知事を初め私たちの任期も、残すところあと半年余りとなりました。この質問通告後の記者会見と先日の代表質問で大まかなことはお話しになっており、重複する部分がありますが御容赦をお願いいたします。
平井知事においては、当選以来、本当に息つく暇もない
過密スケジュールの中で、思わぬ骨折以外は力を抜くことなく、絶えず全力で疾走されてきました。鳥取県のためならなりふり構わぬ知事のパワフルな行動、さらには素早い行動に、多くの県民の皆さんは称賛と高い評価をされていると思います。
一方で、幾ら努力してもどうにもならないことが社会の常であり、知事自身も思うに任せない政策、もう少し知恵を出したほうがよかった政策等、いろいろであろうと思います。残り半年の任期の中で、やり残した、どうしてもなし遂げたい課題がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
本来なら、ここで次の知事選はどうされますかという質問に入るのが一般的でしょうが、私はあえてお尋ねはしないつもりでありましたが、既にまだ白紙だと公表されております。
知事の業務は、苛酷で孤独な上、気力、耐力、知力を必要といたします。第三者ではわからない過激な業務であると思います。一方で、一番気になるのが県民の皆さんの評価だと思います。そのことは、私たち議員も同じことが言えます。
これから苦悩の日々が続くものと思いますが、後援会の皆さんや奥様としっかり話し合って、そう遠くないうちに知事らしく、来るときに、みずからが記者会見の場で意思表示をされればいいと私は思っています。余計なお世話かもしれませんが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、地方財政の見通しについてお伺いをいたします。
私は、かねてより地方財政の確立について強い関心があり、幾度も知事と議場で議論をしてまいりましたが、平成31年10月1日にいよいよ消費税率が10%へ引き上げされることから、消費税と地方財政について、改めて検証を含め議論したいと思います。
議長のお許しを得て、議員の皆さんのお手元に
消費税率引き上げ後の消費税収に係る国、地方の配分表をお配りしておりますので、参考にしていただいたらと思います。
消費税率は、平成26年4月にそれまでの5%から8%に引き上げられ、その時点では翌年の平成27年10月には10%に引き上げられる予定でありましたが、2度の先送りを経て、平成31年10月、来年10月には10%へ引き上げられます。平成26年4月に消費税率が8%に引き上げられたことにより、
地方消費税が0.7%上乗せされ1.7%に、
地方交付税分が0.22%上乗せされ1.4%になり、地方分は3.1%とふえ、
地方税財源の充実が図られる計算でありましたが、実際に充実となったのかどうなのか、想定と現実について知事の所見をお伺いいたします。
また、平成26年度税制改正では、地域間の税源の偏在性を是正し、
財政力格差を縮小するとして、県や市町村の
法人住民税法人税割の一部を引き下げ、その分を
地方法人税として税率4.4%が
交付税特別会計に繰り入れされるようになりました。理論的に私は理解を示しますが、改めて、地方を預かる知事としての所見をお伺いしたいと思います。
また、地方税である
法人事業税は偏在性が強いことから、暫定的ではありますが、
地方法人特別税が創設され、人口及び従業員数に応じ、国から都道府県に再配分されてきました。ところが、徴収規模を3分の1に縮小し、
法人事業税に復元されました。せっかく偏在是正がなされたものを縮小するとは、私は少し理解に苦しみますが、知事の所見をお伺いいたします。
さらに、平成28年度税制改正では、消費税率が10%の段階で、さらに地域間の税源の偏在性を是正し、財政力の格差是正を図るためとして、
法人住民税法人税割の一部が引き下げられ、
地方法人税として税率4.4%から10.3%へ引き上げられ、
交付税特別会計に繰り入れされるようになります。さらに、
地方法人特別税が廃止され、
全額法人事業税に戻される上、引き下げられた市町村の
法人住民税法人税割を県が補填する
法人事業税交付金が創設されることとなっております。
県が引き下げられた市町村分を補填するというのは少しわかりにくい仕組みであると思いますが、県としてこの仕組みをどう評価されているのか、知事の所見をお伺いいたします。
次に、公共事業の見直しによるレガシーについて質問をいたします。
公共事業再評価制度は、北海道が97年、ダムなど9事業を対象に初めて実施し、当時の橋本総理が、旧建設省などに導入を指示。98年に国が通達し、全国の都府県でも導入された制度で、都道府県が
学識経験者や各種団体の代表らに諮問し、答申を得る制度であります。
公共事業の事業採択前から事業完了後に至るまでの個々の事業について、その効率性や客観性を確保し、
事業実施過程の透明化を図るという観点から、鳥取県においても平成10年から取り組みが始まりました。
再評価の対象事業は、事業採択後5年を経過した後も未着工の事業、事業採択後5年を経過している継続中の事業、事業採択後5年を経過している継続中の事業であって、進捗状況、
社会情勢等から再評価が必要であると判断される事業であります。
この20年間で、
県公共事業評価委員会では再評価にかけられた事業は230件で、見直しが指摘された案件は5件。内訳は、中止された事業が2件、一部区間中止が1件、休止が1件、一部区間休止が1件となっております。
私は、公共事業再評価制度に対して反対しているのではなく、決定についてもう少し丁寧な説明が必要ではないかと思い、知事に何点かお伺いいたします。
中部ダム事業の中止、
日野川工業用水道事業の中止、岩美町
広域営農団地農道整備事業の一部区間の中止については理解をいたします。
評価委員会の言葉の定義であります。中止は読んでのごとく理解いたしますが、休止、一部区間休止という表現があります。一般的には、また需要が高まれば再開もあり得ると理解いたしますが、現実的にはまた新たに補助事業を受けて事業を再開することは困難と思います。どう理解すればいいのか、知事にお伺いいたします。
次に、
泊漁港整備事業として平成13年度に事業着手して、9年間の事業として進められていた第2沖防波堤。もともと120メーターの防波堤が計画されていましたが、費用対効果が見込めないことから、30メーターを残し90メーターで中止となりました。この事業の目的について、改めて説明していただきたいと思います。
次に、現道も活用しながら整備が進められてきた
東伯中央地区の
広域営農団地農道整備事業が一部区間休止となっていますが、一部区間休止となった理由はなぜなのか、あわせて知事にお伺いいたします。
以上で1回目の壇上の質問を終わります。
◯議長(稲田寿久君)17番
伊藤保議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)
伊藤保議員の代表質問にお答え申し上げます。
まず、一連の災害につきまして何点かお尋ねがございました。議員も御指摘ございましたように、今年度に入りまして、考えてみれば島根県西部地震もございましたし、さらに私どもでも
西日本豪雨、その災禍がこちらにも刻まれることとなりました。残念ながら、佐治のほうでお一人亡くなられている方もいらっしゃるなど、非常に甚大な被害があり、特に東部を中心にしまして今も災害復旧の途上でございます。そこに加えまして、台風21号の記録的な風が吹き抜けました。本県は若干進路がそれぎみになりましたので大きな被害はなく終わりましたけれども、ただ、関西空港が閉鎖をされたことは、本県にも物流で今なお厳しい状況を残していますし、観光にも影響がございました。あわせまして、
北海道胆振東部地震が発生をしました。こうしたときに私どもでは、鳥取県中部地震で2年前にお世話になったこと、これも考えながら、折に触れて救援を申し出て、人も派遣しております。北海道のほうには、倉吉から早速市役所の方にもお手伝いに行っていただいたところでございます。鳥取県の山陰のよさといいますか、こうしたきずなで結び合うことが非常に重要であると思います。例えば連合鳥取さんにおかれても、
東日本大震災以後、こういう災害についてみずから救援に出向かれるというようなことなど、官民挙げた
きずなづくりが大切ではないかと思います。
そういう中、何点かのお尋ねがございました。避難情報に基づく県内の避難の状況はどうだったのか、また今回の
西日本豪雨で課題として残されたもの、何を教訓とし、今後研究会で検討していくということにしていくのかと、こういうお尋ねがございました。
本県におきましても、7月6日の夜7時40分に、まず大雨について
特別警報が出されました。対象地域は、八頭町、若桜町、智頭町、そして鳥取市の南部でございました。さらに翌朝になりまして、中西部にも
大雨特別警報が広がりまして、中部では三朝町、また西部では南部町、伯耆町、江府町、日野町、日南町、鳥取市でも北部も追加の警報が発令をされました。本県にとりましては初めての
特別警報でございましたし、気象庁もその旨を全国に向けて注意を呼びかけていました。私どもも特別の体制をとりまして、これは事前に気象台の情報を共有し、市町村とも対策を話し合い、現実にも事前の
リエゾン派遣などを行ってきたところでございます。
こういうようなことでございまして、特に呼びかけをさせていただきましたのは、命を守る行動を起こしてくださいということです。特別警報というのはそういう趣旨のものでございまして、速やかに避難をしていただき、安全な場所に身を置いていただく、これが求められる場合に
特別警報が出されます。かつてないような、そういう記録的な異常気象が起こる、このことを我々は前ぶれとして、その警報を役立てなければなりません。正直申し上げて、当時私の頭をよぎりましたのは、ちょっと早目に出したなという
特別警報だったと思います。それは、その前に気象台と打ち合わせておりまして、これからだんだんとこういうような雨雲がやってくるだろうと、それに備える必要があるということを話し合いました。そういう中でございましたので、
特別警報が7時40分に出たときは、今ならまだ逃げられるから、この時期に出したのだなというようにも思ったわけです。確かに夜もこれから更けてきます。夜中の例えば12時を過ぎて
特別警報が出されるよりもよっぽどいいわけでありまして、それで私どもも特別の呼びかけをさせていただこうということにいたしました。結果、2,099名の方が避難をされ、一番多いときでは2,111名であります。実は
エリアメールというのを活用して、私自身も
メッセージを出させていただきましたし、それを見て智頭町などで町長もマイクを持って町内に呼びかけるという異例の措置をとられました。本当は町としてもいろんなことをやりたいところであろうかと思いますけれども、まずは避難をさせることが大事だというふうに町当局も重点を置いていただいたところでございました。それで2,099人が多いか少ないかというのはいろんな議論があろうかと思いますが、被害が起きていない段階でこれだけの人が避難をされたというのは、本県では記録的なことでありました。従来こういう場合に、数十名避難をするとか、そういうのが通例であります。ただ、地震のように実際に被害が起きてしまって家に入られないで避難所に行かれるというパターンはございますし、そのときは数も多くなりますが、雨が降る、そういう初期から中期の段階でこれだけの方が逃げられたというのは、
大分テレビ、報道もございまして、住民の皆様には意識を持っていただいたことは間違いないと思います。
ただ、幸い本県では堤防の決壊も八東川のところの一部、農地に出ていたものがあった程度でございまして、真備町のような大きなことにはならなかったわけでありますが、パーセンテージでいうと、避難していただきたい方の1%にも満たないという状況でありまして、これは決して少なくはないのですけれども、ただ、真備町のような災害を考えると、ここは課題があると言うべきであろうかと思います。
現に真備町の場合、9割の方が65歳以上のお年寄りでありました。そして、自宅で亡くなられた方が極めて多いということであります。早目にもし避難所に行っておられれば。実は避難所となったところに私自身も慰問を兼ねて、派遣職員の激励も兼ねて参りましたけれども、小高いところにあるのですね。そういうところが真備町の中にもあるわけです。あそこは水害の常習地帯とも言われるわけでありますけれども、そういう小高いところの学校などに仮に避難していれば命までは奪われなかったというふうにも思われます。深刻なのはお年寄りが多いということでありまして、だからこそ、早目に逃げていただく必要があったのではないかなということです。
こういうようなことが一つ悲しい教訓としてあったと思いますし、避難される方をもっとふやす必要があるのではないかと、こういう認識にもなるわけであります。
またあわせて、今回ちょっと見逃せないなと私自身が思いましたのは、肱川の野村ダムなど、そうしたダムにかかわる事象でございます。本県として、
佐治川ダムの操作であるとか、そのほかにも企業局のダムがございまして、三朝のほうで三徳川がありますけれども、以前もあそこが一気に増水したことがありまして、町から苦情をいただいたことがございました。これはもちろん放流の手順としては間違ってはいないのですけれども、やはり早目に情報共有をすべきではないかと、こういうことがありました。だから、今回もそれに備えまして、早目の情報共有や早目の放水ということをしたのですね。こういうようなことをいろいろと今回工夫をしながら、当日の
特別警報に臨んだわけです。
特別警報が出る前から、実は私どもは気象台ともやりとりをしまして、備えを始めていたというのが実情であります。
今回の肱川の場合は、水をためていて一気に放流をするというパターンだったのですね。これは手順としては間違っていないと国交省さんも今も主張されていますし、それはそうなのかもしれませんが、ただ、結果として多くの命が失われることが代償になっていいのかというと、私個人はそうは思わないのですね。ですから、それはやはりダムの放流のやり方も含めて、我々はメスを入れるべきではないだろうか、こういうように思います。
ダムにはダムの事情がありまして、ダムは治水目的であっても利水もあります。したがいまして、発電をされる人とか上水道の確保とか、そうしたものの保障的なことも考えなければいけません。利水も確保しなければいけないというルールがあったりするわけですね。でも、そうであっても、果たして命との重みをどう考えるかというのは、関係先の理解も得ながら進めるべきこともあるかもしれません。こんなようなこととあわせて、万やむを得ず、ダムが決壊するとさらに大変なことになりますから、ダムが壊れないようにするために放流をするということであったら、こういうような結果が予想されるのであれば本気で避難してもらわなければいけません。今回はそれができていなかっただろうと思うのですね。ですから、そこはまたダムの操作とあわせて情報共有の仕方や皆さんに確実に避難していただくこと、これは
ハザードマップに従って避難をしていただくということが必要でありまして、それをもう一度考え直す必要があるのではないかということです。
こんなような教訓があろうかというふうに考えまして、今回7月豪雨を教訓とした安全・避難対策の
あり方研究会というのを立ち上げさせていただき、同時に実務者によりましてダムの操作方法につきましても今検証を進め、この研究会のほうで最終的な取りまとめをすることにいたしているところであります。
今まで出てきている御意見では、避難行動をとるやり方がわかりにくいのではないだろうか。つまり、避難情報として今避難準備、それから避難勧告、避難指示というレベルがあります。これを言いかえる必要があるのではないだろうか。その研究会の中間的な御意見を踏まえまして、台風21号のときから我々もそれを試行的に市町村の協力を得て始めております。それは具体的には、避難準備であればお年寄りなどは避難の準備を始めてくださいとか、それから危険な水位に達するおそれがありますとか、そんなようなことであります。これに今回は鳥取市さんでは、例えば福部などでは情報をさらに加えまして、たくさん雨が降ったときなどはそうなのですけれども、危険なレベルに達する可能性がありますよと、それで川沿いの方とか、それから子供さんが小さい御家庭だとかお年寄りがおられる御家庭では避難行動をとってくださいと、かなり具体的に記述を入れまして、
メッセージを流すということをされました。こんなような工夫を一つはやっていかなければいけないのではないかなということであります。
また、避難に備えて防災意識というのをやはり高めていく必要があったり、
ハザードマップをきちんと準備する必要があったり、それから要支援者の情報を共有していく必要があるとか、いろんな御意見が出されておりまして、これを早急に取りまとめて、今年度また今後の対策に生かすべく、結論を出していきたいと思っております。
次に、残り半年の任期の中でやり残したこと、なし遂げなければならないことについて課題はいかがかと、また私自身の身の振り方について、来るべきときに
記者会見等で意思表示をすればよいのではないだろうかと、こういうお尋ねでございます。
今、もう半年ぐらいでありますので、でき上がらせる必要があるべきことはしていかなければならないタイミングに入ってきたと思います。それは、一つには今の防災対策ですね。次の任期の人たちに送るわけでありますが、私たちは情報を共有できていますけれども、また4月、メンバーが入れかわって、それでまた一から話し合うということになる前に、やはり我々が学んだ教訓、課題に基づいた対策等は今年度のうちにある程度取りまとめていかなければならないと思いますし、それから、今任期中にございました鳥取県中部地震という一番大きな災害がありましたが、これのめどをつけていく、一部どうしても補助事業の継続分などがあって残るものはあっても、例えば
ブルーシートがかかったままの状態、こういうことは極力少なくしていかなければならないことであるとか、私たちなりの決着をつけていく必要があるだろうと思います。
住宅の支援につきましては、今再建支援の補助金のほうは99.1%、また修繕の支援のほうは99.9%、実はどちらも未申請のところが残り20数戸と、それから10戸未満というところまで、数えるほどに少なくなってきています。あとは、もしかして経過措置的なことを入れるぐらいをすれば十分な手当てということになる段階まで来たのかなと思います。ただ、ここにおいて私どもが今ほかの地域から注目されている
災害ケースマネジメントといったような手法、こういうものを活用しながら新しい災害対策というものを実践し、これを次の任期に向けて復興から福を興すような「福興」にきちんと筋道がついていくように、私たちのこの半年間でまずは道筋をつける必要はあるかなと思います。
先ほどのような水害対策、これも鉄は熱いうちに打たなければなりませんので、今我々が鮮明な記憶を持っているときに、我々の代の間に対策を考えていく必要があると思います。
またあわせて、昨今のいろんな事情を考えてみますと、伊藤議員が提起された公文書の問題というのは、私たちのこの半年の間に道筋をつけておく必要があるかなと思います。本県は幸い、電子決裁を既に導入していたり、それから公文書の管理や情報公開については最先端というふうに外からも評価をされているところでありますが、新しい課題にも挑戦をしてきた4年間でありました。
伊藤議員から提起されたのは、歴史公文書の問題があったわけであります。これは御提起いただきまして、我々はこの議場で歴史公文書等の条例をつくりました。全国で初めてのことであり、市町村に対する支援なども始めたところであります。せんだって公文書館でシンポジウムをやりましたときに、国立公文書館長の加藤館長がお見えになりました。加藤館長が褒めてくださった点がございまして、それは県の公文書館で災害があったときの救援とか緊急避難のための道具の備蓄を始めたことであります。それから、市町村に対する支援等を始めていることでありまして、現実にも共同会議のようなことができ上がってきている。こういうような体制ができていることは非常に画期的であって、評価できるということでありました。若干割り引かなければならないのは、加藤公文書館長は私の高校の先輩でありまして、少し配慮がある発言があったかもしれませんけれども、ただ、ともかくそんなようなことで、国立公文書館からも一目置いていただいたというようなことがございました。
これとあわせて、県の公文書管理につきましても、今、洗いざらいメスを入れてきたところでございまして、例えば30年ないし5年の文書管理の基準をつくり、わかりやすくした形で、要は恣意的にこれは廃棄だとかということにならないように手を打っておこうということであります。特に優生保護の問題などもございまして、権利義務を後々の世にまで考証すべきこと、このようなことは10年ごとにも点検をしながら延長していくというようなシステムを入れるのをやってはどうかということを今やっているところであります。
また、万が一にも改ざんというような残念なこと、国のようにあってはならないわけでありまして、こうしたことには私どもの懲戒基準などにもきちんとした根拠規定をこの際明記させていただくなど、襟を正すべきところも正していこうと、こんなようなことをやっておるのですが、こうしたこういう公文書管理であるとか行政のシステムのことは、我々は今、4年間の任期の共有の中で成熟化を進めてきたところでありますので、仕上げておかなければならないのではないかなというふうに思っております。
私の身の振り方につきましては、先般も斉木議員の代表質問のときにも申し上げましたが、まだ多くの県民の皆様のお考えもきちんと聞かなければいけないと思っておりますし、その上で自分としての判断をさせていただきたいと思います。
もちろん自分のプライベートなこともあるわけでありまして、議員も私の妻の話をしていただきましたけれども、家族だとか、あるいは自分自身のしがらみのこともございますし、その辺ももちろん考え合わせていかなければならないのかもしれません。いずれにいたしましても、いましばらく時間をいただきたいというのが本意でございますし、それよりもまたもっと大事なのは、今申し上げたような残り半年で仕上げるべき課題、これに全力を投入することではないかなと思っております。
そういう意味で、それは公表するのが公人としての責務だと思いますので、どういう場で自分の考え方を明らかにするかは、その方法等も含めて、今後よく熟慮させていただきたいと思います。
次に、地方財政につきまして、何点かお尋ねがございました。まず、消費税が8%に引き上げられ、
地方消費税が0.7%上乗せされた等があったけれども、実際に県財政の充実になったのか、その現実はどうだったのかと、こういうことであります。
本来、国全体の仕掛けとしては、
地方消費税がふえますし、それから地方交付税の原資分を確保しました。これによって我々のような交付団体も含めて、一般財源はふえるという想定をしていただろうと思います。我々としてもそれを期待していたのですけれども、残念ながらここ最近、8%に引き上げられはしたものの、一般財源については厳しさが残ってきているところであります。
現実にも、平成25年と現在の平成30年を比べてみますと、平成25年の決算に対しまして鳥取県は一般財源のトータルベースでは15億円減少しています。ですから、ちょっと話が違うというのが一つあるかもしれません。これに対して東京都は6,400億円増収になっています。ですから、大都市に一極集中している状況が出ています。
その原因は、
地方消費税が引き上げられると当然ながら鳥取県にも入りますが、大体それでも格差が人口1人当たり2倍程度あると言われていますので、ですから大都市部のほうにそれでも偏在するということがあります。交付税の調整がなされるべきではあるのですけれども、この調整がなされるべきではある一方で歳出特別枠が廃止をされたり、制度的な見直しもあり、残念ながらふえるということになっていないというのが現実であります。
さらに、法人課税が最近好調でありまして、本県はわずかなのですけれども、
地方法人税収自体がわずかでありますが、東京都のようなところは法人税関係税がどっとふえるわけですね。そういうことで、大都市部に集中して一般財源が行っているという現状がございます。ですから、これから10%になるわけでありますけれども、それ相当の対策を考えなければいけないということになります。
地方法人関係の税収につきまして、お尋ねがございました。これは暫定的に
地方法人特別税が創設をされたわけでありますが、これが廃止をされる。これが偏在是正をまた戻してしまうのではないだろうか。さらに、法人住民税の法人税割について、これが引き下げられると。これが交付税特会へ繰り入れられたり、それからまた
法人事業税の交付金という制度が創設されたり、こういう一連の法人課税の改正がなされるわけでありますけれども、これについてどういうふうに評価をするのかと、こういうお尋ねでございます。
こうしたことについて、結論から言えば、先ほど申しましたように、最近の財源調整は必ずしもうまくいっていないと思います。したがいまして、地方交付税のほうでは、財源保障機能とあわせて財政調整機能、これを強化すべきだというふうに思います。そうしないとこうしたことの解消ができないわけでありますし、特に法人課税が税収の偏在性を拡大させていますので、いろいろと従来のいきさつがあってやらなければならない制度改正もありますけれども、トータルで考えて、もう一度頭を冷やして考えるべきときではないかというのが結論であります。
法人事業税について、
地方法人特別税の考え方がございましたけれども、この
地方法人特別税のことについては、我々としては偏在是正に寄与してくれたと思います。これが廃止をされるということになるのですが、実はいきさつがございまして、もともと消費税が増税をされるというようなことになります。そこで偏在分がどうしても出るのですね。そういう偏在分に対する対応として議論をされましたのが、実は地方団体側は法人課税と消費税の入れかえをするというようなことを主張したわけです。それは総務省もそういうようなことを主張していました。また、それに対して財務省のほうは、いわゆる水平調整というのですけれども、税収が上がる都からよその県へと税収を移すと、そういう地方団体間の水平調整を直接やるべきだという主張をしたのですね。この論争になりまして、最終的には当時の与党の税調などが取り仕切りまして、最終的な結論として
地方法人特別税というのができたといういきさつがございます。これは消費税ができるときまでの暫定的な措置だと、当時から決まり事として入っていました。これはその折衷案みたいなところではあるのですが、東京都からこういう特別税を取って、それでその税収をもとに譲与税としてこれを割り振るというようなことでありまして、これは譲与税ですから、実は不交付団体も含めていくという仕組みでございます。そんなようなことの仕組みが導入されたのですが、ある意味サンセット、時限つきであったということでありまして、東京都を初め大都市部のほうでは、その廃止は既定事実だということを主張し、国もこれは現にそういう約束事で始まっていますのでやむを得ないというふうに考えているわけであります。
それとあわせて法人住民税の問題が出てくるわけでありますが、これも偏在是正の一環として出てくるわけでありまして、先ほどおっしゃったように10.3%ですか、市町村では12.3%が6%の法人住民税率になり、私どもも1%まで法人住民税率が下がるということになります。ただ、これは市町村のほうの下げ幅のほうが税率的には大きいものですから、これをどうするかということです。私どものような交付団体であれば交付税収の中でお互いにそれを基準財政収入額との関係で処理できる面が大きいのですけれども、不交付団体の市町村には単なる減収だけが残ってしまうわけでありまして、これを調整する必要があって、今回
法人事業税の交付金という制度ができます。これで本県でも恐らく9億円とか、一定程度そうした交付額が生じると思います。しかし、普通地方財政トータルでいうと、全体としての消費税収が上がる中で交付税の原資も確保する、そこで一般財源トータルとしては確保しながら、それで最終的にはつじつまを合わせるという約束事になっているわけであります。
ただ問題は、物事そんなにうまくいくかということであります。ですから、先ほど申しましたように交付税の基本的なやり方を考える必要があったり、それから法人課税ももう一つ見直しが必要なのかなと思います。実は今、政府のほうでは、地方法人課税の見直しの議論が研究会として始まっています。世上報道されているところでは、例えば新しい譲与税というものをつくる方式であるとか、それから交付税の原資を強化するというやり方であるとか、何らかそうしたことを考えるべきではないかと、今そうした研究会での研究がなされていまして、この秋、取りまとめをして、年末の税の折衝や予算折衝に向かうということになりそうです。我々としても、こうした一定程度の税制措置というのを求めてまいりたいと思います。
最後に、公共事業の見直しにつきまして、何点かお尋ねがございました。まず1つには、公共事業
評価委員会の言葉遣いとして休止、一部区間休止という表現があるけれども、これは事業再開ということができるのかどうか、どう理解すればいいのかと、こういうお尋ねでございます。
今までも例えば日野川工業用水とか、それから東伯の農道ですとか、そういうところで休止や一部休止ということがされてきましたし、また、これとは別に中止ということで中部ダム、それからの漁港での一部中止、このようなことがあったりしております。
休止というのは、これは事業がもしまたやる必要があれば再開しますよという、いわば休むという意味合いでありますので、これはそういう扱いを公共事業の
評価委員会がしたということだと考えます。したがいまして、事業をやる必要性が生じれば再開の可能性もあるというふうに考えるべきであります。
中止は、議員もおっしゃったように明確にそこはストップをするという意味の中止でありますけれども、ただ、将来的にではそれで一切そこの箇所では事業がないかというと、また新しい必要があって、例えば災害だとかいろんなことがあればまた事業の必要性が出てくるかもしれませんし、そこはそういう意味で考えるべき筋合いのものかと思います。
したがいまして、休止のほうはそうした再開への含みというのは、事業を考えたときの事業の必要性がまた生じればまたやるという意味だと理解できようかと思いますし、中止のほうはやめるわけでありますが、ただ、筋合いとしては他の事情が生じた場合を完全にシャットアウトできるものでもない。したがいまして、ある意味若干相対的なものかなというふうに思えます。いずれにいたしましても、そうしたこと、答申も踏まえながら、最終的には議会と御相談をし、そういう休止や中止ということをでは我々としてどういうふうにその提言を捉えて考えるか、これは折に触れて今後も御相談を申し上げたいと思います。
具体的なお話として、泊漁港の整備事業の90メーターで中止をしたことについて、事業の目的についてお話がございました。泊漁港は、イワガキとかヒラメとか、最近ではサワラ等の新しい魚種も出てきましたけれども、そうした漁業の拠点でございますし、これは県管理の漁港でありまして、周辺の漁港に対して避難港としての役割も果たし得る部分もあろうかと思います。
そういう意味で、これについては平成13年のことでありますけれども、これを検討したその目的は、一つは安全性の確保ということであります。泊漁港に結構波が立つわけですね。それが1.5メーターとか3メーターとかそういう波が立つわけでありますが、航行の安全性からしますと1.2メーター以下を目指さなければならない。そういう安全性を保つという意味で、その出口のところに防波堤をつくるわけです。それを120メーターやるといいぐあいに波が緩和されるというようなことが一つ。これは安全性のことですね。それから、そうなれば操業日数がふえるということ。これによって漁業所得の向上につながるということがありますし、3点目としては、これが静ひつになれば、中でいわば天然の魚礁というか人工の魚礁というか、そういう結果として魚礁的になり得るところでございまして、そこで今もやっていますけれどもワカメの養殖事業とか、そうした養殖などの促進ということもあり、その3つを目的としてこの事業は始められたものであります。
ただ、私が就任する前のことでありますが、平成18年度末にこうした中止ということが決定をされまして、実際に今90メーターでストップした状態だということでございます。
次に、
東伯中央地区の広域営農団地の農道整備事業について、一部区間が休止となっている理由はどうかと、こういうことであります。
これは非常に古い事業でありまして、平成に入って平成6年ごろからスタートをしているわけでございます。かなり長大なルートでありまして、倉吉市からずっと大山町のほうまで抜けていくものでございます。実は地形的には当然海岸線に国道9号がありますし、それから中核的な広域な農道もあったりします。そういうものにあわせてもう一本つくろうというようなことだったのかなと想像します。
その当時は、農業がどんどんまだ増産でございまして、今は梨農家であるとか農業生産自体も、当時から比べると大分縮小した形になっています。それで、当時は東伯町農協などがございまして、非常に元気な時代で、それで野菜等選果場施設だとか大型のそうしたものを各所につくりまして、それを集出荷する動脈となるような道路として本来構想をされていました。しかし、その後、先ほど申しましたように農業生産の事情が変わってきまして縮小してきたということがあり、実は計画どおりにそういう農業施設の営農団地の整備が進まないというのが現実になったところで、東伯町農協が鳥取中央農協として合併をしていく、そういうことになってきました。そういうようにして計画の見直しを農業ベースではされたということであります。
そういうようなことで、事業の目的として果たして続ける必要があるのだろうかと、こういうようなことでございまして、5年ごとの見直しが入っているものですから、5年ごとの見直しの中で平成21年にこの検討ということになりました。このときに、ただいろんな議論がございまして、既に着工しかけていたところもあるわけですね。それで大方でき上がっていたようなところについては、そこの部分はその後の展開につながるところまで仕上げる。それから、必要性のあるところについては事業として残す。それで、具体的には第2工区と第4工区、これについて休止という扱いにしようということになったところでございます。
ただ、当然ながらその周辺の町道等のいろんな道路ネットワークもございまして、これは伊藤議員もいろいろかかわっていただきましたけれども、そうしたところとの連携もとりながら機能としての保障は確保していこうと、今そういうことで以来進んでいるところでございます。
◯議長(稲田寿久君)17番伊藤議員
◯17番(伊藤保君)そうしますと、災害のほうから追及をいたしたいと思います。
このたびの7月豪雨では、
大雨特別警報が発表されるたびに、先ほどありましたように数十年に1度の大雨ですと、命を守る行動をしてくださいと何度となくテレビで呼びかけがあり、テレビを見ている人は
特別警報が発する危険度の意味をある程度理解していただけたというふうに思っております。
私が問題視しているのは、避難情報の出し手と受け手の相互理解がこれまで十分にできていなかったのではないか。そこに大きな問題があったように私は思っております。
まず、災害発生が想定される中での避難情報でありますので、避難準備・
高齢者等避難開始は誰でも理解できますが、次の避難勧告と避難指示については、情報の受け手によってその後の行動に大きな影響があったものと思っております。まさに行政言葉の表現でありまして、一般の人にはなかなか理解しがたい表現であるというふうに思っています。
一番重たい避難情報が避難指示ですから、受け手側からすると少し弱い表現であるというふうに思います。一番わかりやすいのは避難命令でしょうけれども、命令という上から目線で違和感を抱かれる方も多くあり、結果的には使われなかった原因の一つと推測いたしますけれども、もう少し受け手側の住民が緊張感と危機感を覚えるような表現を検討すべきものと思いますけれども、知事の所見を改めてお伺いしたいと思います。
また、近年マンション等の高層住宅もふえてまいりました。避難指示が発令された場合、住民の皆さんは高層階に避難する垂直避難なのか避難所に避難する水平避難なのか、戸惑う方もやはり多かったというふうに思っております。それぞれの地域において、想定される災害に合わせて、また高齢者、障害者、外国人等の要配慮者の避難方法も含め、具体的な避難計画を作成することが急務と思いますけれども、支え愛マップづくりを含め、県内の防災計画の取り組み状況と今後の推進方法について知事にお伺いいたしたいと思います。
もう1点、
東日本大震災による津波や平成23年台風12号による紀伊半島を中心にした大雨で甚大な被害が発生したことを受けて、平成25年8月にこのたびの
特別警報が気象庁で創設されて、5年が経過をいたしております。既に県の防災計画では明記されておりますが、県内の全ての市町村で防災計画に
特別警報が位置づけられているのか、そして住民の行動計画に結びつくように明記されているのか、平井知事にお伺いをいたしたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤県議から改めて御質問がございました。まず、避難指示など受け手側が危機感を覚えるような、そういう検討をやるべきではないだろうかと、こういうお話でございます。
先ほど申しましたように、今、有識者だとか防災関係者を交えて研究会をやって、今ここのところを実は詰めているところでございますけれども、例えば避難勧告であれば、避難所など安全なところに速やかに避難してくださいと、こういうように言いかえる。それから避難指示であれば、これについては直ちに避難を完了してくださいと、それで危険が極めて高くなっていますと、こんなようなことを言ってはどうかと。これは例文として今、市町村のほうでも工夫も始まったところでございまして、先ほど塩見川のお話も申し上げましたが、具体的に市町村によってはそういうふうに呼びかけを変えてきているところが出てきております。
例えば先ほどのダムの放流で本当に危険なときには絶対に逃げてくださいとか、何かそういうさらにレベルを上げたような言い方をしなければならない。残念ながらそういう場合もあるかもしれません。その辺を単に全部避難指示という言葉だけでくくるのではなくて、実際に例えば何々川の堤防が切れました、いよいよ水が迫っています、もう逃げてくださいとか、情報の出し方もやはり工夫が必要なのではないかなというふうに思います。
この辺は臨機応変にやらなければいけないところはありますけれども、今回の災害をもとにして、真備町のようなことがございますので情報の出し方を考えようと、市町村も含めて今一緒に検討をしているところでございます。
次に、要配慮者の避難の仕方を含めて具体的な避難計画をつくり、支え愛マップを進める必要があるのではないだろうかと、こういうことでございます。
要支援者の名簿づくりを我々も進めてまいりました。その効果もございまして、平成27年には5市町村であったものが、ことしの6月で、全部の市町村で避難行動要支援者名簿についての策定ができてきております。
さらに、個別計画と言われます国がいう計画づくりも進められてきましたけれども、まだできていないところもありますが、そこでも鳥取県型とでも言うべきものだと思うのですが、例えば三朝だったらば消防団だとかそういうところが実務を担いますよとか、それからまた、そのほかで智頭町等は支え愛マップというのを広範にやっていまして、支え愛マップでやっていきましょうというようなところもございます。国の個別支援計画というのは、それぞれの人について要支援者がいますよと、何々さんについては何々さんが担当して避難をしてもらうようにしましょうと、こんなようなことまで決めていくというものなのですが、ただ、これは長所もありますけれども欠点もありまして、結局この人が動けなかったらば助けにも行けないということにもなるわけですね。支え愛マップはちょっと手法が違っていまして、これは鳥取県型と言っていいと思うのですけれども、要はみんなでマップづくりに参加をするわけです。それで、どこに誰それさんがいるねというのをみんなで共有をするわけですね。そして、災害危険箇所というのも把握をする。例えばここを通って逃げてはだめですよとか。そういうようなことでお互いにいろんな情報を共有した中でマップづくりをして、さらに避難訓練をそのマップに基づいて行う。日ごろから助けに行く練習をするわけですね。こんなようなことがセットになっていまして、一つのシステムとしての支え愛マップであります。ですから、こちらのほうがすぐれているという、そういう市町村もございまして、こうしたほうを鳥取県型としてやっているところもございます。
今回の災害を踏まえると、もう一つこれからやらなければいけないのは、やはり
ハザードマップを市町村のほうでもしっかりつくっていただくことかなと思います。現実にも、このたびの
西日本豪雨で土砂災害の危険区域とされたところ、そこは本県の場合はほぼ指定が終わりましたけれども、危険区域の指定が終わり切っていない広島のようなところがあるわけですね。危険区域ではないけれども危険だというふうに考えられていたところ、こうしたところも含めると、実に亡くなられた方の88%はそういう区域内の人だったのですね。仮に
ハザードマップがしっかりしていて、それでそこの
ハザードマップ内の人はこの雨だったらあらかじめ逃げておきましょうということで逃げておられたら、そこは変わってきたと思います。
現実にもそういう避難行動を起こしたところもございました。広島の坂というのは非常に今回災害の爪跡の深いところですけれども、そこでは地域の団結も強くて、お互いに誘い合って逃がすということも今回一生懸命されたところであります。私どももそうしたことも学びながら、こうしたマップづくり、支え愛マップづくり、
ハザードマップづくりなども含めた、そういう要支援者対策をグレードアップする必要があると思います。
特別警報につきましては、これは県のほうでは既に県の地域防災計画の中に入れておりまして、市町村も
特別警報が出たらそれを伝達しなければいけないとか、県としての計画も書かせていただいております。市町村のほうは、実はこれは結構計画策定という事務作業が伴うものですし、そのためには防災会議をやるという手続があったりしまして、必ずしも追いついていないわけでありまして、現在でも4つの市町村がまだ見直しの途上にあります。しかし、これは早晩そういう
特別警報は入って、見直されるということになる予定でございまして、むしろほかの対策、例えば中部地震だとか今回の豪雨の対策なども含めて、盛り込んで地域防災計画をつくろうということでありますから、そこは前向きに捉えていただいてよいのではないかなというふうに思います。
特別警報が持つ意味合いというのは今回の
西日本豪雨で我々も経験したところでございますので、しっかりとこれは市町村に対しても呼びかけをさせていただきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)17番伊藤議員
◯17番(伊藤保君)答弁をいただきました。まず防災からいきたいと思いますけれども、防災計画が市町村はできていないところがあるということで、このたびの災害でたまたま被害がなかったからよかったなというふうに思っていますけれども、やはり市町村担当者というのは消防・防災を1人で担当というのはなかなかいません。いろんな業務を担いながらやっています。大体毎年6月の梅雨の前には気象庁の関係者を呼んで防災会議、ことしの気象情報はどうですかとかいろんな議論をするのですよね、勉強を。やはりもっともっと県が主導して、こういう
特別警報など、非常に重要な、命のかかわるような警報を県がもっともっとサポートして、早く市町村の防災計画に入れられるようにすべきだと思うのですよね。担当者もたくさん仕事を持っていますから、市町村は本当に大変なのですよ。そこのところをどういう手順で、中部地震でてんやわんや、本当に大変だと思うのです。そういうところをやはり県がもっともっと主導的にサポートして、とにかく早く防災計画にこうした
特別警報を入れるようにお願いしたいと思う。これは要望で、私はお願いしたいというふうに思っています。
次に、農林水産省の情報によりますと、このたびの豪雨で2府4県で32カ所のため池が決壊し、このうち防災重点ため池として選定されていたのは4カ所のみ、大半は指定されていないため池でありました。私は、議会で何度となくため池の防災対策を議論させていただきました。我が県では、他県よりため池の実態調査を初め防災対策は進んでいると認識をいたしております。県内の防災重点ため池の指定基準はどのようになっているのかお伺いいたします。
私は、8月20日、広島県東広島市の三連ため池の決壊現場を調査、視察いたしました。呉の近くですけれども、ふだんは温暖な気候で、尼子に追いやられた武士が刀を捨て住みつき、ため池をつくり農業を始めたと古文書にも記載されている歴史あるため池でありました。上流から土石流とともに流された流木によって洪水吐けがせきとめられ、堤を越水したことにより堤本体が決壊し、次々と下流のため池も決壊したということでありました。
このたびの豪雨は、各地とも経験したことのない大雨と皆さんが異口同音に言われたように、48時間、72時間雨量が観測史上最大値を更新した雨量で、徳島県の馬路村では、雨が降り始めてから雨がやむまでの10日間、1,852ミリの雨量を観測したということでありました。1メーター85センチの雨です。とんでもない雨の量です。これだけの雨が短時間に降れば、幾ら国土強靱化を進めても限界があると思いました。やはり身の危険を感じる豪雨のときには諦めて、災害に巻き込まれないように避難することが賢明な選択肢であると現地を視察しながら思いました。
しかしながら、問題は地域事情により異なる避難する判断を誰がどの段階で下すことが適切なのか、課題であると思いました。今後の検討の中でぜひとも議論をしていただくとともに、防災士等地域のリーダーを早急に養成することが必要だと思いますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
次に、ため池をいろいろ見て回る機会がありますので、ため池の問題について質問したいと思いますけれども、洪水吐けの大きさは、ため池によっていろいろであります。ため池の大きさに合わせて洪水吐けの基準があるのかないのかわかりませんけれども、土石流とともに流木等が起きそうなため池については、洪水吐けが流木等でせきとめられて堤を越水しないように、洪水吐けを現状に合わせて広くするなど、ため池の現状に合わせた見直しを検討すべきと思いますけれども、知事の所見をお伺いしたいと思います。
また、防災重点ため池については、これが確認できるように、やはり洪水吐け付近に今後順次防犯カメラ等を設置されるのがいいかと思いますけれども、これは通告していませんので、提言でいいですけれども、検討していただければというふうに思っております。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤議員からため池のことと、それから防災の避難のあり方につきましてお尋ねがございました。
ため池につきましては、防災重点ため池を本県では現在85カ所設定をさせていただいております。具体的には堤の高さが15メーターであるとか、それから下流というか、下のほうに集落があって、そういう危険性があるものであるか等々を指定基準としまして、こういう85カ所を設けているところであります。これは現在までに防災重点ため池の点検は終えておりまして、さらにそのほか298カ所のため池の点検も今月中に終えると。さらに、そのほか1,110カ所についても年内を目途に点検しようということにいたしておりますが、特に防災の重点ため池というものを我々としてもリストアップしています。
そういう中で、今回もいろいろと見ておりますけれども、やはり重点的にやらなければいけない対策の見えるところもございまして、こうしたことなどに、洪水吐けの話がございましたが、そういう洪水吐けの改修であるとかも含めて、対策をこれから総合的にとろうというようにいたしております。
私どもは正直、伊藤議員がたびたびこのため池の議論をされることもありまして、近年ため池の点検だとか、あるいは改修に着手をしたりというようなことを県単の事業も含めて進め始めております。先ほどおっしゃったような今回よくテレビに出てきた三連ため池ですか、あそこの場合などがございまして、大分報道されて、ああいうふうに次々に決壊をしていくというのを見たわけでありますが、例えば琴浦町でも松谷に第1、第2、第3のため池がやはりつながっているような形状ではありますけれども、ともに古いため池で、広島のほうは400年も前にできたと言われています。あちらは真砂土なのですね。非常にもろいところでありますけれども、同じ古いため池でも松谷のほうは粘性土でございまして、そういったよりは耐性は高い。そこへ持ってきて、今までこういう議論もしてきましたので、第1だとかは改修を進めてきているところでございまして、安全性としては高いものになってきているのかもしれません。いずれにいたしましても、こういうものを順次手を打っていかなければなりませんし、何せ県内は数が多いですから、その対策を考えなければいけません。
それで、九州の北部豪雨が実は私ども発端なのですけれども、あれで流木が結構悪さをしています。本県も実は山の中は杉の植林なども進みまして、間伐をしたりして中には投げ捨て間伐も正直あるわけですね。そういうものがどういうように下流域に、山から川に流れてきてため池に入ってきて、そうやって河川だとかいろいろなところで悪さをし得るかということでありまして、こういうものをトラブルスポットとしてピックアップをしようと。この調査をやってまいりまして、その様相が見えてきました。そこで、今年度流域ごとの対策に結びつけていこうと。今回の補正も含めて計上させていただいて、例えば土師川の水系であるとか、それから佐治川であるとか、そうしたところを水系として考えると。山の中の手入れの問題から始めて、山に対する対策は森林対策でこういうことをやりましょう、それからため池については網場といって、網で流木が入ってきたものを中でとめて、堤体のほうに悪さをしない、洪水吐けのほうに行かない、そういうことをやるとか、もちろん洪水吐けのところの改修が必要であればそちらをやるとか、堤体が弱いのであればそういうことを考えるとかであります。
そうしたこととあわせて、河川などもそうでありまして、橋脚にひっかかる可能性があるような場所をあらかじめ考えておいて、そうしたものの対策を考えていく。ダムなどもそうであります。そうしたことで、砂防についても堰堤のほうで透過性の堰堤を新しく設けるとか、従来とはちょっと違った手法も含めて、モデル的にはまず始めてみようということをし、そういう農業ため池の対策の経費も今回計上させていただいております。
農業ため池では、一定の課題を抱えているところとして判定をしたものが今のところ11カ所ございます。これのうちの2つについては、ここの補助事業も入れて、堤体のところのやりかえをやろうと。さらに、そのほか割と軽微に手入れをすればいいという、例えば水路をちょっと除去するとか、そうしたものもございまして、中にはこの際廃止にしてしまおうと、農業用水としての用途もないというようなところも今仕分けをして、この11カ所を今片づけようとしています。さらに、1,100カ所判定をしていこうと。防災重点ため池が非常に大事だというお話がございましたけれども、こういうような過程でもし防災重点ため池に振り分け直すところがあれば、それはまた振り分けの直しをちゅうちょなくさせていただこうというように考えているところでございます。
次に、避難の体制づくりについてでございます。これについては、議員のほうからも御指摘がございましたように、避難を誰がどういうふうに判断をするのか、その担い手はどうなのかということであります。
これについては、先ほど議員がおっしゃったような、災害対策基本法第60条で市町村長が避難勧告だとか避難指示を出すという役割になっていまして、避難勧告はそうした必要が出てきたときに出すものであり、また、窮迫した場合には避難指示を出すと。あるいは、垂直避難といったような屋内退避ということ、これもできるとか、こういうことは基本的な法律としては定められているわけですね。ですから、公助の部分に相当するようなことではそうした対策に基づいていくのでありましょうけれども、大事なのはやはり自助とか共助の部分でございます。危ないと思ったら逃げる、お互い近所同士で助け合ってみんなで逃がす、こうしたことをふだんからも訓練をしたりしてやっていくことが大切でございます。
今回の場合でもそうでありまして、智頭町は町長も呼びかけをして避難の率も上がりまして、例の豪雪のときに手助けをした大内という集落では2割を超える方々が事前に避難をしていた状況がありました。あのあたりは、議員も御案内のように今回結構千代川の上流が暴れまして、あちこち道路もえぐられるようなことになったところでございます。それから、若桜のほうでは自主防災組織などが呼びかけをしまして、集落によっては7割ぐらいの方が避難をしたという集落もございました。地震のときでもそうでありますけれども、例えば倉吉の宮川町とか円谷町とか、そうしたところでやはりそうした自主防災組織が日ごろから避難所の設営等を訓練したりしていたところでそれは有効に機能したということもありました。
ですから、こういう自助、共助の世界というのもやはり必要でございまして、そういう意味で自主防災組織のリーダーの育成事業とか、それから防災士の受験などを慫慂したり、そうしたことを予算も含めて我々としてもバックアップを今組ませていただいております。
今回貴重なレッスンというものが一連の災害の中で生まれてきたと思います。ぜひそれに基づく情報をまた総括をさせていただいて、こういう自主防災組織や自主的な避難の促進を図ってまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)17番伊藤議員
◯17番(伊藤保君)智頭、若桜、特に鳥取県東部の奥のほうは、林道なども非常に大きな災害を受けております。それで、今県から総合事務所職員の派遣をしていただいておりますけれども、なかなか市町村には設計できる技師がいない、そういう悩ましい問題がありますので、今派遣されておるのは短期間ですけれども、これから補正予算がついて、町も補正予算をつけていきます。そして、災害復旧に向けての現場でのいろんな復旧作業が始まるのですけれども、早期に復旧作業ができるように、ぜひとも県としても引き続き県東部の市町村へのそういう継続的な技師の派遣についてもお願いをしたいというふうに思っております。
次に、財政問題に入りたいと思います。消費税が引き上げられれば、地方の財源は少しずつでありますが増加しているのは事実であります。
交付税特別会計への繰り入れもふえてきているのに総枠が目に見えてふえていない、そういうふうに感じるわけですけれども、なぜでしょうか。本来はもっと
交付税特別会計の安定的な財源を確保し、都市と地方の税源の偏在性を是正する機能を強化すべきと思います。
人口減少が続く我が県のようなところは、交付税が減り続けるだけで年々20億円近くの伸びを続ける社会保障費に対応し切れない現状であるというふうに思っています。こうした状況の中で、安倍総理の唱える地方創生は、何か非常にむなしく私は聞こえます。こうした状況について、知事の所見をお伺いしたいと思います。
次に、平成28年度税制改正大綱の中で、森林環境税、仮称でありますけれども、創設については平成30年度税制改正において結論を得るとされ、一定の方向が見えてまいりました。国が予定している森林環境税は、市町村が実施する森林整備等に必要な財源として森林環境譲与税、これも仮称でありますけれども、この創設が予定され、その財源に充てるとされております。既に県では森林環境保全税が創設されており、この4月に5年間の延長を決めたところでありますが、国の森林環境税がもしできたとするならば、知事として県の単独の森林環境保全税の継続をされるのか、またその使途について見直しを検討されるのか、お伺いをしたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤議員から重ねてお尋ねがございました。まず、災害対策の人材派遣でございますけれども、例えば智頭町のほうに林道技師とか、それから日南町のほうに林道や土木の技師であるとか、そうしたことの派遣は、先方ともよく協議をさせていただいて、必要不可欠な期間につきましては協力をさせていただきたいと思います。
また、実は県外にも今、岡山のほうに土木技師を応援で派遣をさせていただいておりますが、先般、湯崎知事から悲鳴が上がってきまして、ぜひ広島にも送ってくれということがございまして、我々も非常に手元は厳しいのですけれども、そういう中でいろいろと人のやりくりもして、あちらはうち以上に大変でしょうから、一定の人員派遣も含めてやっていくということを考えています。
こんなような形でそうした人材不足があるのですね。実は西日本だけかと思ったら、今、北海道だとか、それから台風21号とかどんどんいろんな災害が起こっていまして、非常に各地も応援を送りにくい状況になっていますので、お互いにつらいときですけれども、協力し合っていくということかなというふうに思います。
地方財政についてでありますけれども、先ほど申しましたように、片方で東京都が平成25年から現在まで6,000億円以上一般財源をふやしていると。私どもは15億円の減収になっているということでございまして、やはりどこか算定のやり方を考えなければいけないと思います。例えば歳出特別枠だけでも平成25年と今とを比較しますと廃止されていますので、これだけで本県は65億円交付税収を失っているわけでございます。そういうものがあればそれを埋め合わせるようなことをしていただかないと、結局今、税収が都市部に行くのに、その分交付税のほうで調整するはずだったものがそれができていないということであります。なぜそんなようなことになっているかというと、私どもは、例えば人口に掛ける補正係数がございます、こういうものが高目に設定されているのですね。これが逆に今、悪さをしていまして、そうすると単位費用を削減していくという交付税上の措置がなされますと、それが大都市部よりもうちのほうに過重に削減が来てしまうということがあります。そこに先ほど申しましたように歳出特別枠の廃止などがきいていまして、こういうものでどんどん交付税の配分がきつくなるのですね。ですから、例えば密度補正と言われるものであるとか、技術的ではありますけれども、交付税の算定の世界の中で今後何らかの工夫をしていただく必要があるのではないだろうか、これは我々としても財源調整機能というのを考えろということを言っていまして、7月27日、全国知事会の決議の中にも私のほうも提案させていただき、これを入れてもらった次第であります。
今後とも、議員が先ほどおっしゃったこととあわせまして、つまり法人課税の調整とあわせまして、こうしたことを年度末に向けて国のほうで検討してもらうよう、働きかけをいたしたいと思います。
さらに、森林環境保全税につきましてお尋ねがございました。これは新しい税収が国税として創設をされ、これはまずは譲与税で来ることになるわけでありますが、まずは経過措置としての譲与税が新年度から開始をします。ただ、税金自体は平成36年度の創設であります。御案内のように、私どもは昨年の11月議会で森林環境保全税の延長を決めていただきました。ですから、今回の延長期間中に国のほうの新税が導入されるわけではございませんので、例えば住民税の均等割のところに上乗せをしていくということになったときに、うちが500円乗せていますけれども、それにさらに1,000円乗せるかどうかという検討は今直ちには必要ないというようなことになったかなと思っています。
したがいまして、当面新年度に向けましてはこのことを今のやり方で継続をしていくわけでありますが、その使途をどうするか等々の調整は必要かもしれません。今、市町村ともいろいろと協議をしているところでありまして、新しい譲与税制度に基づいてどういうことをこれから市町村がやるのか、そういうことといわばある程度役割分担をしながら、県のほうの森林環境保全税の使途を若干盛り返していく、改善していくということかなと思います。
実は他県の状況も調べてきているのですけれども、我々は去年もう既に課税延長を決めたところでありますが、これから実は課税延長を決める県もあるわけですね。そうしたところは、36年度導入ということもありまして、いずれの県も現状どおり延長するというようになりそうです。今そんな検討方向になっています。したがいまして、本県としてもそうした他県の状況もにらめば、むしろ譲与税が入ってくることを想定して、トータルで森林環境の保全が進むような、そういう工夫を考えていきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)17番伊藤議員
◯17番(伊藤保君)環境税の話なのですけれども、県の既に集めている森林環境保全税については、やはりトータル的な県全体の対応に努めていただいて、それで国の新しくできる森林環境税については、やはり市町村の業務をしっかりやっていただくということで、すみ分けをしながらぜひとも対応策を考えていただきたいなというふうに思っております。
先ほどずっと消費税の一連の議論をしてまいりました。私たちは、消費税引き上げとなれば、どちらかというと一般的には引き上げられる税率や大まかな税の使い道の議論に終始しがちでありますけれども、税制調査会では、財務省主導とも思われるような事細かな改正が逐次入ってまいります。要するに、私が見てみますと、地方財政が豊かにならないようにいろいろな知恵が盛り込まれているのではないかなというふうに思っています。我々地方議会としても、やはりそういうところをしっかりと関心を高めていかなければならないなというふうに思っております。
次に、公共事業について追及をしたいと思います。
先ほどありました
泊漁港整備事業ですけれども、防波堤を30メーター残して中止となった理由は、費用対効果が少なく、出漁の影響は8日間ということでした。今、1月、2月は海が荒れまして、小型漁船というのは漁に出られないことがほとんどであります。しかしながら、この時期というのはサワラ漁の最盛期で、8日間も漁に出るか出ないかは業者の皆さんの所得を考えると大変な違いだというふうに思っています。そして、しかも急激に海が荒れますので、帰港する際の安全性も高まるわけで、事業の途中での中止が私には理解できないという思いを持っております。
中でも、この安全も費用対効果の中で削減の対象にされるのかということをお伺いしたい。
また、先ほど言いましたように、海の天候は急展開します。急に天候が悪化し、安全に帰港するためにつくるはずだった防波堤を中止することによって、もし帰港する際に海難事故が起きたということになれば、これまた責任問題に及ぶ可能性もあるかというふうに私は心配をいたします。
したがって、この中止ということは、非常に説明責任をしっかり果たさなければならないと、私はこの事業はそういうふうに思っています。知事の所見をお伺いしたいと思います。
それと、
東伯中央地区の
広域営農団地農道整備事業ですけれども、何かもともと絵に描いた餅でずさんな計画といいますかね、ずさんという表現ではないけれども、当初の計画と全然時代がずれておるということのような話でありました。
そういう中で、倉吉側から大体工事がある程度進んできたのですよね。ところが、最後は大山町なのですよ。中山側に7億7,700万円もかけて大きな橋が既にかけてあります。橋を渡ったらもう山です。今後どう活用されるのか。また、その橋から先に、道路用地として8,000万円で14万3,300平米の土地、これの買収が終わっています。この用地は国、県、地元の予算が入っています。誰のもので、今後どう活用される計画なのか、改めてお伺いしたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤県議から重ねてお尋ねがございました。公共事業の見直しにつきまして、泊漁港、そして東伯中央の農道につきましては、それぞれ詳細は県土整備部長と農林水産部長からお話を申し上げたいと思いますが、泊漁港については、先ほどちょっと議員のほうでもおっしゃいましたけれども、安全性等でどうなのかと、こういう御指摘も当然ながらあるだろうと思います。私も正直、就任する前のことで、就任直前のときにどうもばたばたと決めたようでございまして、当時の議会のやりとりを伺っても、当時の藤井議員、と言っても省三議員のほうですが、藤井議員だとか山田議員だとかもちょっと戸惑った形で答申が提出されて、それで議論をされておられる様相でございまして、藤井議員の言葉の端々などを見ても、当時、中部ダムの中止が何かすごく英雄的に言われていた時期でありまして、公共事業の見直しということを結構県政が好んで取り上げた時期でもあったのだろうと思うのです。そういうようなことではあるのですけれども、ただ、具体的に波の高さが1.2メーター以下でないと実際静ひつが保たれず、港に入ってこられない、出入りができないということになったり、あるいは養殖の問題も今つくり育てる漁業のほうに重点が移りつつございまして、そういうようなことなどもあるかもしれません。
実は、鳥取港ではまた別の問題が起こっていまして、台風のときに中の静ひつ性が保たれなくなりまして、それで今、国土交通省のほうにも申し上げて、研究を始めているのですが、港のあり方自体をひょっとするとやりかえなければいけないかもしれない、そういうようなことになってきました。日本海沿岸でも福井県だとかいろんなところでやはり波浪の影響等もあるわけでありまして、新たな事業を起こすというところも出てきているように伺っております。先ほど申しましたように、中止というのはストップということでありますけれども、ただ、それで事情がどういうふうに現在変わっているのか等々もあるかもしれません。したがいまして、静ひつ度だとかそういう安全性について、地元の状況なども聞く必要はあるのではないかなと思います。
ただ、もちろん、もし事業化しようと思えばBバイCと言われるものが1以上でないといけないとか、それから事業効果、波高の問題とか、そうしたことなど、いろいろとクリアしなければいけない大きな課題は途端に出てくるわけでありますけれども、ただ、安全かどうかというのはまた別の問題でありますので、それはそれで今後も事情を我々も伺っていきたいと思います。
また、東伯中央のほうでございますけれども、これも先ほどおっしゃった橋でありまして、あれも実は委員会のほうで一番大きな論点でありました。実はもうつくりかけていたのですね。ほぼつくりかけていたところで、ではこれをどうするのかと。そしたら橋は全部仕上げる必要がある。実はそこから林道が延びていくわけです。林道のほうについては、今月中にいよいよ完成をすることになりました。これで大体20ヘクタールぐらいの林地の運び出しがその橋梁を使って行われるということに今後なってきます。そういうようなことでの活用なども今図られようというところにようやくなってきたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こうした未利用地の課題等もございますし、これは中止ではなくて休止扱いでありますから、どういうようなことを今後継続して考えていくべきなのか、その辺は今後もいろいろと地元ともきちんと協議をして、コミュニケーションをとってまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)山内県土整備部長
◯県土整備部長(山内政己君)泊漁港の費用対効果での削減、そういった安全性において、中止理由が非常に理解できないということにつきまして、補足の答弁をさせていただきます。
泊漁港の第2沖防波堤の整備事業は、防波堤を整備することによりまして航路や泊地、休憩岸壁の静穏度、こういったものを向上させまして、出漁可能日数の増加、さらには休憩船舶の安全性の確保、泊地内でのイワガキ等の増殖、こういったものの効果を期待して事業を実施したものでございます。
公共事業再評価におきまして、整備済みの防波堤90メートル事業効果と計画どおり120メートルを整備した場合の事業効果、こういったものを精査させていただき、事業
評価委員会では今後30メートルの延伸により出漁可能日数は8日しかふえない見込みであると、さらに港内の養殖や天然イワガキ、こういったものの生産性、これが5割ふえるといったような効果、こういったものは非常に疑問だということ、こういったものが追加費用に見合わない、便益が生じないといった判断をされて、事業中止が妥当という答申がなされたものでございます。
県はこういう答申を受けまして、漁協、さらには関係市町、さらに水産庁といった関係機関と協議させていただいて、やむを得ないというような回答を受けながら県として中止を決定させていただいたというところでございます。
議員が言われるように安全性につきましては、波の状況は今現在変わっているかどうか、こういったものを精査して、そういった状況が変わっているということであれば、再度再
評価委員会にかけさせていただいて、事業の推進ということもあろうかというふうには思っております。
ただ、安全な漁港活動、こういったものにつきましては、気象状況、さらには海の状況を十分考慮していただいて、漁業者一人一人がその判断に基づいて行われるというものに考えております。
◯議長(稲田寿久君)村尾農林水産部長
◯農林水産部長(村尾和博君)
東伯中央地区の
広域営農団地農道整備事業の今後の計画につきまして、補足の答弁を申し上げます。
本事業の前提となります中部広域営農団地整備計画は昭和47年に制定されたものでありまして、平成5年3月に計画を変更し、老朽化、人手不足等に対応するため、広域野菜集出荷施設等の建設が位置づけられたものであります。
知事からもございましたように、県中部地域は県下の農業の中心地帯としまして農業生産基盤の整備も進んでおり、当時の農業生産の状況を踏まえて広域野菜集出荷施設等の建設が計画されたものでありますが、その後、水稲の作付面積が3割減、スイカと梨が7割減と大幅に減少したことや主として建設計画を進めていました東伯町農協が鳥取中央農協との合併に伴いまして計画の見直し等を行ったことにより、施設建設に至らなかったものと推察されるところであります。
農道整備に当たりましては、工事の進捗を図るため、5つの工区に分けて実施していったものでありまして、中山側から整備を進めた区間については、鳥取
県公共事業評価委員会からの施行中の橋梁工事の完成後は最寄りの林道と接続することにより通行可能な状態にして、有効に活用することが適当と考えられるという答申を受けまして、橋梁は完成されたものであります。ちなみに、当時の進捗率は84%で、橋からの上の部分の工事が残っておりました。その橋梁から東側の区間は既存の林道と接続して活用しておりますが、さらに現在、林業専用道の工事にも着手しておりまして、今月末には完成する見込みであります。これによりまして、20ヘクタールの杉・ヒノキ林の間伐及び間伐材の搬出にも有効に活用される予定であります。
また、本事業としましては答申を受け休止しましたが、農道整備が完成していた2つの工区は町道または県道とつないでおりまして、農作業や生活用道路として有効活用されております。さらには、琴浦町帽子取地区には、米久おいしい鶏の養鶏団地、ブロイラーで年間140万羽出荷計額でありますけれども、これが本年8月に整備されまして、有効活用されているところであります。
なお、先行して買い上げた道路用地につきましては、県有財産で現況は山林であります。このうち琴浦町中村から大山町羽田井の区間につきましては、平成23年から25年度に新たな農道の可能性について地元を交えて検討いたしましたが、費用対効果は認められないということで断念した経過がございます。一方、公共事業
評価委員会の答申による休止以降、先ほど申しましたように新たな養鶏団地が進出してきた事例もありまして、これらの動きを踏まえて、今後どのように活用ができるか検討してみたいと考えます。
◯議長(稲田寿久君)17番伊藤議員
◯17番(伊藤保君)いろいろ答弁いただきました。
泊漁港なのですけれども、今、サワラ漁、最盛期が1月、2月なのですね。1日に数百万の水揚げがあるということもあります。BバイC、これだけが何かずっとひとり歩きというか先行してしまって、だけれども防波堤、安全という部分が何か本当に議論の中で担保されていないというふうに思っています。ですから、行政効果上ではたかが8日でしょうけれども、やはり漁師にとっては貴重な8日間になるかもしれません。そして、帰港する最後の何か安全が奪われた、そういう感が私はいたしております。
こうしたことが否定されるということは、もともと何か過大設計だったのではないかなというふうな理解も一方ではされますけれども、やはりこの
評価委員会は説明責任が十分果たされていないというふうに私は思っております。
また、広域農道なのですけれども、中山から着工されて途中で中断になったのですけれども、現地へ行ってみましたら、今、専用林道なのですよね。これは森林組合の専用林道ですよ。行きどまりですよ。有効利用ではないのですよ。だから、今、答弁ありましたけれども、有効利用ではないのです。行きどまり、誰も入られない。要するに、山の搬出、材を搬出するための専用林道なのですよ。
もともとここは深い山ですから、林道がなかったのですよ。地元の山の関係者も山に入って迷ってしまうぐらい、財産区の管理者の委員が山に入って迷ってしまうぐらい、本当に地形的に難儀な山なのです。本当はその道路がついておれば、作業道なども枝葉としてどんどんつけられて、この深い山から木材を搬出するということも、逆に言うと安易にできたと思うのですよね。
ですから、あくまでもBバイCということでありますから、それはそれとして私は仕方がないと思いますけれども、買った土地も含めて、せめて将来これをどうしていくのか。貴重な県民財産ですよ。7億7,000万円の橋は、高い、見晴らしのいい立派な橋ですよ。あのままそのままで置いておくと本当にもったいないですよ。何とか地元の皆さんと一緒に協議しながら、例えば林道なら林道でしっかりと続いていく、そういう対策を改めて検討していただくことを私はお願いを申し上げたいというふうに思っております。
要望で終えますけれども、とりあえず午前中の代表質問は以上で終わりたいと思います。知事がもし答弁あれば、意向があればお願いしたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤議員から重ねて公共事業につきましてお尋ねがございました。
先ほど申しましたように、個別具体にはやはり地元とも今後もしっかりと協議を重ねていかなければなりませんし、やりかけた仕事という面もあるのかもしれません。実は、先ほど中山の羽田井のほうから上がってくる道は大分議論になったのですけれども、結局橋梁ができ上がっていたのですね。そうしたら、もうそれを仕上げる以外にはないだろうと。それを仕上げる前でとめてもいいのですけれども、それをとめると橋としての機能もなくなると。そこに今おっしゃったような林業専用道が今回できるということで、また曲がりなりにも用途はつくのかもしれませんし、そこのポイントからまださっきおっしゃったような山に行く林道とか、若干ほかの道もあったりしまして、そのポイントまでつなげるということでありました。
ただ、これから長い歴史があるわけでありまして、今後どういうふうに山が展開するか、あるいは場合によってはあの辺はだんだん養鶏団地が広がってきましたので、そういうようなことがあるのか、その辺いろんなアイデアは地元でもあるかもしれません。今後ともよく議論をさせていただきたいと思いますし、泊の漁港のほうにも安全を割り引くという思想は必ずしも正しくない。それは例えば砂防事業などを見てもそうなわけでありますが、そういう意味で安全ということの価値が十分に費用対効果の中でも分析に供されなければならないと思います。
現実にも、港の場合は例えば避難対策だとか、そういうことも便益の中に含まれているようになっておりまして、その辺は計算してみないと正直よくわからないところかなというふうに思います。
当時は、どうも波高の計算自体がおかしいのではないかみたいな議論をしたようでございまして、ちょっとその辺の経緯もいろいろとあったのかもしれません。いずれにいたしましても、泊漁港も最近は海の駅をつくって、それで海産物を直売でさらに食べられるようにしようとか、港の漁村としての活性化も再度今図られようとしてきているところでございます。今後ともちょっと地元とよく協議もさせていただき、公共事業のあり方について我々としても地域本位で考えるようにさせていただきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は、午後1時より再開いたします。
午前11時58分休憩
────────────────
午後1時00分再開
◯副議長(福間裕隆君)再開いたします。
引き続き代表質問を行っていただきます。
17番伊藤議員
◯17番(伊藤保君)(登壇)そうしますと、続きまして県政の諸課題について入りたいと思います。
最初に、2巡目国体の開催についてから質問したいと思います。
2巡目国体の開催について、さきの代表質問で、島根県さんが平成41年に開催されると正式表明があったので鳥取県は大トリの平成45年に開催したい、今議会でも議会の招致議決をお願いしたい旨の答弁をされました。
県体育協会は、6月県議会の知事の発言を受けてかどうかわかりませんが、県議会での議論を待つことなく、9月18日に平成45年国体招致に関する決議をされたようであります。まだ今議会での議論が終わらないうちに知事が大トリの平成45年に開催したいと表明され、私自身、民主主義を大切にされてきた知事の表明に、とても残念な思いで質問したいと思います。
開催を平成45年と想定して、少し議論をさせていただきます。
平成45年といいますと、今から15年先の話であります。これから生まれてくる子供が高校生になる時代です。どんな社会になっているのか、どんな地域になっているのか、どんな国体の開催状況になっているのか、想像すらできません。私も知事も、多分この議場には存在していないでしょう。
昭和60年のわかとり国体のときには、競技補助員、運営補助員として、本当に多くの高校生の皆さんや地域の皆さんに力をおかりしました。県内で開催された36種目の競技補助員として4,889人の高校生の皆さんにお世話になりました。ことしの4月1日現在の県の人口は56万1,368人、しかも65歳以上が17万8,453人、人口の31.8%に当たりますが、県の人口推計では、よく考えても45万人程度まで落ち込むことが推測されています。また、学校基本調査から高校生在校生を見ると、わかとり国体が開催された昭和60年は2万5,319人、ところが、人口減少が進む中、平成45年には1万3,000人余りと推計されます。これはあくまでも推計でありますので、どうなるか私にもわかりませんが、人口減少の中で県内市町村の財政運営も当然厳しくなる中、新たな競技会場の整備など到底望める環境ではないと思います。
私は、国体開催に反対して議論しているのではなく、将来をしっかり予測する中で鳥取県らしい国体をどう開催するのか、多様な議論に基づき判断することが私たちに課せられている責任であると思うゆえ、あえて議論をさせていただいていることを御理解いただきたいと思います。
国体開催でネックになるのは、選手、大会関係者、応援団の宿泊対応であります。わかとり国体では15万3,000人余りの国体関係者が宿泊しましたが、県内の既存宿泊施設では宿泊対応できないことから、県内13市町村では2,600軒余りの民泊で対応し、大会を乗り切ったという経過があります。大会が夏から秋にかけてということもあり、食中毒等の事故も随分心配されましたが、大きなトラブルなく、逆に選手と地域の皆さんとの交流が大きな成果を上げました。
わかとり国体の開催経過から振り返ると、競技団体は開催招致をすればいいのでしょうが、会場地となる市町村は、競技会場、宿泊、輸送、開催経費等の問題で、会場地を引き受けることについて、当時、市町村の議会で大きくもめました。競技会場、宿泊対応、輸送対応をせめて概略だけでも事前に検討されたのか、知事にお伺いをいたします。
一方で、国体を開催することで県内の子供たちに全国トップクラスの競技を間近で見せてやることは、大きな夢と元気をもたらすとともに、選手強化を推進する中で県内の競技力もアップするなど大きな効果も期待されますが、会場地となる市町村の現状、将来を推測する中で、財政負担、人的負担、業務的負担等を市町村にお願いするわけですから、私たちはかなり慎重な判断をしなければならないと思っております。
私はかねてより、人口減少が鳥取県のみでなく島根県も同様に進行する中、それぞれがあえて単独開催をしなくても、山陰国体として合同開催すれば無理なく国体が開催できるものと思っております。確かに島根県さんの御意向もあろうかと思いますが、時間が許す限り、今後も話し合いの場を持てないのかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、看護師及び介護士の離職対策についてお伺いいたします。
私たちが生活する中で切っても切り離せないのは医療、介護であり、その充実と安定は県民誰しも願うところであります。
我が県の医療は、地域医療構想に基づき、日ごろのかかりつけ医から中核的医療を担う病院等、一定の機能と役割分担を設けながら、県民の命を守る取り組みが行われております。
特に県立の厚生病院並びに中央病院は、それぞれの地域の中核的機能を担った医療機関であり、高い医療技術の維持を期待するものでありますが、それを支えるのは医師であり、看護師であり、多くの医療スタッフであります。
今回は、看護師の離職対策について、病院事業管理者にお伺いいたしたいと思います。
平成28年度中に厚生病院並びに中央病院の常勤看護師で中途退職された職員は49人、退職理由は多様でありますが、中でも県内の他の施設への就職11名がトップで、結婚が9名となっております。775名という看護師の全体の数から見ると、中途退職者は県内の他の中核的医療機関より少ない割合でありますが、それでもせっかく高い医療技術を持った看護師を失うことは大きな損失であります。病院局として、退職理由の実態についての感想と対応策についてお伺いをいたしたいと思います。
また、介護労働安定センターが発表した平成29年度介護労働実態調査結果では介護員の離職率は16.2%であり、一方で、厚生労働省が実施する平成29年度雇用動向調査では全産業の離職率が14.9%となっており、介護分野は他の産業に比べて離職率が非常に高い状況になっております。この状況についての感想と対応策について、知事にお伺いをいたします。
次に、5歳児健診についてお伺いします。
平成15年9月県議会において、初当選したばかりの我が会派の興治議員が、軽度発達障害児の子供たちの発達支援を行うためには早期に発見することが重要で、脳神経小児科の医師の言葉をかりると、軽度の発達障害につながりそうな行動があらわれ始めるのは3歳児健診を終えてからで、その子の個性の範囲ではなく、症状の一端として捉える行動が見やすくなるという。保育士が発達のおくれなどに気がついても保護者には言いづらかったり、保護者も認めたがらない中、5歳児健診を実施することで専門医から指摘されることで受け入れられる保護者が多いと紹介し、全県下での実施を提言いたしました。
しかし、あれから15年。その後の状況ですが、29年度で見てみれば、12市町村において全員対象で実施、7市町村では一部での実施であります。改めて、15年たった現状について知事の認識をお伺いいたします。
次に、若者の消費者教育についてお伺いいたします。
明治時代から今日まで約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていましたが、この民法がことしの6月改正され、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。したがって、4年後には18歳の誕生日とともに大人になる社会となるわけであります。
そうなると心配されるのが、親の同意がなくても賃貸借やさまざまな消費貸借契約ができるようになります。未成年者として法で守られている現在でも、県消費生活センターには、平成29年度で年間25件のさまざまな契約等に伴う相談が寄せられております。現在は高齢者をターゲットにいろいろな詐欺が横行していますが、4年後には社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの新成人をターゲットにした詐欺まがいの商法や契約トラブルがふえてくるのではないかと心配されていますが、消費者保護の立場から、今後の取り組みについて平井知事にお伺いするとともに、県教育委員会としては成年年齢を間近に控えた高校生に対して消費者教育が必要と思われますが、教育長に所見と今後の取り組みをお伺いいたします。
また、詐欺まがいの商法が横行することも懸念される中で、県警としても警戒を強めなければならないと思いますが、県警本部長に所見をお伺いいたします。
次に、サッカーワールドカップから見えたものについてお伺いします。
ことしの異常な暑い夏をより暑くしたのは、ロシアで開催されたサッカーワールドカップ。日本チームの活躍で我が国も連日盛り上がりましたが、私が注目したのは、人口わずか35万人で初出場したアイスランドの活躍であります。鳥取県より少ない人口のアイスランドが激戦のヨーロッパ予選を勝ち抜き、ワールドカップに出場するなど誰もが思いもしていなかったし、奇跡でしかないと思っていました。
ヨーロッパ予選で毎年1回戦で大敗を喫していたアイスランドが強くなった原因を調べてみると、そこには周到な準備がありました。厳しい冬でも一年中練習ができる施設を学校のそばに整備し、幼いころからサッカーに親しめる環境。そして600人もの指導者を育成。人口は35万人でありながら、国家総力を挙げ、緻密な計画の遂行でインドアキッズを成長させてきたことにありました。
我が県でも競技力向上と毎年言われていますが、県有体育館で子供たちが全ての競技ができる環境にあるかというと、競技用器具も整っていないばかりか学校現場には部活を的確に指導できる先生もいない、地域にクラブがあるかといえば限られた種目だけ。全て人口最少県が口実のように聞こえます。
夏の甲子園で大活躍した秋田県立金足農業高校、本当に感動しました。野球留学の生徒が多くを占めるようになった甲子園出場チームの中にあって金足農業高校は異色の存在で、全て秋田県内出身の生徒でありました。活躍の源は、学校の枠を超え、全国で勝てる高校野球を目指し、関係者が一丸となって取り組んできた成果が実を結んだことであります。
可能性を秘めた県内の子供たちをもっともっと伸ばしてやりましょうよ。知事、教育長、それぞれの所見をお伺いしたいと思います。
次に、農業、水産業の諸課題についてお伺いいたします。
最初に、今後の和牛振興についてお伺いします。
昨年の宮城和牛全共では花の7区で肉質日本一に輝くなど、和牛王国鳥取の復活に向け、歴史を刻んだ年でもありました。
以来、県内産の子牛価格は上昇の一途にあり、ことしの4月20日の和子牛の競りでは、白鵬85の3を父とする子牛が561万8,000円と、雌子牛として日本一の価格で落札されました。このように、宮城全共以降、全国から鳥取県産の和子牛に熱い視線が送られるようになりました。
過去の鳥取全共、長崎全共と、過去の全共では苦い経験もありましたが、前だけを向き、ひたむきに努力されてきた畜産農家と畜産関係者の皆さんの努力が結果として報われたのであります。私自身も、白鵬85の3という種雄牛の誕生と全共の結果で、ここまで鳥取和牛を取り巻く環境が変わろうとは思いませんでした。
昨年の宮城全共は、知事も相当気合いを入れて取り組みを進めていただき、結果を伴ったわけでありますが、今日の鳥取和牛を取り巻く環境について、知事の感想と所見をお伺いしたいと思います。
和牛全共は大きなインパクトのあるイベントであり、平成34年には鹿児島県で開催される第12回和牛全共は、鳥取和牛の名声を確固たるものにする試金石であると思っております。宮城全共では大会の4年前から出品対策に取りかかり、周到な準備の中で結果を得たわけであり、ことしは次の鹿児島全共の4年前に当たります。まさにしっかりとした目標と基幹種雄牛の決定された中で育種に取りかからなければならない年でもあります。県としてどのような目標で鹿児島全共に向かわれようとしているのか、知事にお伺いしたいと思います。
また、5月25日に開催された県和牛産肉能力検定委員会において、隆福也が県の基幹種雄牛に選抜されました。この隆福也は、さきの宮城全共で肉質日本一を獲得した白鵬85の3を上回る肉質で、大いに期待がされていますが、その期待度について知事の所見をお伺いいたします。
また、これまで県内で造成されてきた高能力種雄牛白鵬85の3、百合白清2について、今後どのように活用されるのか知事にお伺いいたします。
続きまして、鶏ふんの活用についてお伺いいたします。
9月5日、畜産議連の皆さんと一緒に、県内の新しく整備された養鶏場、クラスター事業で整備された和牛の牛舎並びに乳牛の牛舎を現地調査し、施設の見学や最新施設の説明を関係者の皆さんからお伺いいたしました。どの施設とも最新鋭の施設でハイテク技術も導入され、効率的な飼育ができる環境でありました。中でも、琴浦町帽子取に新しく整備された米久おいしい鶏の養鶏場では、鶏インフル対策も万全な上、年間2,800トンと大量に発生する鶏ふんについても、大半はボイラーの原料として利活用される計画でありますが、ほかの養鶏場と合わせれば1万トン程度が堆肥として活用されているということでありました。
9月上旬、私はこの鶏ふんを炭として肥育牛舎でおが粉にまぜ、敷料、要するに牛のベッドとして活用している香川県の肥育農家を視察してきました。私たちは牛舎といえば山奥を想像いたしますが、牛舎があったのは何と海岸に面した工業団地の一角で、もともとは木材企業の倉庫であったものを改修し、6,000平米の敷地に1,000頭余りの交雑種の牛が肥育されておりました。1,000頭もの牛が飼われているのに、牛舎独特のにおいも少なく、ハエもほとんどいませんでした。6メートルに6メートル、それに7頭という密集飼育のため、皮膚病を起こしやすいのが常でありますが、皮膚病も減ったということでありました。
炭にした鶏ふんをおがくずにまぜることにより、確保が厳しくなったおが粉の節約ばかりでなく、鶏ふんの脱臭効果があり、牛舎の環境改善にも役立っていました。さらに、炭をまぜることにより、最終的に堆肥として畑に還元しても有機肥料として、また土壌改良剤としての効果が高いということでありました。既に琴浦町内で鶏ふんの炭をおが粉にまぜ、敷料として活用されている肥育農家もあり、脱臭効果が高いと話しておられました。
環境に優しい鳥取の畜産を推進するために、養鶏業者と畜産業者が連携し、鶏ふんを炭化したものを牛舎の敷料として活用することを県が主導して検討していかれたらいかがなものかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。
次に、種子法廃止後の対応についてお伺いいたします。
種子法は、戦後間もなく日本がまだ食糧難の時代であった昭和27年、国民の食、主にお米を中心に、麦、大豆だけでも良質なものを国がしっかりと確保して最低限の食べ物を国民に提供できるよう、国が管理していこうと制定された法律で、正式には主要農産物種子法といいます。
こうした種子法のおかげで、日本の食料自給率が平成28年度で38%と他国に比べて極めて低い中、食用米だけはほぼ100%の自給率を維持してきたのは、種子法により良質な米の種が管理され、地域ごとの気候に合い、うまみや食感があり、安心して食することができる米が次々と改良されてきたからとされております。
ところが、公費を投入して取り組んでいる都道府県と民間企業では競争条件が同等でなく、民間企業が種子産業に参入しにくい、民間が開発した品種は奨励品種に指定されにくい等の観点から、ことし3月末で種子法が廃止されました。
一方で、種子法が廃止されたことにより、外国の種苗会社などが種子開発に参入することで、独占的な種子の販売、企業の種子の囲い込み等による高価格化、遺伝子組み換え種子の選別ができるのかという不安の声があります。
こうした不安が高まる中、新潟県、埼玉県、兵庫県では議員提出議案を含め条例が制定され、そのほかにも条例化を検討している県があると聞きます。我が県の場合、要綱と要領を制定し、採種事業を継続するとされていますが、本当に要綱と要領だけで県の責務をこれまでどおり果たすことができるのか、知事にお伺いいたします。
次に、農業経営収入保険事業についてお伺いいたします。
近年は異常気象が次々と襲いかかる中、自然相手の農業は経営の危機感と隣り合わせで、これまでこうした災害による収入減に対応するための品目別の農業共済制度はありましたが、平成31年1月から、自然災害だけでなく、価格低下による収入減にも対応できる農業経営収入保険事業がスタートすることになりました。
この農業経営収入保険は、青色申告をしている農業者を対象に、掛け捨て保険方式と積み立て方式の組み合わせで最高90%まで保障されるものですが、自動車保険と同じように、事故をすればするほど保険料率も上がるという制度であります。農家の皆さんは、これまでの品目別共済制度か農業経営収入保険か選択して加入できる新制度であります。
この農業経営収入保険の加入手続は既に8月1日からスタートしているわけでありますが、この制度について知事の認識をお伺いするとともに、現時点の加入状況はどうなのかお伺いいたします。
次に、栽培漁業についてお伺いいたします。
もうかる漁業を目指し、より積極的な藻場の造成や資源管理、漁場管理等に取り組むやる気のある事業主体を支援し、産業として成り立つアワビやサザエの栽培漁業を推進するとして、県が種苗事業の一部を支援するビジネスプラン推進事業が平成27年度から5カ年計画で始まり、来年度は最後の5年目を迎えます。
この放流事業はBバイCが1を超えた放流魚種が対象でありますが、サザエはプランが始まって以来、価格は低迷し、極めて厳しい環境に置かれています。ある漁協では、水揚げの1割を翌年度の種苗代として徴収し、積み立てをしていますが、積み立てだけでは足りないため、漁協が差額を負担し、種苗の購入に充てているのが現状であります。こうした現状について、知事の所見をお伺いいたします。
次に、洋上風力発電計画についてお伺いいたします。
鳥取県の日本海沿岸の沖合に、大規模な洋上風力発電の計画があるとお聞きしました。私が得た情報では、境水道から日吉津村沖合あたり、そして鳥取港沖合あたりだそうですが、既に漁業関係者等には計画の打診がなされたのか、県として把握している情報があれば、現段階での情報について知事にお伺いいたします。
こうした構築物ができれば、ハマチやサワラ等の漁場であり、沿岸漁業に支障が考えられるほか、鳥取港や境港への貨物船、客船、漁船等の航行にも影響を及ぼすのではないかと危惧をいたしますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。
次に、教育の諸課題についてお伺いいたします。
最初に、教育委員会のあり方についてお伺いいたします。
6月11日に平成30年度第1回鳥取県総合教育会議が開催され、平成29年度教育に関する大綱の評価についてを初め、6項目について意見交換が行われました。
この会議では、後ほど議論を予定している県立高校の特色化・魅力化、要するに県外募集の取り組みについても県教委の提案に基づきしっかり議論されていますが、私が関心を持ったのは、文化財保護行政の知事部局への移管についてであります。
平成31年4月1日に施行される地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正で、教育委員会が所管することになっていた文化財保護行政が地方自治体の選択によって首長部局でも所管できることになることから、鳥取県においては来年度から知事部局に移管される提案がされました。移管理由として、文化財の活用を観光や産業振興等と総合的、一体的に実施することによる新たなる価値の創造、機動的な事業遂行の実現が掲げられています。
移管理由については、ある程度は理解いたします。これまでにも、学校における体育を除く競技スポーツに関することも教育委員会から知事部局に移管されました。少しずつではありますが、教育委員会所管の業務が年々縮小され、いよいよ教育委員会は学校関係業務のみとなり、やがては政治的中立を求められている学校教育も知事部局に移管されるのではないかと思うのは私だけでありましょうか。
県総合教育会議でも提案説明だけで、文化財業務移管後のありようについて、さらに教育委員会のありようについて議論はされていませんが、今後、教育委員会の独立機関としてのありようについて、知事並びに教育長の認識をお伺いいたします。
また、文化財業務の移管に伴っては、経済的価値の創出などがその効果となっておりますが、文化財業務の原点は、発掘、調査、研究であり、この原点が希薄になりはしないかと危惧をいたしますが、業務の移管を受ける側の知事の認識をお伺いいたします。
次に、高校の魅力化についてお伺いいたします。
人口減少が進み、高校の存続が危ぶまれる中、島根県隠岐島前高校では、県立高校でありながら生徒募集を全国に広げ、今や日本全国のみならず海外からも生徒が集まり、小さな島ではあるが、自然豊かな島丸ごとキャンパスの中で学んでおります。こうした高校の新しい取り組みの中で移住者もふえ、離島でありながら島全体が元気を取り戻しつつあります。
鳥取県でも、高校生の数が昭和40年の3万6,415人をピークに、現在では1万5,033人と10分の4に激減。近年、県教育委員会は高校の統廃合、学級減に四苦八苦しながらその対応に追われてきたし、追われているのが現状で、高校生の県外募集に力を注ぐというベクトルに及ばなかったのが現状ではないでしょうか。
これまで県議会でも、県外からの生徒募集をすべきだという議論がいろいろ行われ、平成28年4月から一部の県立高校で生徒募集が始まりました。何をアピールに募集され、募集結果はどうであったのか、見直す課題があったのか、教育長にお伺いしたいと思います。
最後に、運動部活動ガイドラインについてお伺いいたします。
3月にスポーツ庁から、運動部活動在り方に関する総合的なガイドラインが発表されました。県教委では、スポーツ庁より一足早く、平成26年3月に子どものスポーツ活動ガイドラインが作成され、行き過ぎた部活動を防ぎ、多忙な教員の時間管理につながるとして、小・中・高等学校の部活顧問、外部指導者等に配布され、周知が図られていますが、スポーツ庁のガイドラインを受け、県として既に作成されているガイドラインの見直しを検討されているのか、教育長にお尋ねをいたします。
今、中央のアマチュアスポーツ界では、暴力問題、パワハラ問題が次々と浮上し、社会的問題に発展をしております。県としても、ガイドラインを作成しただけでは意味がなく、スポーツ少年団等社会体育関係者の指導者にも小・中・高等学校別の1日の練習時間、1週間の休養日等、しっかり理解をしていただく必要があると思いますが、どういう方法で周知徹底を図られるのかお伺いいたします。
また、スポーツ庁のガイドラインでは、活動方針や活動計画などを学校のホームページの掲載などにより公表することまで求められていますが、県内の取り組みについてはどこまでされるのか、教育長にお伺いをいたします。
以上で壇上での質問を終わります。
◯副議長(福間裕隆君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)伊藤県議の代表質問にお答え申し上げます。
まず、国民体育大会、2巡目国体につきましてお尋ねがございました。これについては、議員のほうから鳥取県らしい国体をぜひやるべきではないか、それについて広く民意を束ねるべきではないだろうか、また、事前の検討として宿泊とか輸送とか非常に困難な問題もあるのではないか、その辺の検討はどうか、さらに島根県側の事情もあるだろうけれども共同開催について考えるべきではないか、こうした諸点につきましてお尋ねがございました。
議員のほうからお話がありましたように、非常に大きな課題でありまして、国民体育大会、これとあわせて今障害者スポーツ大会も行われますが、これは持ち回りでやっている各都道府県の行事の中でも最大のイベントと言っていいと思います。それは、市町村もそうですし競技団体もそうですし、また多くのボランティアの方々がかかわられたり、さらに国体目指して一定の高速道路等のインフラストラクチャーの整備なども行われるようなことも通例的にございますし、さまざまな面におきまして、オリンピックではないですが、オリンピックの国内版のような形であろうかと思います。
振り返ってみますと、昭和60年にわかとり国体がございました。あのときも人口が一番小さな鳥取県がこういう国体という大きな行事ができるかという、そういう一定の不安の中で実行したわけでありますが、議員もおっしゃったように、例えば役場の皆さんも総動員されて、それこそ昼夜を問わず努力をされ、また準備をされ、あるいは競技団体のほうでも競技力の強化を図ろうと、多くの優秀な選手があのころ結構鳥取のほうにもやってこられまして、それが今日の競技力向上の柱になっておられたりしています。結果どうだったかというと、昭和60年、鳥取県は天皇杯、皇后杯をとりまして、この小さな県が優勝できたということにもなりました。パレードも行われ、みんなでそれをお祝いし、小さな県だが国体が実現できたということをいわば誇りのようにした、そういう思い出があります。
同じことがまた繰り返されるわけであります。全国の皆様をお迎えし、なるほど山陰、鳥取県に来て自分たちは非常にいい経験をしてきた。またここには人々の温かいきずながあり、スポーツに対する理解もある。もちろんおいしい食べ物などもあり、少し観光ということでも楽しんでみたいと、そんないろんなことがまたもう一度起きようとするわけであります。
国体をどうするかというのは、そういう意味で一番大きなイベントとして相当周到な準備をしなければならないものでありまして、それを決めるに当たりましても、もちろん多くの方々の御意見を総合していかなければならないわけであります。
これにつきましては、実はこの議場におきましても何度となく国民体育大会の時期を決定すべきではないだろうか、招致すべきではないだろうかという御意見が質問としても提起をされました。我々の今のこの4年間の任期の前から実は提起をされていまして、議員もおっしゃっていましたけれども、まだ14年もあるというようなこともあるわけでありますが、ただ、10年前には少なくとも決めておかなければいけないとか、そんなような議論も当時からあったものでございます。
それで、このたび我々が平成27年から任期をスタートするに当たりまして、その当初からお互いこの議場の中でも御議論申し上げていました。私たちが共有するこの4年の任期の中で、この問題については方向性を出しておこうと、それが今後の準備のためには必要ではないだろうかということをここでも議論をしてまいったところでございます。
そういう中、議員のほうから共同開催の御提案のお話がございました。これもかねてこちらでも御報告を折に触れていたしておりますが、私自身もそうですし、隣の溝口知事もそうでありますが、かなり大きなイベントでありまして、議員がおっしゃるようにいずれ人口が減少していく。これは競技人口のことのみならず、それを支えるボランティアや実際手伝いに出てきてくださる高校生の数なども含めて減ってくるわけでありますし、また、実は隣の島根県もそうでありますが、残念ながら私ども鳥取県は、財政的には決して豊潤な税収があるわけではなく、そういう中で立派な大会を、この我が国全体に対する責任として果たさなければならない、その大変な大きないわば重圧があるわけでございます。ですから、隣の島根県さんとも、いずれ我々のほうに番が回って来るわけであります、これは持ち回りでありますので。そうしたら、その中で両県の共同開催という可能性もあるのではないだろうか、そういうことも含めて胸襟を開いた協議をさせていただきました。
そういう中で、正直な話を申し上げれば、やはり共同開催は難しいのではないかと、こういうことがかねて我々のほうにも伝えられてきております。そうであれば、共同でなくとも協力できる分野は協力をする。そうやって負担をお互いに分かち合うようなことにして、人口が少ないところ同士でありますので、それぞれでスタッフ的にも補い合ったり、あるいは競技会場につきましても全部新築して一そろいつくるというような時代でもなかろうと。両方でそれぞれ要件を満たすような、そういう競技施設を用意しながら協力して開催をするという考え方もあるのではないだろうか、こういうことでお話し合いも隣県とさせてきていただいたところです。そうした状況は、これまでも議場でも御報告を申し上げてまいりました。
そういう中、島根県さんのほうで2029年の国体招致について具体的な検討が始まるわけでございまして、私どもも競技団体や市町村にそれぞれアンケート調査をしたり、市町村のほうに当方の職員も出向かせていただきまして個別に御意見も伺ったりいたしました。この夏、精力的にそうした作業を進めさせていただく中で、2033年、一番最後の年になりますけれども、一番最後の年に私ども鳥取県で島根県との協力で開催をする方向性につきまして、競技団体や市町村からも御理解といいますか、それでいこうというお話がございました。
そういう中でもいろんな御意見が出ましたけれども、できるだけ早く決めてほしいというような競技団体の声も寄せられましたし、いざやるとなれば、そのときにはやはり市町村を含めた財政負担の問題だとか、それからさまざまな人材の協力の可能性とか、そういうことを考えなければいけないのではないかと、そんなこともいろいろと調整しながらこれから準備する必要がありますねという、そういう率直な御意見も多々出たところでございます。
そういうような状況の中で、今月に入りまして18日に、県の体育協会、それから障がい者スポーツ協会で、2033年、国体、それから障害者スポーツ大会の招致について意思決定がなされたわけでございまして、この議場のほうでもその経過を御報告申し上げたり、私自身の考え方も問われたところでありました。あの折に申し上げたことでございますけれども、こういう競技団体などの御意向、特に主管となります体育協会や、それから障がい者スポーツ協会のほうの御方針が決まったということであれば、できるだけそれに沿った形で我々も県として意思決定すべきではないだろうか。ただ、県民の代表である鳥取県議会の議決、そうした意見というものを踏まえてそうした方向について決めていきたいと、こういうことを申し上げたところであります。これからまた意見の集約等もいろいろとあろうかと思うわけでございますが、できるだけ早くタイミングを決めることが、こうした準備にかかるその条件づけにもなるのではないかなと思っております。
と申しますのも、議員が指摘された宿泊対応、輸送対応あるいは競技会場のことといった、さまざまな今後の検討要因があります。では、これらを島根県側と今後どういうふうに協力開催という言葉の中身を考えていくかということを相談しなければ、外枠がなかなか全部固まってきません。したがいまして、ある程度の早いタイミングで島根県側とのそうしたやりとりを具体化させる必要があると考えておりまして、御理解をいただければありがたいかなと思います。
その上で、では、果たして実行可能なのかということであります。議員がおっしゃるように、2033年であれば15年も先のことになりますけれども、ただ、大体過去の状況がございます。実は昭和60年の国体のころと、今、先になりますけれども2033年ごろとを見渡してみる。また、現在の国体のやり方に照らしてみますと、いろいろと違ってきている点があります。宿泊については、当時わかとり国体のとき3万3,000人の宿泊が必要でございまして、当時4万5,000人ぐらいの宿ということもありましたが、ただ、民泊もかなり対応して、そこにお泊まりいただくということになりました。当時は交通事情も悪くて、県内であってもなかなか遠く離れた会場のほうに移動するには時間もかかるところでございました。現在では高速道路がかなり開通してきましたし、2033年を見通しますと鳥取西道路も開通し、今後の展開によりますが、北条道路のところも展開できている可能性も十分あろうかと思います。また、南北を貫く北条湯原道路についてもそうであります。多分、東のほうに向けては山陰近畿道も、これも鳥取の南北道路はどうなっているか、ちょっと微妙なタイミングかもしれませんが、ただ、岩美道路は多分全通していると思われます。いろんな意味で交通事情が変わってきている中ということになりまして、全県的に融通できたり、あるいは県外との協力によって宿泊の受け皿をつくることも可能になり得るでしょう。
正直申し上げて、当時よりも実は開催時期を集中せずに分散化したり、国体の歴史の中で、この2巡目に入っていろんな工夫をされてきています。当時は3.3万人必要と言われていましたが、今は1.5万人の宿泊というように言われています。ですから、そうすると今の私どものキャパシティーの中でも可能でもあろうかとも思いますし、そのころ、もしかして宿泊のキャパシティーが減っているかもしれません。そんなときでも、両県協力開催というようなテーマであるとか、また但馬や岡山等も加えていけば十分に可能なレンジには入り得るだろうと、こんなような目算は立てながら議論をしておりました。
また、交通の手段についてでありますが、直近のことでわかっているところでは、愛媛国体の場合はバスが240台というようにカウントされていました。私ども県内キャパが200台でありまして、やはり足りないところがございます。そういうところは、やはり県外からの応援を仰ぐというような必要が出てくるかもしれないわけであります。ただ、40台ぐらいのカバーということであれば、私ども、今、豪華客船が来て一遍にバスが必要になるとき近隣からも応援に来ますけれども、そうしたようなことなどが今後できれば、この辺の輸送手段の確保も可能なレンジにはあるだろうというふうに思います。競技会場等につきましては、先ほど申しましたように、もともと島根県さんも問題意識が深いところでございまして、協力開催の中でそうした競技会場の問題を両県でトータルでクリアしていこうと、こういうような話し合いをしているところでございます。
以上のような次第でございまして、できるだけ多くの方々の御意見をこれまで総合してきたところでございますし、また今後、議員がおっしゃるような鳥取県らしい国体、しかも、もし2033年ということになれば2巡目の大トリということになります。そういう意味で、一つのモーメンタムな記念すべきそういう大会を鳥取という地で具体的に実行できる、そういう可能性もあると思います。議員がおっしゃるように、皆さんに満足していただけるような鳥取らしさのある大会を目指さなければいけませんので、多くの方々としっかりとした意思統一を図ってまいりたいと思います。
次に、介護士のことにつきましてお尋ねがございました。介護士の離職率は16.2%で、全産業の14.9%に対して高いという現状についてどう考えるかと、こういうことであります。
これにつきましては国の統計がありまして、今おっしゃったような数字になるわけでありますが、国の統計では、その直近のところよりも介護の離職率が最近若干減ってきています。それから、実は処遇改善をかなり入れてきているというようなことも影響しているのかなというふうにも思います。本県は確かになかなかぴったりしたデータがないところではあるのですけれども、医療福祉系のところでいいますと、これは離職率が5年前、平成25年に32%ぐらいでありましたのが、直近ベースですと14%ぐらいまで急速に縮小してきています。ただ他方で、例えば情報通信産業などは平成25年に3%程度であったものが、今は28%ぐらいまで離職率が上がってきているわけであります。いろんな産業によって、働くジャンルによりまして、やはりいろんな特徴があるのかなと思います。
本県は少子高齢化が進んでいますので、介護というのは非常に重要な戦略的な職業分野であります。離職率が若干減少傾向にあるかなというふうに見込まれますが、それでもやはり高いところにある。つまり、それだけ人材確保に苦労せざるを得ないということになりますし、働いている人たちの幸せのことも考えなければいけません。
先ほどの国の離職率の調査に伴いまして、その理由を言われているわけでありますけれども、理由の中で3つほど高いジャンルがありまして、一つは、一生働くような職場だろうかというような考え方、それから職場で人間関係がいま一つというようなこと、3つ目が、やはり出産だとかさまざまな家庭の事情などでやめざるを得ないと、こういうようなこと、そうしたことがありまして、多分これは本県においても同じようなことだと思います。
最初のそうした処遇関連のことでは、国のほうの処遇改善、これをぜひとも各事業所のほうにも適用していただけるように私どもも働きかけてまいったところでございます。また、あわせて、そうした職場環境を整える意味で現場の声をいろいろ伺っているのですが、例えばメンター制度だとかエルダー制度だとか、そうした相談相手や指導者、こうした存在が大きいということで、こういうメンター制度、エルダー制度の導入、この普及を今図ろうとしたり、また、より上の職種に転換していくチャレンジができるように、そうした介護職員の実務研修というのをやって、それで試験を受けに行くと。こういうものの助成制度をつくらせていただいたり、現場の声を聞きながら、年々そうした処遇改善に向けた対策をとらせていただいております。
また、働く環境として、例えば保育の受け皿づくり、これも最近、保育の受け皿を2,000人以上ふやしてまいりましたし、また、そのほかでも、例えばよどえババール園のように、介護の方が同じグループの中でそういう保育のほうに預けることができるように工夫をされたり、そういう職場なりの努力も最近は目立つようになってきたと思います。
また、例えば技量を上げていく意味で、オールジャパンケアコンテストというのを鳥取県でやっております。これは今、米子のほうで毎年開催されておりまして、ことしもこの10月に行うわけでございますけれども、全国から100人ぐらい、さらにいいケアをしようということで集まるわけです。そのうち3~4割は鳥取県内の方なのですが、こういうようなことでお互いに技量を磨き合ったり、また全国を通じて仲間をつくったり、そういうことで介護職場の活性化、いわば居心地のよさややりがいというものをつくっていこう、技量も上げていこう、こんなような取り組みもございます。そうしたことをさまざまアプローチをしながら、議員がおっしゃるような問題意識で介護職場における人材確保に今後も当たってまいりたいと思います。
次に、5歳児健診につきましてお尋ねがございました。
これにつきましては、昨年まで12の市町村で悉皆調査をし、残り7つでピックアップでございましたが、このたび琴浦町も、そうしたピックアップといいますか、悉皆から外れるということになったと伺っております。これについては非常に悩ましいところもございます。
これは先ほど興治議員の御提案の話もありましたけれども、実は本県の場合は、もともとこういう専門の脳神経小児科医の世界というもののパイオニアとして鳥取大学という存在がございまして、そういうようないわば人材の宝庫があって、そうしたところにも協力をしていただきながら、この5歳児健診で、課題を抱えている子、これを抽出してあぶり出していこうと、こういうようなことで始めたわけでありますし、私どももそれを後押しして、そうした5歳児健診というのを他県に先駆けて進めてきたところでございます。現実にもそうして5歳児健診が定着をしてきたのですけれども、どうしても都市部でなかなかこれが進まないところがございました。全国的に見ますとそういう人材確保がよその県よりは進んでいますし、実際養成もされてきているのですけれども、それでも全部の子供たちをやるところに手が回らないという状況が実は顕在化してきたところでございました。
そういう中、最近の状況をちょっと申し上げますと、平成25年に鳥大のお膝元の米子市さんでは、何か新しい工夫ができないかということを考えて検討会をつくられまして、実は精緻なプログラムをつくられました。具体的に言えば1次健診と2次健診をやると。その1次健診の部分でSDQというアンケート調査をして、これで課題のある子供さんというものをまずはスクリーニングをすると。その上で、専門家も入りまして集団健診のような形で、相談会と言っていますけれども、集団健診のような形で2次健診をして、さらに課題がある子供さんについて、お医者さんでの診察に向かってもらうと。こういうことで悉皆調査と同じような効果が上がるようなやり方を導入して、今、現に米子市さんはそういう形になっておられます。
この辺は、私どもも実はその専門の先生方とも相談するのですけれども、これが非常に痛しかゆしなのですが、全員調査することになりますと、どうしても、お子さんお一人当たり大体30分ぐらいかかるのです。それで全部のお子さんの健診をする時間があるのであれば、本当に課題を抱えている子供さんの治療なり指導なり、そちらのほうに時間を割いたほうがいいのではないだろうかというような御意見も強くございます。多分これは、人口の小さな町村でできないこともなくて今までやれてきたところもあるのです。そろそろ時間も経過してまいりましたので、結論から申し上げますと、何かきょうのお話を聞いて、やはり検討会議のようなことを、米子市ではないですけれども、全県的に見渡してみて、どういうやり方がいいのかというのをここらでもう一度専門家を交えて研究してみたほうがいいのかなと。そういう中で、悉皆調査が一番いいのでしょうし、できる地域はそういうふうにされればいいと思いますが、そうでないところには、お子さんにもやはり悉皆的な目が届く形にするのがいいと思いますので、そうした改善を図ってみてはどうかなというふうに考えております。
次に、消費者教育につきましてお尋ねがございました。成年年齢の引き下げに伴って契約トラブルがふえてくるのではないだろうか、それに対する対策としてはどうかと、こういうことでございます。
これについては民法の4条が改正をされまして、従来であれば成年年齢は20歳ということであります。そういうことが改正によって、本来、法定代理人である親権者などの同意がなければ、5条に基づいて取り消し権を行使して、保護できたところであります。これが適用できなくなるということになるわけです。これについて、低年齢化したとき、果たして社会人として経験や知識が十分あるかというと、今の18歳、19歳と変わりませんから、そこのところは何らかの保護は必要ではないかと、こういうようなことになるわけであります。
実はことし消費者契約法が改正をされまして、例えば就職活動などに乗じて、それで不当な影響力を行使するとか、あるいはデート商法のような形だとか、十分な判断力がないところにつけ込んだ不当な勧誘に対する制限が課される、そういう法律ができたわけでありますが、その国会での審議で附帯決議の中で、この成年年齢の引き下げに伴って何らかの取り消し権のようなものを考えるべきではないだろうか、こういうことが決議されております。こういうようなことは一つの方策になるかなと思いますし、国としてもぜひそういうことも検討していただければというふうに思います。
また、私どもでできることでも、教育の世界であれば、特別支援学校だとか、あるいは子供たち、小中や幼稚園なども含めて、そういう出前講座のような形で消費者教育をする。それから、テキストもこのたび消費者庁のほうで作成したものがございまして、そういうものを使って教育をやる。また、大学や鳥短のようなところ、こうしたところのほうでも、そうした経済、金融関係、そうした講座というものを、私どもの消費生活センターなど、そうしたところも出かけていって行ったり、金融広報委員会というのもございますので、そうしたところも協力をしたり、いろんなやり方を今始めたところでございます。先般「おかねのつかいかた あいうえお」という、そういう一つの教材をつくりまして、これは消費生活センターのほうでつくったのですけれども、これが全国のほうから表彰をされたこともございました。いろいろと子供のうちからこうした教材などに触れていく、そういう機会を、きょうの御質問がございましたので一層確保していきたいというふうに思います。