回廊地域通訳案内士の育成を進めており、2月末現在41名の方に御登録をいただいているところでございます。次に、情報発信といたしましては、新型コロナウイルスの感染状況を見極めながらではございますが、観光目的地としての訴求力の向上と本圏域の認知度向上を図ることを目的に、多彩な地域資源を活用した事業が行われる博覧会の強みを生かし、誘客ターゲットに応じた広報を進めてまいることといたしております。例えば、県内のファミリーを主なターゲットとしたリアル宝探しゲームにつきましては、ゲームに参加するための冊子を全国からインターネットによりダウンロードが可能となりますほか、県内を中心に観光・文化施設に加えまして、市民利用施設や学校での配布を行うことで、身近に参加情報を手にすることができるよう準備を進めております。また、山口情報芸術センター特別企画展などのアート事業につきましては、全国のアートファンをターゲットといたしますことから、アート専門雑誌などへ情報を掲載するほか、SNSなどを活用して参加アーティストの方々から発信していただくなど、ターゲットを絞った効果的な情報発信にも努めてまいります。本市といたしましては、博覧会本番開幕を約4か月後に控え、ウィズコロナであったプレ事業での様々な困難を克服し、培った経験を生かして各事業を実施し、圏域経済の好影響・好循環の原動力としての役割を担う気構えをもって、山口ゆめ回廊博覧会の成功に向け鋭意取り組んでまいります。また、博覧会終了後には、全国の自治体が競って観光振興に取り組む中で、疲弊した地域経済からの反転攻勢を図り、トップランナーとして走り続けられますよう、持続的な観光振興並びに圏域の交流拡大に向けて、圏域7市町の地域力を結集して取り組む所存でございます。本市は、山口県央連携都市圏域の中心市としての立場からも、博覧会成功を導く役目を担っており、その役目をしっかり果たしてまいりたいと考えております。次に、ホストタウン事業における交流創出についての御質問にお答えいたします。まず、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期となりました、東京2020オリンピック競技大会における水泳スペイン代表チームの事前キャンプ受入れに向けた準備状況についてでございます。これまで本市は、スペイン王立水泳連盟との協定に基づき、水泳スペイン代表チームの事前キャンプを平成29年11月を皮切りに計4回受け入れたところでございまして、この受入れを通じて、入国後の国内移動からトレーニング施設や宿泊施設の準備、運営、食事の対応、大会会場への移動など、各シーンにおける問題点の検証や改善を行いながら受入れのノウハウを蓄積し、大会本番年に向けて万全の体制を整えられますよう準備を進めてきたところでございます。こうした中、大会は1年延期となり、コロナ禍での開催になる中で新たに感染防止対策の対応が求められておりまして、現在、事前キャンプに向けて選手が安心して本市を訪れ、市民にも安心してお迎えしていただくため、国から示されましたホストタウン等における選手等受入れマニュアル作成の手引きを基に、新型コロナウイルス感染防止策をまとめた受入れマニュアルの作成に取り組んでいるところでございます。本マニュアルでは、選手が本市へ到着した際におけるPCR検査の実施をはじめ、移動や宿泊、食事などの各シーンにおける詳細な感染防止策のほか、期間中の行動ルールなどを定めることとなっておりますことから、随時、スペイン王立水泳連盟と調整を行うととともに、トレーニング施設や宿泊施設等と協議を進めながら対応を検討しているところでございます。本年7月には、事前キャンプを受け入れる予定としておりますことから、スピード感を持って、かつ万全なる感染防止策を講じた環境を整備し、選手の皆様が安全安心なトレーニング環境の下で、最高のコンディションでオリンピック本番に挑むことができますよう、鋭意準備を進めることといたしております。次に、ホストタウン交流事業についてお答えをいたします。本市では、ホストタウン交流事業をスポーツ交流にとどまらず、より多くの市民の皆様が国際交流に参画できる場として捉え、国際感覚に優れた事業展開を図るため、スペイン出身の2名の国際交流員を任用し、各種事業に取り組んでまいりました。交流事業といたしましては、地域や学校訪問によるスペイン講座の開催や、キャンプ期間中におけるスペイン水泳選手との市民交流の実施など、これまで国際交流やスポーツに参画機会のなかった市民の皆様にも興味や関心を持っていただけるよう、計画的に機会を創出してまいりました。また、市内初となる国際シンポジウムの開催、インバウンド拡大に向けた世界観光見本市への出展、SNSを活用した世界への情報発信など、国際交流員ならではの交流機会の創出により、本市の魅力を国内外に向けてPRできる機会も創出してまいりました。しかしながら、今年度におきましては新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、選手との交流事業や各種イベントなど直接的な人的交流が困難となりましたことから、新たな生活様式に配慮し、事業を実施いたしたところでございます。まず、昨年の春にスペイン国内において初めて非常事態宣言が発令されました際に、山口市民からの励ましや応援メッセージを動画にし、スペイン王立水泳連盟に送付しましたほか、会場に集まっていただく交流が実施できない時期は、オンライン会議システムを活用して高校生を対象に英語でスペイン講座を開催するなど、オンラインを活用した新たな手法を取り入れた交流を実施いたしました。また、これまでの交流事業に参画された若い世代の方々が主体となって進めた交流といたしまして、2度にわたりキャンプ期間中の選手と食の交流を行った実績のある山口県立大学の学生が、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局主催のホストタウンサミット2021におきまして、スペイン水泳選手へのおもてなし料理を開発し、国内外に向けてネット中継で発表されたほか、令和元年度にスペインでの合同合宿で友情を育んだ山口とスペインの高校生アスリート同士が、相互に励まし合う応援ビデオメッセージの交換も実施いたしました。さらに、国際交流員の取組といたしまして、スペイン語圏の皆様に向けて、本市はもとより県内の観光資源や歴史文化をはじめ、食や伝統工芸、自然豊かな美しい景色など、山口の魅力を紹介するSNSでのライブ配信を行ったほか、スペイン語で山口を紹介する書籍を出版いたしまして、スペイン国内における山口の認知度向上にもつながってきているところでございます。コロナ禍において、こうした取組を行うことができましたのも、これまでの市民交流により友情やつながりが育まれたからこそ実を結んだものと改めて実感したところでございまして、引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を注視いたしながら、このつながりを将来に向けて継承してまいりたいと考えております。新年度における東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた取組でございますが、選手への応援メッセージの募集をはじめ、市内の大学生にデザインを御考案いただいた応援バナーの設置、選手から寄せられた山口市民への感謝のメッセージやオリンピック出場選手を紹介する動画等を公開いたしまして、直接交流が難しい中でも、つながりを感じていただけるよう、機運醸成を図ってまいります。また、スペインナバラ州政府からは、ミシュランシェフを本市に派遣し、本場スペインのバスク料理を堪能できる食の交流を実施したいとの申入れもいただいておりまして、直接交流が可能となりましたら、民間事業者との連携の下、ぜひとも将来にわたって継続される新たな経済交流として展開してまいりたいと考えております。今後も、アフターコロナを見据え、これまで蓄積されたスペインとのネットワークを継承し、継続的な交流事業へと発展させてまいるとともに、この経験をほかの海外都市との交流にも生かしながら、本市の交流人口拡大につなげてまいる所存でございます。
以上でございます。
◯ 議長(入江幸江副議長) 馬越帝介議員。
〔9番 馬越帝介議員登壇〕
◯ 9番 馬越帝介議員 御答弁ありがとうございました。
それでは、大項目のイ、スマート自治体への加速化についてお伺いします。政府において、デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針が決定され、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化が示されました。このビジョンの実現のためには、住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ、市区町村の役割は極めて重要であると考えます。自治体において、まずは自らが行う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、効率化によって生じた人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められており、昨年末に総務省において、自治体が重点的に取り組むべき事項等を具体的に示す自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画が策定され、デジタル社会の構築に向けた取組を全自治体において着実に進めていくこととされたところであります。また、総務省管轄のスマート自治体研究会の報告によりますと、スマート自治体の実現に向けた具体的方策として、行政手続を紙媒体から電子媒体へ、行政アプリケーションを自前調達式からサービス利用式へ、自治体やベンダーが守りの分野から攻めの分野へとする3原則を掲げています。このようなことを踏まえ、2点についてお伺いします。中項目の1)組織・推進体制について。本市においても、新年度予算にも反映されているとおり、スマート自治体への取組を重点的に実施されるということでありますが、着実に、あるいは強力に推進していくためには、組織体制、推進体制の整備が必要であると考えます。例えば、CIO──最高情報統括責任者やCIO補佐、CDO──データ統括責任者の選任は必須とされ、CIOを中心とする全庁横断的な推進体制の整備が必要とされています。また、その選任においては、先の定例会でも質問したとおり、既に専門性のある外部人材の積極登用と首長を含めたマネジメント層の一貫したICT活用を前提とした経営戦略の習得など、全体的なICTリテラシー──すなわちICTを正確に理解し、活用できる能力の向上が必要とされています。そこでお伺いします。本市において、スマート自治体の実現に向け、どのような体制でスマート自治体の取組を推進していこうとしているのか、お考えをお聞かせください。次に、中項目の2)スマート自治体の取組。スマート自治体に向けた取組の具体的な内容について、デジタル化によって市民の利便性がどのように向上されるかといった視点でお伺いいたします。先進的な事例として、大阪府の四條畷市では、市民がオンラインで住民票を請求できる行政サービスを提供されています。市民は
スマートフォンで必要事項を入力し、本人確認を行い、クレジットカードで決済を済ませるだけで住民票が郵送されてくるというサービスです。住民票を取るために市役所に行く必要も、窓口で待つ必要もなく、郵送請求を行う場合に面倒な手書きでの申請書への記載や定額小為替の購入、返信用封筒や切手の準備も不要で、市民は一般のオンラインサービスで買い物をするのと同じような感覚で、
スマートフォンで簡単に取り寄せられるといった内容です。申請の流れとしては、
スマートフォンの申請画面で必要な部数や記載事項を入力し、マイナンバーカードで本人認証を行い、クレジットカードで支払いを行います。従来と比べると、市民は圧倒的に簡単に請求を行うことができるとともに、移動にかかる時間や場所にとらわれず、いつでも、どこででも手続を行うことができるというメリットがあります。こうした事例は、まさにデジタル化による利便性の向上であり、本市としても積極的に導入していくべきサービスであると考えます。そこでお伺いしますが、今後の本市のデジタル化の推進に当たり、どのような方針で住民サービスを進められるのか、また、市民の利便性がどのように向上されていくのか、具体的な取組を含めお考えをお聞かせください。
以上で、大項目のイの1回目の質問を終わります。
◯ 議長(入江幸江副議長) 宮崎総務部長。
〔総務部長 宮崎高行君登壇〕
◯ 総務部長(宮崎高行君) スマート自治体への加速化についての御質問にお答えいたします。まず、組織・推進体制についてでございます。国全体で社会経済活動のデジタル化が求められている中、本市におきましては、医療、介護、子育て、教育、防災、エネルギー、物流など、市民生活全般のあらゆる領域でデジタル技術を活用して、市民の皆様の暮らしの向上を図り、安心して住み続けられるまちづくりを進めるスマートシティの実現に向けた取組を進めているところでございます。そして、このスマートシティの取組の一つのフィールドでございます行政分野の取組といたしまして、デジタル技術を活用した利便性、効率性の高い行政サービスを提供するスマート自治体の構築に向けた取組を進めているところでございます。また、国におかれましては、令和2年12月に策定された自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画におきまして、自治体が重点的に取り組むべき事項を具体化するとともに、その推進体制の構築を求めているところでもございます。こうしたことから、本市におきましては、本年4月の組織改編で国全体のデジタル化の流れに迅速に対応し、市民の皆様の利便性向上につながる取組を加速化させるため、情報企画課をデジタル推進課に改組する予定といたしております。また、本市の行政のデジタル化を組織横断的に、そして、これまで以上に強力に推進する体制の構築について検討を進めており、仮称ではございますが、山口市デジタル・トランスフォーメーション推進本部を設置いたす予定としているところでございます。この推進本部には、副市長をデジタル化の統合的、効果的な推進を統括的にマネジメントする最高情報統括責任者──いわゆるCIOとして置き、そして、デジタル推進マネージャーとして委嘱している方など、民間企業の専門人材の活用を想定しておりますけれども、CIOを専門的、技術的見地から支援、助言する役割を担うCIO補佐を置くこととしております。このCIOとCIO補佐を中心として、部長級を本部員とする推進本部を組織しまして、機動性、実行性の高い推進体制を新たに構築し、その下で、関係職員で組織するワーキンググループによる専門的、具体的事項の検討や、情報企画部門での市役所全体の情報資産や情報関連予算の一元的な把握、調整等を図っていくことを検討しているところでございます。こうした推進体制を一体的に整えることで、デジタル行政への転換、スマート自治体の構築の取組を加速化させてまいりたいと考えております。次に、スマート自治体の取組についてでございます。まず、スマート自治体の推進に当たっての基本的な方針につきましては、デジタル化をすること自体が目的ではなく、本来の目的でございます市民の皆様の利便性の向上に資するものとなる必要がございます。そのためには、デジタル技術やデータを活用して、時間や場所を問わず必要なサービスが最適なタイミングで迅速に提供される必要があり、そして、そのメリットを誰一人取り残さない形で広く行き渡らせることが重要であると考えておりまして、今後、市民の皆様に身近な手続などから優先的にデジタル化を進めていきたいと考えております。こうした考えの下、今後の取組といたしましては、窓口にお越しいただかなくても御自宅等から電子申請──いわゆるオンラインで手続が完結できる対象の拡大を図ってまいりますとともに、窓口の混雑状況がオンラインで確認できるサービスの充実や、出産、結婚、引っ越しのなどの
ライフイベント等に際して必要な手続がオンラインで御案内できるサービスの展開等につきましても、検討を進めてまいりたいと考えております。そのほか、窓口におきましても、紙による申請からタブレット端末を活用した書かなくていい申請への段階的な転換、窓口手数料のキャッシュレス決済の拡大など、一貫したデジタル化を推進することで、利便性の向上を図ってまいりたいと考えております。そして、地域交流センターなどの出先機関の窓口からも、本庁職員と画面を介して対面することで、より専門的な相談を行うことができるオンライン相談機能の実証など、デジタル技術を活用することで、場所や地域を問わず、同一の行政サービスが提供できる仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。また、こうした手続面のほかにも、例えば、母子健康アプリや山口市LINE公式アカウントなどを活用した子育て世代をはじめ、個々の必要な情報が最適なタイミングで配信されるサービスの充実や、行政サービスの問合せがAIの自動会話プログラムによって24時間365日いつでもできるサービスの拡大等を展開してまいりたいと考えております。加えまして、こうしたデジタル化の推進に当たりましては、デジタル技術に関する特別の知識等を要しない分かりやすい画面構成や操作性、ヘルプデスク等の利用者サポート機能の導入等に努めてまいることとしております。また、デジタル技術を活用していただく皆様への支援といたしまして、
スマートフォンなどのデジタル機器の操作方法や電子申請などのデジタルサービスの利用方法について、身近な地域等で学ぶことができる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。本市といたしましては、こうした取組を通じて、デジタル技術を身近なところで感じていただく中で、市民の皆様に利便性の高い行政サービスを提供してまいりたいと考えているところでございます。
◯ 議長(入江幸江副議長) 馬越帝介議員。
〔9番 馬越帝介議員登壇〕
◯ 9番 馬越帝介議員 御答弁ありがとうございました。市民サービスの飛躍的な進歩を期待しております。
それでは、大項目ウ、自治会ごみ集積所の管理運営についてお伺いします。自治会加入率の低下や役員、構成員の高齢化により、自治会活動に支障が出始めていることは御承知のとおりだと思います。中でも、自治会で維持管理しているごみ集積所の管理については、通常、当番制、輪番制で行われていますが、若い世代が日々の仕事で維持管理に関わることができないことから、高齢の会員が維持管理に努めることが多く、長時間にわたる管理は体力的にも負担となっていることから、その運営自体が難しくなっている集積所もあると聞いています。廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりますと、国民の責務として「国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない」とあり、国及び地方公共団体の責務として「市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たっては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない」とあります。これを私なりに解釈しますと、国民はごみの減量と分別、再資源化に努力する責務を負い、市町村は住民への啓発と適正処理に責務を負うと読み取れます。そこで、山口市ごみ集積施設設置要領を見ますと、自治会や自治会長への責務が法律以上に重いようにも感じられます。自治会はあくまで任意の団体であり、ルール違反で出されたごみや不法投棄の処理を自治会が行うことは非常に荷が重いと考えます。このような問題を要約すると、次の3つに集約されると思います。まず、自治会の弱体化、次に、ごみ出しルールが守れない人の増加、3番目に、ごみ当番ができない人の増加です。この現状を踏まえ、2点について質問させていただきます。まず、中項目1)管理運営を担う自治会の現状と対応策について。ごみ集積所を維持管理する自治会について、加入率や高齢化率などの現状と、それに対応する市の取組についてお聞かせください。次に、中項目2)ごみ集積所の維持管理について。ごみ集積所の維持管理に関しては、市ホームページに自治会ごみ集積所の維持管理についてと題して掲載されていますが、現状の問題を解決するにはかなり距離があるように思われます。この問題を打開するため、例えば、集積所維持管理の外部委託やごみステーションへの自主搬出を促進するための増設、また、集積所回収から戸別回収への転換など新たな取組が必要だと考えますが、市のお考えをお聞かせください。
以上で、大項目のウ、1回目の質問を終わります。