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  1. 愛知県議会 2010-09-01
    平成22年9月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成22年9月定例会(第3号) 本文 2010-09-28 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 53 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長日高昇君) 選択 2 :  ◯議長日高昇君) 選択 3 :  ◯五十八番(鈴木孝昌君) 選択 4 :  ◯総務部長永田清君) 選択 5 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 6 :  ◯教育長今井秀明君) 選択 7 :  ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 選択 8 :  ◯知事神田真秋君) 選択 9 :  ◯教育長今井秀明君) 選択 10 :  ◯五十八番(鈴木孝昌君) 選択 11 :  ◯議長日高昇君) 選択 12 :  ◯七番(浅井よしたか君) 選択 13 :  ◯建設部長川西寛君) 選択 14 :  ◯教育長今井秀明君) 選択 15 :  ◯知事神田真秋君) 選択 16 :  ◯七番(浅井よしたか君) 選択 17 :  ◯三十八番(神戸洋美君) 選択 18 :  ◯議長日高昇君) 選択 19 :  ◯議長日高昇君) 選択 20 :  ◯副議長奥村悠二君) 選択 21 :  ◯四十六番(伊藤勝人君) 選択 22 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 23 :  ◯教育長今井秀明君) 選択 24 :  ◯地域振興部長(山田周司君) 選択 25 :  ◯副議長奥村悠二君) 選択 26 :  ◯六十三番(渡会克明君) 選択 27 :  ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 選択 28 :  ◯農林水産部長(小出茂樹君) 選択 29 :  ◯知事神田真秋君) 選択 30 :  ◯六十三番(渡会克明君) 選択 31 :  ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 選択 32 :  ◯副議長奥村悠二君) 選択 33 :  ◯四番(柴田高伸君) 選択 34 :  ◯建設部長川西寛君) 選択 35 :  ◯地域振興部長(山田周司君) 選択 36 :  ◯三十七番(大見正君) 選択 37 :  ◯副議長奥村悠二君) 選択 38 :  ◯副議長奥村悠二君) 選択 39 :  ◯議長日高昇君) 選択 40 :  ◯三十九番(中野治美君) 選択 41 :  ◯健康福祉部長(野村道朗君) 選択 42 :  ◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 選択 43 :  ◯農林水産部長(小出茂樹君) 選択 44 :  ◯地域振興部長(山田周司君) 選択 45 :  ◯企業庁長(山川利治君) 選択 46 :  ◯環境部長(西川洋二君) 選択 47 :  ◯議長日高昇君) 選択 48 :  ◯十六番(長江正成君) 選択 49 :  ◯環境部長(西川洋二君) 選択 50 :  ◯十六番(長江正成君) 選択 51 :  ◯三十八番(神戸洋美君) 選択 52 :  ◯議長日高昇君) 選択 53 :  ◯議長日高昇君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長日高昇君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第九十九号議案平成二十二       年度愛知県一般会計補正予算から第百十四号       議案土地利用審査会の委員の選任についてま       で及び決算第一号平成二十一年度愛知県一般       会計歳入歳出決算から決算第十八号平成二十       一年度愛知県臨海用地造成事業会計決算まで 2: ◯議長日高昇君) 第九十九号議案平成二十二年度愛知県一般会計補正予算から第百十四号議案土地利用審査会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成二十一年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十八号平成二十一年度愛知県臨海用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  鈴木孝昌議員。     〔五十八番鈴木孝昌君登壇〕(拍手) 3: ◯五十八番(鈴木孝昌君) おはようございます。  通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。  まずは、財政について質問いたします。  最近の民主党の政権運営を国民、県民はどう見ているのでありましょうか。そもそも民主党は、さきの参議院選挙で国民から厳しい判断を下されながら、その責任が消費税問題なのか、あるいは政治と金の問題なのか、はっきりさせないまま、けじめをつけずにここまで来ております。  さきの代表選では、菅首相続投となったものの、挙党一致体制には懐疑的な見方が多く、今回の中国問題への対応についても、与党からさえも外交に対する将来への不安感を示され、国民への説明も行われず、場当たり的な対応に多くの国民からも菅首相への不信感が増大しており、民主党政権は迷走を続けていると言わざるを得ません。
     民主党が国民生活を顧みることなく政権運営を続けている間に、日本経済の先行きに強い不透明感が広がってまいりました。民主党政権の対応は常に後手に回っていると言えると思います。  先般、内閣府が発表いたしました四月から六月の実質国内総生産成長率が前期比年率で〇・四%増と大幅に鈍化しました。我が党と公明党政権時代からの政策効果が途切れつつある一方で、設備投資などが盛り上がりを欠き、低成長率でありました。  この低成長の原因は、個人消費が横ばいにとどまったことや、エコカー減税などの政策効果が頭打ちとなり、自動車生産の伸びに鈍化や一服感が出たことなどが挙げられるようでありますが、何と申しましても、今の民主党政権の無策ぶりに尽きると思います。  こうした中、遅まきながら追加経済対策が決定されました。昨日には補正予算の編成も指示されたようであります。私は、多くは期待しませんでしたが、現在の深刻な国民生活に対し、民主党政権がどのような政策を構築するのか、注意深く見詰めてまいりました。  しかしながら、この経済対策は具体的なものが余り盛り込まれておりません。財源議論もこれからのようであります。今の政権の無策ぶりでは望むべくもありませんが、必要な公共事業、社会基盤整備はまだまだ数多く残っています。地域経済のことを考えれば、公共事業を初めとする大規模な財政出動を行うべきと思います。  地域経済の停滞は、地方税収の回復の鈍化、あるいはさらなる減収につながってまいります。こうした状況の中で重要なのは、地方財政が立ち行くよう、国が地方交付税など地方の財源をしっかりと増額確保することに尽きるのであります。  さきに政府が決定いたしました財政運営戦略などを見ますと、地方交付税については、歳出の大枠として事実上キャップをはめられ、地方交付税等を含む地方一般財源総額につきましても、向こう三年間、実質的に同水準とされていますが、結局具体的な内容は年末の地方財政対策等を経て決定されることとされております。  このような記載、あるいは取り組み姿勢からは、地域主権を標榜する民主党政権が、来年度以降、地方の財源をしっかりと確保する姿勢を貫くのか判然としないのでありますが、来年度の地方財政措置の確保に対する県当局の認識はどのようなものかお示しをいただきたいと思います。  さて、今議会には、地方公共団体の財政の健全化に対する法律に基づき、平成二十一年度決算の健全化判断比率が報告されております。これによりますと、実質公債費比率は二十年度決算の一〇・八%から一一・八%へ上昇し、将来負担率も二十年度決算の二二七・四%から二七一・四%へと大きく上昇しております。  こうした指標は、地方公共団体の財政のすべてを反映するものとは思いませんが、財政運営を行う上で留意すべき計数であることには相違ありません。それぞれ早期に健全化をしなければならないとされる水準は大きく下回ってはおりますが、県はどのようにこれらの指標を受けとめられているのかお伺いをいたします。  また、今後も大きく県税収入が回復することは困難であり、さらに公債費は増加し続けることが見込まれる中、実質公債費比率や将来負担比率はどのように推移すると考えておみえになるのかお伺いをいたします。  次は、県債についてお尋ねをいたします。  本県は、県税収入の大幅な落ち込みを補うため、平成二十年度の補正予算以降、県債を最大限活用してきており、結果として県債残高は増加を続けております。最近の県債残高の動向は、臨時財政対策債など特例的な県債の発行の急増によるものでありますが、これまで及び今後の県債残高の推移についてどのように考えているのかお伺いいたします。  こうした県債残高の動向を踏まえ、公債の発行を問題視する傾向がありますが、通常、県債は社会基盤整備のための財源として発行されます。これは、建設的に一時的に必要となる資金を公債で賄い、その後、その施設の利用者である後の世代から租税を徴収して元利を償還していくという機能の活用であり、租税にはないメリットがあります。  私は、適時に適切な財政支出の拡大であれば、現在においても有効な景気刺激策と考えています。しかし、現在のように景気が大きく回復してくることを見込むことが困難で、大量に県債が発行され、その残高が県税収入の数倍の水準になると、財政の硬直化など、実際にはさまざまな問題が生じてまいります。  そこでお伺いいたします。  このような公債発行のメリットと県債残高の状況を踏まえた上で、持続的な財政基盤の確立に向け、どのように取り組んでいこうとされているのかお伺いいたします。  次に、産業政策について、特に物づくり愛知を背負って立つ技術者の育成、企業の技術支援についてお伺いいたします。  中国など新興国が急速に技術力をつけ、日本は、今まで以上に付加価値の高い物づくりが求められます。環境や医療など成長産業の種を早く生み出さなければなりません。将来の科学技術を担う中小企業や若い世代の挑戦心をはぐくむ、創造性に富む中小企業の技術者や研究者を育てる仕組みが必要であります。このような仕組み等がなければ、これから日本の企業、中小企業は世界に太刀打ちができないと思われます。  また、最近の急速な円高は、持ち直しの傾向もあった中小企業の経営状況の回復にも暗い影が投げかけられており、新興国などの進出とあわせ、まさにダブルパンチであります。  そうした中、大手製造業におきましては、国内における生産品の販売が頭打ちとなったことから、生産拠点の海外移転が加速しており、今までの一次、二次、三次などの下請構造が崩壊し、中国を含むアジア各国の技術力の進歩と相まって、国内産業の空洞化がより進むのではないかと懸念いたしております。  また、本県の基幹産業であります自動車産業においては、PHV、EVなどの次世代自動車の普及に向けた流れの中で、自動車部品産業は大きな構造変化を迎えるものと考えられます。仮に自動車の動力が内燃機関から電気モーターに切りかわることになれば、三万点と言われる自動車の部品点数が大幅に減少すると言われ、今までのエンジン関連部品等を製造している中小企業におきましては、仕事がなくなるなどの影響が生ずるものと思われます。  実際に中小企業の方にお聞きしましたところ、現在製造している製品のみでは先行きは極めて厳しいとの見方が少なくありません。  今こそ本県の物づくりを支える中小製造業を技術面で支援していかなければ、愛知県の物づくり愛知としての未来はないものと思うわけであります。そのためには、中小企業の技術支援の中核である産業技術研究所の役割も今後非常に重要になっていくものと考えます。  そこでお尋ねいたします。  大きな構造変化に直面する本県自動車関連産業の中小企業の技術者の育成や企業の技術支援について、県はどのように対応していかれるのかお伺いをいたします。  また、現在、次世代モノづくり技術の創造・発信の拠点として、知の拠点の整備が進められているところでありますが、大企業のみならず、中小企業の技術力の強化に大きな効果があることを期待するところであります。  そこで、知の拠点の取り組みが実際活用で大企業中心となりやすいと思われますが、中小企業の振興、技術力の強化のために、中小企業が相談しやすい窓口と対応する仕組みをつくるべきと思いますが、お考えをお伺いいたします。  さらに、MRJが本県に製造拠点を構えておりますが、MRJの製造技術は安全基準を中心として自動車とは大きく異なっております。  そこで、MRJの製造をそのすそ野の広がり、すなわち中小企業の発展、さらにその先、その技術を持ってMRJ以外の多くの航空産業へも転換できることを含め、どのようにつなげていかれるのかお伺いをいたします。  次に、養護学校過大化解消についてお伺いいたします。  障害のある児童生徒の教育に関しては、子供たち一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育の推進が求められています。  こうした中、特別支援学校においては、全国的にここ数年、児童生徒の障害の重度、重複化などが進んでいることや、高等部への進学率の上昇など、特別支援教育をめぐる状況が変化してきております。  特に本県の知的障害養護学校については、在籍する児童生徒数の増加に伴い、大規模化、狭隘化が進み、教育環境の整備が大きな課題となっております。とりわけ、東三河地区唯一の知的障害養護学校である豊川養護学校については、児童生徒が四百六十七名、学級数が八十一学級で、全国一の大規模となり、現在教室の不足が顕著で、特別教室を普通教室に転用するなどして教室数を確保している状況にあります。  こうした豊川養護学校の過大化の現状に対して、豊川養護学校の保護者の方などがつくる知的障害養護学校の増設を求める家族の会が、豊橋市内での特別支援学校の開設を求める三万八千七人分の署名を携えて、先月十九日に豊橋市長、二十四日に知事に、豊橋市に知的障害養護学校の設置を求める要望書を提出されました。  豊川養護学校の教室不足、長時間通学の解消など、保護者の方々の教育環境の改善に対する思いは大変切実なものであると同時に、三万人を超える署名は、単に豊川養護学校に通学する人々だけの要望ではなく、東三河地域全体の県民の声であり、豊橋市内への特別支援学校設置が喫緊の課題であることを示しております。  これまで本県の知的障害養護学校の過大化解消のために、県教育委員会は、平成二十一年度に県立みあい養護学校の新設や、県立宝陵高等学校への豊川養護学校本宮校舎の開設に取り組んでおられます。  また、現在は、平成二十六年度の開校に向けて、稲沢市にある元平和高等学校の跡地を活用した知的障害養護学校の新設に向けて取り組んできておられます。このような対応をしてきた県の努力は一定評価するところであります。  そうした中、九月七日に行われました豊橋市議会において、豊川養護学校における日本一の過密解消策についての質問があり、市長が早期の実現を目指すためには市が事業主体となってでも取り組む、その決断をすべきときに来ていると認識していると大変前向きな意向を示すと同時に、県の全面的な支援を求めるとの答弁をされています。  そこで、今回の要望や豊橋市議会の動向も踏まえ、豊川養護学校の過大化解消について、今後どのように対応されていくのか、教育長にお伺いをいたします。  また、特別支援学校は本来県立として対応すべきであると考えておりますが、仮に豊橋を中心として地元市町が事業主体となったときの建設費の補助や教職員の配置等の対応についてどのようなお考えを持っておられますか。  さらに、過大化解消の課題とともに、生徒数が急増している知的障害養護学校高等部生徒の進路先も大変心配されるところであります。  そこで、養護学校を卒業する方にどのような就職支援をしていかれるのか、あわせてお伺いをいたします。  次は、救急医療対策について、とりわけ県民の安心・安全の確保のために、特に重要な役割を担う第三次救急医療について質問させていただきます。  第三次救急医療施設として、現在県内十五カ所の救命救急センターが県から指定されています。また、去る九月三日に開催された愛知県医療審議会医療対策部会において、今後さらに三カ所の救命救急センターを指定していく方向が承認されたとお聞きしていますので、近い将来には、県内十八カ所の救命救急センターが整備されることとなります。これは、全国でも東京都の二十三カ所に次いで二番目に多い施設数であり、全国にも誇り得る救急医療体制の整備が進んできたことと思います。  しかしながら、救命救急においては、来院直後から十分な診療体制による適切な対応が求められ、特に脳卒中や心筋梗塞などでは極めて迅速に最善の措置がなされなければ、仮に命を取りとめても重い後遺症を残すことにもなりかねません。ますます高度化し、専門化している現代の医療状況を考慮いたしますと、地域に複数の救命救急センターが整備されても、そのすべての施設において、真に必要とされる高度な専門医療に対応できるかどうかは甚だ疑問であります。  また、そうした施設へのアクセスそのものにも地域格差があります。例えば、私の地元の東三河では、新城市や設楽町などの東三河北部医療圏は、豊橋を中心とした東三河南部医療圏と一体となって医療の確保を図っていく必要があります。救急疾患と脳疾患は、その対応が特に時間勝負であり、三百六十五日二十四時間体制が必要であります。現在、県内、どのように分布しているか把握をされておりますか。お伺いをいたします。  さらに、今後、本県において第三次救急医療の一層の機能強化と質の向上を図るためには、施設の整備もさることながら、救急医療の最先端の現場に携わっている専門医師の意見も積極的に取り入れて検討を進めていただくことが必要ではないかと考えますが、今後の県内の救急医療体制を構築していく上での県当局のお考えをお伺いして、壇上からの質問とさせていただきます。(拍手) 4: ◯総務部長永田清君) 財政問題に関する御質問のうち、まず、来年度の地方財政措置の確保についてお答えいたします。  さきに公表されました来年度予算の概算要求は、財政運営戦略、あるいは中期財政フレームに沿ったものであり、地方交付税について、今年度とほぼ同額を確保するなど、平成二十二年度の地方一般財源総額五十九・四兆円の水準を維持する内容となっております。  しかしながら、現在の急激な円高の進行が今後の地方税収に与える影響が大いに懸念されるところであり、来年度も社会保障関係経費の増加が続くことなどを踏まえますと、地方にとって、地方一般財源総額の増額確保が必要であると考えております。  また、近年、国は、臨時財政対策債や一般会計からの加算によります地方交付税の増額などといった単年度の対策により地方一般財源総額を確保しております。  しかしながら、地方財源不足額の発生が恒常化している現状を見ますと、地方交付税について、その原資となる国税五税の交付税率の引き上げにより抜本的に拡充し、地方交付税総額の予見性や地方財政の安定性を高めることが必要と考えております。  こうした中、来年度予算の概算要求では、交付税率の引き上げも盛り込まれているところでございます。国の財政状況も厳しい中、今後本格化する国の予算編成作業は予断を許しませんが、本県といたしましては、地方交付税を含めた地方一般財源の増額確保、そして、交付税率引き上げが実現するよう、全国知事会などと連携し、国にしっかりと働きかけることが必要と認識しております。  次に、健全化判断比率についてお答えいたします。  平成二十一年度決算におけます実質公債費比率や将来負担比率は、いずれも国の定める早期健全化基準を下回っておりますが、前年度決算に比べ悪化いたしております。  これは、県税収入が大幅に減少したことによりまして、各指標の分母の基礎となる標準財政規模が小さくなったこと、そして、分子でございます公債費や県債残高が増加したことによるものでございます。県税収入が急激かつ大幅に落ち込み、非常に厳しい状況に陥っております本県財政の姿が指標にも反映されたものと受けとめております。  また、各指標の今後の推移については、現時点で正確な見込みを申し上げることはできませんが、平成二十二年度につきましては、県税収入が二十一年度からさらに落ち込むことなどにより生じた巨額の収支不足を解消するため、特例的な県債の最大限の活用や減債基金の取り崩しなどを行っております。こうしたことからすれば、平成二十一年度よりも各指標は悪化する傾向にあるものと考えております。  また、平成二十三年度以降も県税収入の大幅な回復が見込めない現状にあっては、各指標が改善することは考えにくいところでございます。  次に、県債残高についてのお尋ねでございます。  本県の県債残高は、平成二年度に一兆円を超えて以来、八年度に二兆円、十三年度に三兆円、二十年度に四兆円を超えるというペースで増加をしております。過去の県債残高の増加は、投資的経費の増加に連動した通常の県債の増加によるところが大きかったところでございますが、平成十六年度以降、通常の県債の残高は減少基調にございます。  しかしながら、平成二十一年度、二十二年度と県税収入の急激かつ大幅な減収の影響により生じた巨額の収支不足を埋めるために、平成二十年度二月補正以降、臨時財政対策債や減収補てん債といった特例的な県債を大量に発行せざるを得ない状況が続いております。臨時財政対策債や減収補てん債は、元利償還金が高い割合で普通交付税の基準財政需要額に算入されるものではございますが、県債残高全体を増加させる要因となっております。  今後も県税収入の大幅な回復が見込めず、特例的な県債を活用せざるを得ない状況が続くものと考えられ、財政中期試算では、平成二十五年度末には県債残高が五兆円を超えると見込んでおります。  最後に、公債発行のメリットと県債残高の状況を踏まえた上での持続可能な財政基盤の確立についてお答えいたします。  地方債には、住民負担の世代間の公平のための調整、国の財政政策との調整などの機能があり、本県もこうした機能を踏まえながら、各種の建設事業や国の財政経済対策に呼応した事業を実施するため、地方債を活用してまいりました。  地方債を活用しましたこうした施策は、社会基盤整備の促進や景気の下支えなど一定の効果をもたらしたものと認識してはおりますが、一方で、地方債残高の急激な増加の要因ともなっておるところでございます。地方債残高の急増への対応は、全国的に見ても喫緊の課題であり、このことは本県でも例外ではございません。  第五次行革大綱では、通常の県債について、新規発行額の抑制により、平成二十六年度当初予算時点における残高を平成二十一年度決算時点よりも減少させるとの目標を設定しております。  また、県債の償還方法について、満期一括償還方式だけでなく定時償還方式も活用するとともに、市場公募債におきます発行年限や条件決定方式の多様化、減債基金の運用益の拡大などにより、公債費の平準化や負担の抑制に努めてまいります。  今後とも、こうした取り組みを進めながら、事務事業の見直しなどとあわせまして、持続可能な財政基盤の確立に努めてまいります。  以上でございます。 5: ◯産業労働部長木村聡君) 私からは、まず、中小企業の技術者育成と企業の技術支援についてお答え申し上げます。  地球環境問題への対応から、自動車分野におきましても、PHV、EVなど環境に優しいいわゆる次世代自動車へのシフトが加速しております。御指摘のとおり、本県の自動車関連の中小企業は大きな構造変化に直面しているものと認識をいたしております。  こうした中で、本県では、次世代自動車をめぐる動向や、中小企業が抱える課題、要望等を把握いたしますため、県内の関連企業を対象としたきめ細かい実態調査を実施してまいりました。その過程におきまして、企業の現場からは、今後、受注量が大幅に減るのではないか、技術面ではどのような対応が必要になるのかといった生の声が寄せられたところでございます。  県といたしましては、こうした実態を踏まえまして、中小企業の総合的な技術支援機関であります産業技術研究所が中心となり、これまで行ってまいっております燃料電池に関する評価支援や技術相談・指導などの取り組みを充実いたしますほか、次世代自動車に関する研究会を設置いたしまして、専用モーターやバッテリーの研究開発に関する情報提供や技術者の育成にも取り組んでまいります。  また、自動車の軽量化に資する材料などの研究開発を中小企業と共同で立ち上げることとしておりまして、以上申し述べた取り組みを通じまして、次世代自動車の普及という時代の転換期であります中小企業の技術の高度化や新しい分野への展開を支援していく考えでございます。  次に、知の拠点の取り組みについてお答え申し上げます。  産業技術研究所とともに本県の産業振興を担う知の拠点は、中小企業を含めまして県内産業の高度化を支援いたしますとともに、次世代産業の創出を図ることを目的としております。  このため、県といたしましては、地域の中小企業の方々にこの拠点を積極的に御活用いただくよう、相談窓口を設置し、活用方法をわかりやすく御説明申し上げるなど、きめ細かく相談に対応してまいります。  また、知の拠点で実施する重点研究プロジェクトに参加する中小企業の方々に対しましては、プロジェクトごとに設置をいたしますコーディネーターがアドバイスを行うことにより、大学等の知見を生かした技術力の向上や事業化をきめ細かく支援することといたしております。  さらに、知の拠点に設置いたします高度な計測分析・評価機器につきましては、専門の技術スタッフによる指導等によりまして、機器を使いなれていない中小企業の方々の円滑な利活用を支援してまいります。  以上申し述べた取り組みを通じまして、知の拠点が真に中小企業の方々の期待にこたえられるよう、整備、運営に努めてまいりたいと考えております。  最後に、MRJの製造をどのように中小企業の発展などにつなげていくのかというお尋ねについてお答え申し上げます。  航空機産業は、高い精度の部品を数多く取り扱いますことから、地域の中小企業がこの分野に参入できれば、その技術力の向上や発展につながるものと考えております。  このため、県といたしましては、これまで航空機産業そのものの振興とあわせまして、県内中小企業の円滑な参入を支援してまいりました。  今月末から生産が始まるMRJは、厳しい国際競争の中、今後、コストの削減が求められます。本県では、こうした課題に対応いたしますため、中小企業グループがMRJの関連部品の一貫生産、供給体制を構築し、コストダウンを図ろうとする試みを支援してまいります。  また、MRJ製造に関係いたします中小企業がその技術を生かしまして新製品を開発し、新たに受注を獲得できるよう、航空宇宙シンポジウムの開催や海外エアショーを通じた販路開拓支援にも取り組んでまいります。  さらに、名古屋空港隣接地に誘致いたしました宇宙航空研究開発機構、通称JAXAでございますが、こちらと連携をいたしまして、中小企業が飛行実験機を活用して、MRJ搭載品などの実証実験を行うことができるよう支援してまいりたいと考えております。  県といたしましては、こうした一連の取り組みに加えまして、産業技術研究所におけます技術者の育成を通じまして、MRJのプロジェクトを地域の中小企業の発展につなげていきたいと考えておるところでございます。  私からは以上でございます。 6: ◯教育長今井秀明君) 養護学校の過大化解消についてお答えをいたします。  本県の知的障害養護学校の状況でございますが、近年、保護者の方々の特別支援教育についての理解が深まってきたことや、中学校の特別支援学級から養護学校高等部への進学率の上昇などを要因といたしまして、急激に児童生徒数が増加し、教室の不足や長時間通学などが課題になっております。  こうしたことから、教育委員会といたしましては、昨年、知的障害養護学校の過大化解消をするための今後の方策をまとめ、喫緊の課題である尾張西部地区の養護学校の過大化解消策や、知的障害養護学校全体の過大化解消の方向性を示したところでございます。  その中で、東三河地区では、豊川養護学校の通学区域であります市町への働きかけを含めた過大化解消策を検討することとしたところでございます。  豊川養護学校の過大化解消につきましては、平成二十一年度に豊川養護学校本宮校舎を開校いたしましたが、過大化を解消するところまでには至りませんでした。豊川養護学校の半数近くの児童生徒が豊橋市内から通学しておりますことから、これまでも豊橋市と話し合いを行ってまいりました。  こうした中で、豊川養護学校へ通学している子供の保護者の方々が中心となられて、豊橋市に知的障害養護学校の設置を求める署名活動が行われ、豊橋市と県に要望をいただいたところでございます。  県教育委員会といたしましては、豊川養護学校の過大化は早急に解消する必要がありますので、何とか市立の養護学校の設置をしていただけないか、今回改めて豊橋市にお願いをしたところでございます。  先日、豊橋市議会におきまして、市長さんには大変前向きな答弁をしていただいております。今後は、豊橋市を初め、豊川養護学校の通学区域の関係市と積極的に協議を進めるとともに、議員お示しのように、もしも豊橋市において養護学校を設置するという決断をしていただけるのであれば、県教育委員会といたしましても最大限の支援をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 7: ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 救急医療対策に関する御質問にお答えをいたします。  まず、心疾患と脳疾患で三百六十五日二十四時間対応できる県内の病院の分布状況についてでございます。
     本県では、県内四医科大学病院の院長等で構成されます公立病院等地域医療連携のための有識者会議におきまして、平成二十一年二月にまとめられました提言、地域医療連携のあり方についての中で、医療資源の充実している名古屋市を除く県内の高度な救急医療機関の状況を調査、把握しているところでございます。  有識者会議におきましては、専門医師の配置状況や休日、夜間における医師の勤務体制等により一定の判断基準を整理し、その基準をもとに、二次医療圏ごとに、心筋梗塞、脳卒中、多発性障害、それから、急性消化管出血の四種類の緊急性の高い疾患別に、三百六十五日二十四時間対応可能な高度救急医療機関をリストアップしたものでございます。心筋梗塞と脳卒中に関しましては、それぞれ県内全体で十八病院が三百六十五日二十四時間の高度救急医療に対応できる施設と位置づけられております。  なお、東三河南部医療圏では、心筋梗塞については豊橋市民病院と豊橋ハートセンターが、脳卒中については豊橋市民病院と豊川市民病院が該当をいたしております。  次に、今後の本県における第三次救急医療体制についてでございます。  救命救急センターに関しましては、従来百万人に一カ所を原則に、二次医療圏に一カ所を目標として整備を進めてまいりましたが、さらなる救急医療体制の充実を図るため、今後は、二次医療圏に複数のセンター設置を視野に入れて、可能な限り循環器医療や周産期、熱傷などの特色ある医療機能についての役割分担も含めて検討していく方針といたしております。  救命救急センターの指定に当たりましては、かねてより各二次医療圏の保健医療福祉推進会議や県医療審議会医療対策部会、さらには地域医療連携のための有識者会議などから御意見をいただいております。  また、二次医療圏ごとにより具体的な医療機関の相互連携を検討するため、本年度立ち上げましたワーキンググループ救急医療部会におきましては、各地域の救命救急センター長や循環器科部長などの最前線の救急医療に携わる医師に御参加いただき、現場の御意見をいただいているところでございます。  今後とも、さまざまな機会を通じて、医科大学はもとより、地域における医療機関の救急医療の専門医師の御意見を十分にお聞きしながら、より充実した県内救急医療体制の構築を目指してまいります。  以上です。 8: ◯知事神田真秋君) 自動車関連の中小企業への技術支援、この点についてお答えを申し上げます。  本県の基幹産業でございます自動車産業は、次世代自動車へのシフト、海外での生産の進展など、今、大きな転換期にございます。  こうした中、過日、私は、自動車部品を製造する企業を訪問する機会を得ました。その折、経営者の皆様方からは、技術開発や人材育成の支援がぜひともしてほしい、次世代自動車に関する技術面の情報が欲しい、こういった切実な声をお聞きすることができました。このことは職員が訪問した他の企業でも同様でございました。  そこで、こうした現場のニーズを踏まえまして、現在策定中の産業労働計画におきまして、中小企業を含む次世代自動車産業の育成、振興を重点プロジェクトの一つに位置づけるよう指示したところでございます。  このプロジェクトでございますが、アクションプランの策定や、あるいは関連産業の誘致推進などに加えまして、新たに整備をする知の拠点、あるいは中小企業の総合的支援機関である産業技術研究所が中心となりまして、中小企業が次世代自動車の分野へ参入する際に必要となってまいります、例えば部材の軽量化、電気負荷の軽減などに関する技術開発、また、こうした技術に知見を有する人材の育成に取り組んでいくことに力を注ぐ予定でございます。  本県といたしましては、県内の自動車産業が大きな転換期の中にありましても、これをたくましく乗り切っていただけるよう、今後取りまとめる産業労働計画に沿ってしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。 9: ◯教育長今井秀明君) 失礼をいたしました。もう一点御質問をいただいておりました。  知的障害養護学校高等部生徒の就職支援についてお答えをいたします。  平成二十二年三月の県立知的障害養護学校の高等部卒業生の企業への就職状況といたしましては、四五・四%の生徒が一般企業へ就職しております。これは、全国の知的障害養護学校の就職率が二六・八%であることに比べますと大変高い就職率となっております。  本県の知的障害養護学校の高等部では、従来より木材加工、園芸、窯業などの作業活動を取り入れた職業教育を進め、将来の職業生活に必要な知識、技能、態度が身につくように指導しております。また、一、二週間、企業等で実際に働く体験として職場実習を行っております。この職場実習が実際の雇用に結びつくことから、教員が事業所を一軒一軒訪問しながら職場実習先の開拓に努めております。  しかしながら、議員御指摘のとおり、在籍する高等部生徒の増加に加え、昨今の厳しい就職状況から就職先の確保などが課題となってきております。  このため、県教育委員会といたしましては、知的障害養護学校が地域の企業、事業主、ハローワークなどと連携しながら、高等部生徒の就職につながるような具体的な方策を検討するため、平成二十一年度に愛知県特別支援学校キャリア教育推進会議を立ち上げ取り組んでいるところでございます。この会議のもとにワーキンググループを設置し、就職に結びつく職業教育のあり方、企業やハローワークと連携した実習先や就職先の開拓、障害者雇用の理解、啓発につながる活動などについて検討を進めているところでございます。  今後とも、知的障害養護学校が地域の企業や労働関係機関とのネットワークを構築しながら、一人でも多くの生徒が就職できるように努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 10: ◯五十八番(鈴木孝昌君) 今、それぞれ御答弁いただいたわけでありますが、例えば公債費比率、昔は自治省の時代、一五%が一つのラインでありました。しかし、今、二五%まで総務省は許すというような時代になってきたわけであります。  これは、長年積み上げてきた時代の、一五%という時代が長かったわけでありまして、今、二五%になったからそれに甘えていいということでは決してありません。  しかし、まだそれとの数字も、昔の数字でも乖離があるわけでありますが、今、まさしく県債をいかに上手に活用するかということがこうしたデフレの時代は大事かなというふうに思っているところであります。  先ほど申し上げましたが、やっぱり景気刺激策の役割を行政としてその部分をしっかりと担うということでなければ、民間だけでは景気刺激という多方面の方策はなかなか出てこないかなというふうに思っているところでありますし、また、産業技術につきましては、今、知事からも御答弁をいただいたわけでありますが、まさしく愛知県の産業構造、多く変わっていく時代だというふうに思っておるわけでありまして、そうした中にMRJが進出をしてまいりました。  これはなぜ進出したかということを考えますと、名古屋空港があります。この飛行機をつくるという企業は、隣に飛行場を抱えていなければ、これは絶対進出はあり得ないわけでありまして、そうした意味では、あそこしか進出はあり得なかっただろうと、全国を見ても。そうした企業が、当然ここしかないというところに進出したわけでありますので、この地域の中小企業とどう連携をさせていくことができるか、これは県の大きな役割の一つだというふうに思っておるところでありますし、また、現にそうしたことの指導的な役割を県は果たしていただけるものと確信をいたしておりますが、より一層そのことを大きく推進していただきたいなと思っているところであります。  また、養護学校でありますが、これは豊橋市が中心となって事業主体になるということを決断されておるようであります。そして、やはりお互いに議会を構えておるわけでありまして、県との関連もありますので、豊橋市議会で一〇〇%の答えは市長としてもなかなか返しにくいということもあったかもわかりません。しかし、現実には一〇〇%に近い答えというふうに私は受けとめておるわけでございます。  そして、本来は、先ほど読み上げでも申し上げましたが、県立が普通であります。広域施設でありますので、県立が普通であります。そうすると、市町には負担がかかっていかないわけなんですね。これは当然のこと、市が事業主体になれば、全くの負担なしというわけにはいかないという話し合いになっていこうと思うんですね。ただ、過大な負担はいけませんよ。要するに、本来は県が事業主体なんだと、そのことが前提とした話し合いをぜひともしてくださいよと。  そして、運営費についても、これはしっかりとした補助対策、そして、職員配置は当然のことでありますが、そうしたこともしっかりと前向きな話し合いをぜひともお願いしたいというふうに思うところでありますし、同時に今、追加答弁をいただきましたが、卒業はいずれはいたします、子供さんたちは。その先の人生のほうが長いわけでありまして、その先の人生が短いということは大変不幸につながりますので、その先の人生のほうが当然長いということが当たり前。そして、その先の人生の中で、どう独立、自立して生きていくかということにつなげることができるかということが私は非常に大事だと思っておるわけでありまして、そういう意味では、一面では社会へ出れば福祉という対応もあるでしょうし、そして、一面では産業労働ということもあるでしょう。  だから、そうしたところとしっかり合い議をして、そして、一方、福祉という部分では、受け入れ体制側にも福祉施設としての制度上の問題で枠があります。だから、そういうこともどうしていくかということを含めて、対応策をしっかりとお考えいただきたいと思っています。  そして、言うまでもありませんが、救急医療は大変大事なことであります。三百六十五日二十四時間というのは患者側として必要であります。しかし、医療施設としては三百六十五日二十四時間、大変つらい話であります。しかし、このことというのは、やらなければならない大事なことでありますので、どうかいろんな専門家の皆さん方、現にそうしたことをおやりになっておる専門家の皆さん方と話し合いをして、しっかりとした対応策がとれるような、そんな制度をぜひともつくっていただくことを要望して終わります。 11: ◯議長日高昇君) 進行いたします。  浅井よしたか議員。     〔七番浅井よしたか君登壇〕(拍手) 12: ◯七番(浅井よしたか君) それでは、通告に従いまして、愛知県の港湾行政について、そして、豊川養護学校の過大化解消について、順次質問させていただきます。  まず初めに、本県港湾行政について伺ってまいります。  去る八月三日、全国百三カ所の重要港湾のうち四十三港が重点港湾として、また、八月六日には、国際コンテナ戦略港湾として、京浜港と阪神港の二港が国土交通省により選定され、来年度以降、国費が集中的に投入されることとなりました。  今回の絞り込みの背景には、ここ数年来のアジア諸港の躍進によって、物流政策、ハブ港湾政策でおくれをとってきた我が国港湾の厳しい現状があります。つまり、アジア諸港に大きく水をあけられた我が国の港を、旧来の予算ばらまき型港湾行政を改め、選択と集中によって底上げさせようという政府の政策の大きな転換と言えます。釜山港、上海港など近隣諸国が国を挙げて港湾機能を集中的に強化する戦略に対抗するためには、限られた財源を絞り込んだ港湾に重点的に投資するという戦略は当然のことであり、遅きに失したとさえ言えます。  ただ、言うまでもないことでありますが、岸壁や防波堤を整備しさえすれば自然と積み荷が集まるわけではもちろんなく、それぞれの港が地域産業の集積の特性や戦略的な道路整備、あるいは観光的視点などの総合的な観点で長期ビジョンを策定して、その実現に邁進していくことこそが極めて重要であり、不可欠であると考えます。  今回の選定では、世界四大自動車港湾の一つである私の地元の三河港、そして、衣浦港の二港が重点港湾に選定されましたが、大変残念ながら、名古屋港と四日市港から成る伊勢湾は選に漏れてしまいました。伊勢湾の落選には非常に落胆をしたわけですが、結果をいつまでも嘆いていても何も始まりません。実際に他県の動きの早さをここで御紹介すれば、今回重点港湾の選定に漏れた石巻港を抱える宮城県では、国土交通省の発表があった八月三日のわずか二日後には、村井知事以下県幹部が上京をして、前原前国土交通大臣に対し、仙台塩釜港と石巻港の統合へのアクションを起こし、二港の統合に向けた協議を既に進めています。  本県の港湾行政にとって今何よりも必要なのは、一刻も早く今回の結果をしっかりと総括することであります。それを踏まえて、今後いかにして名古屋港、四日市港を、あるいは三河港、衣浦港を成長させていくのかという中長期のビジョンを早急に検討、策定し、その実現に向けて迅速に動き出すことが必要です。  では、ここで、今回の国際コンテナ戦略港湾選定について、私なりの感想を申し上げます。  私は、京浜港や阪神港と、そして、名古屋港は役割や成り立ちが大きく違いますから、そもそもコンテナという同じ土俵で勝負をすべきではなかったと感じています。つまり、極めて単純化して言えば、京浜港や阪神港は港に受け入れた荷物を首都圏及び阪神圏に配る拠点であるのに対し、名古屋港は、日本を牽引してきた自動車産業などの物づくり産業を後背地に有する、まさに産業と一体になった港であります。ゆえに、背後圏の産業を伸ばすための港のあり方という視点が基本であり、単にコンテナに特化した選定基準では今回の結果は当然なものと言えます。  別の言い方をすれば、政府がコンテナ戦略港湾の選定方針を示す前に、例えば物流ハブ港湾としての情報通信拠点の整備など、名古屋港、四日市港独自のあり方や将来像を明確に描き、それに沿った方向での港湾整備を求めてきていれば、同じ土俵にはのりませんということを主張することもできたでしょうし、また、本県としては、そう主張しなくてはならなかったのではないかとさえ思えてなりません。  今回の提案においては、フリーゾーン構想も提案されたようですが、若干つけ焼き刃的にとらえられてしまった感は否めないのではないでしょうか。当初から一部でささやかれていたように、もしかしたら選定委員の選任時点で既に勝敗は決していたのかもしれません。  ですから、今後も引き続きコンテナのハブ港湾という方向で巻き返しを図るという戦略は、決して妥当な戦略とは私には思えません。今こそ考えるべきなのは、物づくりとリンクした港のあり方であり、生産現場と物流の連携のあり方だと言えます。それを産業界の知恵、要望を集約して構築し、早急に国に対して堂々と主張をすべきであると思います。  その際に、整理をしなくてはいけない問題や、再検討を要する課題をここで幾つか指摘をさせていただきます。  まず第一に、そもそも港の経営者はだれなのかという根本的な問題であります。その答えのヒントを探すために、先月末に茨城港と京浜港を調査してまいりましたので、ここで若干の報告をさせていただきます。  まず初めに、茨城港について説明をいたします。  現在の茨城港は、日立港、常陸那珂港、そして、大洗港の三港の統合によって誕生した港であります。スーパー中枢港湾へのシフトが進んで、北関東一円のコンテナを扱うスキームから常陸那珂港が外されてしまうという危機感により、知事の指示で首都圏ニューゲートウエーとしての茨城県港湾戦略の検討が平成十七年に始まりました。そして、平成十九年十二月の茨城県港湾戦略ビジョンの策定を経て、平成二十年十二月の三港統合による茨城港の誕生となったわけであります。  統合による効果について幾つかお示しをいたしますと、まず、取扱貨物量の全国ランキングアップによるブランド力の強化、港湾施設の利用手続の一元化、港湾事務所の再編による合理化、経営管理体制の強化、そして、投資の重点化、効率化などが挙げられます。特に港湾管理業務に関しては高い専門性が必要なため、株式会社茨城ポートオーソリティという会社に一括して委託する体制がとられております。  続いて、京浜港についても触れさせていただきます。  京浜港も、東京港、横浜港、川崎港の三港の実質的な一体化によって誕生した港であります。その原動力となったのは、茨城港と同じ大きな危機感であります。すなわち、近年、日本の港湾の国際的な地位が低下していく中、今、積極的な対策を講じなければ、東京港、横浜港及び川崎港が世界の基幹航路から外れて、我が国経済に与える影響は極めて深刻であるという危機感が根底にあったのであります。  平成二十年三月には、三首長による基本合意書が締結をされ、翌年平成二十一年十二月には、三つの議会で京浜港連携協議会の設置についての議決が行われ、協議会が設置されました。本年二月には、京浜港共同ビジョンが策定をされ、八月に国際コンテナ戦略港湾の選定に至ったわけであります。  今後は、三港の一体化によるスケールメリットを生かし、効率的で機動性の高い管理体制の構築を図りながら、実質的一港化を進め、平成二十六年を目標に、日本版ポートオーソリティーの設立も目指した取り組みを進めていくとのことでありました。  このような日本版ポートオーソリティー、つまり、港湾経営の民営化及び一元化への方向性については、来年度の国土交通省の概算要求の中でも明確に示されております。  ここで、念のため、ポートオーソリティーについて若干御説明をいたします。  日本では、ほとんどの港湾が地方公共団体及び一部事務組合などの特別地方公共団体が港湾管理者となっておりますが、古くから欧米の多くの港では、行政から独立した法人格を持つ港湾経営のための自治組織による管理運営が行われています。具体的には、一九〇九年に成立をしたロンドンポートオーソリティーや、一九二一年のニューヨーク・ニュージャージーポートオーソリティーなどが代表的であります。  話を京浜港に戻しますと、今年度中にも千葉港や木更津港なども含めた大京浜港構想なども視野に、京浜港の総合的な計画を策定し、将来像実現に向けた取り組みを強力に進めていくとのことでありました。  今回、私がこの二カ所の調査を行って大変象徴的に感じたことは、東京都、茨城県ともに港湾経営室や港湾経営部などと命名をされた部署が存在をして、行政組織の中に港湾経営という視点が明確に位置づけられ、その観点に立った施策の検討及び実施がなされていることであります。  それでは、本県においてはいかがでありましょうか。県庁組織の中には港湾経営と名がつく部署は見当たりません。  そこで、最初の質問をさせていただきます。  三河港、衣浦港の管理者である本県として、港湾経営に対する現在の県庁組織についてどのようにお考えでしょうか。  また、経営的視点からいえば、両港を一体化して効率化することは当然検討すべき課題であり、早急に取り組むべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか。現時点でのお考えをお示しください。  続いて、今回、国際コンテナ戦略港湾に選定されなかった名古屋港、四日市港の今後についてお聞きをいたします。  こちらについては、落選から既に二カ月近くが経過をしておりますので、一定の総括がなされ、また、今後の戦略も議論をされていることと存じます。  そこでお伺いをいたしますが、現時点において、今回の件をどのように総括されておられるのでしょうか。具体的にお示しください。  次に、名古屋港と四日市港の一港化の検討及び三河港や衣浦港を含む伊勢湾港全体の一体化など、伊勢湾エリアの港湾行政のあり方、戦略についてお伺いをいたします。  私は、これらについて、愛知県がリーダーシップを発揮して、名古屋市や三重県などの関係機関との協議をリードすべきであるのは当然のことと考えておりますが、そのためにもクリアしなくてはならない幾つかの課題についてお伺いをいたします。  まず、経営主体のあり方についてであります。  名古屋港の管理運営については、約六十年間もの長きにわたり、名古屋港管理組合により行われてきており、今日まで港の発展に大きく貢献されてきたのは紛れもない事実であります。  しかし、先ほど来申し上げていますような港湾経営の大きな流れを踏まえると、現在の一部事務組合による運営形態についても、見直しを含め検討すべき時期に来ているのではないかと考えます。  そこで、名古屋港の管理体制についてお伺いをいたします。  二年ごとの管理者交代に象徴される現行の運営体制で責任あるガバナンスが発揮をされており、また今後も発揮されていくとお考えでしょうか。  また、今後の経営主体のあり方についてはいかがお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。  次は、港湾行政に関する最後の質問です。  三重県知事は、八月の定例会見で、新たな伊勢湾の協議会を九月中にも設立して、名古屋港と四日市港の一港化も視野に入れ、早急に検討を始めたいとの方針を発表されましたが、現時点でこの協議会構想はどのような状況にあって、そして、本県はどうかかわり、今後どのように進めていかれるおつもりでしょうか。本県の方針をお示しいただきたいと思います。  以上で本県の港湾行政に関する質問を終わりまして、続いて、豊川養護学校の過大化解消についての質問に移らせていただきます。  現在、知的障害養護学校は、在籍児童生徒数の増加に伴う大規模化、狭隘化が全国的に進み、教育環境の整備が大変大きな課題になっています。本県においても、昭和五十四年度の養護学校教育義務制施行以降、スクールバスを適正に配置することにより広域からの通学を確保するという方針で整備が図られてきたため、他県に比べて学校数も極めて少なく、平成二十年度には、全国の公立知的障害養護学校の中で大規模校十位までに本県の五校が入る状況となっております。  そこで、おくればせながら、本県でも過大化解消に向け、平成二十年度には、知的障害養護学校課題研究調査検討会議により今後の方策についての検討がなされ、報告書が作成をされておりますので、その概要を御紹介させていただきます。  まず、現状分析と課題についてですが、児童生徒数が増加傾向にあり、中でも高等部の増加傾向が著しいとされ、その要因としては、保護者の間に特別支援学校における教育に対する理解が深まったことや、児童生徒に占める特別支援学校や特別支援学級に在籍する者の割合が増加したことなどが挙げられています。  本県の児童生徒数の推移の見通しについては、平成三十年度までは各学校とも増加が続くと予測されています。このほかにも、スクールバス乗車希望人数の増加や、通学区域が広域なために約二割の児童生徒が六十分を超える乗車時間となっているとのことであります。  私の地元の東三河で唯一の知的障害養護学校である豊川養護学校も例外ではなく、全国平均では在校生数が百五十人程度のところ、何と今年度は八十一学級四百六十七人もの児童生徒が通学をしており、昨年度から全国一の大規模校となっています。  ちなみに、市町村別の通学者内訳を申し上げますと、豊橋市二百二十六人、田原市十五人、豊川市百五十一人、蒲郡市四十三人、新城市二十人、そのほかが十二人であり、まさに東三河全域から通学をされているわけであります。  このように通学範囲が大変広範囲で、中には通学時間に二時間を要する長時間通学の児童生徒もおり、そのために学校でゆとりを持って過ごす時間が十分確保できないことも大きな課題となっています。その上、児童生徒数の増加も著しいため、教室数の不足が深刻であり、特別教室を普通教室に転用するなどして何とか教室数を確保してきていますが、教育環境は年々悪化しているのが実態です。  このような厳しい現状を御理解いただいた上で、ここで改めて特別支援学校の設置義務について再確認をさせていただきたいと思います。  学校教育法の八十条には、「都道府県は、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者で、その障害が第七十五条の政令で定める程度のものを就学させるに必要な特別支援学校を設置しなければならない」とあり、特別支援学校の設置義務は都道府県にあるということを明確に示しております。  そのため、本県としても、知的障害養護学校の過大化解消については、これまでもみあい養護学校の開校や豊川養護学校の本宮校舎の開校などの対策を講じてきたところであります。  しかし、県のみの対応では財政事情などによる限界があるとの考えから、豊川養護学校の過大化解消については、昨年六月にまとめられた報告書において、関係する市町村に働きかけるとしています。  しかし、これでは具体的にいつ、どのようにして解消されるかは全くわかりませんし、豊川養護学校の児童生徒数の推計においても、今後数年間は増加が予測されておりますので、教育環境の改善はまさに待ったなしの課題であります。  今のままの状態では、入学を希望する生徒の保護者の方々も、豊川養護学校が子供たちを受け入れてくれないのではないかとの大きな不安をお持ちであります。事実、これまで私の事務所にも多くの問い合わせや、何とかしてほしいという訴えが数多く寄せられてきましたので、私も機会あるごとに豊橋市の関係部局と意見交換をさせていただいて、その都度、その感触を県教委にもお伝えしてきたところであります。  そんな中、豊川養護学校の保護者の方々などがつくられた知的障害養護学校の増設を求める家族の会が、豊橋市内での特別支援学校の開設を求める三万三千八百七名の署名を携えて、先月十九日には佐原豊橋市長に、そして、二十四日には神田愛知県知事に対し、豊橋市に知的障害養護学校の設置を求める要望書を提出され、その思いを伝えられたことは御存じの方も多くいらっしゃるのだと思います。  この前後の動きを若干御紹介させていただきますと、八月九日には、本県の今井教育長が豊橋市長を訪ねられ、知的障害養護学校の過大化解消については、現在、一宮東養護学校及び佐織養護学校の過大化解消のために、元平和高校に尾張地区新設養護学校の新設を進めていること。また、順次解消策を検討しており、豊川養護学校の過大化解消についても喫緊の課題と認識をしているが、早急に着手することは困難であり、豊橋市立の知的障害養護学校の整備をお願いしたいという申し入れをされたとのことであります。  先月二十七日には、豊橋市の堀内副市長と加藤教育長が愛知県を訪れ、豊川養護学校の過大化解消については、県と市が協力して解決していくことを共通認識とされたとお聞きいたしております。  また、今月七日の豊橋市議会においても、佐原市長が次のような答弁をされております。  それは、豊川養護学校の過大化解消は愛知県が主体となるのが原則であるが、早期実現のためには、豊橋市が事業主体となってでも取り組む決断をすべき時期に来ている。もちろん、県の全面的な支援が不可欠であり、建設時期や場所、財源や運営費の負担、教職員確保など具体的に整備すべき課題もある。今後は、県と十分協議するとともに、東三河地域が連携し、一体となって最大限の努力をしたいと市立での開設に大変前向きな答弁をされております。  このような都道府県立ではない市立の特別支援学校は、現在全国で百二十校設置されております。しかし、都道府県による設置義務が明確化された昭和五十四年度以降に計画をされ、設置をされた市立の特別支援学校は、政令指定都市以外では全国でわずか七校であります。  私は、その中の船橋市立を初めとする数校の事例を調査いたしましたので、そこでお聞きした市立の特別支援学校のメリットとデメリットについて御紹介をいたします。
     まず、メリットとしては、通学範囲が狭いからこそ、住んでいる地域の特色に合わせた教育を行いやすい。また、地元の小中学校などとの交流を通じて、障害のある子供たちの存在が地域の中で認知されやすくなる。同時に、健常な子供たちにとってもそういった交流事業は非常に有意義である。また、親同士のネットワークがつくりやすい。地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮しやすい。廃校となった小学校などの有効活用もでき、遠距離通学も解消された。高等部の就労支援に当たり、地元の事業者との連携がとりやすいなどなど多く挙げられました。  一方、デメリットといたしましては、設置時の建設費はもちろんのこと、開設後も管理運営費など市の財政的負担が大きく、エレベーターなどの施設整備もなかなか進まない。給与負担法で定めがないため、教職員以外の実習助手や介護員等を県負担で配置してもらえない。隣接する市の子供の受け入れについての問題が発生をすることがあるとのことでありました。  こうした市立の特別支援学校の設置は、教職員の給与以外の土地の確保、建設、運営などの面で市の負担となる事例がこれまでは多く見られたわけでありますが、本県の豊川養護学校のケースにおいては、建設費やその後の維持運営費も含め、県と市の負担のあり方について、今後のモデルケースとなるよう十分な議論が求められるのは言うまでもないことであります。  そして、一刻も早く過大化の解消を実現し、子供たちの教育環境を大きく改善するためにも、今こそ県が当事者意識を持ち、豊橋市に対し全面的に協力し、迅速な対応を進めていくことが必要だと考えます。  そこでお伺いをいたします。  今まで申し上げましたように、関係市においても、豊川養護学校の過大化解消は重要な課題であり、協議会の設立なども含め、前向きに対応したいと表明しておられる、大変ありがたい状況の進展を受けて、本来、設置義務がある本県として、今後、豊川養護学校の過大化解消に向け、どのような方針で臨み、いかにして当事者としての責任を果たしていくおつもりなのか、現時点での考えをお伺いいたします。  以上、本県の港湾経営のあり方について、また、豊川養護学校の過大化解消について、るる申し上げてまいりましたが、いずれの問題も待ったなしのまさに喫緊の課題であります。ぜひとも県当局の前向きで誠意ある御答弁をいただくことを心から期待いたしまして、私の壇上からの質問を終わります。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 13: ◯建設部長川西寛君) 港湾行政について幾つか御質問をいただきました。  まず、県の組織についてお答えを申し上げます。  本県が管理をいたします衣浦港、三河港におきましては、これまでポートセールスなど港湾施設の利用促進の取り組みに課題がございました。このため、平成二十年度には、港湾課内に港湾振興グループを新設いたしまして、同二十年度から本年九月までの二年半の間に、合わせて六十七社にヒアリングを実施し、両港への集荷活動に関連するニーズを把握したところでございます。このヒアリング結果を分析し、港湾施設の利用促進に役立てております。  また、現在、国で検討中の港湾経営の民営化にかかわる港湾法の改正に関しましても、県として適切に対応することが当面の課題と考えております。このため、今後、県、関係市、地元経済界や港運業者など関係者とともに、両港の港湾経営のあり方について具体的に検討を進めてまいります。  次に、衣浦港と三河港の一体化についてのお尋ねでございます。  衣浦港と三河港は、それぞれの背後地の産業を支える拠点制などが評価されまして、二港ともこのたび重点港湾に選定されたところでございます。したがって、両港が抱えています緊急の課題でございます、それぞれの港の再編合理化にとって、まず、港湾経営の視点から公設民営化を進めることが重要でございまして、県としても、国の検討状況を見ながら、関係者とともに具体的に検討してまいります。  両港を一体化することにつきましては、ブランド力の強化などメリットもある一方、両港の機能が大きく異なっておりまして、それぞれの機能を支える両港の組織、関係者との調整も必要でございますので、県として引き続き必要性も含め検討してまいりたいと考えております。  次に、国際コンテナ戦略港湾選定の総括についてお答えを申し上げます。  国による選択と集中の方針のもと、三カ所あるスーパー中枢港湾をさらに絞り込んでいくことが公表され、国際コンテナ戦略港湾に選定されなければ、名古屋港において現在進行中の事業の中止やおくれなど影響が生じるとの危機感がございました。  そのため、名古屋港は、コンテナ貨物のみならず、バルク貨物や完成自動車も扱う総合港湾である国際産業ハブ港を目指すとの内容を国に提案し、あわせて経済界とも協力し、選定に向けて政府・与党へ積極的に働きかけてきましたが、結果として、それが評価されず、選定に漏れたことはまことに残念であります。しかも、国の概算要求では、国際コンテナ戦略港湾に選定された京浜港、阪神港との差別化が明確となり、名古屋港の国際競争力の低下を招くのではないかと大変危惧しております。  産業と一体となりました名古屋港が今後も背後圏の産業を支えるため、国際産業ハブ港の実現を目指しました施策を確実に進めていくためには、現在応募しております国際バルク戦略港湾に選定されることはもとより、あらゆる手段を使って、国からの支援を確保することが重要であり、今後とも県として関係者とともに強く働きかけてまいります。  最後に、名古屋港と四日市港の連携のための新しい協議会についてお答えを申し上げます。  これまで名古屋港管理組合、四日市港管理組合及び中部地方整備局が中心となりまして、関係行政機関や経済界が参加をいたします伊勢湾連携協議会設立に向けて準備を進めてまいりました。  伊勢湾連携協議会におきましては、港湾コストの低減及び港湾サービスの向上や、港湾経営の効率化に関する事項などを協議することとしておりまして、第一回の協議会を今月三十日に開催する予定でございます。本県も、この協議会の構成員の一員となっておりまして、積極的に議論に参加してまいりたいと考えております。  なお、協議会には、港湾サービス、港湾経営など個別に検討する部会も設置することとなっておりまして、まず、実務面からの検討を始め、早期に施策の具体化に努めてまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。 14: ◯教育長今井秀明君) 豊川養護学校の過大化解消についてお答えをいたします。  本県の知的障害養護学校は、議員お示しのとおり、従来から比較的規模の大きい学校のメリットを生かし、スクールバスを適正に配置することによって、広域からの通学を確保するという方針で整備を行ってまいりました。  しかしながら、近年、保護者の方々の特別支援教育への理解が深まったことや、中学校の特別支援学級から養護学校高等部への進学率の上昇などを要因としまして、これまでの十年間で約一・四倍と急激に児童生徒が増加してきており、知的障害養護学校の過大化解消は喫緊の課題として認識いたしております。  そうした中、県といたしましては、平成十八年度に桃陵高校に半田養護学校桃花校舎を開校するとともに、二十一年度には新設みあい養護学校、また、宝陵高等学校には豊川養護学校本宮校舎を開校いたしました。さらに、現在は、平成二十六年度の開校を目指して、尾張地区新設養護学校の建設準備を進めております。  豊川養護学校の過大化解消につきましては、昨年六月にまとめました知的障害養護学校の過大化を解消するための今後の方策の中で、県だけでの対応ではなく、通学地域でもある市町へ働きかけることにより過大化解消策を検討することといたしておりまして、これまで豊橋市を初め関係市と話し合いを進めてまいりました。  議員の御質問にもありました市立の養護学校については、本県にございます豊田市立の豊田養護学校と、それから、瀬戸市立の瀬戸養護学校におきましても、通学時間の短縮が図られたこと、それから、近隣の小学校、中学校等との交流により障害のある子供とない子供の相互理解が深まったことなど、多くの教育的な効果が見られます。  豊川養護学校の過大化は早急に解消する必要がありますので、議員お示しのように、先日、私も豊橋市長さんを訪ね、市立での整備をお願いしたところであります。  今後は、豊橋市を初めとする関係市とより協議を深めまして、設置義務がある県教育委員会といたしましても、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。 15: ◯知事神田真秋君) 名古屋港管理組合の管理体制についてお答えを申し上げます。  御指摘のとおり、二年ごとに管理者が交代するという体制で来ております。名古屋港管理組合ができましたのは本年九月で五十九年になるわけでございまして、来年は六十周年になります。それから、私が初めて名古屋港の管理者として就任いたしましたのは、平成十一年九月以降ということになります。  この二年ごとに管理者が交代する体制についてどうかということでございますけれども、私自身の経験も踏まえて申し上げますと、愛知県と名古屋市という別々の行政体が一つの事業を行うに当たって、この交代というのはお互いに連携やら調整する上で、私は大きな役割をこれまで果たしてきたものだと思います。  と申しますのは、私が就任してからもスーパー中枢港湾の指定を受けることができましたし、また、これは日本で唯一の自動化技術を導入した次世代高規格コンテナターミナルの整備などもできました。また、取扱量八年連続日本一という実績も残すことができました。したがって、現在の管理体制も大きな成果をおさめてきたものと、そのように感じているところでございます。  それでは、今後はどうかという点でございます。  今後については、しかし、新たな考え方もあるいは必要ではないかなと思っておるところでございます。御高承のとおり、国では、我が国の成長戦略の一環として、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)、あるいはPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)、こうしたものの推進が行われておりますし、港湾経営の民営化、あるいは広域化ということの検討も進められており、港湾行政をめぐる社会情勢は大きく変化をしているところでございます。  したがって、これまで現在の体制はさまざまな成果を生んでまいりましたけれども、これからは名古屋港の抱える課題を十分分析して、今のままでいいのか、あるいはさらによりよい適切な体制はどうなるのか、議論する機会があるいは来ているのかなと、また議論しても有意義なものではないのかなと思っているところでございます。  管理者を経験した者として、より時代の要請に合致した適切な事業がこれから展開できるように、こうした体制についても議論を深めていく必要があり、そのためには名古屋港管理組合議会におきましても、そうした議論が進むことを期待したいと思っております。  以上です。 16: ◯七番(浅井よしたか君) それぞれ御答弁をいただきました。持ち時間も大変少なくなっておりますので、細かいことは申しませんけれども、若干要望を申し上げたいと思います。  まず、本県の港湾行政についてでありますけれども、港湾の統合、そして、合理化について検討が必要であるということ、また、知事からも名古屋港を初めとして、港湾経営のあり方についても、経営主体のあり方についても検討が必要ではないかというような御答弁もいただきまして、おおむね私、認識が一致しているなというふうに理解をいたしました。  ただ、重要なのは、スピード感が非常に重要だというふうに思いますので、ぜひ本県が先頭に立っていただいて、いつまでに結論を出すのか、また、目標達成に向けてどう具体的な動きをしていくのかということを、こういったことを民間の知恵や要望なども取り入れていただいて、早急に明確化していただきますことを強く要望したいと思います。  続いて、豊川養護学校の過大化解消についてでありますけれども、私が最も確認をしたかった、そして、最もお聞きしたかったことは、本来は県が設置義務者であるから、まさに県が当事者であるということであります。それについては、教育長からは、設置義務がある県として最大限の努力をするという明確な御答弁をいただきましたので、同じ認識だと思って大変安心をいたしました。  今後も、ぜひ県には当事者意識を持っていただいて、主体的に関係市と協議を進めていただいて、一刻も早く教育環境の改善を実現して、子供たちが伸び伸びと学べる教育環境の整備を進めていただくことを心から要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17: ◯三十八番(神戸洋美君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 18: ◯議長日高昇君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時三十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 20: ◯副議長奥村悠二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  伊藤勝人議員。     〔四十六番伊藤勝人君登壇〕(拍手) 21: ◯四十六番(伊藤勝人君) とある南国の出来事でありましたが、ついせんだって、テレビを見ていましたら、世界ふしぎ発見ですかね、そのときにちょっと知った顔が出ていました。もう七年も八年も前になることでありますが、参りますと、てっきり、みのを腰に巻いて、顔や体をペイントして、盾ややりを持っておられるというふうに思っていました。短パンにTシャツでした。そこでお話をしたことでありますが、あなたたち、これで幸せかというふうに問いました。そうしましたら、幸せって何だという話が返ってきました。幸せって何だ。いろいろ私たちの身の回りの幸せ論を話していました。ノーノー、ハッピー、幸せという言葉って何だということでありました。自分たちは、毎日毎日わいわいがやがや、わいわいがやがややっているので、不幸というアンハッピーという言葉を持たない、だから、ハッピーという言葉を持たないんだということでありました。目からうろこが落ちました。  そこで、きょうは、言葉ということを主題にして、通告の順序どおり質問をさせていただきます。  第五次行革大綱についてお尋ねをしていきます。  言葉は、それを必要とするときに多く使われます。今日、頻繁に使われる言葉に、例えば環境問題があります。これは、私たちを取り巻くさまざまなところで環境が悪くなった、そのことであります。不況も交通事故も頻度の高い言葉であります。頻繁に使用されるということは、そのことが問題点として大きいからだと言えます。  ところで、お役人の世界では、行政改革という言葉が使われて久しくなりました。今日、本県は言うに及ばず、日本のあまたの行政機関において、最も深刻で切実な言葉として使われていると思います。  そこで、本県の行政改革の道しるべである第五次行革大綱についてお伺いをしてまいります。  先人の知恵に学べ。何か事あるとき、私は私なりに学ぼうとしているところでありますが、江戸・徳川の時代、幾度か幕政改革が行われました。吉宗による享保の改革、松平定信による寛政の改革、水野忠邦による天保の改革、これを三大幕政改革と習いました。  おさらいをします。江戸幕府も百年を過ぎますと制度疲労が顕著になり、各時代の知恵者が改革に挑みました。大河にダムをつくり、いっとき落ちつきを取り戻しますが、長くは持ちませんでした。  その各論は、吉宗は、倹約の励行、上米の令、各大名に一万石につき百石の米を献上、民への増税、大岡越前の登用などで成果を上げましたが、年貢の増加などにより農民層に不満を残してしまいました。  定信は、質素倹約、寛政異学の禁や囲い米、これは食糧備蓄、棄捐令で借金を帳消し、民衆の反発を買い、六年で退陣をしています。  忠邦は、株仲間の解散、上知令や人返しの法、重農主義で、印旛沼の開発や江戸に集まった農村出身者を地方に帰す。そして、倹約令。大名や旗本の反対で失脚。  いずれも共通している大義は、質素倹約と産業振興であります。  一方、地方の改革を見てまいりますと、江戸の後期には、悪化する藩経済を立て直すために藩政改革を実施する藩が相次いで出ています。財政再建に成功した藩は、豊かな経済を背景に軍政改革などを行い、内憂外患にあえぐ幕政への関与を深めていきます。雄藩の誕生となっていきます。  その藩政改革は、江戸時代に二回起こっています。最初の動きは、田沼意次、松平定信らが幕政改革を実施したときと連動していて、出羽米沢藩主、上杉鷹山、肥後熊本藩主、細川重賢、秋田藩主、佐竹義和らが有名でありますが、その方法はさまざまですが、いずれも藩主が主導であります。人材の登用と各藩産業の振興促進という点ではほぼ共通しています。藩内の産業の活性化をし、藩内外で積極的に流通させ、現金化すること、年貢だけを藩の収入源にしないこと、このことは江戸後期に起こった二回目の藩政改革ブームでも変わらなかったわけであります。  一八二七年、鹿児島藩で調所広郷による藩政改革も始まります。広郷は、下級武士のうちに生まれ、本来なら藩政に関与できる立場ではありませんが、経済通であったことから藩経済の再建を任されました。藩が商人から負っている莫大な借財を実質的に帳消しにした上、特産物の黒砂糖の販売強化、琉球を介しての清との密貿易で利益を上げ、藩財政を黒字に転換させることに成功し、その後の明治維新へと進む財力をつくり出しています。  萩藩でも改革の成果は顕著でした。改革前に約二百万両の借金があり、利息の返済だけで消えていました。藩主、毛利敬親は、中級武士出身の村田清風の経済手腕を見込み、再建を託し、農政改革や日本海、瀬戸内海の海運流通の仲介で利益を上げ、藩経済を好転させる一方、得た利益でもって軍備の西洋化を図り、これも明治維新へと続いていきます。  佐賀藩では、藩主鍋島直正の陣頭指揮のもと改革を推進、陶磁器販売などで利益を上げ、得た資金で大砲鋳造所を建造、軍隊の洋式化を図り、これまた明治維新へと続いていきます。高知では、おこぜ組と呼ばれる改革推進派が倹約強化による財政の好転と軍事力の強化を図り、これまた明治維新へと進んでまいります。  幕政の改革と地方各藩の改革を見てまいりますと、日本人の知恵として、改革、すなわち体制維持については、一つ、質素倹約、二つ、産業振興が図られていることが読み取れます。そして、体制側みずからがその維持のために行うこと、知恵のある者を登用する、これが改革の基本だとも読み取ることができます。  これまでも愛知県は、幾度となく行革大綱を作成し、行政改革に取り組んでこられました。特に、知事が十二年間ひたすら行革行革の連続だったと発言されましたように、平成十一年度からスタートした愛知県第三次行革大綱以降、平成十三年の改定愛知県第三次行革大綱、そして、平成十七年のあいち行革大綱二〇〇五へと継続的に行政改革を進めてきたところであります。その不断の改革の成果として、その間に、例えば職員定数は職員の約四分の一に当たる三千八百人余りを削減するなどして、四千八百億円に上る行革効果額を生み出し、これを活用しながら県民福祉の維持向上に取り組んでこられました。  しかしながら、平成二十年後半からの世界的な景気の後退は、日本一元気な地域と言われ、物づくり産業が集積している愛知県経済を直撃しました。平成二十年度に約一兆三千三百億円あった県税収入が、平成二十二年度当初予算額では八千億円台にまでに落ち込み、県の行革努力もリーマンショックが吹き飛ばしたと報道されています。  この二月に作成した第五次行革大綱では、将来にわたって安定的に行政サービスを提供できる体制をつくり上げていくためには、決して行革の手を緩めることなく、現下の危機的な財政状況を克服していくこととしています。  しかしながら、私は、これまでどおり定員削減や組織機構の見直しなどによる軽量化、いわゆる量の改革が続けられるのかということにいささか疑問を持っています。無駄を削減することは至極当然ですが、無理に定員を削り過ぎますと、行政サービスの質の低下や組織の活力を失うことにはならないかと危惧するところでもあります。  こうした時期であるからこそ、次なる時代を先取りした政策を展開していくことが必要であると思います。行政改革というと、人を減らす、組織を減らす、経費を減らすという減量型の行政改革が質素倹約として思い起こされます。  我が国では、高度経済成長時代が終わって、二回のオイルショックを経て、行政改革は減量型行政改革に終始してきたと言われています。しかし、かつては行政改革といえば、行政が強いリーダーシップを発揮し、積極的に政策を展開し、国民を豊かにしていこうという時代も先ほど述べました。  こうした拡大型の行政改革を今の時代にやれというということではありませんが、こうした閉塞時代を切り開いていくには、むしろ、思い切った選択と集中によるダイナミックな政策の実行や施策の推進が必要になるのではないかと思います。  第五次行革大綱では、行革の進め方として、政策指針二〇一〇─二〇一五と一体をなし、指針に掲げる県の重要施策を支える行財政体制や、行政運営のあり方を示しているところです。行政改革とは行政を変えるというもので、世の中が求めている形を敏感にキャッチし、進化させていこうとすることだと思います。  民間企業でも、提供するサービスや商品が色あせ、お客様に受け入れられなければ、その会社は間違いなく市場から撤退を迫られます。県民ニーズを的確に把握し、地域が今後発展していく方向を示しながら、限られた資源を選択と集中により有効に投入することで、ポテンシャルの高い地域づくりを推進していくことが重要であると思います。  それでも質素倹約を進め、出を抑えていかなければなりません。入りに限度がある以上、県として当然の責務であります。しかし、一方で、産業振興策を積極的に力強く進めていかなければなりません。  そこで、今回は、入りをふやすための手だてである産業振興について問うていきます。  現在の本県の経済状況は、国や県の景気対策や新興国向けの輸出に支えられて回復傾向にあったものの、急速な円高の進行により不透明な状態にあります。本県の経済が元気を取り戻すためには、中長期的観点に立って、産業振興施策を積極的に進めることが重要と思われます。  第五次行革大綱においては、産業技術研究所などの試験研究機関について、財政的、人的な資源に限りがある中で、求められる機能をより効果的、効率的に果たすことができるよう活性化に取り組むとされています。また、産業労働部においては、今後の産業労働行政を戦略的に推進するため、現在、産業労働計画を策定中と聞いています。  健全な財政運営の推進のためには、産業振興を通じ、税源の涵養と税収の安定化を図り、自主財源を確保することが重要であります。なお、大変難しいとは思いますが、それらの産業振興施策が何年先に実りあるものとなり、税収に結びつくかということも視野に置いて施策を進めてほしいと思います。  そこでお尋ねをします。  県では、産業振興についてどのような観点で進めていかれるのかをお伺いいたします。  国語力を育てる教育について、言葉その二としてお伺いをしていきます。  昨今、若い人と話をしたり、話を聞いておりますと、これ、日本語、造語、外国語、はたまた本来別の意味に使っていた単語が飛び交っています。加えて、SOVできちっと話すことよりも、単語の羅列のような気がするのは私だけでしょうか。  ださい、きもいというような若者の中だけで使われるような人をやゆした表現など、その言葉遣いには目を覆うばかりです。  先般、若者にそのださい、きもいの話をしておりましたら、おじさん、超何々する、めっちゃ何々、ださい、きもいはもうそろだよ、ぴしゃりとやられました。もうそろ、もうそろそろ終わりだそうであります。つまり、古い日本造語というわけであります。言葉の不足はそのまま伝える力の不足となり、ひいては人間関係をうまくつくれないようになってきているのではないかと危惧をしております。  ことし四月、小学校一年生からゆとり教育を受けてきた人たちが大学を卒業しました。企業の人事担当者や若者を指導している方々に、彼らの職場でのあり方を聞く機会を得ました。県庁内ではどうなのかも知りたいと思います。  前段申し上げたとおりと、そして、与えられた仕事はきちっとこなす、しかし、みずから物を考えたり、率先して次の仕事をするというような意識は少ないというある程度否定的な見解が多く聞かれました。
     また、少子化、核家族化や、地域社会の人間関係の希薄化により、人と人との日常的なかかわりが激減したことや、子供たちの遊びにおいても、ひとりで遊べるテレビゲームに興じるなど、友達との会話も減っており、そのような社会環境が子供たちのコミュニケーション能力の低下に拍車をかけているのではないかと思われます。  ところが、一方で、書店をのぞいてみますと、近ごろ、日本語についての知識や言葉遣いにかかわる本が目につき出しています。そして、テレビ各局がクイズ番組や国語検定にかかわる番組、ことわざや語源などを取り上げることが多くなってきました。国民全体の日本語への関心が高まっているようにもうかがわれます。  文化庁は、平成七年度から毎年十六歳以上の国民を対象に、国語に関する世論調査を実施しています。データによりますと、平成二十年度に日本語を大切にしているかという質問に対して、七五%以上の人が否定的な答えを示しています。七年前の平成十三年度に比べて八%増加しています。中でも、若者の増加率が高く、十代においては、この七年間に約二八%という大幅な増加を示しています。  人は、言葉を介して文化を継承していきます。また、言葉を持って物事を考えていきます。幾らバイリンガルな人でも、一定レベル以上の思考は母国語で考えます、そして、発想します。そのために日本語に対する関心の高まりをうまく言葉の学習につなげていくことは非常に大切なことではないでしょうか。  言葉を学ぶためにはさまざまな方法があると思いますが、日常的には読書というのも大変有効な手段であると思います。子供たちは、読書活動を通じて言葉を学び、豊かな創造力や多くの知識を身につけていきます。また、物語の登場人物に同化して、その人間の悲しみ、苦しみ、喜びをともにしていく体験は、人生を豊かにし、生きる力を身につけていく上でも大変有効であると考えます。そのため、小学校のころから読書の楽しさを味わい、読書に親しむ習慣を身につけさせる必要があると思います。  近年、小学校では、英語の学習に取り組む学校が増加しており、来年度からは新しい学習指導要領が全面実施される中、小学校五・六年生において外国語活動が新たに導入されると聞いております。英語はもちろん世界に広く使われている言葉であり、現代のようなグローバルな社会の中では必要なものであるとは思いますが、それ以上に、思考活動の基盤となる国語力をしっかり身につけさせることが大切であります。  さらに、この新しい学習指導要領においては、子供たちに思考力、判断力、表現力をはぐくむことが最重要課題の一つとして掲げられており、そのためには、学校教育の中で言葉に関する学習を充実させることが必要不可欠であると思います。児童生徒に国語力を身につけさせることは、ひいては日本語を大切にし、日本の伝統や文化を重んじ、日本人としての確固たるアイデンティティーをはぐくむことにもつながっていくのではないでしょうか。  以上のことから、義務教育段階においては国語力を育てる教育が必要であると考えますが、教育長のお考えを伺います。  言葉その三。次に、本県の国際化の推進についてお尋ねをいたします。  言葉、その言葉は社会の必要に応じて生まれ、必要度の高いものが頻繁に使用される。交通事故は、交通の発達に伴い新しく生まれた言葉であります。これを現代で考えてみますと、特に国際化の進展は著しく、多くの言葉が生まれています。中でも、特に重要なキーワードは、グローバル化と多文化共生であります。  グローバル化は、膨大な物、金、情報が世界的規模で移動する現象でありますが、その根本にあるのは人と人との結びつきではないかと思います。この地域の市町村では、愛知万博の成果を引き継ぎ、フレンドシップ継承交付金により多彩な国際交流が展開されてきましたが、この事業も来年でいよいよ最終年を迎えると聞いています。  そこで、これまでのフレンドシップ継承事業の成果はどのようなものであったのか、また今後どのようにその成果を引き続き発展させていこうとしておられるのかお伺いをいたします。  以前、ベトナムで展開される本県の事務所活動についてお尋ねをいたしました。ベトナムはいいと申し上げました。理由一は、総理が靖国神社に参ってもクレームをつけません。二、領海を接していません。よって、漁業や地下資源で問題も起きません。三、航行に難のあるマラッカ海峡の北にあります。ベトナム戦争によって、三十歳以上の人たちが多く亡くなり、三十歳未満の戦争後生まれた世代に人材を求めてはいかがか。そのために若い有為な人材をどう発掘し、本県、日本の産業と結びつけていくのかを問いました。  それを踏まえて、勉学に励む留学生であって、本県の大学で高度な知識や技術を習得した外国人留学生は、将来、母国で各方面の要職につき、活躍が期待できる愛知の応援団としての貴重な人材であります。県では、アジア連携を行っているベトナムは、若い有為な人材を必要としており、本県で学んで非常に重要な役割を果たすものと期待ができます。  そこで、特にベトナムにおける帰国後の外国人留学生に関して、今後どのような方針でその活用を推進していかれるのかをお伺いいたします。  次に、多文化共生については、言葉の壁が相互理解を妨げる大きな要因となっており、これをどう解決していくか、多文化共生社会づくりを進める上で最も重要な課題だと思います。  特に定住化が進む中、将来を担う子供たちの日本語力は見過ごせない課題となっています。中には、ダブルリミテッドと言われる日本語も母語もできない深刻なケースもあらわれていると聞いています。  一方、大人についても、景気後退の中、再就職をしようとすると、従来以上に日本語力を求めてくる企業もふえていると言われています。  そこで、外国人県民の子供の日本語学習支援としてどのような対策を進めているのか、また、大人に対してはどのような対策を進めているのかをお伺いいたします。  さらに、これらの問題は、地域だけでなく国として取り組む必要があると思います。国は、どのような対策を進めているのかをお伺いいたします。  以上で終わります。(拍手) 22: ◯産業労働部長木村聡君) 行政改革の関係でいただきました産業振興に関する御質問に対し、お答え申し上げます。  本県は、これまで物づくりの中核地域として発展をしてまいりましたが、一昨年秋のリーマンショック、これに端を発します世界的な景気後退の影響によりまして、大きな落ち込みを経験いたしました。本県経済が再び活性化し、将来にわたって持続的に成長していくためには、産業雇用の基盤を支える中小企業の経営力、技術力の向上を図りますとともに、今後成長が期待できる次世代産業を育成振興していくことが必要であると考えております。  このため、本県では、今後五年間の産業労働施策の中長期的な方向性を示します産業労働計画を策定し、まず、イノベーションに取り組む意欲のある中小企業に対しまして人材育成、技術開発、あるいは販路拡大を重点的に支援することによりまして、中小企業力の強化を図ることとしております。  また、次世代自動車や航空宇宙を初めとする次世代産業につきましては、第五次行革大綱に基づき、機能の見直しを行います産業技術研究所と、現在整備を進めております知の拠点を中心といたしまして、産学行政共同の研究開発や、高度な技能を持つ人材の育成などに取り組みますとともに、関連分野における企業誘致につきましても、これを積極的に進めてまいりたいと考えております。  こうした取り組みを進めるに当たりましては、第五次行革大綱の趣旨を踏まえまして、既存の関連施策を点検した上で、施策の選択と集中を図りますとともに、産業技術研究所やあいち産業機構など、関係機関の機能を最大限に活用しながら、本県産業の振興を有効かつ効率的に推進してまいりたいと考えているところでございます。  私からは以上でございます。 23: ◯教育長今井秀明君) 国語力を育てる教育についてお答えをいたします。  議員お示しのとおり、国語力はすべての学習の基盤でありまして、児童生徒の思考力や判断力を高めるために欠くことのできないものとして重点的に取り組む必要があると考えております。  また、最近問題となっておりますいじめや不登校、家庭内暴力、少年非行などについては、子供同士、子供と親、子供と大人などの間で、言葉を介しての意思疎通や、日常的なコミュニケーションが十分にできなくなっていることも一因ではないかと思われます。相手や場に応じた言葉遣い、あいさつや感謝の言葉、お互いを励まし合う言葉など、社会生活に不可欠な人間関係づくりを支える意味においても、言葉の力を育てることは重要な課題であります。  来年度以降全面実施されます新学習指導要領におきましても、議員お示しのように、言語活動の充実が大きく取り上げられ、国語を初めとするすべての教科で、説明することや批評すること、あるいは話し合うことなどの学習を充実することが示されております。  県教育委員会といたしましては、平成二十年度から毎年、県内すべての小中学校を対象にした学習指導要領説明会を開催し、趣旨の徹底を図るとともに、本年度は、国語を専門とする大学教授を招き、各教科において言語活動をどのように生かしていくかといったテーマで講演を行ったところでございます。あわせて、県内の小中学校に言語活動に関する研究を委嘱し、国語力を育成するための指導方法の工夫や改善等について、研究に取り組んでおります。  また、言語感覚や感性を磨くには読書は大変有効でありますので、平成二十一年度、昨年度に愛知県ゆかりの著名人が心に残った本を紹介する「みんなにすすめたい一冊の本」、これを全小中学校に配付し、読書に親しむ児童生徒の育成に活用していただいております。  今日、国際化が進展する中にあって、みずからの考えを論理的に、説得力を持って伝えることのできる表現力が一層求められておりますので、引き続き児童生徒の国語力向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 24: ◯地域振興部長(山田周司君) 本県の国際化の推進についての御質問のうち、最初にフレンドシップ継承事業について、お答えをいたします。  まず、愛知万博の余剰金を活用させていただいたこの事業の成果についてでありますが、各市町村においては、県のフレンドシップ継承交付金を利用して、愛知万博以降、さまざまな国際交流事業が展開されてきております。  具体的には、事業開始以来、七市町村で新たな友好提携が締結され、二市町で国際交流協会が新たに設立されたほか、子供たちの相互交流の実施や国際理解を深めるセミナーの開催など、地域に根差した数多くの多様な国際交流活動が実施されてまいりました。  このように、フレンドシップ継承事業は、愛知万博開催の成果として、フレンドシップ相手国を初め、世界各国と市町村との国際交流を進める大きな原動力になったものと考えております。  次に、今後についてでありますけれども、本県としては、根づき始めた市町村レベルの国際交流の芽をさらに拡大できるよう、交流のノウハウの共有に向け、事業の成果を発表できる場の提供や、地域において国際交流を担う人材育成を図るセミナーを開催するなど、市町村が国際交流にさらに積極的に取り組み、地域の国際化を一層推進させることができるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ベトナムの帰国留学生の活用についてお答えをいたします。  県内の大学等で学んだ留学生は、高度な知識、技能を有するとともに、日本語や日本文化にも通じており、本県と母国とのかけ橋となる貴重な人材として、その活躍が期待されております。  このため、本県としては、愛知で学んだ帰国留学生を会員とする組織の立ち上げを支援し、その組織を活用して、本県と母国双方の経済や文化交流の推進を図っていきたいと考えております。  現在、最初の取り組みをベトナムで進めておりまして、十一月には、ハノイにおいてベトナム帰国愛知留学生ネットワークという帰国留学生の会の発足を目指しております。同会の発足後は、本県からの進出企業に対する現地情報や、県内大学等への留学希望者に対する大学情報の提供などの活動を行ってもらうこととしており、本県とベトナムとの多様な交流の推進に大いに貢献していただけるものと考えております。  次に、外国人県民の日本語学習支援についてお答えをいたします。  県内には、日本語指導を必要とする児童生徒が約六千人、全国一多く居住しており、日本語学習の機会をより多く確保することは、子供たちの将来にとって極めて重要なことであります。  そこで、平成二十年六月に経済界の御協力のもと、全国で初めて日本語学習支援基金を財団法人愛知県国際交流協会に創設いたしました。この基金は、子供たちを対象とした日本語教室や、日本語学習を行う外国人学校に対して支援するものであり、本年度は、二十三市町における五十四の日本語教室と十カ所の外国人学校に対し、活動費の助成を行っております。  また、大人の方についても、リーマンショック後の景気後退の中では、十分な日本語能力の習得が就職活動や地域社会に適応する上で大変重要となっております。このため、本県では、市町村やNPOと連携して、日常生活で必要な日本語と生活ルールを学べる多文化共生促進教室を平成二十一年度から開設しており、本年度も十三市町に二十七の教室を設け、大人向けの日本語学習支援等に取り組んでいるところでございます。  最後に、日本語学習支援に対する国の対策についてでございます。  国に対しては、本県が中心となって組織した日系ブラジル人が多い七県一市による多文化共生推進協議会を通じて、外国人児童生徒の教育の充実や、就労につながる日本語学習の支援などについて強く要望してまいりました。  この要望に対し、国は、不就学児童生徒向けの虹の架け橋教室や外国人労働者向けの就労準備研修を実施するなど、緊急的な対策を講じてまいりました。  さらに、本年八月三十一日に、日系定住外国人を日本社会の一員としてしっかり受け入れるための日系定住外国人施策に関する基本指針を定めました。この中で、日本語教育の標準的カリキュラムや教材の作成、日本語能力に配慮した職業訓練の実施など、日本語習得に係る支援方針などが示されました。  国は、この基本方針をもとに、本年度末をめどに具体的な行動計画を策定することとしております。本県としては、これまでの要望が行動計画にしっかりと盛り込まれるよう、引き続き国に働きかけを行ってまいります。  以上でございます。 25: ◯副議長奥村悠二君) 進行いたします。  渡会克明議員。     〔六十三番渡会克明君登壇〕(拍手) 26: ◯六十三番(渡会克明君) 議長のお許しをいただきました。通告に従い、順次質問をいたします。  初めに、県民の命を守る重要な取り組みの一つ目として、子宮頸がんなどのがん予防対策等についてお尋ねをいたします。  子宮頸がんは、我が国で年間約一万五千人が罹患し、約三千五百人が死亡していると推計され、近年、若い女性の罹患が急増、若年化傾向もあり、死亡率も高くなっています。結婚前、妊娠前の罹患は、女性の人生設計を大きく変えてしまいかねず、子宮頸がんの予防対策が強く望まれています。  ただ、ほとんどの子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス──以下HPVと呼びますけれども──の感染が原因と解明されていることや、子宮の入り口、頸部にできるために観察が容易なことなどから、定期的な予防検診──細胞診やHPV検査でありますけれども──と予防ワクチンの接種の両輪により、効果的に予防できる唯一のがんであると言われています。  がん検診については、国の補助事業として、五歳刻みの対象年齢の女性に子宮頸がんと乳がんの無料検診クーポン券を配付して、受診を促す女性特有のがん検診推進事業が昨年度から開始され、県内全市町村で実施されているところであります。  ところが、現在のがん検診は死亡率を低くするとの検診方針ですので、子宮摘出でもよしとしています。しかし、現在、子宮頸がんは罹患する年齢が二十代、三十代と下がる傾向にあり、患者の将来を考えた場合、早く確実に感染をとらえ、浸潤がんになる前に円錐切除などの治療で子宮を温存し、妊娠、出産を可能にする治療法を主眼にしなければなりません。そのことが患者の負担を軽くし、少子化対策にもなり、医療費の軽減にも役立つわけであります。  そこで、従来から行われている子宮頸がん検診を予防検診にまで拡大する必要があります。予防検診の実施についても市町村任せにするのではなく、受診機会を均てん化すべきであります。  一方、子宮頸がん予防ワクチンについては、公明党は、早期承認をいち早く国に求め、その結果、昨年十月に臨床試験を経て、ハイリスクの十六型と十八型を予防するための二価HPVワクチンの使用が承認され、十歳以上の女性に予防接種が可能となったところであります。  このワクチン、世界では百カ国以上の国々で既に認可され、約三十カ国で公費助成による接種が行われており、イギリス、オーストラリア、イタリアなどは全額公費負担であります。  日本では、発がん性HPV十六型と十八型が原因のほぼ六〇%を占めると言われています。この予防ワクチンは、HPV十六型と十八型の感染をほぼ一〇〇%抑えることができます。これらのウイルス感染を防げるということは、子宮頸がんに対して大きな予防効果を期待できるということであります。  ワクチン接種の費用の効果は、子宮頸がんの予防だけでなく、医療費の抑制にもつながるとの試算もあります。ある大学教授らによれば、十二歳の女子にワクチン接種をした場合、がんの発生数、死亡者数をともに七三%も減らすことができ、しかも、約二百十億円の接種費用に対し、約四百億円の医療費などを削減できるとのことであります。三十歳の女性に接種した場合でも、約五〇%の発症を抑えることができ、二十九歳まででは、ワクチンの接種費用よりも医療費などの抑制のほうが大きいとされています。  ワクチンは、半年間で計三回の接種が必要で、その費用は五万円程度と高額なことから、諸外国の多くは公費助成で接種を行っています。日本でも一層の普及促進に向け、公費助成を進めていく必要があります。  我が国においても、子宮頸がんの予防に取り組む方針を打ち出し、我が党の働きかけもあり、来年度予算の概算要求に百五十億円を盛り込んでおりますが、これは十歳代の女子を対象とし、市町村に対して事業費の三分の一を補助するものであります。  そんな中、独自の公費助成制度を創設した県や市町村が増加をしています。本県でも、名古屋市、東海市、設楽町、飛島村などがあります。最近の厳しい財政状況を考えますと、一斉接種を始められない市町村も出てくるのではないかと思われ、このままでは地域によって大きな予防の格差ができてしまいます。  県内で医療サービスに格差が生じることは、見過ごせないことであります。このことを私は非常に危惧しております。居住地域を問わない、接種機会の均てん化が今後の課題であります。  そこでお伺いをいたします。  女性の命を救うための子宮頸がんの予防対策は、もはや待ったなしの状況でありますが、子宮頸がんを早期に発見するため、がん検診のさらなる推進についてどのようにお考えか。  また、子宮頸がんワクチンの接種について、県内の地域における予防格差が発生しないようにするため、県として今後どのような具体的かつ効果的な対策を講じるお考えかお伺いをいたします。  さらに、子宮頸がんワクチンのように、接種費用を自己負担しなければならない、いわゆる任意の予防接種には、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、まだまだ多くありますが、特にこの二つのワクチンは、小児の細菌性髄膜炎の予防に大変有効であると聞いております。このため、細菌性髄膜炎の予防に有効な予防接種をぜひともすべての子供たちに等しく受けさせてやりたいと考えております。  そこで、県は、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの任意の予防接種の推進について、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  次に、県民の命を守る二つ目の重要な取り組みとして、ドクターヘリの運営事業についてお尋ねをいたします。  この事業は、平成十三年度から国の間接補助事業として始められ、平成十九年六月には、我が党などの提案による議員立法により、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法が制定され、全国的な配備促進に向けた方向性が示されています。  現在、全国十九道府県で実施されており、本県は、愛知医科大学病院を基地として、初年度の平成十四年一月から中日本航空株式会社を運航会社として、ドクターヘリを配備してきた全国でも先進県の一つであります。  本県には多くの医療施設がありますが、中には、大病院から遠く離れた山間地や離島などの地域もあります。救急医療は時間との戦いと言われ、重篤な患者さんほどいかに短時間で運送できるかが、その方の命が救われるかどうか、あるいは深刻な後遺症を残さないかどうかを左右することになります。ドクターヘリの魅力は、まさにその機動性、迅速性にあります。ドクターヘリの効果に関しては、ドクターヘリの要請から医師が治療を開始するまでの時間は平均十四分で、救急車による搬送を仮定した場合と比べて二十七分程度短縮され、死亡については三九%の減少効果、重症後遺症については一三%の減少効果があったとの実態と評価に関する研究結果もあります。  本県においても、運航要領に基づき、医師と現地の救急隊との緊密な連携のもとに、患者の容体、医師による早期治療の必要度、救急車搬送の困難性、その他を判定して迅速な出動が行われており、これにより大切な県民の命が救われた多くの事例をお聞きしております。  このように、顕著に救急搬送の効果がある一方で、ドクターヘリの運航のためには、搭乗するパイロット、整備士、医師、看護師、そのほか運航管理者などの人的体制を常時維持するための経費が燃料費等とは別に当然のことながら必要となります。  そのために、事業費は国と県で折半して事業者を補助する仕組みとなっているところであります。県財政が大変厳しい中ではありますが、一人でも多くの県民の皆様の命を救うために、私は、本県の救急医療体制のさらなる充実強化を図り、今後とも、県としてこの事業をハード、ソフトの両面においてしっかりと進めていただき、県民の皆様に安心していただける救急医療の先進県であり続けてほしいと強く願うものであります。  また、私の住む東三河地域は、たびたび静岡県西部をカバーしている静岡県のドクターヘリに助けられることがあります。静岡県と愛知県及び市町村レベルでの協定や連携もあるのだろうと推測をいたします。  そこでお尋ねをいたします。  本県におけるドクターヘリの出動実績と、そのうち、山間地域や離島など、いわゆる僻地の患者さんを扱った事例はどの程度を占めているのかお伺いをいたします。  また、救急医療対策の中で、この事業をどのように評価し、今後、岐阜県、三重県、静岡県などの隣接県とのネットワークの構築、強化など、積極的にどのような事業展開をされるお考えなのか、あわせてお伺いをいたします。  最後に、いいともあいち運動の新たな展開についてお尋ねをいたします。  世界の食料需要は、ふえ続ける人口や、新興国の経済発展に伴う食生活の変化などにより、今後ますます増大していくことが予測されています。  こうした中で、八月十三日付の新聞紙上等で、穀物の輸出大国であるロシアが干ばつによる収量減で小麦の輸出を一時的に禁止するというニュースが大きく報じられました。  食料の輸出規制は、ロシアに限ったことではなく、ベトナムの米やインドの小麦など、自国への供給を優先して、農産物の輸出を規制する国が二〇〇七年ごろからあらわれてきております。食料を輸入に頼っていた国で、輸入量が不足したり、不足によって価格が高騰する事態ともなれば混乱が起きるのは当然のことで、現に二〇〇八年には、アフリカやアジアの途上国を中心に抗議行動や暴動が相次いで発生をしています。  我が国は、主要先進国の中でも、カロリーベースで四〇%という最低の食料自給率が物語っているように、六割もの食料を海外に依存する世界最大の食料純輸入国であります。我が国の食料自給率が四〇%までに低下したのは、食生活の変化による米や野菜など、国内で自給可能な農産物の消費量の大幅な減少が主な要因とされています。食料自給率を向上させるためには、国産農産物の生産を増大させるとともに、消費の拡大を図っていくことが大変重要であると考えます。  県においては、平成十七年に策定した食と緑の基本計画に基づき、県内の消費者と生産者がこれまで以上にいい友達の関係になって、お互いの信頼を深め合い、もっと愛知県産品を食べようという趣旨のいいともあいち運動の展開や、学校給食における地場農産物の導入の促進、産地直売の推進など、産地と消費地の距離が近いという本県の特徴を生かした消費拡大の取り組みが進められていると聞いております。  最近、スーパーやコンビニエンスストアなどで、いいともあいち運動のシンボルマークを張ったパンや弁当などをたびたび見かけるようになりました。こうした商品には、例えば私の地元の豊橋産の巨峰を使ったパンやシュークリームなどもあり、地元住民としては、買って食べることによって地元の農業を応援したいという、こういう気持ちがわいてまいります。  また、豊橋が全国トップの生産額を誇る青ジソ、大葉でありますけれども、これを生かした商品をつくり、磨き上げ、世界に誇るジャパンブランドを目指す青じそ加工研究会というものが平成十九年にスタートをいたしました。  研究会では、青ジソの生産農家とそれを加工するメーカーが連携し、青ジソを原材料とした寄せ豆腐やそば、ギョーザ、米パスタ、梅酒、ちくわなどなど、数多くの商品を開発し、販売をしております。これらの商品は着実に評価をされるようになってきております。  なお、先日、神奈川県厚木市で開催された全国の御当地グルメの日本一を決めるB級グルメの祭典「B─1グランプリ」では、県内から初出場した豊川市のいなりずしで豊川市をもりあげ隊のワサビいなりが、工夫と情熱で六位入賞を果たしており、地域産業の振興に大きく貢献されたのではないかとうれしく思っております。  また、昨年四月には、国道二十三号豊橋東バイパス、七根インターチェンジをおりてすぐのところに、ファーマーズマーケット、あぐりパーク食彩村というJA豊橋とJA愛知みなみが共同で開設をしました東三河最大級の産地直売所──敷地面積が五千二百十平米あるというふうに伺いましたけれども──が豊橋市にオープンをいたしました。日本有数の農業地帯である豊橋、田原地域における地産地消の拠点として、オープン以来さまざまな工夫が実を結び、売上高も、ここに出荷をする農家の数も順調に伸びており、買い物に来たお客さんからも、スイカやメロンなどの高品質な地元農産物を直接購入できると大変好評であります。  私も訪ねてみましたが、百台分ある駐車場は満車と大盛況でありました。絶好調の裏には、生産者農家と消費者の触れ合い、交流が相乗効果をもたらせている、このように感じたところであります。議場の皆様方もぜひ一度足をお運びいただければと思う次第でございます。
     こうした愛知らしい地産地消の取り組みを強化し、県民の皆様に本県産農産物などを一層利用していただくことが本県農業の振興、ひいては食料自給率の向上にもつながっていくものであると考えます。  そこでお尋ねをいたします。  これまでのいいともあいち運動の取り組みの成果はどのようになっているのか、また、この運動の一層の強化に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。  以上、私の壇上からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 27: ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 県民の命を守る取り組みに関する御質問のうち、初めに、子宮頸がんなどのがん予防対策等についてお答えをいたします。  まず、がん検診のさらなる推進についてでございます。  子宮頸がん予防対策は、女性の健康を守ることだけではなく、命の誕生を守ることにもつながるため、県政の喫緊の課題と考えております。この子宮頸がんの予防には、適切な時期にワクチンを接種するとともに、定期的に子宮がん検診を受診することが効果的であると認識をいたしております。  がん検診につきましては、本県のがん対策推進計画にも検診受診率の向上をしっかりと位置づけをしております。このため、愛知県生活習慣病対策協議会のもとに設置されましたがん対策部会や、がん検診精度管理員会におきまして、県内の受診率や取り組み体制を分析、評価し、その結果を各市町村にフィードバックするとともに、昨年度より開始されました女性特有のがん検診推進事業の円滑な実施に向けて、担当者会議を開催するなど、市町村を強力に支援をいたしております。  さらに、保険会社、金融機関などと連携して、民間企業の活力やアイデアを活用したイベントの実施や、啓発資材の配布を行い、がん検診の啓発や企業内での受診勧奨などを積極的に推進しているところであります。  今後とも、これらの取り組みを一層進めることでさらなる受診率の向上を図ってまいります。  次に、子宮頸がん予防ワクチンの接種についてであります。  子宮頸がんワクチンは、今回初めてがんを予防できるワクチンとして実用化されたものであり、子宮頸がん予防にとって大きな効果がありますことから、できるだけ多くの方にこのワクチンを接種していただくことが望ましいと考えております。  国におきましては、来年度の概算要求に事業費の三分の一相当が市町村に対する補助として盛り込まれたところであり、これが実現いたしますと、費用負担について一定の軽減が図られ、接種の促進に資するものと考えておりますが、法律上の位置づけや健康被害が起きた場合の対応方法、さらには、今回の補助制度の詳細な内容など、明確になっていない部分もございます。  また、現在、国の厚生科学審議会に設置されました予防接種部会におきまして、どのような予防接種に公的関与が適当であるかが検討されておりますことから、この動きを注視しつつ、情報収集に努め、県民の皆様に正しく理解していただくための普及啓発や、市町村における事業実施を支援するための担当者会議などを開催するなどいたしまして、予防接種の円滑な推進に努めてまいります。  次に、ヒブワクチンなど任意の予防接種の推進についてお答えをいたします。  子供の細菌性髄膜炎は、初期には発熱以外に特別な症状が見られない場合が多いため、早期診断が困難でございまして、また、抗生物質が効かない薬剤耐性菌も出現しており、近年、治療が難しくなっております。  このため、細菌性髄膜炎を予防できるヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは大変有効であります。本県といたしましては、全国衛生部長会や、国の施策、予算に対する提案、要望において、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンを初め、水ぼうそうやおたふく風邪のワクチンにつきましても、早期に予防接種法に位置づけて定期接種化を図るよう、平成十九年度から毎年対象ワクチンを順次拡大して国に要望してまいりました。  一方、国におきましては、先ほど申し上げた厚生科学審議会に設置されました予防接種部会で、このヒブや肺炎球菌などにつきましても、本年四月から検討を開始しておりますことから、今後の動向を注視いたしますとともに、必要な予防接種が早期に全国一律に実施されるよう、引き続き国に対し強く要望してまいります。  続いて、ドクターヘリに関する御質問にお答えいたします。  まず、本県のドクターヘリの出動件数につきましては、平成十九年度五百一件、二十年度四百五十五件、二十一年度は五百八件となっておりまして、日本航空医療学会による平成二十一年度集計をもとに、他県の例と比較いたしますと、本県の五百八件の出動件数は全国平均の三百四十一件を上回っており、十分に活用されているものと認識をいたしております。  また、このうち、東西三河の山間地や離島への出動実績は、平成二十年度は百七十四件で全体出動件数の約三八%、二十一年度は百七十三件で約三四%となっており、いわゆる僻地における安心・安全の確保に大きく貢献しているものと考えております。  次に、ドクターヘリに対する評価と今後の事業展開についてであります。  ドクターヘリは、医師が搭乗していち早く現地に赴き、その場所や機内において必要な治療を行いつつ、極めて迅速に医療機関に搬送できるという利点があり、その活用は救命率の向上に大きく貢献していると認識をしております。  また、本県では、医師、看護師、救急隊員などが参加する症例検討会を毎月開催して、個別事案ごとに十分な処置が迅速、的確に行われたかなどを具体的に検証し、さらなる救命率の改善を図っております。  このように、ドクターヘリの救命救急における事業効果につきましては、県として高く評価しているところでございますので、近隣県との連携なども含めまして、今後ともこの事業の積極的な推進に努めてまいります。 28: ◯農林水産部長(小出茂樹君) いいともあいち運動の取り組み成果につきましてお答えいたします。  本県では、平成十年度から地産地消の取り組みでございますいいともあいち運動を開始いたしまして、生産者、流通関係者、さらには、消費者団体などから成るネットワークを組織することにより、伝統野菜を使った親子料理教室や体験交流会などを開催して、お互いに顔の見える関係を構築してまいりました。最近では、食品製造業やスーパーなどの商工業者の方々の加入が増加しており、現在、ネットワーク会員数は八百会員を超えております。  また、会員の中で県産農林水産物を積極的に取り扱う小売店や飲食店をいいともあいち推進店として登録する制度も設けておりまして、平成二十一年度末現在、県内で六百九十四店舗を登録しております。会員及び推進店とも五年前に比べましてそれぞれ倍以上になり、今後も一層の増加が期待されるところでございます。  さらに、県産農林水産物を使ったパンや弁当、漬物などの商品にシンボルマークを表示する取り組みにつきましては、コンビニエンスストアを初め、多くの会員企業に御理解をいただき、その結果、平成二十年度は三十七商品であったものが、平成二十一年度は二百七十七商品へと大幅に増加したところであります。  このようなことからも、いいともあいち運動は、県民の皆様方に着実に浸透しているものと考えております。  次に、今後の取り組みについてお答えいたします。  いいともあいち運動は、本県の地産地消の中心的な取り組みでありまして、新しい食と緑の基本計画におきましても、いいともあいち運動の積極的な推進方策を盛り込んでいきたいと考えております。  本県の農業産出額は全国第六位でありますが、第二次産業であります食料品製造出荷額も北海道に次いで全国第二位となっておりまして、いいともあいちのネットワークには、数多くの農業者と食品関連企業が加入していただいております。  したがいまして、農商工連携を着実に進める観点からも、これら会員相互の出会いの場を設置するとともに、新たな商品の開発を支援してまいります。  さらに、販路開拓につきましても、スーパーやデパートなど流通業界の会員に対するPR活動を強化してまいりたいと考えております。  また、本県が日本一の生産を誇る青ジソを使った製品や、名古屋コーチンなどの特産品を少しでも多くの県外の消費者の方々に知っていただくため、これまで推進店の登録は県内に限定しておりましたが、これからは首都圏を含め県外へも広げてまいりたいと考えております。  今後とも、引き続きネットワーク会員や推進店、あるいはシンボルマーク表示商品の一層の拡大を推進することによりまして、県民の皆様方に定着しつつあるいいともあいち運動をさらに盛り上げるよう努力をしてまいります。  以上でございます。 29: ◯知事神田真秋君) ドクターヘリについて、つけ加えさせていただきます。  本県は、ドクターヘリ、比較的全国でも早い段階で導入をいたしました。救命救急医療に大きな効果を上げていると思っております。防災ヘリともども、このドクターヘリの果たしている役割は大きいと思います。  今年度、お隣の岐阜県が導入されます。来年度、三重県が導入される予定でございます。既に静岡県は導入されておりますので、こうした近隣との連携がこれからの課題になってこようかと思っております。東海地域がいいのか、あるいは中部圏がいいのか、十分検討した上で、広域的な連携協力体制を愛知県から呼びかけていきたいと思っているところでございます。 30: ◯六十三番(渡会克明君) それぞれ御答弁をいただいたところであります。  今、知事からも御答弁いただきましたけれども、私は、要望二点と再質問一点をさせていただきたいと思います。  初めに要望でありますけれども、今、知事からも御答弁がありました。ドクターヘリの運営事業について要望したいと思います。  今、お話があったとおりで、この運営事業は愛知県でスタートされてから八年が経過したわけであります。国の補助金の算定根拠であります年間二百四十回、百十時間という当初見込みを毎年大幅に超えた実績で推移をしております。  ただいま局長のほうからも御案内のあったとおりであります。当然のことながら、実態に即した予算措置をぜひお願いしたいと思います。ドクターヘリの運航会社も、県民の生命は必ず守るとの強き使命感から企業努力で運航されてきました。行政が負担を強いたり、御好意に甘えるようなことがあってはなりません。運航会社の皆さんの御努力には改めて感謝申し上げたいと思います。  また、大学病院のフライトドクター、フライトナースの皆さん方も、日々の激務に加えての出動であります。救急業務に当たるわけでありますので、必ず安心が約束された安全運航でなければなりません。  そこで、愛知県としても、将来にわたり本事業を安定的に運営していただき、先進県愛知の名に恥じぬ努力を要望しておきたいと思います。  予防検診のほうについて要望したいと思います。  局長から話があったわけでありますけれども、子宮頸がんは、繰り返しますが、他のがんと違いまして、検診でがんになる前の状態、これを発見できるわけでありまして、定期的に受診すれば約八〇%の早期発見が可能と言われています。しかし、日本では、この検診受診率というものが極めて低く、受診率の向上に努める必要があります。  現状では、受診率が比較的高い年代というのは、新たな子宮頸がんになる心配が少ない五十歳代から七十歳代の方が多いわけでありまして、最も注意しなくてはいけない二十代、三十代、私たちの子、孫になるわけでありますけれども、この検診率はまだまだ低い状態であります。私は、行政のしっかりとした取り組みが必要であると、このように思います。  そこで要望ですけれども、検診率の向上に向けて、申し上げたとおり、若い世代を意識した受診体制が望まれます。どうか工夫をしていただいて、普及啓発等の対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。  また、過日、我が党がワクチン接種、検診を全額国の補助で実施することを骨子としました予防法案を国会に提出したところでありますけれども、現在、国は、今年度の検診の補助もたしか半減をしているはずであります。県としても、国に対して、乳がん、子宮頸がん検診の無料クーポン配付事業の継続、拡大、これを強く要望していく必要があると考えます。  ぜひとも、事業が夢にも後退することがないよう、県としてもしっかり国に要望していただきたい、こう思います。  最後、再質問でありますけれども、局長の話を伺った後ではありますが、あえて再質問させていただきます。  子宮頸がんの発症をゼロに近づけるため、さらには、公平な医療サービスの均てん化を図るために、人道的見地から、本県でもワクチン接種に対する助成制度を創設すべきと考えますが、御意見をお伺いいたします。  以上、質問といたします。 31: ◯健康福祉部健康担当局長五十里明君) 子宮頸がんワクチンに対する助成制度の創設に関する再度のお尋ねにお答えいたします。  女性の命と健康を守るためには、住んでいる地域にかかわらず、速やかにできるだけ多くの方に接種を勧めることは、ワクチンの意義、有効性からも重要であると、そのように認識をいたしております。このワクチンの接種費用に対して補助を実施、または予定している市町村は、本年七月の国の調査に回答した千七百四十四市町村中百二十六市町村であり、本県におきましては、議員御指摘のように、四市町村が実施されると伺っております。また、都道府県では、十月開始の徳島県を含めまして、三都県にとどまっております。  一方、このワクチンは、現時点では任意接種の位置づけでありまして、先ほども答弁させていただきましたとおり、国におきまして、予防接種のあり方について審議されており、具体的な制度設計はいまだ明らかではございません。これらを踏まえますと、来年度予算にも関係いたしますことから、現時点での助成制度の創設につきましては、具体的にお答えすることは困難であると考えております。ひとつ御理解のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。 32: ◯副議長奥村悠二君) 進行いたします。  柴田高伸議員。     〔四番柴田高伸君登壇〕(拍手) 33: ◯四番(柴田高伸君) 通告に従い、大きく二テーマに分けて、順次伺ってまいります。  まず初めに、名鉄知立駅周辺の連続立体交差事業とその関連公共事業について伺います。  知立市は、本年十二月、市制施行四十周年を迎えます。古来から交通の要衝として栄え、鎌倉時代に整備された鎌倉街道や、江戸時代の東海道の跡を今も市内に見ることができます。現在市内には、国道一号、二十三号、百五十五号、四百十九号線などの主要幹線道路が四方を囲み、市内中心部には、名鉄名古屋本線と三河線が結節する知立駅が存在をいたします。名鉄知立駅は、昭和三十四年に現在の形に整備され、毎日すべての列車が停車し、乗降客数は一日平均約三万人、乗りかえ客数を含めると、一日平均約六万人を超す名鉄すべての駅で実に八番目に多い利用となっております。文字どおり、西三河の玄関口としての機能を備えている駅と言えます。  これまで、これらの鉄道と道路とが平面交差していることによって、主要な踏切において慢性的な交通渋滞が発生し、また、市街地が分断されて、都市の均衡のとれた発展が阻害されており、まちづくりを進める上で大きな障害となってきました。駅周辺の踏切のうち、特に駅の東の本線と三河線の接した踏切では、遮断されている時間が一日十時間五十分と極めて長い状況にあり、特に朝夕のラッシュ時はひどい状況で、まさにあかずの踏切と呼ばれてきました。  そこで、これらの問題を解決し、都市交通の円滑化と周辺市街地の生活環境や都市機能の向上を図るため、知立駅を中心とした名鉄本線と三河線の連続立体交差事業を行うこととしたものであります。この連立事業は、昭和五十一年に愛知県による鉄道高架事業調査が行われてから二十四年を経て、平成十二年に事業認可、それからさらに十年を経て、本年五月に県と名鉄との間で工事協定が締結されたところであります。  知立市にとって、昭和年代以来の積年の念願事業として、今般、ようやく仮線工事の一環として仮駅工事に着手されましたことは実に歓迎すべきことであり、その整備効果は極めて大きいものと期待をいたします。一方、この連立事業は知立市にとって、財政運営上、大変大きな懸念材料であることも事実であり、いわばこれから綱渡りをしながら事業を推進していくことになります。  そこで、この連立事業の事業主体である愛知県に期待される取り組み内容について、以下指摘してまいりたいと思います。  そもそも連立事業の実施に当たっては、鉄道利用者の安全確保、つまりは安定した輸送力維持を最優先して事業を進めていかねばなりません。  そこで、鉄道事業者の持つ技術力やノウハウを最大限に活用し、県と鉄道事業者の役割を明確にするため、工事協定を締結しています。つまりは、事業主体は県でありながら、鉄道施設という特殊性のため、鉄道工事は鉄道事業者に委託して実施されることを基本として、双方の合意により施行区分を定めているのであります。  あわせて、県とともに地元市も多額の費用負担をすることから、県、市、鉄道事業者が共同事業者として、その長い事業期間をそれぞれ重要な役割と責任を負いながら、信頼関係を持って事業執行していくことになります。  しかしながら、委託する鉄道工事の内容について、公共工事であるにもかかわらず、鉄道事業者から必ずしも公開されない情報があることから、現状を確認し、改善に向けて意見を述べたいと思います。  まず、工事見積もりについて。  協定により鉄道事業者が行うこととなる工事については、工事契約の当事者として、鉄道事業者が工事費の積算を行います。工事費の積算に当たっては、原則として県建設部の積算基準によることが望ましいわけでありますが、この基準ですべてが網羅されるわけではなく、例えば軌道工事や信号工事などの電気設備工事は、県の積算基準に定めがないため、鉄道事業者の基準によらざるを得ないのが実情であります。県は、当然積算事業費や施行計画、後に述べる業者選定などについて、事前に厳正な確認を行う必要があるはずであります。そのために必要な県の積算基準に定めがないとすれば、鉄道事業者が見積もり算定に使用できる積算基準を早急に補完し、積算の公正性を確認する必要があると考えます。  次に、工事業者の選定について。  鉄道事業者が行う工事の業者選定も工事契約の当事者である鉄道事業者が行うこととなります。鉄道事業者は、この事業が公共事業であることにかんがみ、契約に当たってはその公正性、透明性の確保のため、原則として競争入札を行うことにより契約を締結することが望ましいと考えますが、実際には、民間企業独特の方法による競争に付すことによって契約が締結されています。  民間企業独特の方法による競争性を確保した契約とは、つまり、鉄道事業者がそれぞれの契約にとってふさわしいと考える競争性のある契約方法を選択することができるということであります。言いかえれば、競争入札が唯一絶対の方法ではなく、県を含む地方自治体の場合には、地方自治法によって競争入札を行うことを原則としていることにかんがみると、同じ競争性を確保した契約方法であると言えるのか、疑問が残ります。  また、鉄道事業者の契約には、特命随意契約も採用され、その理由は大きく二つあるとしています。一つは、鉄道施設の特殊性に起因する技術、経験の必要のある場合。もう一つは、鉄道施設の品質、施行、安全管理を行う上で、継続性を保持しなければならない場合に、随意契約とすることで責任の一元化が図られるとしています。  しかしながら、税金が使われている事業である以上、これら安全面の配慮と競争性の双方を実現する必要があると考えます。例えばJRTT、鉄道建設・運輸施設整備支援機構では、本年六月、随意契約等見直し計画によって、速やかに一般競争入札などに移行することにしました。また、従来から鉄道工事の入札に際し、入札経過調書の公開も行っています。  無論、こうした取り組みは、同機構が国の独立行政法人で、国の手続に準じて情報公開しながら、入札契約手続を行うことを義務づけられた団体として当然でありますが、特殊性のある鉄道工事においても、競争入札を行った上、監督体制の強化や示方書への明示といった安全面の対策をとることによって、工事の安全性と競争性が両立できることを証明しています。  したがって、県としてこれから毎年度の出来形確認行為において、契約については、鉄道事業者から工事件名、契約金額、契約業者を記載した工事契約一覧を提出させ、個々の契約についての契約書と工事明細を確認の上、契約経過について聴取し、競争性の確保の状況を詳細に確認する必要があるのでないかと考えます。  近年、県の働きかけで、これまで情報開示の判断は鉄道事業者任せであったものが、契約情報公開の取り組みが進んでいるとお聞きをいたしておりますが、現状では、契約案件の精査に必要なこれら詳細な情報が必ずしもすべて鉄道事業者から公開されない状態は問題であり、早急に関連情報開示を徹底させる必要があると考えます。  そこで伺います。  今後さらに社会的要請を踏まえ、鉄道事業者に対して、この事業が公共事業であることを十分に認識させ、より一層の意識改革を求めて事業の公正性、透明性の確保に確実に取り組む必要があると考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、その内容についてお尋ねいたします。  さて、今般の工事協定締結に先立ち、総事業費が再算定された結果、事業採択時の当初見積もり四百九十九億円から六百十五億円へと二三%増の大幅なアップとなりました。  くしくも、この協定締結前の国会審議で、時の国土交通副大臣が連立事業について次のように答弁しています。連立事業はまちづくりにとって必要な事業であり、国は重点的に支援するが、事業には大きな費用がかかるので、自治体の財政負担は一定程度必要である。一方、全体事業費の縮減にできる限り取り組みたいという趣旨のものでありました。  であるならば、国の事業費縮減の取り組みが具体化されることを促したいと思いますが、現段階で工事協定に必要な設計と見積もりは完了している知立連立事業について、国の取り組みがどの程度有効か、いささか不明確であります。  知立連立事業の事業費を大幅に縮減するためには、この事業の基本的な構造やスペックを変更するなど、前提条件を大幅に変えることが必要となり、それに伴うリスクとその影響に配慮しながらも、大胆な決断による縮減の取り組みが必要ではないかと考えます。  そこで伺います。  今般の再算定結果を受けて、事業費が大幅に増額となったことに対し、今後、事業費縮減に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、その内容についてお尋ねいたします。  次に、事業費の負担割合についてでありますが、全体事業費の中から名鉄負担分の約一五%を除いた残りの八五%の半分を国が負担し、もう残りの半分をさらに県と知立市で半分ずつ、つまり、四分の一ずつを負担することとなっています。したがって、全体事業費六百十五億円のうち、知立費負担額は百三十億円に上り、その八割に当たる百五億円を市債で賄うことといたしております。  年間の一般会計予算が二百億円の知立市が、昨今の不況の影響もあって、財政状況が大変厳しい状態になっていることもあり、将来にわたる負担に耐えることが本当にできるのかといった懸念が市内に広がっております。  そこで、平成十五年当時から知立市や市議会では、この事業費負担について、県市負担割合を現行の一対一から二対一への見直しを繰り返し要望してきたところであります。参考までに、平成二十一年末現在で全国二十二の都道府県三十七カ所で連立事業が実施されておりますが、都道府県と市町の負担割合の実態は、東京、福井、熊本の七対三を筆頭に、四対一、二・七五対一、二対一などさまざまであります。  また、知立駅は、市外からの利用客が相当数あることから、その利便性の向上、つまりは輸送力の増強のために、地元自治体である知立市だけが専ら費用負担するのは不合理との考えもあります。  さらに、現在、国において、直轄事業負担金制度の見直しが検討されておりますが、国事業の県負担金のあり方の見直しに伴って、県事業の市負担金のあり方が見直され、同時に、知立連立事業の県市負担割合が見直されてしかるべきであり、地方分権の過程において、市負担を軽減する方策を具体的に検討されることを切望いたします。  そこで伺います。  知立連立事業の県市負担割合の見直しに向け、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、その内容についてお尋ねします。  さて、知立市は、周辺を豊田や安城、刈谷市など、人口や産業集積の規模が大きい都市に囲まれており、鉄道や主要幹線道路が集中することで、周辺都市や名古屋市への高いアクセシビリティーを有しています。一方、このような立地条件が逆に周辺都市への依存度を高めており、就業者や消費者が流出し、特に中心市街地では商店街が衰退するなどの影響を受けているほか、増加する自動車交通量に対し、道路整備が追いつかず、都市環境の悪化を招いてきました。
     そこで、連立事業に合わせて、駅周辺の土地区画整理事業を施行することにより、新たな都市機能の立地を目指すこととなったものであります。一方、事業費負担は、連立事業と同時施行するよう条件づけされた土地区画整理事業が市施行のため、知立市負担は百億円増加し、連立事業分と合わせて当初計二百五億円でありましたが、前述の見積もり再算定による増加によって、現在計二百三十億円となり、そのほか、街路整備事業などを加えると、大変巨額の費用負担を伴う、いわば綱渡りの大事業となったわけであります。  そこで、現在、時代の変遷に伴って、さまざまな意見が市内からこぼれ聞こえてまいります。都市基盤機能の強化のためとはいえ、計画が大き過ぎるのではないか。人口減少時代に入って、時代に見合った形に見直しができないのか。市の財政状況にかんがみれば、身の丈に合った計画に見直すべきではないか。また、物件移転によって商店街が消滅してしまい、地域コミュニティーが失われてしまう。絶えずまちを壊す話ばかりで、商業地の活性化や市街地再生に向けた具体的な期待感が持てない、将来展望がはっきり見えないなど、関連公共事業に対して厳しい意見が聞かれます。  こうした意見の背景には、そもそも計画上にまちにどういう魅力を生み出すのかという都市基盤を整備する前の段階に必要な期待される都市機能の中身に関して、具体的な未来像の議論が不足していたからであり、言いかえれば、エリアマネジメントの視点の欠如した計画となっているからではないかと考えます。  こうした状況にかんがみ、知立市当局は、時代環境の変化にあわせて計画の見直しを検討するとして、役所内にプロジェクトを立ち上げましたが、仮換地指定を完了している現時点でどの程度の見直しが可能であるのか、一刻も早く精査し、市民に対し、事業への理解と期待を高めるために前提となる不安の払拭と明確なビジョンの提示を早急に行わなければならないと考えます。  そこで伺います。  知立市が行う土地区画整理事業を初めとする駅周辺の関連公共事業に対する県の支援について、具体的にどのように取り組んでいくのか、その内容についてお尋ねします。  次に、地域コミュニティーの再生について伺います。  今日、日常生活をめぐるさまざまな課題は、生活様式、家庭環境、価値観の変化によって、個人や単一の団体では解決が困難な場合も少なくありません。また、当事者以外には見えにくく、問題が大きくなってから顕在化する場合も多く、個人や家庭による自助に加えて、地域での共助による自立的、自発的な支え合いが不可欠であり、その活動を行政が支援していくことが必要であります。  そうした状況を踏まえ、地域の課題を身近な地域コミュニティーのレベルで受けとめ、実情に即したきめ細かい対応を行っていくという地域コミュニティーを基盤とした取り組みが意義を持つと考えます。  そこで、各領域ごとに地域コミュニティーに期待される取り組み内容について、以下指摘してまいります。  まず、子育てについて。  かつて子育ては大家族で、あるいは地域の中で多くの人がかかわり、支え合いながら行われていましたが、今日では、核家族化や地域のつながりの希薄化の影響により、育児の負担が家族の特定の人だけに集中する傾向が見られます。子育てに関して助言してくれる人が身近にいない、地域の中にも安心して子供を預けたり、気軽に子育ての相談に乗ってもらえる人が少ないなどの課題が挙げられます。また、専業主婦など一人の親がほとんどの時間を子供と密着して過ごしているような閉塞的な状況もかなりあり、このことが過度の負担やストレスとなって幼児虐待につながるケースも顕在化しています。  そこで、地域コミュニティーが子供のコミュニケーション能力や社会性を高めるなど、人格形成に大きな役割を果たすとともに、子育てに関する家庭の機能を補完することで、地域の子供は地域で守り、育てるという意識を共有し、さまざまな年齢層の知恵や協力を得ながら、地域における家族の孤立化を防ぎ、一緒になって家庭の力を高めることができるよう取り組んでいくことが必要であると考えます。  次に、高齢者、障害者支援について。  医療や生活環境の改善などにより平均寿命は延びましたが、一方で、独居高齢者の孤立や高齢者虐待といった問題のほか、病気がちであることや介護が必要になったときのことなど、高齢期の生活に対する不安は高く、要介護者や認知症高齢者も確実に増加すると想定をされています。高齢者が住みなれた地域で健康を維持しながら安心してその人らしい生活を送っていくためには、高齢者の見守りなど、地域コミュニティーでの助け合いが不可欠であります。  そこで、市町村の地域包括支援センターを活用した支援に加え、地域団体、民生委員、ボランティア、NPOなどの人的ネットワークを構築し、高齢者への自立支援や介護、虐待の早期発見、健康づくりなどに取り組んでいくことが必要であると考えます。  三番目に、消費生活について。  近年、消費生活相談は、若者や高齢者を中心に、悪質商法被害や多重債務に陥る事例が後を絶ちません。こうした状況に陥ってしまった結果、自殺に至るケースなど、社会問題となっています。被害の情報に不足し、相談する人も身近にいないことや、高齢者の場合、自分の落ち度と考えて被害を隠す傾向が強いことから被害が潜在化し、さらに被害を大きくする傾向も見られます。  そこで、消費者問題を未然に防ぐためには、新たな手口を迅速に把握するとともに、悪質事業者の指導、公表など、機動的に行政として施策を講じる必要がある一方、消費者がみずから進んで消費生活に関する基礎知識を身につけ、合理的に判断し、行動していく必要があります。  そのためには、高齢者や若者がこうむる被害者トラブルについては、家族に加えて、地域コミュニティーによる見守りや声がけを行い、潜在化しやすい被害の早期発見に努めるとともに、最寄りの生活相談窓口と連携することが重要であると考えます。  四番目に、環境について。  高度経済成長に伴い、大量に生産、消費、廃棄するという利便性を優先した社会経済システムや生活様式が定着した結果、環境負荷が増大するとともに、温暖化や生物多様性の減少といった人類の存在をも脅かしかねない地球規模での深刻な環境問題が顕在化しています。  そうした中で、例えばごみについて着目すると、生ごみや粗大ごみなどの廃棄物の発生量がふえ、その処理について、地域でさまざまな問題を生み出すとともに、違法投棄などのモラルの低下も問題となっています。このために、地域コミュニティーでも共通の課題として、ごみ分別やリサイクルの啓発など、主体的な取り組みが重要となってきております。  五番目に、地域安全について。  県内の刑法犯認知件数は、平成十五年度をピークに次第に減少しているものの、空き巣などの住宅への侵入犯罪が多く、また、ひったくりによる女子や高齢者の被害も後を絶たず、治安状況は依然として厳しい状況にあります。  そこで、地域の安全と安心を支えるためには、住民、関係団体、警察、その他行政機関などが互いに連携して取り組むことが必要であり、特に地域コミュニティーの力を生かした安全まちづくり活動の実施がかぎとなると考えます。  六番目に、防災について。  阪神・淡路大震災では、多くの被災者が近隣の住民によって救出され、その数は救出された被災者の約八割に上ると言われています。また、県内でも、自然災害時に自主防災組織によって避難の呼びかけや安否確認などの活動が行われた事例が存在します。  そこで、防災・減災対策には、平素からの備えや緊急時の対応について、地域コミュニティーにおける自主的な取り組みが不可欠であると考えます。地域防災力の中核となる自主防災組織の組織率が近年向上しており、今後とも、危険箇所点検や防災訓練などを通じて、地域ぐるみの防災、減災に向けた取り組みを継続し、充実していくことが必要であると考えます。  七番目に、地域の国際化について。  県内には、昨年末現在で百六十四カ国、約二十一万五千人の外国人県民が居住しています。また、近年、単身での出稼ぎではなく、家族を呼び寄せ定住化する傾向にあります。こうした外国人県民の多くは、文化や習慣が異なるばかりでなく、日本語が十分に理解できないため、医療や労働、教育など日常生活全般においてさまざまな課題を抱えています。  そこで、地域住民によるサポートを行ったり、交流による相互理解を深めるなど、文化の違いへの配慮やコミュニケーションによってこれらの問題を乗り越え、むしろ、地域の魅力に転化させていくことが必要と考えます。  そこで伺います。  日常生活をめぐるさまざまな領域の問題について、地域コミュニティーに求められる役割が確実に大きくなっている中で、地域コミュニティーについて、県はこれまで具体的にどのように取り組み、支援してきたのかお尋ねいたします。  次に、現在、地域コミュニティー自体が住民の意識の低下などのさまざまな問題を抱えている現状に触れたいと思います。  一方で、これまでの取り組みの中で、地域で意欲を持って取り組む人々や、その他多様な資源があることが明らかになり、ノウハウが蓄積されてきているのも事実であります。  そこで、今般、今後さらにこうした人々やグループの意欲や行動力を地域コミュニティーの活力に取り込んでいき、地域の中の多彩な資源を活用していくことを通じて、埋もれている力を生かしていくことが重要であると考えます。  以下、地域コミュニティーが抱える問題の現状について確認し、改善に向けて意見を述べたいと思います。  まず、住民の意識、関心の状況について。  近年、都市での単身世帯の増加、農山漁村部での都市化が進む中、地域への無関心層が増加しており、地域のつながりの希薄化も顕在化しています。一方、さまざまなテーマを掲げて地域づくりに取り組むグループ、NPOなどは増加しており、住民の関心が低下しているとは必ずしも言えません。この動きが地域コミュニティーの再生につながる潜在力として期待できると考えます。  次に、担い手の状況について。  社会への貢献意識の高まりがある一方で、人材不足が問題となりますが、時間が許せば地域活動に参加したいという人も多いことから、活動の内容を広く情報提供することにより参加してもらうことが可能になると考えます。  地域の担い手不足を訴える声は都市部で比較的多く、特定の地域団体役員に負担が集中している例も少なくありません。人材はいないのではなく、勤労経験を有する団塊世代を初め、地域に埋もれている人々を発掘すべきなのであり、また、現場の中で養成されるものだと考えます。  三番目に、多様な主体の連携の状況について。  伝統的に地域を支えてきた町内会などの地縁的団体と、NPO、大学、学校、企業など、それぞれの立場から公益の実現を目指す組織との連携が重要であると考えます。専門性を持つ団体も多く、相互の連携から生まれる効果は大変大きいと期待をいたします。  四番目に、組織運営基盤の状況について。  町内会の役員など地域コミュニティーを支える団体の担い手の高齢化や、組織率の低下などによる運営基盤の脆弱化も顕著でありますが、一方では、まちづくり協議会などの組織の多様化や、地域団体がコミュニティービジネスを展開したり、公民館などの公的施設の指定管理者となるなど、組織基盤を強化する手法も編み出されてきており、これらの手法も地域コミュニティー再生振興への推進力として期待できると思います。  そこで伺います。  現在、地域コミュニティーは、存立を揺るがすさまざまな問題を抱えていますが、これら問題の解決に向けて、地域コミュニティーについて、県は、今後、具体的にどのように取り組み、支援していくのかお尋ねいたします。  以上、大きく二テーマに分け、それぞれについて伺ってまいりました。理事者各位の前向きかつ明快な答弁を期待申し上げ、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34: ◯建設部長川西寛君) 知立駅周辺の連続立体交差事業と関連公共事業についての御質問のうち、まず、鉄道委託工事の公正性、透明性の確保についてお答え申し上げます。  公共事業におきましては、事業の必要性や効果等にかかわります説明責任を果たすとともに、コストを厳しく見直し、効率的に事業を実施していくことが求められております。  このため、県としては、連続立体交差事業において、鉄道事業者が行う工事につきましても、全体の工事協定及び各年度の施行協定を締結する際、事前に鉄道事業者と十分協議し、工事の内容や役割分担、費用負担を明確にするとともに、精算時には、鉄道事業者より提出される契約内容や、請負金額の内訳に関する資料に基づいて、できる限り契約過程や積算内容について確認しているところでございます。  一方で、契約前の工事発注情報や積算基準などの詳細な情報提供につきましては、民間企業の契約行為であり、企業戦略上の理由から、鉄道事業者の了解を得るまでには至っておりません。  したがいまして、今後とも、国土交通省中部地方整備局と鉄道事業者を中心に設置されました地方連絡会議に県としても参加をいたし、契約過程や積算基準のより一層の情報提供について、引き続き調整をいたしまして、より一層の公正性、透明性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、知立駅付近連続立体交差事業の今後の事業費削減への取り組みについてお答えを申し上げます。  この連続立体交差事業は、並走している名鉄名古屋本線と三河線の線路を三階建ての構造に立体的に配置するとともに、駅間が五百メートルしか離れていない知立駅と三河知立駅の二駅を同時に高架化することから、これまで実施してまいりました連続立体交差事業の中では最大の事業費になると予測しております。  このため、県では、事業主体として、事業費の縮減や事業期間の短縮が少しでも図られるように、例えば三階建てとなる駅舎の高さをできる限り低く抑えるなど、名鉄とともに事業費の縮減に向けて設計を見直してまいったところでございます。  しかしながら、既に設計作業が完了し、今年度より仮線工事に着手して早期完成を目指す段階にある今が、効果のある事業費縮減につながる見直しの最後の機会であるとも考えております。  したがいまして、事業費縮減の可能性について、改めて知立市及び鉄道事業者とともに早急に検討したいと考えておるところでございます。  次に、連続立体交差事業における県市の負担割合の見直しに向けた取り組みについてお答えを申し上げます。  連続立体交差事業など、県の土木事業に係る市町村負担金につきましては、昨年七月の全国知事会における直轄事業負担金制度の改革に関する申し合わせのとおり、直轄事業負担金制度の改革の趣旨を踏まえ、市町村負担も同様に見直すこととしております。  これに基づきまして、本県では、今年度より国の直轄事業負担金の制度改正を受けまして、県の事務費に関して市町村負担を廃止したところでございます。  今後も連続立体交差事業における市負担につきましては、平成二十五年度までに廃止するとされた国の直轄負担金制度改革の動向も見ながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。  最後に、駅周辺土地区画整理事業を初めといたします周辺の関連事業に対する県の支援についてお答えを申し上げます。  知立駅周辺土地区画整理事業は、連立事業にあわせ、知立市のまちづくりを担う事業であり、市が施行主体となって、平成十一年度から国庫補助事業により事業を進めております。  県といたしましては、土地区画整理事業を初めとする周辺の関連事業に対しまして、国費の確保ができるよう、引き続き国に働きかけてまいります。  また、市において、今年度よりコスト縮減に向けた検討を始められたと伺っておりますので、県としてできる限り市の関連事業費が低減できるよう、検討に協力してまいりたいと考えております。  以上でございます。 35: ◯地域振興部長(山田周司君) 地域コミュニティーについて、本県のこれまでの取り組みに関するお尋ねでございます。  近年、都市化の進展などによりまして、地域に住む人々の結びつきが希薄化し、人のつながりを基盤といたします地域コミュニティーの機能が低下してきている中で、子育て、地域安全、高齢者支援など、地域に身近な課題にNPO、ボランティアなど、さまざまな主体が取り組むようになってきております。  こうした地域コミュニティーをめぐる環境の変化を受け、平成二十年度にはアンケート調査を行い、実態を把握し、有識者の御意見を聞きながら、地域コミュニティーの活性化のあり方を報告書として取りまとめましたが、活性化には、人材育成、課題解決に向けたノウハウの提供、地域コミュニティー団体間の連携の促進などが重要であるとされております。  これを踏まえて、平成二十一年度から、地域づくりの担い手の育成や、地域コミュニティー団体間のネットワークづくりを目的とした実践的な講座を開催しており、昨年度は年五回開催し、百十名の方々に参加をいただいております。  また、市町村職員を対象とした地域コミュニティー活性化推進会議を開催し、先進事例の紹介を初めとした研修や、コミュニティー施策の事例発表などを行っております。  さらに、地域の身近な課題の解決について指導、助言を行っていただくため、地域からの要望を受け、地域活動で実績を上げているNPO関係者や有識者などを地域コミュニティー活性化アドバイザ―として派遣をしております。  次に、今後の取り組みについてであります。  現在、住民生活のさまざまな分野で地域コミュニティーの果たす役割の重要性が高まっております。しかしながら、御指摘のとおり、地域によっては住民の無関心や加入者の減少などにより、自治会、町内会といった地縁団体の力が弱まっているところも見られます。  一方、NPO、ボランティアなど、さまざまな主体が多くの分野で活動し、地域コミュニティーを支えているところもふえてきております。  したがいまして、今後は、市町村とこれら多様な主体が連携、協力して地域づくりに取り組むことで、地域コミュニティーの力を向上させていくことが重要となってまいります。  このため、県としましては、こうした連携、協力による地域づくりが図られるよう、平成二十年度の報告書にも示されておりますが、連携、協力を推し進めて、地域づくりの中心となる担い手の育成に取り組むとともに、地域づくりのさまざまな課題解決に役立てていただくため、地域コミュニティーの方々や市町村職員に対して、他地域の成功事例の紹介やノウハウの提供、実践的な事例研究などを行う研修会やワークショップを開催してまいります。  さらに、市町村職員を含め、地域づくり関係者の幅広いネットワークづくりのために交流会も開催してまいります。  こうした取り組みにより、今後とも市町村による地域づくりを通じ、地域コミュニティーの活力向上を支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 36: ◯三十七番(大見正君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 37: ◯副議長奥村悠二君) 大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 38: ◯副議長奥村悠二君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後二時五十三分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時三十分開議 39: ◯議長日高昇君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  中野治美議員。     〔三十九番中野治美君登壇〕(拍手) 40: ◯三十九番(中野治美君) 通告いたしました二点について、順次質問をいたします。愛知県における障害者の就労について、三点ほどお聞きいたします。  まずは、福祉の観点から障害者施設における就労の状況についてお尋ねをいたします。  私の地元津島市には、平成二十年十一月にオープンした障害者支援施設があります。五十名の入所者が生活をしておられるほか、通所利用者三十五名ほどが日中活動に参加されております。後ほどまたお聞きいたしますが、私が顧問をしておりますその施設では、利用者の一人一人が充実した日々の暮らしを送れるよう、スタッフが親身になって日常生活能力を高めるための軽作業や音楽、絵画などの創作的活動を実施しており、豊かな生きがいを感じられるような工夫を行っております。  また、働いた経験がない、自分に合った仕事を探している、就職したいが自信がないなど、障害があって就労を希望される方に対して、農作業、工芸、調理、パンづくりなどの実践トレーニングや職場実習を行うことに加え、日常マナー教育や就職準備の活動などを行っており、それらの過程を修了した方が一般企業への就職を目指すことになっております。
     障害者が経済的に自立し、安定した生活を営むためには、働いて収入を得ること、すなわち一般就労が可能な方については、企業への就労を推進することが非常に重要でありますが、一方で、障害の程度によっては、就労が困難な方の場合は、その方の特性に合った就労の機会や生産活動の場を提供することが必要であります。  平成二十二年四月一日現在、県内でこのような福祉的就労の場として事業所は二百十七カ所あります。障害のある方が職員の皆さんとともに日々さまざまな仕事に取り組まれていますが、一人一人の生活の質と働きがいを高め、社会参加を促進するためには、事業所としての売り上げをふやし、利用者の収入の引き上げを図ることが必要です。しかし、これらの事業所は、概して規模が小さくて単価の低い作業が多いことや、景気の変動を受けやすいこと、さらに、従事する職員の販路開拓や技術指導についての知識、経験等が不足しているなど、多くの課題を抱えていると聞いております。  そこで、まず、一点目にお尋ねをいたします。  県として、障害者の福祉的就労における工賃の改善に対して、どのように支援の充実強化を図っているのかお尋ねをいたします。  次に、障害者の雇用促進についてお尋ねをいたします。  厚生労働省が発表している平成二十一年度における障害者の職業紹介状況によりますと、愛知県のハローワークを通じて就職した障害者数は二千百十二人となっております。これは、前年度の二千百十四人に比べて二人少ないだけの横ばい状況ですが、就職率は一・七ポイント低下して三三・五%になったとのことであります。就職数が同じなのに就職率が下がったということは求職者が多くなったということであり、この背景には、雇用情勢の悪化に伴う職探しや、障害者の就労意欲の高まりがあるものと思われます。  こうした状況は、障害者の就職面接会の参加状況にもあらわれています。愛知県が愛知労働局などと連携して、ことし七月に名古屋市内で大学、短大、専門学校等の卒業予定者などを対象に開催した就職面接会では、参加者が八十三人と前年より二十人多くなった反面、求人企業は十九社少ない八十九社であり、新規学卒障害者にとって厳しい状況でありました。  また、昨日九月二十七日に愛知県体育館で開催された一般の障害者面接会でも約七百人もの参加者があり、依然として多くの障害者の方が仕事を求めております。  障害者の雇用については、障害者雇用促進法で、民間企業は常用労働者の一・八%の障害者雇用が義務づけられています。しかし、昨年六月一日現在の愛知県内の雇用率は一・五七%で、前年の一・五四%に比べてやや改善したものの、法定雇用率を下回っており、とりわけ従業員三百人未満の中小企業での雇用率が一・二五%と一段と悪い状況になっております。  こうした中で、雇用している障害者数が法定雇用率の義務となる必要数を満たない場合に、企業から一定の納付金を徴収する障害者雇用納付金制度の適用対象を三百一人以上の事業所から二百一人以上の事業所に拡大することや、新たに週二十時間以上三十時間未満の短時間労働者を雇用義務の対象にするなどの法改正が行われ、この七月から施行されました。  この改正を契機として、中小企業を初め多くの企業で、障害者の意欲、能力に応じた雇用機会の拡大が図れるのではないかと期待をしているところであります。障害者が社会の一員として社会経済活動に参加するためには、働く場を確保して、収入を得るという生活基盤の拡充が不可欠であり、そのためには、法改正の障害者雇用の機運の高まりを追い風として、積極的な支援策を講じることが望まれています。  そこでお尋ねをいたします。  県として、障害者雇用促進の支援策について、今年度の新たな取り組みがあればお聞かせください。  次に、少し視点を変えまして、農業分野における障害者の就労についてお尋ねをいたします。  農業は工業などと違って、生き物や自然を相手にした産業であり、作物の育ちぐあいや天候に応じて、丁寧で細やかな対応が求められ、まだまだ手作業に頼る部分が多い産業分野であります。とりわけ、本県で盛んな野菜や花などの施設園芸では、種まきや発芽した苗の移植など、丁寧な取り扱いを必要とする作業が多く、そのような作業に障害者が従事することができれば、雇用面だけではなく福祉面での効果も期待ができます。  私が顧問をしております障害者支援施設では、こうした観点から野菜の水耕栽培に取り組んでおり、六名の知的障害者の方が種まきから収穫、さらには販売までの一連の作業にそれぞれの役割を分担して従事しております。一日の作業の内容を毎朝確認する必要がありますが、本当にまじめに根気よい仕事ぶりには頭が下がりますし、自分たちが育てた野菜が売れたときの誇らしげでうれしそうな表情に日増しに自信が加わり、自立に向けた意欲が高まっていくのが感じ取られます。  しかし、農家が障害者を雇用しようとしても、多くは一般の企業に比べて、はるかに経営規模の小さな家族経営であるために、実際にはなかなか踏み出せないでいるのが実情であります。こうしたときに、農家と障害者の橋渡し役として近年注目されているのが園芸福祉士であります。  園芸福祉とは、植物と接し、栽培する楽しみや喜びを共有することを福祉に役立てる活動のことで、園芸福祉士とは、こうした活動を円滑に進め、地域に根づかせていくためのコーディネーターとしての資格を持った人のことであります。  聞くところによりますと、全国では約四千百名、愛知県では百五十名がこの資格を持っており、職業も園芸農家、フラワーショップの店員、福祉高齢者施設の関係者、農業高校の先生など多岐にわたっているそうであります。このような人材に活躍の場を与え、一人でも多くの障害者が農業分野で働けるようになることを期待するものであります。  そこでお尋ねをいたします。  県においては、昨年度、園芸福祉士を活用した農業分野における障害者雇用実証事業を実施したところでありますが、その成果はどのようであったのか、また、今後、農業分野での障害者の就労にどのように取り組んでいかれるのかお尋ねをいたします。  次に、水資源と地盤沈下についてお尋ねをいたします。  空気と水はただというのがかつての日本人の一般的な考えであったと思います。湯水のように使うという例えは、惜しげもなくどんどん使うという例えとして使われた例えでありました。その言葉どおり、私の子供のころは、水は井戸から幾らでもくめるものであり、水を買って飲むということは考えられませんでした。しかし、今や水はガソリンよりも高く、コンビニの棚に並んだペットボトルの水の種類の多さ、量、価格には驚くのは恐らく私だけではないと思います。  ミネラルウオーターや宅配の水のCMがテレビで流され、携帯電話とペットボトル抜きでの生活は考えられない時代になっております。日本は水の輸入大国だといいます。ミネラルウオーターの輸入も年々右肩上がりでふえていますが、そればかりではなく、日本は食料の輸入大国だからということであります。日本の食料自給率は、カロリーベースで平成二十一年度は四〇%。日本へ輸入される畜産物や穀物は、輸出国では育てるために大量の水が消費されており、例えば小麦一キロを収穫するためには、約一トンの水を使います。よく皆さんが食べられる牛丼並盛り一杯には約二トンもの水が必要だということであります。私たち、牛丼を食べるたびに二トンの水を想像すべきなのかもしれません。  輸入穀物、畜産物を国内で育てたらどれぐらいの水が要るのか、この水の量をバーチャルウオーター、仮想水と呼び、東京大学の沖大幹教授らの研究グループは、日本の仮想水量は世界最大とはじき出しています。具体的には、日本は食料消費の六割を輸入に頼っていますが、これに必要なバーチャルウオーターは、日本全体の年間の水使用量の約三分の二にも相当する年間約六百四十億トンと言われております。  また、食料自給率を一%上げるのに、食事のたびに御飯をもう一口食べればよいと言われていますが、これに必要なバーチャルウオーターを計算しますと、年間約十三億トンもの水が必要となります。  日本の水資源使用量は、生活用水に国民一人当たり一年間に約百三十立方メートル、工業用水の淡水補給量が一人当たり積算して約百十立方メートル、農業用水が約四百四十立方メートル、合計約六百七十立方メートルになりますが、一般的に先進国では一人当たり約千立方メートルの水資源が必要だとされていますが、これでもって日本は余り水資源を使わない、節水型の国であるというわけにはいきません。日本は、食料消費量の約六割を輸入に頼っています。つまり、形を変えた大量の水を輸入していることになるのです。生活を支えている水資源のかなりの多くの部分を海外に依存していて、将来的には不安はないかということであります。  隣の名古屋市長は、現在、水使用量は減少の傾向にあり、水は余っているとおっしゃっていますが、果たしてそのようにとらえてよいものでしょうか。二〇〇二年に国連が発表した水資源に関する報告書によると、二〇二五年には世界の人口のほぼ半数に当たる三十五億人が水不足に直面するとあります。地球上の水全体を家庭用のふろがまに張った水に例えると、私たちが利用できる淡水は大さじ一杯程度しかないといいます。  世界の人口増加と経済成長により、世界は限られた水を今以上に奪い合うということになります。気象変動によりそれはさらに加速するかもしれません。二十世紀は石油をめぐる戦争が起きた世紀でしたが、二十一世紀は水を奪い合う戦争が起きるという予測も目にいたします。  現在の私たちの生活では豊富に水を使っていますが、地球規模で水不足になった将来も、私たちや私たちの子供、孫が豊かに水を使う生活が続けられるという保証はありません。  そこでお尋ねをいたします。  愛知県の水資源使用量の推移はどのようになっているのでしょうか。最近の県内の水資源使用量の推移と傾向についてお示しください。  日本において、上水道事業の運営は市町村が原則として行う事業でありました。水道法の改正により、平成十四年から水道運転管理等を第三者に委託することが可能になり、現在は民間企業が参入することができます。  世界に目を向けてみますと、新興国の経済成長により、人々の生活様式が先進国に近づき、安全で安定した水を工業用水や生活用水として供給するために、水道事業の整備から運営まで、一括して水メジャーと言われる海外の大企業が存在をいたします。  平成十八年には、埼玉県と広島市の下水処理場の維持管理業務をフランスの水メジャーが受注しております。福岡県大牟田市の宮原浄水場の施設管理をするのも、やはりフランスの水メジャーの子会社であります。  愛知県においても、安定的な愛知の水を供給するため努力をされており、愛知の水はおいしいとの評判も聞きます。しかし、愛知の水の水資源の多くは岐阜県にあります。国が脱ダムの方針を示したことで、例えば水メジャーが水源となるダムの権利を買ったとしたら、私たち愛知県民は水メジャーから水を購入することとなります。水道事業に民間が参入できる現在、これまで積み上げてきたものを淡々と継続していくだけでよいのだろうかと考えます。  そこでお伺いをいたします。  愛知県として、これまでの水道事業を運営してきたノウハウを生かしつつ、さらに、世界の水メジャーと言われる企業にどのように対応していかれるのか、社会基盤の最も重要なものの一つである水事業に対して、将来的な展望をお聞かせください。  次に、地盤沈下についてお伺いをいたします。  日本は、右肩上がりだった時代、地盤沈下がよく新聞記事やテレビで取り上げられました。濃尾平野は、全国でも最大規模の海抜ゼロメートル地帯が広がり、昭和三十四年、伊勢湾台風による長期に及ぶ冠水被害を契機として、地盤沈下について注目されるようになりました。  特に、昭和四十年代には加速度的に地盤沈下が進行し、昭和四十八年には年間最大沈下量が二十・六センチを記録した地点も見られ、昭和三十八年から平成二十一年までの四十六年間に累積沈下量が百四十九センチを記録した地点も見られます。  それにより、海抜ゼロメートル以下の地域の面積は、伊勢湾台風当時、約百八十六キロ平方メートルでしたが、昭和四十八年には約二百五十キロ平方メートル、昭和六十年には二百七十七キロ平方メートル、うち愛知県は二百十キロ平方メートルと年々拡大をいたしました。  尾張地域における地盤沈下は、昭和四十年代は激しい地盤沈下が見られたものの、昭和五十年代以降は沈静化の傾向をたどっています。昭和六十年以降は一センチ以上の沈下区域が見られる年が、昭和六十二年、平成元年、平成四年となっておりますが、平成六年は二センチ以上の沈下区域が生じております。特に尾張地域では、二センチ以上の沈下区域が津島市、旧佐屋町、旧立田村など尾張南西部では約四十九キロ平方メートル、一センチ以上の沈下区域は広範囲に三百二キロ平方メートル生じております。  平成六年の尾張地域における広範囲にわたる地盤沈下の原因は、夏の異常的な少雨量による渇水のための地下水位が急激に低下したためであるとしています。  当時、農業に携わる者の一人として、日ごろから水は農業の命とも思っておりました。水資源を守るために組合としての活動もしており、水を確保するため、農家は、その農地の面積に応じ、毎年一定の金額の負担もしております。水利権は過去の歴史もあり、複雑なものです。それを御存じない人たちは、安易に平成六年の渇水時に、川には水が流れているのだから水不足の地域に流せばそれで解消するのではないかと提案をされました。そのとき、農家のこれまでの水資源を守るための苦労を少なくとも理解した上での発言であってほしいと感じました。しかし、命と財産を守るための人道的判断として、結果的には農業用水が生活用水として利用されました。その年の地盤沈下が近年に例のない沈下量であったのです。  そこでお伺いをいたします。  平成六年度、異常渇水時における地盤沈下が広範囲に生じたということで、その状態を県としてどのようにとらえられているのでしょうか。また、それを平成六年度以降、地盤沈下対策についてどのように生かされているのでしょうか、お答えをください。  平成二十一年八月に発表された愛知県による平成二十年度地盤沈下調査結果によると、愛知県内の地盤沈下は、全般的に見て、地下水揚水量の減少に伴う地下水位の上昇により、おおむね沈静化の傾向にあるとしています。尾張、名古屋市地域においては、年間一センチ以上の沈下を示した水準点はなく、地盤沈下区域が見られないとしております。しかしながら、木曽川右岸の愛西市森川町、ちなみに私が暮らす津島市のすぐ隣でありますが、水準点では、平成二十年度に〇・八九センチ、過去五年間で四・四四センチ沈下しております。  昨年は、伊勢湾台風から五十年目という節目の年として、伊勢湾台風クラスの大型台風が満潮時に同じようなコースで襲来したらという私たちの安心・安全について見直す機会となった年でもありました。津島市も海抜がマイナスの地域であり、東海地震や東南海・南海地震の大規模な地震、あるいは最近の地球温暖化等、気象変動に伴う海面の上昇により、高潮、洪水の水害の危険性が非常に高い地域です。  過去、地盤沈下の数字が公表されるたびに、見なれた地名が挙げられる地域でもあります。地盤沈下は、日常生活を送っていて直接肌で感じるものではありません。知らないうちにいつの間にか沈んでいる現象です。しかも、もとに戻るということはほとんどない現象であります。たとえ年間の沈下が一センチ以内であっても、長い目で見れば沈下していることになります。  木曽川、日光川流域に暮らす者の一人として、木曽川の流れは穏やかな、時には四季折々の楽しみや潤いをもたらし、その恩恵も多く受けています。しかし、その一方で、水との戦いの歴史も重く受けとめなければなりません。  私は、昨年、農林水産委員会の視察として、沖縄県宮古島へ行かせていただきました。宮古島は、地形が平たんな上雨水の約四〇%が琉球石灰岩地層に浸透し、海へ流出し、地表の水資源の乏しい島であったそうです。昭和四十六年の大規模な干ばつをきっかけに、雨水が有効活用できるよう地下ダムを建設し、それにより大規模なかんがいが可能となり、安定的な農業が可能となったということです。  宮古島の皆さんの、水を安定的に確保し、供給するために、長年にわたる御苦労と、地形、地質の特性を考えた結果できたダムの形成を深く心に刻むこととなった視察でありました。  私たちにとって、日ごろあるのが当たり前となっている水ですが、地球温暖化が叫ばれる今日、冠水の危険性も洪水の危険性も高まっていると言われております。総合的な水資源の管理や活用がますます求められています。  そこでお伺いいたします。  平成六年度のような異常渇水時にはどのような対策がとられているのでしょうか。また、地盤沈下を起こさず、将来にわたって安定的な水を供給するためにどのような努力をされているのか、具体的にお答えください。  地震等の防災対策として、各水系が連絡管でつながり、お互いに水を融通し合うことができると伺っておりますが、渇水時においても水利権を越えて水を融通し合うことができるのでしょうか。できるとあれば、どのような基準で、だれが判断するのか等、運用マニュアルの主な内容と、過去そのような例があれば、成果と問題点を具体的にお答えください。  以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。(拍手) 41: ◯健康福祉部長(野村道朗君) 障害者の就労についてのお尋ねのうち、私からは、福祉的就労における工賃の改善についてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、工賃の引き上げは、障害のある方々の経済的な自立だけでなく、社会参加の促進や自己実現を図る上でも重要でございます。このため、国の施策に沿って、平成十九年度から二十三年度の五カ年で工賃の倍増を目標に掲げました五カ年計画を策定し、県、事業所及び関係団体が一体となって、工賃引き上げを図っているところでございます。  県の具体的な支援策でございますが、まず、授産活動の活性化には、企業的な経営手法の導入が不可欠でありますことから、希望する事業所に経営コンサルタントを長期間派遣し、販路拡大や商品開発、品質の向上などにつながる職場環境の改善を図っております。  また、生産技術や工程管理など、主に技術面の指導を行うために、短期間ではございますが、専門家をアドバイサーとして事業所に派遣しているところでございます。  さらには、事業所職員を対象に、意識改善のための研修を行っておりますほか、授産製品を広く県民に周知するためのイベント開催やパンフレットの作成など、宣伝、広報活動にも努めているところでございます。  最近の厳しい経済環境の影響もございまして、十分な成果はこれまでのところまだ出ておりませんけれども、障害のある方々が地域で経済的にも自立した生活を送ることができますよう、今後とも工賃水準の改善に精いっぱい努力してまいりたいと考えております。 42: ◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 障害者の雇用促進についてお答えいたします。  障害者雇用を促進するためには、働く場の確保や創出とともに、障害者の就職支援が大切であるとの認識のもと、今年度、三つの新たな取り組みを進めております。  まず、障害者雇用が進んでいない中小企業での雇用を進めるため、障害者雇用事業所の見学会を実施し、障害者の方が働いておられる姿を直接見て、理解を深めていただくことにしております。今月中旬から中小企業約四千社に参加意向調査を実施し、十月下旬以降、順次見学会を開催していくことにしております。さらに、希望する企業五十社に社会保険労務士などの専門家を派遣して、雇用管理上のアドバイスや助成金制度の情報提供を行ってまいります。  次に、ふるさと雇用再生特別基金を活用して、働く障害者応援カフェプロジェクトを六月にスタートいたしました。県から委託を受けたNPO法人が障害者の方を採用して、七月三十日、刈谷市内にカフェ・レストランたか倉をオープンし、地元産の野菜などを材料にした食事や飲み物を提供したり、授産施設でつくられたクッキー、縫製品などを展示販売しております。知的、身体、精神の障害者の従業員八人が調理、接客、事務の仕事についており、今後、障害者雇用のモデルケースとして定着させてまいりたいと考えております。  三つ目は、障害者支援の新たな取り組みとしまして、ことし四月、豊川市にあります愛知障害者職業能力開発校で、知的障害者十三人を対象に総合実務科を開設いたしました。商品のこん包や在庫管理、店舗の清掃作業などの訓練を実施するとともに、企業現場での実習を行い、就職に結びつけてまいります。  以上でございます。 43: ◯農林水産部長(小出茂樹君) 農業分野における障害者の就労についてのお尋ねのうち、まず、農業分野における障害者雇用実証事業の成果についてでございます。  雇用労働力を必要とする農家で障害のある方が働くことは、自立に向けた自信や意欲を養うだけでなく、農家にとりましても、新たな労働力が確保できるという点で期待できるものと考えております。  しかしながら、平成二十年度に国が農業法人を対象に実施しました障害者の雇用に対する意識調査では、障害のある方に適した作業には何があるのか、事故やけがが発生するのではないか、意思疎通をどのように図ったらよいのかなど、さまざまな回答が寄せられております。  そうしたことから、昨年度、本県といたしましては、農業分野における障害者雇用実証実験を実施しまして、農業と福祉、両分野の知識を持った園芸福祉士を障害のある方が働いている県内三カ所の園芸農家等に派遣し、就労の際の課題や対応方法を調査、検証したところでございます。  その結果、施設園芸の分野におきましては、例えば種を一粒ずつまく作業には集中できるが、出荷箱にポットを入れる作業には集中できなかったり、ポットへの土入れは問題なくできるが、除草作業では苗と雑草の見分けがつけられない人がいるなど、障害に合わせた作業の選び方や教え方が大切であることなどの課題が明らかとなりました。  このような課題に対しまして、障害に応じた仕事の内容や量を配分したり、従事者に合わせた休憩時間を設けたり、やる気を引き出すために頻繁に声をかけるなどの配慮をすることで、障害のある方が生き生きと作業に従事できることが確認されたところでございます。  次に、今後の農業分野での就労に対する取り組みについてでございます。  本県の農業の現場では、作業の内容が、栽培品目や栽培方法などによりまして多岐にわたっておりますし、障害のある方もさまざまであることを考慮いたしますと、昨年度の事例に加えまして、もう少し多くの事例を収集する必要がございます。  そこで、本年度は実証事業を拡充し、より多くの就労の事例につきまして、より長期間にわたり調査、検証してまいりたいと考えております。  加えまして、実証事業の前後での農家と障害のある方の、それぞれの意識の変化や、農家の経営面への影響なども調査してまいりたいと考えております。  さらに、こうした調査検証の内容につきましては、報告会を開催しまして、派遣しました園芸福祉士から、雇用の際の留意点や雇用の効果などを発表してもらうこととしております。  また、関係部局と連携して、障害のある方の就労促進に向けた啓発用のパンフレットを作成しまして、農家や福祉関係者に配付するなど、啓発活動に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 44: ◯地域振興部長(山田周司君) 初めに、愛知県の水資源使用量の推移と傾向についてのお尋ねでございます。  水使用量につきましては、天候や景気変動などにも影響を受けますので、年によりばらつきはありますが、平成十一年から平成二十年度までの十年間の実績を見ますと、一年間当たりの使用量は、農業用水、都市用水の双方とも十五億から十六億立方メートルとほぼ横ばいで、合計で三十一億立方メートル前後で推移しております。  また、最近の傾向についてでございますが、世帯数の増加、都市活動の活発化、水田の排水改良や施設園芸の増大、産業経済の発展などによる水使用量の増加要因がある一方で、節水型生活様式の定着、農地面積の減少、工業分野における水利用の合理化の進展等による減少要因があり、水使用量の大きな増減はない状況となっております。  次に、平成六年度の異常渇水時の対策と将来にわたっての水の安定供給施策についてのお尋ねであります。  平成六年度の渇水は、関係者の皆様方の懸命な御努力にもかかわらず、木曽川水系の利水ダムである牧尾、岩屋、阿木川の三ダムがいずれも枯渇することになり、発電ダムからの放流水に頼る事態となりました。このため、農作物被害の発生、工場の減産等に加え、一部の地域では最大十九時間もの断水を余儀なくされました。  こうした水不足の状況を乗り切るため、さらなる水利用の調整として、先行する水利権を持つ農業用水に最大六〇%という極めて過酷な節水の御協力をいただいたことにより、県民生活への深刻な影響を緩和することができたという経験は、多くの県民の皆様の心に深く刻まれたものと受けとめております。  このような平成六年度のつらい教訓を踏まえ、こういった御苦労を県民の皆様におかけすることがないよう、水源施設の確保に努めてきており、これまでに木曽川水系では、長良川河口堰、味噌川ダムが完成し、運用が開始されておりまして、水不足に対する備えを充実させてきたところであります。  今後におきましても、既に徳山ダムに確保した水を愛知県まで運ぶ木曽川水系連絡導水路の早期着工に向け、着実に前進できるよう努め、安定的な水供給の確保を図ってまいります。  最後に、渇水時の水融通についてのお尋ねでございます。  通常、渇水により利水ダムの貯水率が低下してきたときには、ダム貯留水の温存を図るべく、水利権の範囲内で利水者がそれぞれ節水対策を講じて対応しているところでございます。  さらに、渇水が深刻化し、そのダムの利水者のみでは節水対策が困難となった場合には、他のダムの貯留水や河川水等の利用について、既存の水利権を越え、協議をする場が河川管理者である国土交通省により設けられます。そして、その場で関係行政機関が具体的な水利用の調整方法を協議し、水の融通を含めたさらなる渇水対策を決定することとされております。  水利権を越えて水を融通した具体的な対策としましては、平成六年度の異常渇水時を例にとりますと、試験湛水中であった味噌川ダムの貯留水や発電用のダムの水を渇水対策として放流するといった対策を講じたほか、先行する水利権を持つ農業利水者の皆様の御理解によりまして、さらなる節水をしていただくといった異例の措置により、社会生活への影響拡大を抑え、渇水を乗り切ることができました。  平成六年度における異常渇水は未曾有の渇水であり、各利水者の立場の違いにより実際の水利用の調整に時間を要したということから、ふだんから啓発活動などを通じ、利水者間の相互理解を深めることが重要であると認識しております。  以上でございます。 45: ◯企業庁長(山川利治君) 水事業に対しまして、将来的な展望についてお答えをいたします。  県営水道は、名古屋市とその周辺及び三河山間地域の一部を除く県内約五百万人の方々に水道水を供給しているところでございまして、県民の生活にはなくてはならない重要な社会基盤であると認識しております。  水道事業で中核をなします浄水場の管理運営につきましては、より効率的な運営を行うため、平成二十年度から一部で民間委託を導入してきておりますが、これは浄水場の水処理やポンプ操作等の運転管理を委託するものでありまして、施設の整備、更新や緊急時の対応等、重要な判断を伴う業務は、企業庁が引き続き直営で行って、安全で安定した給水を確保することとしておりまして、水メジャーと言われる民間企業が進出してまいりましても、限定的な部分の参入となると考えております。
     いずれにいたしましても、県民の皆様方に安全で安心、そして、良質な水道水を安定的に供給することは重要な責務でありますので、今後ともライフラインとして渇水や災害に強いよりレベルの高い水道を目指して、水道事業を責任を持って運営してまいります。  以上でございます。 46: ◯環境部長(西川洋二君) 平成六年の異常渇水時におきます地盤沈下につきましてもお尋ねをいただきました。  まず、平成六年時の状況認識でございます。御指摘のとおり、尾張地域では、大きな地盤沈下が昭和六十年ごろまで続きまして、それ以降はおおむね沈静化の傾向が続いておりましたが、平成六年の渇水時には、尾張西部を中心に広い範囲で地盤沈下が見られたところでございます。これは、渇水により雨水の地下への浸透量が減少する一方、事業者による地下水揚水量が例年と同程度でありましたことから、地下水位が低下したこと、そして、この地域の地盤が軟弱なこともございまして、地盤沈下が生じたものと理解いたしております。  地盤沈下は、一たん起きてしまいますとなかなかもとに戻りませんので、渇水という水不足時におきましても、地下水の揚水規制をしっかりと実施していく必要があると学んだところでございます。  次に、その経験をその後の地盤沈下対策にどのように生かしたかということでございますが、地下水位をリアルタイムで把握することが地盤沈下対策防止の速やかな実施につながることになりますので、平成九年度でございますけれども、尾張地域の主要な九カ所の地盤沈下観測所にテレメータ設備、これは遠隔計測のできる設備でございます。その設備を導入いたしまして、監視体制の充実を図ったところでございます。これによりまして、渇水時における地下水位の低下状況に応じまして、揚水量の抑制等を即座に事業者に働きかけるような対応が可能となったところでございます。  以上でございます。 47: ◯議長日高昇君) 進行いたします。  長江正成議員。     〔十六番長江正成君登壇〕(拍手) 48: ◯十六番(長江正成君) それでは、通告に従いまして、COP10について質問をいたします。  十月十一日から名古屋市で開催される国連の生物多様性条約第十回締約国会議まであとわずかになりました。二〇〇二年、オランダ・ハーグでの生物多様性条約第六回締約国会議で、COP6で採択された決議の一つに、世界植物保全戦略があります。その内容は、一、植物多様性の現状把握と記録、二、植物多様性の保全、三、植物多様性の持続的な利用、四、植物多様性に関する普及啓発の促進、五、植物多様性の保全のための能力開発を進める。以上のために十六の具体的目標を定められ、世界じゅうでこれに向けたさまざまな施策が講じられています。  一方、我が国は、世界植物保全戦略を受けて、一、二〇一二年までに絶滅危惧植物の五〇%を収集、保存する目標を設定、二、全国において植物多様性保全拠点園を設置し、絶滅危惧植物の収集及び保全を行うためのネットワークを構築という二つの目標を定めました。補足ですが、詳細な調査後、現在では、新たな保全活動の二〇一〇年目標として、一点目、日本産絶滅危惧種植物の五五%を日本の植物園において保有する。二点目、四五%は自生地情報の明確な個体を保有するを目標設定されています。  植物多様性保全拠点園ネットワークは二〇〇六年から始まり、気候や地域で全国をエリア分けし、地域の絶滅危惧植物の保全活動を推進する二十一の地域野生植物保全拠点園と各植物園の得意とする植物群を優先的に収集、保存する十八の特定植物保全拠点園がネットワーク化されています。  そのうちの東京大学大学院理学系研究科附属植物園で植物多様性の研究施設を私は見学してまいりました。そこで改めて感じたことを一つ目の質問といたします。  現在、愛知では、名古屋市東山植物園が地域野生植物保全拠点園として、また、安城産業文化公園デンパークが特定植物保全拠点園として全国の植物多様性保全ネットワークに属しており、COP6の世界植物保全戦略に沿っていますが、COP10を誘致した愛知県は、県が所有する施設、敷地内での植物多様性の現状把握と記録をされたことがあるのでしょうか。最初にお聞きします。  また、保全を進めるために、私たち県民の理解を得ることが非常に重要です。私が調査した東京大学の植物園は、啓発活動拠点として、一点目、美しい公園としての機能、二点目、潤いと安らぎ、三点目、植物に触れ合うきっかけ、四点目、市民児童へのプログラム、五点目に小中学校教員への指導と計画を進められています。  そこでお伺いします。  普及啓発事業は、COP10会議後、さらに進めていただきたいと考えますが、植物多様性に関する企画展などの実績と今後の予定をお聞きします。また、あわせて、拠点園としての名古屋市東山植物園や安城産業文化公園デンパークが啓発活動の場として考えられますが、今後の予定があれば御答弁ください。  次に、先般、生物多様性条約第十回締約国会議支援実行委員会と名古屋大学が主催されましたCOP10一カ月前企画、社会と学術の対話フォーラム「生物多様性を主流に」の二日目、パネルディスカッションを、私、拝見してきました。二十一世紀の土地利用、資源利用のテーマで、二つ目の質問を行う前に、私の選挙区瀬戸市の地場産業について、若干お話をします。  ガラスは、皆さんよく御存じの言葉と思います。ガラスには多くの種類があります。食器、窓ガラス、レンズ、鏡、光ファイバー、液晶ディスプレー、蛍光灯、都市の空間や住まいの空間を便利にした窓ガラス、乗り物に使われるガラス、太陽光発電パネルなどなど、私たちの身の回りにはガラスがたくさん使われています。  二十世紀当初、我が国は、先進欧米各国に追いつくために、国策でガラス製造を推し進めて以来、日本だけでも建築用に三千九百億円、車両用に一千七百億円、生活用品に三千億円、電気製品等に八千三百億円分も出荷をされています。ガラスは、化学的には珪酸塩と呼ばれています。その原材料は珪砂と言われています。  愛知県には、私の住む瀬戸地域に珪砂を産出する鉱山が県有地を中心にあり、昔から乱開発に歯どめをかけながら続いています。国内における天然珪砂の主な産地は、愛知県、岐阜県、大阪府、沖縄県などですが、良質の愛知県産天然珪砂はガラス原料としての需要が大きいものです。  ここで、なぜ県有地を中心にして鉱山開発が進んだのか述べさせていただきます。瀬戸市は、一千三百年の焼き物の歴史と言われており、昔から良質な陶土が採掘されていたところであります。尾張徳川藩家の御用窯が置かれた地でもありました。我が国は、大陸諸国の無尽蔵な資源と比較して貧弱な国ですが、資源というものが、鉱床一つ一つは小さくても、使い方によっては大きくも小さくも使えるものだということから、戦後、鉱業法の改正で珪石、耐火粘土が法定鉱物と指定され、今後、採掘するために地元窯業界と協議しながら、鉱業権を県が取得したものです。  高度成長期にビル建築ラッシュ、自動車産業の発展とともに板ガラスが必要とされ、最近では、海外での原材料の高騰から自給ということにも関心が出てきたところです。  このように、社会的に重要な役割を担っている珪砂ですが、都市化が進んだ現代では、有用資源が賦存する区域と住民の生活圏とが近接していることが多く、事業者が新規に鉱山開発しようとする場合などにおいて、鉱業と地域社会との間で摩擦が生じるケースがよくあります。  一体、両者は共存できないものなのでしょうか。多くの自治体では、自然環境保全を目的とした条例を制定し、自然を生かした住みよいまちづくりを目指しています。一方、珪砂は、自然に手を加えて採掘操業を行う経済活動であり、この点で両者は相反するものです。  生物多様性の現状は、一九七〇年比マイナス三〇%であると対話フォーラムでパネラーの方が発表されていました。また、その原因は消費にありと発言もされていました。  例えば、つい数年前まで二十型程度であった液晶テレビが現在は倍以上のサイズが普及型として購買意欲をかき立てています。珪砂のような天然資源を持続的に利用するには、森林など自然資源を循環型産業として利用する以上に、自然環境への負荷、影響が大きいと考えます。個人的には、化石燃料の消費ほど自然環境への負荷、影響はないと思いますが、そこでお聞きをします。  愛知県は鉱山経営もされていますが、天然資源利用、特に珪砂利用について、県民の環境意識の啓発を担当する立場である環境部に、県民の環境意識をどのようにリードされるのでしょうか、お聞きします。  次に、民間の土地利用事業者及び資源利用事業者、そして、鉱山事業者に対しては、環境部が求める事業者像はどんなものでしょうか、お聞きします。  続いて、三点目に、二十一世紀の土地利用、資源利用に自治体はどのように関与すべきでしょうか。生物多様性の観点でお聞きをします。  社会と学術の対話フォーラム「生物多様性を主流に」に関して、二点目の質問に移ります。  同志社大学経済学部教授、和田喜彦氏が発表、紹介されましたエコロジカル・フットプリントについて、お伺いをいたします。  農業産出高第六位、製造品出荷額等第一位の愛知県は、まさにパネラーが紹介されたエコロジカル・フットプリントの人間経済の土地への絶対的依存を説明された模式絵に当てはまると私は感じました。今まで説明に使われていた従前の人間の足裏を使った説明図ではなく、男性の足裏が大きく投影され、かかと部分が森林、足の指が漁場で、指のつけ根部分が都市であり、工場集積地をあらわし、土踏まず部分が耕作地で表現されていました。まさに愛知県の東西軸を圧縮した模式図と思わず感じたほどでした。  世界の人々が私たち日本人と同じ暮らしをすると、地球は二・三個必要になると言われています。エコロジカル・フットプリントは、人一人が活動する上で必要なものを生産、廃棄するためにどれだけの土地が必要になるかをあらわした数字です。その人の生活活動が大きければ大きいほど土地がたくさん必要になります。  例えばアメリカ人一人当たりは九・〇グロバールヘクタール、私ども日本人一人当たりでは四・一グロバールヘクタール、ベトナム人一人当たりでは一・〇未満のグロバールヘクタールであり、私たち日本人がどれだけ過剰な生活をしているかが一目でわかるものです。  カーボンフットプリントの化石エネルギー使用と、それに伴う二酸化炭素排出量に目を向ける指標ではなく、エコロジカル・フットプリントのメリットは、地球生態系の二酸化炭素吸収能力に関してのみについて語るのではなく、食料や森林資源生産などのさまざまな土地利用の利用に対し、総合的な観察を可能にすることができる点であるとパネラーから説明がありました。  また、その表示が土地面積単位で表示を行うルールは、重量単位のカーボンフットプリントより私たち日本人にとって非常にわかりやすいと私は思いました。そして、このエコロジカル・フットプリントは、先ほど述べたとおり、国同士の比較は当然のことで、自治体間でも比較ができる指標であり、十分応用可能な評価ルールと思いましたが、この指標に対する県のお考え方をお聞かせください。  県庁の屋上に巣箱を設置し、ミツバチを飼うことでハチみつを採取したことが単なるパフォーマンスではなく、超過面積を減らす手段として、今後も巣箱を継続していただき、ミツバチの飼育に挑戦していただきたいと思いますし、エコロジカル・フットプリントで知ることができる私たちの暮らしが、今後たくさんの県民が幸福に暮らしていける新しい愛知へとつながっていくと思います。  続いて、社会と学術の対話フォーラム「生物多様性を主流に」に関して、三点目に移ります。  どのようにしてこれからの暮らし、ビジネス、社会のあらゆる場面に生物多様性を組み込んでいくのか、この点についてお伺いします。  私は、今回、COP10支援実行委員会がパートナーシップ事業をたくさん登録していただいたおかげで、いろいろな事業に出向くことができました。また、今後もパートナーシップ事業に足を運ぶ予定がありますが、確かにCOP9に参加し、生物多様性という言葉を知った私にとって、きょうこの場でも生物多様性が生き物のつながりであると理解し始めている私にとって、暮らしの中に生物多様性を組み込むことは、なかなか現時点では理解不足が多い点です。  自然資源を大切にし、数は少ないが高品質の長持ちする製品を丁寧に使うなど、祖父、祖母、両親から聞かされた伝統的な日本人の生活とは逆行する、どちらかといえば、大量生産、大量消費生活の生活スタイルの私にとって、この対話フォーラムでエコに心がける生活様式だけでなく、生活の中で持続性のある取り組みを行うことが最後のまとめとして発表をされていました。  そこで質問をします。  暮らしの中に生物多様性を組み込むには、愛知県の取り組み次第で早くも遅くもなると考えます。今後、どのような取り組みをされるのでしょうか。言葉を変えてみれば、私たちはどんな行動をすれば生物多様性につながるのでしょうか。愛知県民が戸惑わないような御回答をお願いしたいと思います。例えば食事に際してとか、散髪に際してとか、具体例で答えていただくようお願いいたします。  最後になります。社会と学術の対話フォーラム「生物多様性を主流に」に関して、最後になりますが、先ほども述べましたが、生物多様性の現状が一九七〇年比マイナス三〇%はショッキングな数字でした。また、二〇〇六年時点で六十億の人々が一四四%の地球を使って暮らしている現状も非常にショッキングなことでした。ほかにも私たちは、今後、消費を減らさなければならないとか、小さな経済にしなければならないとか、地球一個分の経済とか、地球の環境容量の範囲内でやりくりできる経済とか、また、政府間パネルでは、二〇二〇年までの使命と二〇五〇年までの自然と共生する世界など、非常に困難な協議が控えているとの説明などなどショッキングに思えることが、逆に今まで、私、自分が理解してきた生物多様性の理解や認知と異なる心配をしました。  今回参加した対話フォーラムの案内の一節を御紹介します。このフォーラムは、COP10開催一カ月前の時期をとらえ、COP10で話題となる事柄をいま一度総ざらいするとともに、社会と学術の対話を行うことを趣旨としております。COP10が始まれば、各種報道において、連日のように国際交渉の行方が伝えられます。COP10の動向を主体的に感じ取り、自分事として考えていくためにも、本フォーラムはその予習の場として最適であると自負いたしておりますとあります。  私が特に気になる部分は、予習の場として最適であると自負いたしておりますの一節です。現在、国内の報道では、会議での採択合意への道のりは険しいと伝えられています。特に世界じゅうで遺伝子資源など厳しい交渉が予想されると報じられています。確かにフォーラムに参加してみて、予習の場として大きなショックを受けた私にとって、私が冒頭の質問で取り上げた植物多様性の国際戦略を採択されたCOP6が自然保護の数値と理解すれば、今まで開催されたパートナーシップ事業は、自然保護の実践と勉強の場であったと思います。COP10誘致から二年間の取り組みが新聞報道では自然保護の会議との認識が目立ち、イベントムードさえ漂うと報道されたことに、会議直近ではありますが、今までの取り組みを振り返る必要があると考えます。  そこで、最後に質問します。  身近な地域からの活動を今後も県は発信する責任があると考えますが、COP10終了後はどのような取り組みをしていかれるのか、最後にお伺いをして、壇上からの質問を終わります。ありがとうございます。(拍手) 49: ◯環境部長(西川洋二君) COP10に関連いたしまして、幾つかの御質問をいただきました。  まず、植物多様性の保全に関するもののうち、県有施設敷地内における植物多様性の把握についてでございます。  本県では、絶滅のおそれのある野生生物を守り、生物多様性の保全を図るために、希少種についての情報をまとめましたレッドデータブックあいち二〇〇九を平成二十一年三月に発行いたしております。これをまとめる際でございますけれども、県有施設内外にこだわらずに、希少種の把握を目的として、野生生物全般の調査をいたしておりまして、県有施設内においても、野生植物の生育状況につきましては、これ、一部ではございますけれども、把握いたしておるところでございます。  次に、植物多様性に関する企画展などの実績と今後の予定についてでございます。  本県では、植物多様性など自然への気づきを体験していただくために、例えばモリコロパーク内にある環境学習施設もりの学舎におきまして、子供から大人に至るまで幅広い方を対象にいたしまして、もりのツアーを毎週の土曜、日曜、そして、夏休み期間中に開催いたしますなど、啓発を図っておるところでございます。  また、レッドデータブックを発行した際でございますけれども、広く県民の皆様に本県の野生動植物の状況を啓発いたしますために講演会を開催し、基調講演でありますとか、希少種についてのパネル展示を行っております。  また、今後につきましても、COP10開催中でございますけれども、環境省と共催で愛知県における植物研究の現状と課題について、広く県民の皆様を対象とした講演会を開催する予定でございます。  また、御指摘がございました名古屋市の東山動物園、そして、安城産業文化公園デンパークといった植物多様性保全拠点園の活用という点でございます。  集客力の強い施設におきまして啓発活動を行うことは非常に有効であると私ども思っております。本県では、本年三月でございますけれども、特に絶滅のおそれのある種、十一種でございます、指定希少野生動植物種に指定いたしまして、その保全を東山動植物園と提携して取り組む協定を本年七月に締結したところでございます。その際に、東山動植物園内において希少種の展示を行いました。  今後は、こうした東山動植物園との連携のほか、議員御指摘の安城産業文化公園デンパーク、そして市町村の同様な施設など、植物多様性保全についての啓発の場として活用させていただくことも検討してまいりたいと考えております。  続いて、二十一世紀の土地利用、資源利用についてでございます。  まず、環境部として、天然資源利用について、県民の環境意識をどのようにリードしていくかというお尋ねでございます。  珪砂は、物づくり県である本県の産業基盤にとりまして重要な資源でございます。したがいまして、本県における珪砂の採掘は、資源の自給の観点からも必要なことだと認識しておるところでございますが、事業実施に当たりましては、これは私どもにとっては当然のことでございますけれども、自然環境の保全に十分配慮されたものでなければならないと考えております。天然資源の利用に際しましては、こうした基本的なスタンスに立ち、臨んでまいりたいと考えております。  続きまして、環境部が開発事業者に求める事業者像でございます。  これは一般論でございますけれども、生物多様性がもたらす資源は決して無限ではなく、それを持続させようとする努力がなされない限り、いつか枯渇するものであるとの認識を持っていただきまして、産業活動を行っていく上で常に生物多様性保全の大切さを念頭に置いて活動していただける事業者、こうした事業者が私ども環境部が求める事業者像でございます。  次に、生物多様性の観点から、二十一世紀の土地利用、資源利用に自治体はどのように関与すべきかについてでございます。  かつて、自然環境の保全と経済活動のための開発行為は相対立するものとしてとらえられてきました。しかし、現在は、保全と開発の調和に十分配慮した地域づくりが求められているところでございます。  このような考え方に基づきまして、土地利用、資源利用といった開発を行うに当たりましては、生態系に及ぼす影響をできる限り少なくするための予防措置を行ってまいりました。  今後は、失われた生態系には代償的な措置を講じ、開発後もその生態系を継続的に注意深く観察し、長期的に生態系を守るという考え方、この考え方をエコシステム・アプローチと申しますけれども、このエコシステム・アプローチの考え方を基本に、生物多様性の保全と開発の調和に取り組んでいきたいと考えております。  次に、エコロジカル・フットプリントに対する考え方についてでございます。  エコロジカル・フットプリントは、化石燃料の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林面積、食料の生産に必要な土地面積などを合計した値として示されるもので、人間一人が生活を送るのに必要な資源消費量を土地の面積としてあらわしたものでございます。  このエコロジカル・フットプリントにつきましては、この八月に、世界自然保護基金が日本のエコロジカル・フットプリントに関する報告書を公表いたしておりまして、その中では、議員御指摘のように、世界じゅうの人が現在の日本人と同じ生活をした場合には、地球が二・三個分必要となることなど、我が国の状況が大変わかりやすく示されております。  本県といたしましても、こうした指標を用いて、一般の方々に現在の環境が置かれている状況をわかりやすく伝えていくことは有効な啓発手段であり、施策展開をしていく上でも一つの目安になるものと考えております。  今後は、こうしたエコロジカル・フットプリントのような、いわゆる見える化された指標をうまく活用できないか、考えてみたいと思っております。  次に、暮らしの中に生物多様性につなげていく行動をどう組み込ませていくか、そのための取り組みはというお尋ねでございます。  私たちの生活の暮らしの中に、生物多様性の価値を認め、生物多様性に配慮した行動を根づかせていくことは、COP10の成果を継承していくという観点からも大切なことと考えております。具体的にどのように根づかせていくかということにつきましては、少し知恵を絞っていきたいと思っておりますけれども、例えばでございますけれども、環境への負荷の少ない商品であることを示す環境ラベルの中には、特に生物多様性に配慮した商品につけられるラベルがございまして、このラベルを活用した取り組みが考えられるのではないかと思っております。  ラベルでございますけれども、生態系保全に積極的な漁業による水産物につけられるMSCラベル、生物多様性に配慮し、管理された林業による木材製品につけられるFSCラベルなどがございます。さらには、議員が例に挙げられた散髪で使われるシャンプーなどに含まれるパーム油などにつきましても、新しい認証ラベルが検討されていると承知しておるところでございます。  県民の皆様にこうしたエコラベルの商品を購入していただくことで、身近な消費行動を通じて、暮らしの中に生物多様性保全が根づいていくことが期待できますので、まずはその普及に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  最後でございます。本県におけるこれまでの取り組みを踏まえたCOP10終了後の取り組みについてでございます。  これまでCOP10の成功に向けて、地域全体で取り組むことが大切と考えまして、その誘致から今日に至るまで、経済界と一体となってCOP10の周知とともに、生物多様性の大切さを普及するなど、開催機運を高めてまいりました。  また、COP10の開催を契機に愛知自然環境保全戦略を策定いたしましたし、開発と保全との両立を目指した本県ならではの新たな事業に着手するなど、さまざまな生物多様性保全の取り組みを実施してまいりました。  そこで今後でございますが、こうしたこれまでの取り組みを着実に推進し、そして、充実していくことで、県民生活、企業活動、あるいは県市町村行政など、各界各層のいろいろな活動や取り組みの中に、生物多様性の保全、持続的な利用という軸を根づかせていかなければならないと考えておるところでございます。  以上でございます。 50: ◯十六番(長江正成君) 環境部長からの御答弁をお聞きさせていただいて、三点ほど要望させていただきます。  まず、私が冒頭で御質問をしました一点目の植物多様性に関して要望させていただきます。ちょうど来月九日から二十九日までのCOP10を楽しむための関連、啓発イベント、このために全力を注がれていると思いますけれども、私が御指摘した拠点園をこれから検討されるということでしたけれども、ぜひとも検討していただけるのであれば、小中学校教員の方への指導の場というか、そういった利用も検討していただきたいなと思います。  続いて、二点目の土地利用、資源利用について、今回部長が答弁されました資源の自給の観点は私も大変重要だと思います。今後は、個別、具体化した計画で、生物多様性を軸に意見の対立があると思いますけれども、資源の賦存する区域については、単なる開発計画と同一視できないと私は考えています。  答えていただいた事業者像を御答弁されたエコシステム・アプローチ、また、そのことを関係業界とか自治体のほうへ発信をしていただきたいと思います。  環境部だけの御意見にしていただかずに、ぜひとも答弁にありましたエコシステム・アプローチですか、これも生物多様性条約の中で採択をされた一つのシステムだと思います。このことをやはり関係業界等、発信をしていただきたいと思います。  最後になります。四点目の暮らしの中に生物多様性を取り組む具体策について、エコラベル商品購入の答弁をいただきました。  その答弁では、やっぱり私、満足できませんので、ぜひ来月のCOP10で、ほかの国々や自治体がどのように暮らしの中に生物多様性を組み込んでいるのか、愛知県として独自に情報集めをしていただいて、御答弁にあった今後の施策に生かしていただきたいと、そう思います。よろしくお願いいたします。  以上です。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 51: ◯三十八番(神戸洋美君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十九日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 52: ◯議長日高昇君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 53: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。  明九月二十九日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。
     本日はこれをもって散会いたします。     午後四時四十六分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...